重点施策は、(1)本年7月24日に地上アナログテレビ放送を終了し、地上デジタルテレビ放送への円滑な完全移行を実現することと、(2)本格的ワイヤレスブロードバンド時代の幕開け、スマートフォンの急速な普及、クラウドサービスの展開等が進展する中、国民本位のICT利活用への取組の強化と課題解決力の発揮による地域経済・社会の活性化を図ること、(3)安全・安心なICT環境の整備を推進することの3つの施策目標と8つの基本施策、その施策実現のための具体的施策から構成され、東海地域の新たな発展と国際展開をめざすものです。
今年度は、3月11日に発生した東日本大震災により、東北地方を中心に広い範囲で甚大な被害が発生する中、被災地の復興をはじめとして、今回の危機の克服、そして、新たな活力の創造に向けた取組が各地域で続くものと予測されます。
この様な状況の中、東海総合通信局ではこの重点施策に基づき、地方自治体と市民・NPO、通信・放送事業者、研究機関、地元産業界など地域のあらゆる方々と一層連携を深め、ICTによる活力と魅力あふれる、そしてより安全・安心な東海地域をめざして、また、そうした取組等を通じて、被災地の復興と日本の新たな発展に資するべく、これらの具体的施策の展開に全力で取り組んでいくこととしています。
注記
地デジで元気!ICTで活力!!東海の新たな発展をめざして
平成23年度は、新興国のインフレと金利上昇懸念、欧州債務問題、原油価格の高騰、円高等、世界経済を取りまく不安定要因は多いものの、持続的発展の実現に期待が寄せられているところです。
また、3月11日に発生した東日本大震災により、東北地方を中心に広い範囲で甚大な被害が発生する中、被災地の復興をはじめとして、今回の危機の克服、新たな発展に向けた取組、更にはより安全・安心に暮らせる基盤づくりが改めて求められているところです。
このような状況の中、地上デジタル放送への完全移行、本格的ワイヤレスブロードバンド時代の幕開け、スマートフォンの登場やクラウドサービスの展開等進展するさまざまなICT(情報通信技術)は、持続的な経済成長の実現や活力あふれる地域づくり、そして防災面を含め安全・安心な暮らしの実現に重要な役割を果たすものとして大きな期待が寄せられています。
東海総合通信局では、東海地域の情報通信の普及・発展を図り、地上デジタル放送の推進とICTの利活用により、東海地域の新たな発展の実現と地域社会の活性化、そしてより安全・安心な暮らしの実現をめざして、また、そうした取組等を通じて被災地の復興と日本の新たな発展に資するべく、平成23年度は次の3つの項目を柱とする重点施策を全力で展開します。
平成23年度は、本年7月にアナログ放送を終了し、デジタル放送への完全移行を確実に実現するためのあらゆるハードルを越えなければならない重要な仕上げの年です。
地上デジタル放送への円滑な完全移行の実現に向け、克服すべき各種課題について、その状況に応じたよりきめ細やかな取組を丹念かつ効果的に、そしてできる限り前倒しで実施するという基本方針の下、時機に応じて必要な周知をよりきめ細やかにわかりやすく徹底すると共に、集合住宅共聴施設など受信側の対策や地域ごとに必要とされる対策(地デジ難視対策・デジタル混信対策等)などを関係する者が一丸となって推進するため、4つの基本施策によって全力を挙げて取り組みます。
具体的施策
1.放送をはじめとした様々な広報手段を通じた周知等の実施
円滑な完全移行の実現に向けて時機に応じた必要な周知を徹底すべく、放送事業者、ケーブルテレビ事業者、地方公共団体、家電販売店等の各関係機関とよく連携し、放送(放送番組内での周知、スポット放送、報道等の機会を捉えた周知、常時告知スーパーによる周知など)、自治体広報、各種チラシ配布等あらゆる広報手段を通じて直面する様々な課題に的確に対応した、きめ細やかでわかりやすい周知広報を立体的・効果的、かつ、時機に応じて早めに展開します。
また、地上アナログ放送終了直前においては、地上アナログ放送画面を通じて地上アナログ放送終了まで、あと何日と表示するなど、全ての放送において、地上アナログ放送終了及び必要な周知の徹底に、放送事業者と連携して取り組みます。
2.サイレント層を含む高齢者等への支援
