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地下鉄車両内におけるワンセグ受信に関する調査結果
〜全国で初めて鉄道トンネルの車内でワンセグ電波の直接受信を検証〜
報道発表/平成21年4月16日
- 近畿総合通信局(局長:稲田 修一)は、地下鉄利用者がワンセグ放送を列車内で直接受信できるシステムの有効性を検証するため、本年3月、京阪電気鉄道株式会社の鉄道トンネル内に受信障害対策中継放送向け極微小電力送信装置(ギャップフィラー)を設置した技術試験を実施し、この度、その結果を取りまとめたので公表します。
1 概要
地下鉄は都市における重要なインフラの一つですが、電波の閉鎖空間にあるため、災害などの緊急時に有効な情報伝達手段の一つと考えられるワンセグ放送を受信できない状況にあります。
このため、実際の地下鉄トンネル内に受信障害対策中継放送向けの極微小電力送信装置(ギャップフィラー)を複数設置して、列車内の乗客がワンセグ放送を携帯電話などの端末で直接受信できる試験システムを新たに構築して、受信特性やシステム検証を行った結果、その有効性が確認されました。
電波の伝わり方が悪いトンネル内で、ギャップフィラー技術を利用して、車外からのワンセグ電波を直接列車内で受信するシステムの試験はこれまでになく、国内で始めて実施されたものです。
本システムは、営業されている既存の鉄道トンネルに、比較的低コストで、簡便かつ短期間にシステムを設置することが可能で、その実現により、地下鉄トンネル内の緊急時の情報伝達環境を確保し、かつ利用者の利便性及び安全性が向上することが期待されます。
2 調査結果の内容
別紙 のとおり。
3 今後の対応
本調査結果を鉄道事業者、放送事業者など関係者に提供し、あまねく情報が得られるユビキタスネット社会の普及に向けた推進を行います。
- 連絡先
- 近畿総合通信局 総括調整官 清水
電話:06-6942-8586 - 近畿総合通信局 放送部 放送課
担当:川崎
電話:06-6942-8566
別紙
地下鉄車両内におけるワンセグ受信に関する調査内容及び結果の概要
都市の重要なインフラである地下鉄の災害などの緊急時における情報伝達環境を確保し、利用者の利便性向上及び安全性の向上を図ることを目的として、受信障害対策中継放送向け極微小電力送信装置(ギャップフィラー)を利用した地下鉄トンネル内の地上デジタル放送(ワンセグ放送)再送信システムを構築し、実際に電波を発射して検証を行った結果、走行する列車内での直接受信が可能であり、有効性が確認された。
1 試験の概要
(1) 試験の実施期間及び場所
- 試験期間:平成21年3月6日から3月31日
- 試験場所:京阪電気鉄道本線の地下鉄道トンネル内(京都府京都市東山区)

図1 試験の実施場所
(2) 試験設備及びシステムの概要
ギャップフィラー6台をトンネル開口部から七条駅と清水五条駅の中間点までの間に設置し、地上(三条駅)で受信した放送波を各ギャップフィラーから再送信するシステム構成。
送信アンテナ6基は、複線トンネルの上下線中央の中柱(大阪方面線路側の側面)4ヶ所に設置した。

図2 システム(東福寺駅から清水五条駅のギャップフィラー設置状況)
| 送信チャンネル (周波数) |
13ch(473.142857MHz):NHK教育 25ch(545.142857MHz):NHK総合(京都) 22ch(527.142857MHz):試験信号のみ |
|---|---|
| トンネル断面 | 上・下線標準トンネル(D8m×H5m) |
| 送信出力 | 50mW/13seg(ERP=184.5mW/13seg、14.2mW/1seg) |
| 送信アンテナ | 5素子八木型アンテナ(5dBd) 8素子八木型アンテナ(7dBd) 設置高:2.9m |
| 受信アンテナ (測定用) |
半波長ダイポールアンテナ(0dBd) 受信高:列車フロアから1.2m |
| 地下鉄内設置区間 | 京阪電気鉄道本線トンネル (清水五条駅から七条駅からトンネル開口部) |
(3) 試験内容
- トンネル内におけるワンセグ放送電波の伝わり方の測定
- ワンセグ放送電波の列車内での受信レベル、受信状況等の測定・確認 等
2 試験結果
ギャップフィラーが設置されている清水五条駅から七条駅を超えたトンネル開口部までの間、下り線(大阪方面:アンテナが設置されている側)の列車の中で、ワンセグ放送が良好に受信された。
また、上り線の列車内でも概ね良好に受信された。
併せて、地上部分からトンネル内へも連続受信が良好に保たれた。

図3 ワンセグ受信状況(清水五条駅から東福寺駅)
今回の試験の結果、鉄道トンネルの形状などによる固有の条件や特性はあるものの、主に次のことが確認された。
- ○ ギャップフィラーの配置
- 50ミリワットのギャップフィラーでは、上下線の100メートル区間を概ねカバー可能。
- ○ チャンネル(周波数)の違いの影響
- 25チャンネルに比べて低い周波数の13チャンネルの方が減衰は大きく、一部で安定受信が難しい。
- ○ 車両(位置)の影響
- 中央車両付近と比較して、先頭及び後方車両は電波を受信し易い環境にあり、安定して受信。
- ○ トンネル内の電波伝搬
- 地上デジタル放送(ワンセグ放送)の電波の伝わり方は、自由空間に比べて減衰が大きく、走行車両等の侵入した場合は極端に増大。
- ○ 周波数とトンネル断面サイズとの関係
- 周波数とトンネルの断面サイズが電波の伝わる距離に関係する。
- ○ トンネル形状の影響
- 湾曲したトンネルは、直線的なトンネルより電波の減衰が大きい。
- ○ 電波の偏波面の影響
- 水平偏波の方が遠方まで電波の到達距離が長い。
実用を考えた場合は、個々のトンネルの形状を踏まえた上で事前検討や実地確認をすることが必要であり、それらの作業から実用できるシステムを想定することが重要である。
走行中の列車内において、混雑時等などのどあらゆる環境で100%に近い受信状態にするためには、ギャップフィラーを数多く配置する必要があるが、コストが大きくなり、本システムのメリットが減少する。
反対に、受信状況の全体バランスに配慮しつつ、部分的に少し長めの間隔をとってギャップフィラーを配置しても、短時間の受信低下であれば、比較的ストレスない受信が可能と考えられる。
そうした場合でも、列車外の受信も 可能であり、災害等の緊急時の情報伝達手段として有効なものである。
具体的に計画する場合は、列車安全運行に支障を与えない建築限界領域を保ちつつ、トンネル形状、列車・線路・駅ホームなどの構造、ワンセグ受信率とコストとの関係などに留意して、トンネル内に最適なアンテナの設置方法を検討することが重要である。
(参考)
調査の検討体制
- 【調査検討会】
- 座長:
三瓶 政一 大阪大学大学院 工学研究科教授 - 副座長:
水谷 照一 日本放送協会大阪放送局技術部 チーフエンジニア - 構成員:
大森 章行 大阪市交通局 信号通信担当課長代理
西島 英記 株式会社NTTドコモ関西支社 ネットワーク部 置局設計担当課長
山崎 正睦 京阪電気鉄道株式会社 鉄道事業部 技術課(電気担当)課長 - 【技術試験事務請負】
- 株式会社NHKアイテック