総務省 東北総合通信局
Tohoku Bureau of Telecommunications 【実施要領】

平成20年8月8日

平成20年度「地域ICT利活用モデル構築事業/遠隔医療モデルプロジェクト」
実施要領

1. 目的
   我が国の医療は、医師不足をはじめとする負のスパイラルに陥っており、特に地域医療の疲弊は条件不利地域において深刻であり、地域医療の充実が求められている。今後、限られた医療資源を有効に活用し、国民にあまねく良質な医療を提供してくために、医療においてもICTを活用し、遠隔医療の推進と効果的な利活用を図っていくことが望まれている。
 「地方再生戦略」(平成19年11月 地方活性化統合本部会合決定)において、農山漁村や基礎的条件の厳しい集落で、生活者としての暮らしに必要な医療・福祉のサービスが受けられるよう、地域医療の確保を図るために、遠隔医療を推進することが示され、これを受け、総務省及び厚生労働省では、地域医療の充実に資する遠隔医療技術の活用方法と、その推進方策について、総務大臣及び厚生労働大臣の共同懇談会を立ち上げて検討することとし、主に、(1)地域医療が抱える課題と地域のニーズ、(2)課題解決に資する遠隔医療モデルの内容、(3)遠隔医療モデルの推進に向けた課題、(4)20年度実証プロジェクトの実施内容等を検討しているところである。
 さらに、「経済財政改革の基本方針2008」(平成20年6月27日閣議決定)において、「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」における検討を踏まえ、遠隔医療技術の活用を推進することとされているところである。
 これらを踏まえ、地域の具体的提案に基づき設定された、医療分野における遠隔医療の活用を通じた地域課題の解決に向けた取組のうち、遠隔医療を持続可能で汎用的な社会システムとして定着させ、必要性がある場合にはどこでも適切な遠隔医療を導入できるという社会的な選択肢の提供に資するものについて、国の委託事業として実施する。これにより、その成果の活用や成果を踏まえた遠隔医療の普及促進等を図ることを本事業の目的とする。
2. 委託事業の概要
  (1) 委託先
     市町村、特別区、都道府県及びこれらの連携主体(広域連合、一部事務組合を含む。以下「市町村等」という。)
  (2) 事業概要
     「地域ICT利活用モデル構築事業/遠隔医療モデルプロジェクト」(以下「委託事業」という。)は、総務省が市町村等に対し、「遠隔医療モデル」(遠隔医療の実施に係る情報通信システム(以下「遠隔医療システム」という。)の企画・設計・開発、継続的運用及びこれらに必要な体制づくり等ICTを利活用した医療分野における課題解決のための一連の取組)の構築等を委託するものである。
 委託先の候補となる市町村等(以下「委託先候補」という。)は、総務省において、本要領に基づき提出された提案書を審査の上、選定することとなる。採択された提案については、総務省と市町村等の間で委託契約を締結する。
 総務省と委託契約を締結した市町村等(以下「委託先」という。)は、提案書に記載した計画に基づき事業を実施し、その成果物として、(1)成果報告書、(2)情報通信システム設計書、(3)成果検証データ等を総務省に提出する。総務省はその成果物を総務大臣・厚生労働両大臣の共同懇談会「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」(座長:金子郁容慶應大学大学院教授)(以下「懇談会」という。)に提示し、遠隔医療の推進に向けた具体的取組の検討の一助とするとともに、広く他の団体に周知・提供等することにより、「遠隔医療モデル」の全国展開を促進する。
  (3) 委託金額
     1事業につき1,000万円以上6,000万円以下とする。
3. 提案手続
  (1) 応募資格
    以下の要件を満たす市町村等
   
  [1] 遠隔医療に関する一定の知見・実績を有していること。
  [2] 地域の多様な主体との連携・協力を確保するため、後述する実施体制を構築すること。
  [3] 事業内容の公開、懇談会への提示及び他団体への周知・提供に積極的な貢献が可能であること。
  [4] 複数の市区町村が連携して実施する場合、各市区町村の役割と責任が明確に示されていること。また、代表団体が定められていること。
  (2) 提案書様式
    別添様式1〜7に従い作成し、提出するものとする。
     提案書ダウンロードはこちら[ Word形式:169KB ]
  (3) その他の補足資料
     提案を補足する資料があれば、A4(様式自由)で添付することができる。
  (4) 提出期間
     委託を希望する市町村等は、公募開始の日から、平成20年8月29日(金)までに提案書を提出すること。
  (5) 提出部数等
     提案書類(提案書及び補足資料)は次の部数を提出すること。
   正本  1部
   副本 10部
 提出に当たっては、CD−R(1枚)等の電子媒体も併せて提出すること。
  (6) 提出先・問合せ先
     所管する総合通信局等(別紙1参照)に持参又は郵送等(〆切日の17時必着)により提出すること。なお、提案書の返却は行わない。
4. 委託先候補の選定及び採択
  (1) 実施地域
     実施地域に制限は設けない。ただし、選定に当たっては、個々の提案の優劣に加え、実施地域の人口規模、医師・医療従事者数、医療機関数、地理的条件等を総合的に勘案する。
  (2) 実施テーマ
     「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」(総務大臣・厚生労働大臣共同懇談会)の中間とりまとめ(平成20年7月31日)の内容を踏まえ、持続可能で汎用的な社会システムとしての遠隔医療の推進に資するものとし、実施に際しては、必要性と有効性の実証と検証を重視する。
 また、下記の遠隔医療の類型(※)のいずれか、ないし、複数の類型を有機的に結合したものとする。
    ※遠隔医療の類型
   