地上アナログ放送終了後に、テレビを視聴できなくなる高齢者等世帯が生じないよう、社会福祉協議会、農協・漁協、タクシー無線協会、郵便局等幅広く様々な機関の協力も得ながら、身近なボランティアが高齢者等世帯のデジタル化対応に向けたアクションをサポートする声かけ・念押し活動を展開するとともに、このような地デジボランティアが対応したサイレント層に対して、各県テレビ受信者支援センター(デジサポ)又は地デジサポーターが戸別訪問を実施するなど、きめ細やかな対応を進めます。
また、生活保護世帯や市町村民税非課税世帯等への地デジチューナーの無償配布等の支援を引き続き、地方自治体、社会福祉協議会等の協力を得つつ、着実に実施していきます。
3.販売店等における周知の実施
地上デジタル放送を視聴することができていない世帯へのデジタル化対応に必要な取組への理解醸成等を図るため、メーカー、販売会社、量販店、各県の電器商業組合の会員店等を通じた周知広報や電話相談サポート等の取組みを積極的に推進します。
具体的施策
1.集合住宅共聴施設のデジタル化改修促進
デジタル化対応率は、平成22年末で96.3%と、平成23年3月末時点における目標値95%を達成し、平成23年3月末時点で98.4%となっています。
集合住宅共聴施設のデジタル化改修は、管理組合や施設所有者によるデジタル化の方針決定が必要であることから、なお、残っている未対応施設について今後とも管理組合や施設所有者への直接の働きかけを行うなど、必要な対応を速やかに進めます。
2.受信障害対策共聴施設のデジタル化改修促進
デジタル化対応率は、平成22年末で92.1%と、平成23年3月末時点における目標値90%を達成し、平成23年3月末時点で98.7%、管内で91施設が未対応となっています。
未対応の施設も、地上アナログ放送終了までにデジタル化対応予定であり、引き続き、その着実かつできるだけ早期の対応完了実現の確保に努めます。
具体的施策
1.地上デジタル放送難視地区対策計画に基づく対策の実施
地上デジタル放送難視地区については、策定された対策計画に基づき着実かつできるだけ早期に対策を実施します。
2.デジタル混信対策計画に基づく対策の実施
デジタル混信が確認された地域については、策定された対策計画に基づきデジタル混信を着実かつできるだけ早期に解消します。
3.衛星利用による暫定的難視対策計画の策定・対策実施等
4.伊豆半島におけるデジタル化対策計画の策定・対策実施
伊豆半島地デジ総合対策関係者連絡会議で策定した、10市町のデジタル化対策工程表に基づき、関係各機関とよく連携し、衛星利用を含め各種の対策手法を織り交ぜながら、関東波難視をはじめ伊豆半島全域の難視対策を着実に実施します。
具体的施策
1.最終サポート体制の整備
以上のような取組を総合的、重層的に展開してもなお、地上アナログ放送終了間際に対応する方が集中することに備え、関係事業者・団体間における電話対応及び連携の共有化、臨時相談コーナーによる対応、悪質商法に対する総合的な対策の実施等、必要な最終段階のサポート体制を整備し、円滑な完全デジタル化に努めます。
2.移行後のフォローアップ
地上アナログ放送終了後においても、地上デジタル放送が視聴できない等の障害をサポートするため、地上デジタル放送の受信に関する相談窓口を引き続き設置します。
また、東海管内4県のデジサポ、地デジチューナー支援実施センター及び地デジ難視対策衛星放送受信設備整備支援センターとの意思疎通と連携を十分に図り、これらの組織と当局が一体的に活動を行うことにより、デジタル化移行後のフォローアップを推進します。
進展する超高速ブロードバンドサービスや本格的ワイヤレスブロードバンドサービスの展開、更にはスマートフォンの急速な普及、クラウドサービスの広がり等により、従来困難であったICTの利活用の深化が様々な分野で可能となりつつあります。
こうした中、ICTが、地上デジタル放送への完全移行後に確保される地域の電波資源等も活用しつつ、各地域が直面している様々な課題を解決し、国民生活の利便性向上、スピーディで創造性に富んだ地域企業活動の展開と地域の活性化、防災面を含む安全・安心な基盤づくり、そして、東海地域の新たな発展に大きく寄与することが期待されています。
