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松山市で「ICTを実装、IoT・AIで創生、輝く四国」講演会を開催

 四国総合通信局は、四国情報通信懇談会との共催により、平成29年4月26日(水)に松山市において、「ICTを実装、IoT・AIで創生、輝く四国」講演会を開催しました。

 ICTは我が国の経済全体の成長や地域の活性化のための原動力として、重要な役割を担っている分野です。
 今回の講演会は、四国においてこれまで遠隔医療とメディア業界でICT導入期から活躍されてきた、香川大学瀬戸内圏研究センター 特任教授・日本遠隔医療学会 会長の原 量宏(はら かずひろ)氏と、株式会社愛媛CATV 取締役会長・株式会社四国中央テレビ 代表取締役社長の神山 充雅 (こうやま みつまさ)氏のお二人を講師にお迎えし、今後の展望について御講演いただきました。

 なお、原(はら)講師は、医療分野におけるICT利活用の推進とG7香川・高松情報通信大臣会合の開催に多大な貢献をされた功績により、平成29年4月20日(木)に赤坂御苑において開催された、天皇皇后両陛下お催しの園遊会に招待されました。(「お知らせ(平成29年4月6日付け)」を御参照ください。)
 また、神山(こうやま)講師も、ケーブルテレビ事業等を通じた情報通信の発展と地域の情報化に多大な貢献をされた功績により、平成29年4月15日(土)に新宿御苑において開催された、総理主催の「桜を見る会」に招待されました。(「お知らせ(平成29年3月16日付け)」を御参照ください。)

 最初の講演は、原(はら)講師が「香川県で開発された周産期管理システム、モバイルCTGのグローバル展開への道」と題して講演されました。

原(はら)講師の御講演の様子

 

 まず、香川県の周産期死亡率が最下位から2年続けて全国一位を実現するまでの道のりについて紹介され、胎児モニタリングシステムを妊娠中から継続的に利用することや、リスクの高い妊婦を前もって中核病院に母体搬送することに力を入れたことにより、周産期死亡率を大幅に下げることが可能となったことが解説されました。

 次に、日本と比較して発展途上国の周産期死亡率や母体死亡率が圧倒的に高いことを統計的に示しつつ、先進国による発展途上国への周産期医療分野への支援が大変重要であり、最近、発展途上国のインターネット環境、特にモバイル環境の整備が急速に進んだことから、発展途上国への周産期電子カルテとモバイルCTGの導入が可能となったことにより、総務省の海外向け支援とJICAの資金によるアセアン諸国から南アフリカへの展開につながっていることが報告され、

○総務省「タイ国王84歳記念インドシナ地域遠隔医療のパイロットシステム事業」
○総務省「ユビキタス・アライアンス・プロジェクト(ユビアラプロジェクト)によるラオス周産期医療支援事業」
○JICA草の根技術協力プロジェクト(地域経済活性化特別枠)「タイにおける妊産婦管理及び糖尿病のためのICT遠隔医療支援プロジェクト」
○JICA中小企業海外展開支援事業−案件化調査「南アフリカ共和国、妊産婦ケアにおける遠隔医療システム導入案件化調査」
等のプロジェクト実績が紹介されました。

 さらに、総務省「ICTイノベーション創出チャレンジプログラム(I-Challenge!)」に採択された超小型モバイルCTG(プチCTG)の開発についても紹介されました。従来の分娩監視装置は超音波振動子、陣痛計と本体の間がコードで接続されていましたが、プチCTGでは、心拍数計測の電子回路そのものが超音波振動子の中に組み込まれており、胎児心拍数情報はブルートゥースでタブレットに送られ、さらにモバイル通信によりインターネットに接続されるため、各方面から大変期待されていると解説されました。

 最後に、将来的には、全世界の胎児(Fetus)を対象とした周産期のためのネットワークである「胎児のインターネット(IoF、Internet of Fetuses)」により、日本から世界に拡がる「ビッグデータとAIによる胎児心拍数の自動診断」を実現したい、と抱負を述べられました。

 続いての講演は、神山(こうやま)講師が「大荒れ!メディアの世界とケーブルテレビ」と題し、今後のメディアの展望についてケーブルテレビの立場から講演されました。

神山(こうやま)講師の御講演の様子

 

 まず、愛媛CATVと四国中央テレビの特徴について、

(1)多くの自治体や地域企業が出資しており、公共性が高く地域ぐるみの会社であること
(2)地元放送局や新聞社も多数出資しており、大手メディアとの共同体であること
(3)地域の情報通信基盤としての性格を有していること
であると紹介されました。

 次に、デジタルの時代においては、ケーブルテレビ事業だけで他メディアに対抗することは困難であり、これからは無線との組み合わせが重要であるとし、愛媛CATVが全国に先駆けてスタートした格安スマホ事業や、積極的に展開しているWi-Fiや地域BWA事業について紹介され、ケーブルテレビ事業者だがケーブルテレビにこだわらない姿勢が示されました。
 また、地元の新聞や放送局との連携についても、大分朝日放送との国内初の4K連携事業やエフエム愛媛との映像付きラジオ番組放送事業等の最新の取組が紹介されました。
 そして、ケーブルテレビにとっては、

(1) 街中全体がスタジオであること
(2) メディアの主役は市民であること
(3) 地域に密着して泥をかぶること
が活動の基本である、という経営理念についても話され、デジタルの時代であるからこそ地元の情報のお世話が大事である、と強調されました。

 今後の新聞業界とテレビ業界についても解説され、新聞は購読率が低下しており、新聞にとって激動の時代であるけれども、リベラルな新聞の姿勢が今こそ大切であると指摘されました。また、テレビについても、映像の強さはどんなにメディアの情勢が変化しても揺るがないとし、この強みを活かせば時代の変化にも十分対応できると指摘されました。

 最後に、情報通信産業は日本の最大の産業に成長しており、四国の活性化や発展を考えれば、四国においてもICTの進展を活かして情報通信産業をしっかりと育てていかなくてはいけないと結びました。そして、ICTを活かして地域に貢献していく姿勢についても重ねて強調されました。

 本講演会は、四国情報通信懇談会の第32回総会記念講演会としても開催され、四国内外から約140名が参加しました。
 四国総合通信局は、今後も講演会の開催等を通じて、ICTに関する最新情報を提供する機会を作って参ります。

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