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松山市において「インフラ維持管理とICTの可能性」講演会を開催

 四国総合通信局は、四国情報通信懇談会との共催により、平成28年4月19日(火)に松山市において、「インフラ維持管理とICTの可能性」講演会を開催しました。

 現代社会を支え続けてきたインフラの高齢化が進み、その維持管理が全国的に大きな課題となっています。
 このため、本講演会は、今後のインフラの維持管理におけるICTの役割について、四国にゆかりの深い東京大学大学院情報学環の特任教授である石川 雄章(いしかわ ゆうしょう)氏を講師にお迎えし、「インフラ維持管理とICTの可能性」と題して、大手企業の先進的な研究や自治体が行う直営点検などの様々な事例をご紹介いただき、インフラ分野におけるICTが持つ幅広い可能性についてご講演いただきました。

会場の様子

 

 1つ目の講演テーマである「インフラの維持管理と老朽化の現状」については、まず、道路・河川・下水道の維持管理の現状が紹介された後、高度経済成長期に集中的に整備された社会資本の老朽化が今後急速に進み、20年後には建築後50年以上のインフラが急増することが指摘されました。
 そして、ICTを利活用したインフラ維持管理の可能性について、ICTによるインフラの高度化を図ることで、社会的課題の解決をビジネスにつなげていくことが提案されました。つまり、ICTの利活用でインフラ管理の効率化と長寿命化を実現することにより、コストや環境負荷を低減させることと、点検・補修技術等の蓄積・高度化により安心・安全を確保することを両立させた上で、インフラ管理支援という新しいICT市場を創出することが可能であり、アジア等の途上国におけるインフラ整備が本格化していくことで国際貢献にも寄与することが可能である、と解説されました。
 さらに、ICTによるインフラ高度化の実現プロセスについて、「ICTを駆使した膨大な情報・知識・経験を活用し、人と機械、専門家と一般の役割分担を見直すことで、ハード産業からソフト産業への経営方針の転換を図る」第1のプロセスから、「業務・情報・交通・エネルギー等の統合的なマネジメントを実施し、位置・施設・環境等のインフラから得た情報を幅広い用途に活用することにより、新しいビジネスを創出する」第2のプロセスへ、さらには「社会インフラと情報通信基盤との構造・機能の一体化を図り、業務とシステム、現実と仮想、技術と制度の全体アーキテクチャを再定義することにより、施設のインテリジェント化を実現する」第3のプロセスへと進むことが示されました。
 2つ目の講演テーマである「インフラの維持管理に関する政策動向−技術開発−」については、総合科学技術・イノベーション会議が、科学技術イノベーションを実現するために創設した「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」が紹介されました。
 SIPは、社会的に不可欠であり日本の経済・産業競争力にとって重要な課題を選定するものであり、「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」も対象課題となっており、「点検・モニタリング・診断技術」や「情報・通信技術」等5つの研究開発項目で29機関が採択されていることが解説されました。

石川(いしかわ)特任教授の講演

 

 3つ目の講演テーマである「産学官連携による実践的な研究開発」については、次の5つの研究開発事例が紹介されました。
 「1.日常的な道路維持管理業務の高度化」としては、外部データと苦情等の関係を分析して機械学習を試行しているオープンデータ等の活用による予防保全事例等が、「2.現場の技術レベルに応じたICTの活用」としては、自治体の予算や職員数の不足を補うための画像検索を活用した診断業務の支援事例等が、「3.現場の制約条件を踏まえた新しい技術と運用」としては、空港管理車両を活用した簡易舗装点検システムの開発事例等が、「4.ドローン等を使った新たな河川管理の可能性」としては、河川パトロール車両やドローンの取得画像から変状箇所を把握する事例等が、「5.多種多様なデータの処理・蓄積・解析・応用技術」としては、インフラの多種多様なセンシングデータを解析する技術開発事例等が、それぞれ解説されました。

 石川(いしかわ)講師は、最後のまとめとして、「国は制度、予算、技術開発等の施策を展開し、技術開発を通じてイノベーションを加速させたいと考えている。技術開発は現場の課題とニーズに対応しなければならない。また、人とICTの最適な協働方法を探ることで、人の業務を支援する分野に大きく貢献することが重要であり、そのためには分野横断的な産学官連携の知恵を結集する必要がある。そして、多くの課題を持った地方にこそ、大きな可能性がある。」と提言されました。

 本講演会は、四国情報通信懇談会の第31回総会記念講演会としても開催され、四国内外から125名が参加しました。
 四国総合通信局は、今後も講演会の開催等を通じて、ICTに関する最新情報を提供する機会を作って参ります。

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