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オンラインゲームと野菜の契約栽培を連動させたサービスを運営する
松山市のベンチャー「テレファーム」
≪農作物を販売しない、新しい農業サービスの形態をICTで実現≫

取材日:平成27年5月15日

 松山市に本社を置く株式会社テレファームは、農業の問題点を見つめ直し、農作物を販売しないという逆転の発想により、ICTを活用した新しい農業サービスを実現することで、農家への安定収入を確保し、衰退する農業、農村地域の活性化に取り組まれています。
 今回、株式会社テレファーム 代表取締役の遠藤 忍(えんどう しのぶ)様を訪問し、設立背景や取組などについてお話を伺いました。

テレファームの設立背景について教えて下さい。

 健康診断に関わる仕事をしていた頃、過疎と呼ばれる中山間地域を訪れた際、高齢化の影響で農業従事者が減り、耕作放棄地が増えているという中山間地域における農業の現実を目の当たりにしました。「年金生活の高齢者の生活を何とかしたい」、「気軽に病院に行けるぐらいの収入を得ることができないか」、「農村地域に若者が集まるような明るい展望をつくることはできないか」、これらをすべて解決する方法を考え抜いた結果、「農業を変革し、活性化すれば、すべてが解決する!」ということから、2007年4月に株式会社テレファームという農業支援の会社を立ち上げることになりました。

遠藤 忍(えんどう しのぶ)
株式会社テレファーム 代表取締役

 

 現在の農業は、とにかく収入が少なく、それが原因で担い手も不足し、高齢化の影響により農業従事者が減り、耕作放棄地が増えていくという悪循環に陥っている状況です。また、どうしても相場や天候などに左右され、収入が不安定になってしまうこともあり、農家自身が自分の子供たちに他の仕事を勧めるというような状況になっています。
 そこで、今までのように、農作物を売るのでは、安定した収入は得られないと考え、「農作物を売らない」という逆転の発想が遠隔農場『テレファーム』のきっかけでした。

CSA

 
 欧米で広く普及しているCSA(Community Supported Agriculture:地域支援型農業)という消費者と農家が相互に支えあう仕組みを取り入れ、農業という1次産業を、農作物の栽培サービスという3次産業に変えて提供することで、相場や天候などに左右されることなく、毎月安定した収入確保が実現できると考えました。

 

遠隔農場『テレファーム』について教えて下さい。

 WEBブラウザを使った農作物育成シミュレーションと、実際の畑で行う有機栽培農業を結びつけたサービスで、利用者は月額500円(税込)から始められます。
 農作物育成シミュレーションでは、初心者でも興味をもってできるように、水分量の調整や害虫発生などが収穫に影響を及ぼすというようなゲーム的要素を取り入れています。しかも、有機栽培に欠かせない様々なアイテムを取り扱うことで、楽しみながら農業の知識も身に付けることができるということもあり、高校生の農業体験実習などでもこのシステムが活用されています。

遠隔農場テレファーム 事業概要図

 

 また、送料を支払えば、自分が育てた野菜を手元に取り寄せることもでき、栽培した野菜をシステム内の市場やショップサイトで販売することもできます。上手に育てれば、リーズナブルに有機栽培野菜を手に入れることも可能です。
 現在の会員数は1,500〜1,600という状況ですが、複数のマスコミなどで取り上げてもらったおかげもあり、今月中には2,000から3,000程度まで伸びると予想しています。
 また、実際の畑は、内子町、大洲市、伊予市の3か所にあり、作物の種類や季節によって、畑を使い分けたりしています。通常、種まきは年に2回程度しか行いませんが、遠隔農場では、利用者からの依頼に基づき、一年中種まきを行うことができます。それにより、農家は一年を通して、安定した収入を確保することができるようになります。

事業開始に際し、苦労した点などがあれば教えて下さい。

 農業は初めてだったので、全てが苦労の連発でした。
 まずは、意外にも農作地確保の壁です。中山間地域は耕作放棄地があり、すぐに農作地を確保できると思っていましたが、新規参入者に貸してくれるところはない状況でした。
 次に、運用資金確保の壁です。新たに農業を始めようとしても、農作物を出荷して、収入が入るまでの間は無収入なので、事業を運用するための当面の資金確保が重要です。自治体によっては2年間ぐらい支援してくれるところもありますが、初めての場合、小売り流通では取り扱ってもらえないので、最低でも5年間ぐらいの支援(サポート)が必要と考えます。
 また、農業全体についての直近の問題点としては、輸送コストの問題です。農作物は鮮度が重要なので、どうしても輸送コストがかかってしまいます。折角作っても、都心まで運ぶのに費用が掛かっては、大きな収入は得られません。個人販売の場合では、ちょっと高いけど、送料を払ってでも食べたいものを作るしかないという状況です。遠隔農場の場合は、自分で育てたということもあり愛着がわき、送料は気にしない方のほうが比較的多いかもしれません。

今後の展開について教えて下さい。

 今後、TPPで安い農作物が海外から輸入がされると、日本の農家は、海外の農家には太刀打ちできなくなります。ただ、現在注目されている食の安全安心という消費者ニーズの観点では、生産者が、いつ、何をして、農作物がどのようになっているのか、という状況が確認できる生産管理システムのような仕組みは、今後重要になってくると考えています。テレファームシステムは生産管理システムとしての機能を備えているので、今後、そのあたりの機能を有効に活用できると考えています。
 この仕組みを活用することで、農業に毎月安定した収入が確保できれば、農業をやる若者が増え(雇用創出)、農村地域に人が戻ってくると期待しています。
 地域では農業が必要不可欠であり、ICTと連携することで、生産者と消費者の距離は縮めることができるので、今後も農業の活性化に向け、異業種との連携なども積極的に取り入れていきたいと考えています。

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