平成26年度非常通信セミナー」を開催

平成26年12月15日

 東北総合通信局(局長:竹内 芳明)は、12月5日(金)、仙台市において、東北地方非常通信協議会等との共催により「平成26年度非常通信セミナー」を開催しました。

 冒頭の竹内局長の主催者あいさつでは、「災害情報共有システム(Lアラート)」(注1)に触れ、ご参加の災害対策関係機関皆様の情報が正確に政府機関へ伝わることが地域住民への的確な情報の配信につながることや、本セミナーを通じて課題やテーマを地域に応じて取り入れ、さらに防災減災に取り組んでいただきたいことが述べられました。

 続いて、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)耐災害ICT研究センターの若菜弘充企画室長より「耐災害ICT研究による災害に強い街づくりに向けて」と題した講演が行われ、同センターの役割が説明されました。研究成果の一つである「対災害SNS情報分析システム(DISAANA)」(注2)を用いた実演では、被災地から投稿された膨大なSNS情報から被災状況や不足物資などに関する情報を的確に検索し、表示された検索候補とそれに矛盾する結果も表示することで信憑性の確認が可能で、さらに投稿の内容から位置を表示できる事などが紹介され、被災地へ向かう救急救援隊などによる活用が期待されるものでした。

 また、同センターの浜口清ワイヤレスメッシュネットワーク研究室長からは、メッシュネットワークは、平常時、メッシュ状に配置したセンサ情報を活用することで安心・安全のため利用し、非常時はバイパスが可能な障害に強い通信網として活用されることが期待される点や、宮城県女川町における実証実験でその有用性が確認されていることなど5つの研究成果の活用事例について説明され、まとめの中で、災害対策のICT技術開発は進んでいるが適用分野の見極めが必要なことなどが話されました。

 最後に、東日本電信電話株式会社の高橋正行ネットワーク事業推進本部サービス運営部長・高度化推進部長より「NTT東日本における災害等への取組み」と題した講演が行われ、東日本大震災時の大規模な復旧作業において得られた教訓から、現在は早期のケーブル張替えのために無人ヘリが導入されていることや、今後想定される首都直下型地震などに対応できる燃料の備蓄基地整備を計画していることが述べられました。また、自治体や防衛省などと災害時における相互協力に関する協定を締結し、迅速な通信回線復旧のため資材・人員の搬送など相互に連携する体制を整えていることが紹介されました。

 本セミナーでは、東日本大震災の経験を元に、耐災害性の向上や早期復旧のための様々なアプローチが紹介され、会場内では「対災害SNS情報分析システム」の体験コーナーや「ワイヤレスメッシュネットワーク」実証実験の動画やパネルの展示が行われ参加者が聞き入るなど、非常通信分野における情報共有の機会となりました。

NICT耐災害ICT研究センター若菜室長

NICT耐災害ICT研究センター若菜室長

NICT耐災害ICT研究センター浜田室長

NICT耐災害ICT研究センター浜田室長

NTT東日本高橋部長

NTT東日本高橋部長

会場内展示の様子

会場内展示の様子

(注1)
  • 安心・安全に関わる公的情報など、住民が必要とする情報が迅速かつ正確に住民に伝えられることを目的とした情報基盤です。
  • 地方自治体、ライフライン関連事業者など公的な情報を発信する「情報発信者」と、放送事業者、新聞社、通信事業者などその情報を住民に伝える「情報伝達者」とが、この情報基盤を共通に利用することによって、効率的な情報伝達が実現できます。
  • 全国の情報発信者が発信した情報を、地域を越えて全国の情報伝達者に一斉に配信できるので、住民はテレビ、ラジオ、携帯電話、ポータルサイト等の様々なメディアを通じて情報を入手することが可能になります。
  • 平成26年11月末現在、22都道府県で運用中です。
  • https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/02ryutsu06_03000032.html別ウィンドウで開きます
(注2)

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