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津波避難タワー間を結ぶ安心防災システム「つながっタワー」の開発
≪高知高専 今井研究室から生まれた新しい安否確認システム≫

平成27年1月15日
高知工業高等専門学校
今井 一雅(いまい かずまさ)教授より寄稿
 
 

 高知工業高等専門学校 電気情報工学科 今井研究室では、津波避難タワー間を結ぶ安心防災システム「つながっタワー」の開発・研究をおこなっています。
 この研究成果の一つが、今井研学生チーム(電気情報工学科5年生の4人)が出場しました全国高等専門学校・第25回プログラミングコンテスト(岩手県一ノ関市で開催)の課題部門(課題テーマ:防災・減災対策と復興支援)での文部科学大臣賞・最優秀賞等の受賞です。課題部門には、全国の高専から56チームのエントリーがあり、書類選考により予選を通過した21チームが本選に出場し、プレゼンテーションとデモンストレーションの両面で審査され、最終的に、高知高専 今井研チームは、その頂点となる1位に輝きました。

写真:高知高専 今井研チームの学生(右前から、リーダーの佐々木(ささき)君、島内(しまのうち)君、森國(もりくに)君、南(みなみ)君)と今井 一雅(いまい かずまさ)教授

高知高専 今井研チームの学生(右前から、リーダーの佐々木(ささき)君、島内(しまのうち)君、森國(もりくに)君、南(みなみ)君)と今井 一雅(いまい かずまさ)教授

 

津波避難タワー間を結ぶ安心防災システム

 2011年3月に起きた東日本大震災での被害は、9割以上の犠牲者が津波によるものでした。今後想定されます南海トラフ巨大地震でも高い津波が来ると考えられており、海岸線を持つ県では津波避難タワーの設置が進んでいます。
 高知県では、2016年度までに、100基を超える津波避難タワーが設置される予定ですが、すでに高知県南国市では、2013年度に14基の津波避難タワーが完成しております。
 今井研究室では、津波発生時に海岸沿いに設置されている携帯電話の基地局に被害が及び、モバイル回線が使用できない状況下でも、津波避難タワーに避難してきた人が各自の携帯情報端末で容易に安否情報を送ることのできるシステムの開発を、南国市の協力のもとに南国市に設置された津波避難タワーを使っておこなっています。

津波避難タワー間を結ぶ安心防災システムの構成図

津波避難タワー間を結ぶ安心防災システムの構成図

 

 本システムは、構成図からもわかりますように各津波避難タワーを指向性・無指向性アンテナにより無線LAN接続し、複数の津波避難タワー間でLANを構築します。このLAN内にデータベースサーバ、SIPサーバを設置し、LAN内でのデータ通信を可能とします。
 また、中核となる津波避難タワー(メインタワー)には衛星インターネット用パラボラアンテナを設置し、衛星インターネットによるVPNを介して災害対策本部となる市役所との通信を可能とするシステムとなっています。

各津波避難タワーでのBeaconの活用

 このシステムの大きな特徴は、Bluetooth Low Energy規格で電波を一定間隔で発信するBeaconを各津波避難タワーで活用することです。これは、携帯情報端末が、Beacon発信機の電波を感知するとPush通知され、Beaconの電波範囲に入ったことを確認することができるもので、災害時には迅速な安否情報の送信が可能となります。
 また、このBeaconを使用することで、平常時には携帯情報端末による津波避難タワーのスタンプラリーとしても機能させることができます。

写真:高知県南国市に設置された津波避難タワー(14基のタワーの一つである大湊小南タワー)

高知県南国市に設置された津波避難タワー
(14基のタワーの一つである大湊小南タワー)

写真:津波避難タワーの最上階に設置されたBeacon発信機(南国市の全てのタワーには最上階に半鐘が設置されており、その横にBeacon発信機が配置されています。)

津波避難タワーの最上階に設置されたBeacon発信機
(南国市の全てのタワーには最上階に半鐘が設置されており、
その横にBeacon発信機が配置されています。)

 

