総務省では、ビッグデータやクラウドサービスに代表される、ICTを高度に利活用して戦略を立案・実施できる「高度ICT人材」に着目し、同人材の育成を目的とした「高度ICT利活用人材育成プログラム(クラウド及びビッグデータ編)」を開発し、昨年度、企業のユーザ部門、経営層、情報システム部門の方々を対象とし、東京をはじめ全国5ヶ所で検証実験(研修コースのテストラン)を開催しました。
一方、地域における高度ICT人材育成の取組は、人材の面から地域経済の競争力の強化に有効と考えられ、地域での同人材育成の継続的な取組が重要です。
そこで、今年度は、企業のみならず高等教育機関や地域団体に対象を広げ、全国11地域で「実践的データ分析コース(ビッグデータ編コース)」を実施して、プログラム教材の有効性等を検証しています。また、実践的データ分析コース受講後の追加研修として、講師や教員の方を対象に「インストラクター育成支援プログラム」も同時に開催しています。
この「高度ICT研修(実践的データ分析コース)」高松会場の研修会が、平成27年2月5日(木)と6日(金)の二日間にわたり、高松市の情報通信交流館(e-とぴあ・かがわ)のクラスルームにおいて開催されました。研修内容は次のとおりです。
アジェンダ | 学習項目 |
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1.ビッグデータ利活用入門 |
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2.ビッグデータ利活用の導入計画 |
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3.ビッグデータ利活用計画の策定と評価 |
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4.データ分析手法とツール |
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5.データ管理とセキュリティ |
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インストラクター育成支援プログラム |
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アジェンダ | 学習項目 |
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6.データ分析結果の図解手法 |
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7.総合演習 |
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インストラクター育成支援プログラム |
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研修会場の様子
本研修には、四国内外の企業や自治体の担当者等、ビッグデータをビジネス等に活かしたい19名(このうちインストラクター育成支援プログラムまでの参加者は7名)が参加しました。
このたびは、二日目の「総合演習」の研修に伺いましたので、「総合演習」の様子についてレポートします。
総合演習では、まず、ビッグデータ利活用の導入と運用に関するケーススタディを実施しました。これは、講義で習得した知識・スキルを、ビッグデータ利活用に関してのケーススタディを通じて、より理解を深め、個人の実践的スキルとして定着させることを狙ったものです。参加者は、5つのグループに分かれ、課題として設定された架空の企業の経営企画室の社員になりきり、社内のビッグデータを活用した施策を立案する「企画書」を作成するというグループワークに挑戦しました。
参加者は、設定された企業条件や現場関係者のヒアリング結果を読み込みながら、「背景・目的」、「現状」、「要因分析」、「プラン」及び「スケジュール」という5つの構成要素を含めた企画書を作成しました。その後、グループ毎に企画書の内容を発表し合い、企画内容について互いに意見を述べ合ったり、講師からアドバイスを受けたりしながら、ビッグデータの利活用について理解を深めました。
グループワークでの企画書の発表の様子
次に、データ分析と意思決定シミュレーションの体験学習として、膨大なデータを分析し意思決定に活用する「BIツール」の実習を行いました。参加者は、「データの整理」から「施策の立案」までの一連の分析プロセスを、BIツールのデモを交えながら進めることで、BIツールの基本的な操作方法や分析プロセスを体験しました。その後、応用課題として、「効果的なWeb広告による売り上げUP」と「都道府県ごとの販促施策の最適化」という二つの演習課題に対して、BIツールを活用したデータ分析を実施しました。最後に、各自で検討した分析結果や施策案についてグループ内で共有し、理解を深め合いました。参加者は、講師のサポートを受けながら、相関係数や回帰分析などのデータ分析手法を駆使して、難しい演習課題に積極的に取り組んでいました。
BIツールの実習の様子
本研修の参加者からは、「大変勉強になった。」「今回の研修内容を職場で早速、実践してみたい。」との感想が聞かれました。
総務省では、今後も高度ICT人材の育成に取り組んでいきます。