  D to D (医師/医療機関の間の遠隔医療)
  D to N (医師/医療機関と看護師、保健士、助産師、その他コメディカルの間の遠隔医療)
  D to P (医師/医療機関と患者の間の遠隔医療)
  P to P (患者や市民の間での通信ネットワーク等を使った治療や相談)
  (3) 選定方法
     外部の有識者等を構成員とした評価会を開催し、その結果を参考にして採択を決定する。
 なお、評価に際しては、提案者ヒアリング等を実施する場合がある。
  (4) 選定基準
     選定に当たっては、次に挙げる「評価要素」を基準として、総合的に評価を行う。
   
<評価要素>
  [1] モデル性
      (遠隔医療による問題解決及びその効果検証)
        遠隔医療により地域の医療分野における問題解決を図るものであるとともに、地域医療、地域社会における遠隔医療の有効性や効果を実証するものであること
      (先進性・汎用性)
        全国展開にふさわしい先進性・汎用性を備えていること(ただし、先進性については、最先端技術の実験・開発ではなくて、既存技術を利活用することによる社会的効果を生むという趣旨である)
遠隔医療システムの構成等において一定の汎用性が確保されており、類似課題を有する地域においても簡便に適用・利活用できるものであること
  [2] 計画の熟度
      (実施体制)
        地域の医師/医療機関、患者など多様な地域主体の参画が見込めること
遠隔医療に関する一定の知見、実績を有し、遠隔医療モデルの実施に係る資金面、要員面での計画が明示されていて、その適切な遂行や継続的運営が見込めること
      (指標)
        遠隔医療の有効性及び効果を実証にするに当たって、それらを測定する定量的な指標(基準)が明示されていること
例)患者・医師・住民等の満足度向上、出生率の向上 等
      (成果見込み)
        遠隔医療に関する一定の知見、実績を有し、上記指標に基づいた有益な検証結果が示される見込みが高いこと
遠隔医療の普及に向けた課題や対策について、有益なノウハウ等の提供が見込めること
  [3] 費用対効果
      既存の施設を有効に活用し、できる限り、費用対効果の高い計画が設定されていること
  (5) 追加資料の提出等
     委託先候補の選定は、提出された提案書に基づいて行うが、必要に応じて追加資料の提出等を要請する。
  (6) 提案内容の確認・採択・修正
     総務省は、委託先候補を選定した後、当該市町村等に提案内容の遂行に支障がないかどうかを確認した上で、最終的な採択の決定を行う。採否の結果は、総務省から総合通信局等を経由して、提案書を提出した市町村等あてに通知する。
 採択された提案内容については、必要に応じて契約時までに総務省と委託先候補との間で調整の上、修正等を行うことがある。
5. 委託契約
  (1) 委託契約の締結
     採択された事業について、総務省と委託先候補との間で、契約条件の協議を行った上で委託契約を締結する。
 なお、契約上の委託経費の額は、必ずしも提案書に記載した希望金額と一致するものではない。また、総務省と委託先候補との間で契約条件が合致しない場合には、委託契約の締結ができない場合もある。
  (2) 委託期間
     委託期間は、委託を受けた日から総務省が別に定める日とし、契約は単年度契約とする。
  (3) 契約の形態
     総務省の支出負担行為担当官と市町村等の首長が委託契約を締結する。委託先が連携主体の場合には、代表市町村等の首長が契約主体となる。
  (4) 契約書について
     契約は総務省の委託契約書による。
6. 委託費
  (1) 委託費の扱い
     委託費は、委託契約に係る契約書及び提案書に定められた使途以外への使用は認めない。また、委託費は、原則として、事業終了後速やかに成果報告書の提出を受け、委託金額を確定した後、精算払いにより支払う(特別な事情がある場合には、財務大臣協議等の所定の手続、承認を得た上で、年度途中で概算払いが認められることもある。)。
  (2) 委託費の内容
     委託先は、事業に必要な経費として、別紙2の費目について支出することができる。ネットワークインフラ等の基盤整備に該当する経費については、原則として支出できないものとする。ただし、情報通信システムを稼働するために必要最低限の機器類については支出を認める。この場合、機器類については、原則リース又はレンタルによるものとする。
なお、本事業で調達した機器類等については、事業終了後、委託先においてリース契約を継続する等モデルの継続的な運営に必要な措置を講ずること。
また、情報通信システム開発等、その内容が第三者に委託し、又は請け負わせることが合理的であると認められる業務については、事業の一部を外部機関に委託し、又は請け負わせることができる。ただし、事業の全部を第三者に委託し、又は請け負わせることはできないこととする。
事業の一部を外部機関に委託し、又は請け負わせる場合は、当該事業者名等について事前に総務省に通知し承認を受けることとし、また、当該事業者等の選定に用いた仕様書を併せて総務省に提出することとする。
7. 事業の実施
  (1) 実施体制
     上記1の目的を達成するためには、本事業の実施に際し、地域の多様な主体との連携・協力体制を構築することが必要となる。このため、委託先においては、以下の体制を整備することとし、総務省に対する中間報告及び成果報告において、これらの体制を整備し、これを円滑に運営したことが明らかになるような資料(例えば協議会の議事録等)を提出しなければならない。
   
