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高知市で「電波の安全性に関する説明会」を開催

 四国総合通信局は、だれもが安心して安全に電波を利用できる環境の実現に向けた取組の一環として、平成27年10月8日(木)、高知県及び高知市の後援を得て、高知市内において「電波の安全性に関する説明会」を開催しました。

 本説明会は、電波の安全性に関する周知・啓発に加え、電波が生体に与える影響、電波防護に関する指針、植え込み型医療機器に与える影響等を理解していただき利用ルールづくりの促進を目的に開催したもので、医療機関等をはじめ計56名の参加がありました。

会場の様子

 

 まず、四国総合通信局の成P 芳之(なるせ よしゆき)電波監理部長から、「電波の安全性に関する総務省の取組」と題して、電波の安全性に係る最新の制度や調査研究の状況などについて紹介しました。電波は、ワイヤレスと家電との融合、地域活性化、医療分野への応用など様々な分野で利用が拡大されており、現在、約1億8,000万局が運用されている。より安心して安全に電波を利用できる環境を確保するため、安全基準を明記する電波防護指針の策定や電波法に基づく規制を継続、総務省では疫学調査やラット等の動物実験を介して生体への影響を調査し、研究結果をWHOの国際電磁界プロジェクトに反映し国際的なリスク評価に貢献していることなどが紹介されました。また、携帯電話基地局等のアンテナから発射される電界の強さを例示し、体に影響を与えるレベルに対し10分の1以下となる値に規制されていること、本年8月には植込み型神経刺激装置、人工内耳等の装着型医療機器の調査結果を踏まえガイドラインの改定が行われたことが話されました。

【講演資料1】電波の安全性に関する総務省の取組(PDF 10MB)PDF

 続いて、名古屋工業大学大学院 工学研究科 情報工学専攻 平田 晃正(ひらた あきまさ)准教授より、「身の周りの電波とその安全性」と題して講演がありました。講演では、電磁界による影響はペースメーカー問題、刺激作用、熱作用などがあげられ、ペースメーカーの電磁障害による誤動作については製品によっても差があるが、装置やシステム性能の低下にどれだけ耐えられるかがキーである。不要電波は、機器に対しては千倍以上、人に対しては十万倍以上の耐性がとられていること。
 動物実験等による電波の影響範囲は、比吸収率SAR(Specific Absorption Rate)で表す4W/Kgが基準となっており、職業的管理環境下では0.4(10倍)、一般環境下では0.08(50倍)の値が国際的に安全標準として明確化されていること。
 携帯電話の場合、脳の近傍で使用することから温度上昇が注視されているところであるが、脳の中心部分では極僅かである結果が出ていること。
 指針におけるペースメーカーとの距離が新しく15cmとされたこと。認識とは異なり、電波による子供の体温上昇は小さいこと。また、リスクについては「無い」と言うのは極めて困難なことで有り、電磁界のリスクと他のリスクの相対的大きさを理解することが重要で、プラス面を最大限に、マイナス面を最小限にすることが科学技術の役割となることなど、研究者の立場から最新の情報が提供されました。

平田(ひらた)准教授 講演の様子

 

【講演資料2】身の周りの電波とその安全性(PDF 3.9MB)PDF

 説明会に参加した医師からは、諸外国のガイドラインから非熱効果の事例も紹介され、専門家の更なる研究を望み、行政に慎重な規制を作り上げて欲しいとの要望があげられるなど、電波の安全性に対する関心の高さが伺えました。

 四国総合通信局では、今後も電波の安全性に関する説明会等を通じて、「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」をはじめ、電波の安全性に関する最新の情報を提供して参ります。

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