平成27年3月6日
東北情報通信懇談会は、2月27日(金)、株式会社秋田放送が秋田市内に整備した災害対策用FM補完中継局(以下、「中継局」)の見学会を開催しました。
見学会には20名の参加があり、はじめに同社の会議室において、取締役技術総括局長の斉藤氏から同中継局の概要説明を受けました。
斉藤局長から概要説明を受ける見学者
今回同社が中継局の整備を行った背景は、現在中波(AM)ラジオ放送局を設置している秋田市茨島(ばらじま)周辺が、県や秋田市が作成したハザードマップで「大津波や集中豪雨の際に浸水が発生したり、大地震の際に液状化が発生したりする恐れがある」とされたため、災害時に欠かせない中波ラジオ放送局の機能を維持することを目的とした、国の平成25年度補正予算による「放送ネットワークの強靱化事業」を活用して、浸水や液状化の心配がなく、同社の地上デジタルテレビジョン放送局が安定的に運用されている秋田市浜田の大森山へ新たに中継局の整備を図ったとのことです。
この中継局整備により、多くの住民が生活する雄物川下流の秋田市沿岸部は、大津波や集中豪雨による浸水被害が発生してもラジオ放送による安心安全のための情報伝達が確保されたとのことで、今後は「ABSFM 90.1(キューマルイチ)MHz」の聴取をリスナーに浸透させていきたいとの抱負が語られました。
続いて大森山に移動して、同中継局の施設を見学しました。
中継局施設は地上デジタルテレビジョン放送施設と同一の堅牢な局舎に納められており、使用するアンテナも秋田市内を一望できる地上デジタルテレビジョン放送用の鉄塔に備え付けられていました。その施設形態は中波ラジオ放送局に比べて非常にコンパクトであり、平時の保守点検や災害発生時の緊急対応においても、地上デジタルテレビジョン放送施設と併せてメンテナンスすることが可能な効率的なものでした。
見学会の参加者からは、「中波ラジオ放送局が被害を受けても、この中継局のFM電波によって県内各地へラジオ放送を伝えることができるのは有効」「この整備により秋田県内のラジオネットワーク全体が強靱されたと思う。東北初となるこの中継局の役割が良く理解できた」との感想が述べられ、寒風吹きすさぶ中での見学会は無事終了となりました。
中継局施設が入る大森山の局舎
送信機の説明に熱心に聞き入る見学者
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