津波避難タワー安否確認アプリ「つながっタワー」

 津波避難タワーでの安否確認の実証実験のために、スマートフォンアプリ「つながっタワー」が開発されました。これは、スマートフォンのiPhoneをターゲットとしたもので、対象者を南国市に在住の方、南国市に訪れる予定のある方として、iOS7.1以上のiOSデバイス上で動作するものです。(現在、Android版の開発もおこなっています)
 この「つながっタワー」アプリは、App Storeから無料ダウンロードが可能となっており、サポートWebサイトが立ち上がっております。

 「つながっタワー」ダウンロードサイト別ウィンドウで開きます
 「つながっタワー」サポートWebサイト別ウィンドウで開きます

 本アプリの機能としては、以下の機能が使えるようになっています。

  • 安否情報送信機能:津波避難タワーに避難すると、Beaconにより安否情報の送信が促され、迅速な安否確認を行うことができます。
  • スタンプラリー機能:普段訪れることのない津波避難タワーを巡ることで、津波避難タワーの存在を再認識して防災に備えることができます。
  • チャット機能:他のアプリ利用登録者とチャットをすることができます。
  • SIP電話登録機能:SIPサーバに登録してSIP電話の利用がLAN内で可能となります。
  • 防災検定機能:地震や津波に関する問題を解くことで、防災・減災の知識を蓄えることができます。
  • 避難ガイド機能:地震発生時の対処法や地震への対策、避難場所一覧などの情報をオフラインでも確認することができます。

左:アプリのトップ画面  右:スタンプラリーの画面(上の部分は南国市の津波避難タワー14基の位置を示す地図で、下の部分では各タワーの写真や収容人数等のタワーの仕様データを見ることができます。)

左:アプリのトップ画面  右:スタンプラリーの画面(上の部分は南国市の津波避難タワー14基の位置を示す地図で、下の部分では各タワーの写真や収容人数等のタワーの仕様データを見ることができます。)

左:安否情報登録の設定画面  右:安否確認の画面(Beaconの通知から、この画面に直接行くことができ、「送信」により安否情報の送信が可能です。「閲覧」では、すでに登録された安否情報の確認もできます。)

左:安否情報登録の設定画面  右:安否確認の画面(Beaconの通知から、この画面に直接行くことができ、「送信」により安否情報の送信が可能です。「閲覧」では、すでに登録された安否情報の確認もできます。)

 

超高速インターネット衛星WINDSを使った実証実験

 2014年9月21日に、高知県・南国市・JAXAの協力で、JAXAの超高速インターネット衛星WINDSと本システムの接続性を確認し、安否情報送信システムが正常に動作するかの確認を行いました。そして、民間の衛星通信サービスでの利用を想定した回線帯域および品質の評価も行いました。
 この実証実験では、津波避難タワーと南国市役所との通信が確保され、安否情報の閲覧、津波避難タワーと南国市役所に設置されているSIP電話機による通信が確立されることを確認することができました。

JAXAの超高速インターネット衛星WINDSを使った実証実験の構成図

JAXAの超高速インターネット衛星WINDSを使った実証実験の構成図

 

本システムの実用化に向けて

 今回の実証実験により、津波発生時のモバイル回線切断時においても津波避難タワー間での安否情報の共有や、市役所などの対策本部への安否情報の通知が、リアルタイムで行うことができるのを確認することができました。
 また、「つながっタワー」アプリは、多くの市民の方々に使ってもらうために、平常時においても津波避難タワーで利用できるBeaconによるスタンプラリーが可能となっております。これに加えて、アプリに入っている防災検定機能を組み合わせた参加者の表彰制度への展開によって、多くの市民の方々に興味を持ってもらうことも考えております。
 今後、このシステムは、南国市に設置されている津波避難タワーで実用化するために、南国市役所やソフト関係の会社と一緒に産学官連携プロジェクトを進めていく予定となっております。また、高知県だけでなく他の県での津波避難タワー安否確認システムとしても使ってもらえるように、各方面にPRしていきたいと考えております。

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