  [1] プロジェクト・リーダーの決定
     委託先は、事業の実施に際し、事業の全体を統括するプロジェクト・リーダーを決定し、総務省に報告することとする。プロジェクト・リーダーは、事業の進捗管理等全体を統括し、総務省の求めに応じて随時説明を行うとともに、総務省、懇談会及び総務省を通じてなされる他の地方公共団体等の求めに応じて、モデル構築の成果の全国展開に必要な措置に協力する。
 なお、上記の役割を適正に担える者であれば、市区町村の職員や当該地域の住民である必要はなく、また、必ずしも組織の責任者であることを要しない。
  [2] 協議会等の開催
     委託事業の内容に地域住民等の意向を反映し、また、構築したモデルの継続的な運営方策を検討するため、協議会等を設置して事業を実施することを原則とする。協議会等は地方公共団体を中心として、事業の実施等に必要な主体、たとえば地域医療を担っている医師会などを幅広く含むことを要する。
 協議会等は、遠隔医療システムの仕様の決定のほか、構築した遠隔医療モデルを継続的に運用するための体制、費用負担の在り方、モデル運営による課題解決のための具体的な行動計画、役割分担等について検討する。
 なお、既存の組織を活用することも可能であり、また、事業の円滑な開始に支障がないよう、速やかな設置、協議開始等が行われることが必要であるが、提案書の作成時点においては、設置予定とすることも可能である。
  (2) 委託事業終了後の残存資産の扱い
     事業終了後、残存資産が存在する場合には、総務省と委託先が別途協議してその扱いを決定することとする。
8. 報告
  (1) 中間報告
     委託先は、委託年度の12月末日までを目途に、別に定める様式に基づき、総務省に進捗状況等を中間報告しなければならない。次年度への継続については、中間報告の評価結果に基づき行う。
  (2) 成果報告
     委託先は、委託を受けた期間の属する年度の3月末日までを目途に、別に定める様式に基づき、以下の成果物を総務省に提出しなければならない。提出した成果物に係る知的財産権等の権利は全て総務省に帰属するものとする。
   
  [1] 成果報告書
    事業内容、遠隔医療の有効性及び効果の実証に係る定量的データ、遠隔医療の普及に向けた課題と対策、遠隔医療システムの機能及び改修の必要性、収支報告、運営体制の整備状況等を含むもの
  [2] 情報通信システム設計書
    遠隔医療システムの基本設計書及び詳細設計書
  [3] 成果検証データ
    遠隔医療システム運用データ等
  (3) 事後報告
     委託先においては、本事業の目的を達成するため、成果報告を行った後も、当面の間「遠隔医療モデル」の継続的な運用に取り組むこととし、適宜、総務省の求めに応じて、遠隔医療の普及に向けた定量的データや課題等について、別に定める様式により総務省に報告するものとする。
9. 事業の継続
   本事業については、中間報告の評価結果を受けて、委託を継続することが本事業の目的達成に必要と認められる場合には、平成21年度に継続して事業を委託することがあり得る。
10. スケジュール
   本事業の実施スケジュールは、概ね以下のとおりと想定している。ただし、諸事情により変更することがある。
   
平成20年9月上旬 外部有識者による評価会を開催し、その結果を参考にして委託先候補となる市町村等を選定
9月中旬 採択決定通知の送付
9月下旬 契約条件の協議を行い、委託契約を締結
本年内 中間報告
本年度内 成果報告
11. その他
     本事業の実施については、本実施要領に定めるところによるほか、新たに取り決めを行うべき事項が生じた場合には、総務省が速やかにこれを定め、必要に応じて総務省ホームページ( http://www.soumu.go.jp/ )で公開するものとする。
12. 実施要領に関する問い合わせ先
    総務省 情報流通行政局 地域通信振興課 企画係
〒100-8926 東京都千代田区霞ヶ関2−1−2
中央合同庁舎第2号館
電話:03-5253-5756
ファックス:03-5253-5759



平成20年度「地域ICT利活用モデル構築事業/遠隔医療モデルプロジェクト」実施要領

 
【別紙1】 問い合わせ・提出先
【別紙2】 委託対象経費の範囲



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