電波防護のための基準

総務省では安全な電波利用の一層の徹底を図るため、 関係法令(注意1)により、無線局の開設者に電波の強さに対する安全施設を設けることを義務づけています。 これにより、安全で安心できる電波利用環境が整備されています。
(注意) 平成11年10月1日以前に免許を受けた無線局につきましては、免許の有効期限が満了するまで経過措置が認められています。
(注意1) 電波法第30条及び施行規則第21条の3

制度の概要

電波の強さに対する安全施設
 人が通常出入りする場所で無線局から発射される電波の強さが基準値を超える場所がある場合には、無線局の開設者が柵などを施設し、一般の人々が容易に出入りできないようにする必要があります。なお、適用が除外される無線設備として以下のものが挙げられます。
平均電力が20mW以下の無線局の無線設備。
移動する無線局の無線設備
地震や台風などの非常事態が発生、または発生するおそれのある場合において臨時に開設する無線局の無線設備。

表1 代表的な無線局の基準値を超える範囲 (標準的な条件での一例)

局種 基準値を超える恐れのある範囲
携帯・自動車電話基地局
(900MHz帯、96W)
アンテナから指向方向に0.25m以内
アンテナから上方に0.7m以内
アンテナから下方に0.7m以内
PHS基地局
(1.9GHz帯、2W)
アンテナから0.03m以内 (垂直コリニアアレー)
アンテナから0.2m以内 (パッチ(平面)アンテナ)
中波放送
(594kHz、300kW)
アンテナから15m以内
短波放送
(17.9MHZ、300kW、カーテンアンテナ)
アンテナから前方に55m以内
FM放送
(ERP44kW)
アンテナから27m以内
TV放送 (大出力局)
(VHF、ERP85kW)
(UHF、ERP110kW)
アンテナから28m以内 (VHF)
アンテナから23m以内 (UHF)
TV放送 (サテライト局)
(VHF、ERP50W)
(UHF、ERP50W)
アンテナから0.69m以内 (VHF)
アンテナから0.31m以内(UHF)

平成10年11月電気通信技術審議会答申による

電波防護の基準値とは

電波の人体に与える影響について
 これまで40年以上の研究により、人体が強い電波にさらされると体温が上昇する作用や、周波数が低い場合には体内に起こされた電流が神経を刺激する作用があること、また、電波の強さによる人間の健康への影響が明らかにされています。このような科学的な知見に基づき、十分な安全率を考慮した基準値(電波防護指針)が策定され、我が国のみならず世界各国で活用されています。この電波防護指針値を満たせば人間の健康への安全性が確保されるというのが国際的な考えとなっています。

国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の声明(携帯無線電話機の使用と基地局に関する健康問題)

世界保健機関(WHO)と協力して電波防護指針を策定しているICNIRPは、平成8年4月に「これまでの研究結果を調査した結果、国際機関などが定めた防護指針値以下の電波により、がんを含め健康に悪影響が発生するとの証拠はない」との声明を発表しています。

わが国の電波防護指針値
 わが国の指針については総務大臣の諮問機関である電気通信技術審議会から答申が出されています。この答申 では、動物実験等の結果に基づき、影響が生じる閾値(いきち)に約50倍の安全率をみて、一般の人々の指針値(一般環境)を定めています。

電気通信技術審議会からの答申

平成2年度 「電波利用における人体の防護指針」(電気通信技術審議会答申)
・電波が人体に悪影響を及ぼさない範囲を策定
平成9年度 「電波利用における人体防護の在り方」(電気通信技術審議会答申)
・平成2年答申の指針値の妥当性を確認
・携帯電話端末など、身体の近くで使用する機器に対する指針(局所吸収指針)を策定

安全で安心な電波の利用に向けた取組み

 総務省では、電波による健康への影響について評価を行い、電波防護指針の根拠となる科学的データの信頼性向上のため、生体電磁環境推進委員会を開催しています。この委員会のでは、医学・生物学の専門家と、電磁のばくろレベルを高精度に評価する工学の専門家による綿密な連携のもと、WHOと協調しながら各種の研究を行っています。
 平成19年3月には、これまでの10年間の研究成果について報告書を取りまとめています。あわせて今後の取り組むべき研究課題も抽出しています。取りまとめられた報告書の概要は、別添 (PDF形式)のとおりです。

 また、電波の安全性に対し正しい情報を提供するため各総合通信局(沖縄総合通信事務所)において、電波の安全性に関する講演会を開催しています。

無線局を開設するみなさんへ

 本制度導入により、無線局の開設者は、免許申請時に基準値への適合を確認するとともに、次のことに注意する必要があります。
1.わが国の電波防護指針値
人が通常出入りする場所における電波の強さが、表2に示した基準値以下であることの確認し、その結果、基準値を超えるおそれがあるときには安全施設を設けることとした上で、工事設計書の「その他の工事設計」欄に電波法第3章に規定する条件に合致している旨を記載して下さい。
 免許申請時には、原則として、検討資料や施設の図面を提出する必要はありませんが、総務省での審査に際し必要があると認めるときは資料の提出を求められることがあります。

表2 電波の強さ(平均時間6分間)の基準値
周波数
(f)
電界強度の 実効値
(E[V/m])
磁界強度の 実効値
(H[A/m])
電力束密度
(S[mW/cm2])
10kHz-30kHz 275 72.8 -
30kHz-3MHz 275 2.18/f -
3MHz-30MHz 824/f 2.18/f -
30MHz-300MHz 27.5 0.0728 0.2
300MHz-1.5GHz 1.585√f √f/237.8 f/1500
1.5GHz-300GHz 61.4 0.163 1

2.無線局の検査時
 検査の際には、基準値に適合していることの確認が行われます。 また、落成後の検査が省略されている無線局についても、基準値に適合していることの確認のため、免許後に臨時検査が行われる場合があります。

基準値への適合の確認方法は?

 基準値への適合を確認する方法については、 郵政省告示で示されていますが、基本的な考え方は次の通りです。
無線設備から発射される電波の強さの基準値への適合を確認する方法は、基本的には十分 に過大側の値が得られる算出によることとし、算出結果が基準値を超える場合には測定により確認することができます。
強い反射を生じさせる物体がある場合で、算出した結果が基準値から6dB低い値を超える場合には、測定により確認を行うことができます。

 アンテナ入力電力P[W]、最大輻射方向のアンテナの絶対利得をGとすると、距離R[m]の位置での電力束密度S[mW/cm2]はS=PG/40πR2 ・Kで示され、これを基本算出式とします。
(注意) Kは大地面等の反射を考慮した係数。
電力束密度S[mW/cm2]、電界強度E[V/m]及び磁界強度H[A/m]は、次式により相互に換算します。
S=E2/3700=37.7H2

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