「電波利用推進セミナー2015」を開催

平成27年12月9日

 東北総合通信局(局長:岡野 直樹)は、12月2日(水)、宮城県仙台市において、電波利用推進東北フォーラム等との共催により、多くの皆様の参加をいただき「電波利用推進セミナー2015」を開催しました。

 冒頭、主催者を代表して岡野局長が、「電波政策の新たな戦略や最新の電波利用事例などをご紹介させていただき、本セミナーのサブタイトルにある『電波利用で実現する元気で安心な社会』の実現を目ざし、ご参加の皆様方の今後の活動に有意義なものとなれば幸いです」とあいさつを述べました。

東北総合通信局岡野局長

 続いて、総務省総合通信基盤局電波部電波政策課の田原康生課長より、「電波政策の最新動向」と題して講演が行われました。

総合通信基盤局電波政策課田原課長

 当面する電波政策の主な課題として、無線LANを含めた移動通信用周波数の確保、第5世代移動通信システム(5G)の早期実現、2020年オリンピック・パラリンピックにおける電波利用ニーズへの的確な対応、電波利用料制度の見直しなどを掲げ、特に、高速化・大容量化する移動通信ネットワークの進展に合わせて、世界的に研究開発・標準化が進む5Gシステムを、世界に先駆けて2020年までに実現することを目標としていることが紹介されました。また、ITS(高度道路交通システム)やドローン等における電波利用の高度化、電気自動車へのワイヤレス電力伝送の実用化など、電波利用の進展により社会生活の安全安心確保と利便性向上が飛躍的に進歩していることが説明されました。

 次に、東北大学東北アジア研究センターの佐藤源之教授より、「電波科学による防災・減災の技術」と題して講演が行われました。

東北大学東北アジア研究センター佐藤教授

 まず、衛星を用いた地表面の観測は測定間隔が長いことから地上に設置したレーダを用いた技術(変位を連続して面的に測定する技術)に着目したこと、その技術を用いて岩手・宮城内陸地震で崩壊した栗原市荒砥沢地区の斜面を合成開口レーダにより長期観測を行い斜面の変動分布が把握できることが紹介されました。また、東日本大震災の津波被害地域の捜索にアレイ型地中レーダ「やくも」を用いて遺留品探索を行ったところ、地中1mまでに埋没した多くの遺留品が検知できたことが紹介されました。そして、これら電磁波を用いた技術は、建造物の非破壊検査、空港舗装体、インフラモニタリングにも有用であることが説明されました。

 最後に、トヨタ自動車株式会社ITS企画部ITS開発室の末木隆室長より、「電波を活用したITSの取り組みと今後の展望」と題して講演が行われました。

トヨタ自動車(株)ITS開発室末木室長

 車には、情報通信系としてGPS、ETC、VICS等、車両制御系としてスマートエントリ、イモビライザ、衝突防止レーダ 等、既に多くの無線通信技術が導入されており、特にETCサービスは料金所周辺の渋滞解消とCO2削減に大きく寄与したことが紹介されました。そして、今後は下げ止まっている交通事故の減少や環境問題への取り組みに、ITSの充実が重要であることが説明されました。また、トヨタにおける自動運転の取り組みとして、車自身が有する自律型システム (車両運動制御、物体認識、事故回避支援等) と通信系を活用した協調型システム(前方障害物予測、合流支援、ルートガイダンス等)の融合により、運転の知能化を図り、「すべての人が、安全、スムース、自由に移動できる社会」を目指していることが述べられました。

 東北総合通信局では、電波利用推進東北フォーラム等と連携し、引き続き、電波政策の新たな戦略や最新の電波利用事例などをお知らせしていくこととしています。

 
 

連絡先

 

 東北総合通信局
  無線通信部 企画調整課
  TEL 022-221-0657

 
 

ページトップへ戻る