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ICT利活用による徳島の活性化を考えるセミナーPART3を開催

 四国総合通信局は、四国情報通信懇談会及び国立大学法人徳島大学情報センターとの共催で、平成28年3月24日(木)に徳島市において「ICT利活用による徳島の活性化を考えるセミナーPART3-ICT利活用によるイノベーションを目指して-」を開催しました。

 四国総合通信局は、徳島大学等との共催により一昨年度から「ICT利活用による徳島の活性化を考えるセミナー」を開催しています。今回、同セミナーの第三弾として、オープンデータ及びビッグデータに関するセミナーを開催することにより、これまでの活用事例や今後の利活用方策を学ぶことで、地域ICTのイノベーションを加速させ、地域課題の解決や地域活性化を目指したものです。

会場の様子

 

 最初に、主催者を代表して、徳島大学情報センターICTサービス部門長である松浦 健二(まつうら けんじ)教授が、「徳島の最近のトピックスは、3月19日にコウノトリが卵を産んだのではないかというニュースである。ICTの分野でも、今回のセミナーをきっかけとして、利活用の場から実践あるいは研究という、新しい何らかの取組に関する前向きな卵が生まれてくるようだと、今回のセミナーを開催した甲斐がある。」と開会のあいさつをしました。

松浦(まつうら)教授の開会あいさつ

 

 セミナーは、国立情報学研究所 情報社会相関研究系 研究主幹の曽根原 登(そねはら のぼる)教授の基調講演「『情報社会』から『融合社会』へ-ソーシャル・ビッグデータ基盤とデータ駆動の意思決定支援システム-」から始まりました。

 曽根原(そねはら)教授は、以下について講演しました。
 「高度なICTによりあらゆる情報機器やセンサーがネットワークに接続され、情報がデジタル化されて流通し、いつでも誰もがどこからでもアクセスできるようになった。その結果、情報空間と実世界が連携あるいは統合した『「サイバー・フィジカル融合社会』が形成される。このため、ビッグデータの収集・分析を行い、科学的根拠に基づいて、情報システムやサービスを合成し、迅速かつタイムリーに人間・社会にフィードバックすることにより合理的な意思決定を支援するICT社会基盤『ビッグデータ駆動融合社会システム』を実現する必要がある。」とし、そのためには、大学と地方自治体や企業の協働による研究の実用化と、それを通したデータ駆動型情報システムの人材育成が必要であり、産学官データ連携による社会データ基盤の実現の必要性を提言しました。

曽根原(そねはら)教授の講演

 

 続いて、総務省情報流通行政局 地域通信振興課の片桐 広逸(かたぎり こういち)地域情報通信振興支援官が、「『まち、ひと、しごと創生』とICT利活用」と題して、総務省ICT利活用施策について説明しました。

 まず、地域課題の解決に資するICT利活用について、地方創生、少子高齢化、医師不足、協働教育の実現等、我が国が抱える様々な課題を解決するため、ICTの利活用を各府省連携して推進することが必要であるとし、和歌山県白浜町におけるテレワーク推進及び生活直結サービス構築・検証事業や福岡市の無料公衆無線LANの展開による成功事例等を紹介しました。
 その上で、地域におけるICTを利活用した地域課題解決のためには、これまで実施されてきた優良事例を横展開することが有効な手段であるとして、優良事例を普及啓発する施策として、平成27年度に創設された地域情報化大賞と表彰事例等について紹介しました。

片桐(かたぎり)地域情報通信振興支援官の講演

 

 10分間の休憩後、ICT利活用事例を紹介する三本の講演がありました。

 ICT利活用事例の一本目は、一般社団法人愛媛県法人会連合会の岩丸 裕建(いわまる ひろたけ)事務局長が、「えひめ結婚支援センターにおけるビッグデータの活用」について紹介しました。
 えひめ結婚支援センターは、出会いの場を提供するためICTを使った独自システムを平成23年度から運用しており、5年間で蓄積したビッグデータを活用し、お見合い行動履歴を活用したリコメンドによる「ビッグデータからのおすすめ」機能を構築しています。
 ビッグデータ活用の効果として、公的な結婚支援で初の試みであったことからマスコミ報道の効果で登録数や更新数が飛躍的にアップしたことや、自身の婚活を見直す機会を提供したことにより、条件に縛られた婚活から多様な価値観の気付きへ変化してきたこと等が報告されました。

岩丸(いわまる)事務局長の講演

 

 ICT利活用事例の二本目は、NPO法人地域情報化モデル研究会の米田 剛(まいた つよし)代表理事が、「観光分野における官民連携・地域連携によるオープンデータ活用促進に向けて」について紹介しました。
 まず、平成20年度総務省地域ICT利活用モデル構築事業である「青森県の観光クラウドモデル」について紹介し、地方公共団体の保有するご当地情報をオープンデータ化して観光情報の民間開放を図ったり、地域住民の生の声や旬な話題を民間の地域情報として活用することにより、観光クラウドを地域情報の相互利用エコシステムとして発展させている事例について紹介しました。
 また、これら青森県観光モデルの有効なエッセンスを活用して各地でのモデルの応用展開を支援するための推進体制として、「観光情報連携プラットフォーム機構」を平成28年4月に設立し、公共の観光情報に関する「民間開放」、「地域連携活用」、「民間活用による経済活動」の推進を図っていくことが紹介されました。

米田(まいた)代表理事の講演

 

 ICT利活用事例の三本目は、株式会社jig.jpの福野 泰介(ふくの たいすけ)代表取締役社長が、「次世代インフラ、オープンデータ活用でデザインする地域活性化プラン」について紹介しました。
 まず、オープンデータのビジネス化の鍵は5つ星オープンデータにあるとして、今後、いかに5つ星オープンデータのアプリケーション事例を増やしていくかが課題であると指摘しました。
 次に、福井県での取組事例として、「使いたくなるオープンデータの拡大」→「スマホアプリの開発と観光誘致への活用の活発化」→「利用者意見により必要なオープンデータの明確化」という流れの「福井オープンデータエコシステム」について紹介しました。
 さらに、最近の若者のプログラミング離れを指摘し、オープンデータを活用したプログラミング教育の取組事例についても紹介しました。

福野(ふくの)代表取締役社長の講演

 

 最後に、主催者を代表して、徳島大学情報センター長である上田 哲史(うえた てつし)教授が、「大学も地域に貢献しなくてはいけない。ICTの利活用による地域活性化についてはまだ手探り状態であったが、本日のセミナーで色々な方向性を勉強でき、大変有意義であった。大学としても、地域に貢献できる人材の育成について、更に取り組んでいきたい。」と閉会のあいさつをしました。

上田(うえた)情報センター長の閉会あいさつ

 

 本セミナーには、徳島県内外から63名が参加しました。四国総合通信局は、今後もセミナーの開催等を通じて、ICTを利活用した地域活性化について考える機会を作って参ります。

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