防災無線

防災無線システム

我が国は、これまで地震、台風、豪雨、津波など多くの災害に見舞われてきました。平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、最大震度7の強い揺れと国内観測史上最大の津波が、東北・関東地方を中心とする広い範囲に甚大な被害をもたらしました。また、将来発生が予想されている首都直下地震等の被害も懸念されています。

災害は多くの場合、突然襲ってきます。被災地では、情報が錯綜し、人々はパニック状態に陥ることも少なくありません。いち早く正確な災害情報を地域住民などに伝えることが必要です。一方、救助活動や復旧活動のためには、災害の規模、災害現場の位置や状況などの迅速で正確な情報が必要です。

そのため、非常時における重要通信の確保を目的として様々な防災無線システムが構築されています。

防災無線システムの全体構成

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中央防災無線

国の災害対策を円滑に実施するため、内閣府を中心に指定行政機関(中央省庁等)、関係機関(総理官邸等)、指定公共機関(NTT、NHK、電力会社等)などを結ぶ無線通信網です。

専用の無線通信ネットワークで、固定系、移動系、画像伝送系と衛星通信系によって構成されています。

都道府県防災行政無線

都道府県とその出先機関、指定地方行政機関、指定地方公共機関、市町村等の間での地域防災計画に基づく災害情報の収集・伝達のための無線通信網です。地域防災上の重要なシステムとなっています。

固定系、移動系、テレメーター系、衛星系により構成されていますが、後述の地域衛星通信ネットワークを活用しているところもあります。

なお、固定系、移動系、テレメーター系については、双方向通信、画像による情報収集等が可能なデジタル化が進められます。

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地域衛星通信ネットワーク

防災情報の伝達や地域の情報化等を目的として、地方自治体と防災関係機関の間を通信衛星で結ぶネットワークです。

災害時には、防災行政無線のバックアップや回線不足への対応などか主な用途になります。また、都道府県を結ぶ全国的なネットワークを構築することができます。

市町村防災行政無線

市町村が災害情報の収集を行うほか、地域住民に対し災害情報の伝達、広報・指示を行うことを目的とした無線通信網です。

固定(同報)系、移動系、テレメーター系により構成されています。

固定(同報)系

市町村役場と屋外拡声器や家庭内の戸別受信機を結び、住民への災害情報の伝達に活用されており、今後は、文字情報による伝達、画像による情報収集等可能なデジタル化が進められます。

移動系

災害現場から市町村役場までの現地災害情報の伝達のほか、広報車による住民への情報伝達にも活用されており、今後は、双方向通信、画像による情報収集等可能なデジタル化が進められます。

テレメーター系

降水量、河川の水位等の観測データを伝送するため、観測所等との間を接続しています。

防災相互通信用無線

地震災害、コンビナート災害等の大規模災害に備え、災害現場における消防、警察、海上保安庁等間相互の被害情報等を交換し、防災活動を円滑に進めるための無線通信です。

防災行政無線のデジタル化

市町村防災行政無線における双方向通信を可能とするなど防災行政無線のデジタル化等のための実証試験を平成10年8月に横浜市の協力を得て実施し、その結果を基に平成15年12月に市町村デジタル移動通信系、平成16年9月に都道府県デジタル総合通信系の制度化が行われました。

また、機能を一部限定することにより、簡素かつ低廉な変調方式のシステムも開発され、その導入が促進されています。

市町村デジタル同報通信システムの機能

市町村デジタル移動通信システムイメージ

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