これらを具体化するため、超高速ブロードバンド・本格的ワイヤレスブロードバンド時代に向けたICT利活用の高度化・多様化の推進と地域独自の電波利用の推進の2つの基本施策に取り組みます。
具体的施策
1.地域に根ざしたICT利活用の推進
地域情報化講演会の開催やICT利活用推進施策の周知等に取り組み、医療、介護、子育て、高齢者の移動・買い物支援、防災、地域振興等地域が直面する様々な課題を解決する上で必要とされるICT利活用事業の実現に向け、自治体や関係各団体等とも連携強化を図りながら各種支援・サポートを積極的に行い、その円滑な実現に取り組みます。
2.産官学連携によるICT研究開発の推進
戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)による地域ICT振興型研究開発や、ICTグリーンイノベーション推進事業(PREDICT)の利活用などを通じて、東海地域におけるICT研究開発基盤の拡大・強化とICT利活用を推進します。
3.地域ICT産業・ビジネスの育成支援
地域におけるICT産業やビジネスの育成・活性化のため、地元経済団体等との連携や東海情報通信懇談会の活動強化を図り、産業の国際競争力強化、ICT人材育成や実証実験、地域コンテンツの国内外への発信と国際交流・展開の促進、ITS、地域企業活動におけるICT利活用の深化、ベンチャー支援などの取組を推進します。
具体的施策
1.地域の発展や安全・安心に寄与する電波利用の推進
地上デジタル放送への完全移行後に確保される地域の電波資源や特定実験試験局制度の周知を図るとともに、地域の様々な分野における電波利用の要望を把握し、地域の発展や防災等の安全・安心確保に寄与する地域独自の電波利用システムの構築を推進します。
また、地域WiMAX等の電波資源の有効活用による、地域に根ざしたICT利活用についても、自治体や関係各団体等とも連携強化を図りながら各種支援・サポートを積極的に行い、その円滑な実現に取り組みます。
2.新たな電波利用技術の開発への支援
地域の大学等研究機関、通信機メーカーなどにおける新たな電波利用システムの実証試験や実用化に対する助言・サポートを行い、研究開発における電波利用施策を支援します。
3.防災情報通信システム基盤の高度化の推進
防災行政無線など住民生活の安心・安全に貢献するICTの高度化を進めるべく、260MHz帯デジタル移動系システム等の導入等の促進、安心・安全に関する情報を地上デジタル放送等により住民に提供するための情報基盤「安心・安全公共コモンズ」の推進等に取り組みます。
また、今回の東日本大震災における経験を踏まえた、防災情報通信システム基盤の改善や災害時に有効なICT利活用の深化等に向けて、関係各機関と連携しつつ、必要な取組を進めます。
携帯電話のサービスエリアの拡大やブロードバンド基盤の整備が進み、社会生活のあらゆる場面にICTの利用が浸透する中、より一層安全・安心にICTを利用できる環境の整備が求められています。
これらの社会ニーズを具体化するために、安全・安心にICTを活用できる環境の整備と利便性の向上と安全・安心な電波利用環境の整備の2つの基本施策に取り組みます。
具体的施策
1.消費者が安全・安心に電気通信サービスを利活用できる環境の整備
消費者本位の立場から、消費者が電気通信サービスの一層の便利さを実感し、安全・安心に利活用できる環境づくりに向けて、消費生活センター、消費者団体、電気通信事業者、学識経験者が参画した東海電気通信消費者支援連絡会を開催し、関係団体間の情報共有と連携を図るとともに、「e-ネットキャラバン」による青少年の安心・安全な携帯電話やインターネットの利用の普及等を推進します。
そのほか、必要な周知・啓発活動、個人情報保護の徹底、携帯電話販売代理店や関係機関との連携等について推進します。
2.より多くの地域で携帯電話が使えるような環境の整備
過疎地等の条件不利地域における携帯電話の不感地帯解消に向け、地方自治体が保有するネットワークの有効活用を含め、地方自治体、携帯電話事業者等と連携し、より多くの地域で携帯電話が使えるようエリアの拡大とデジタル・ディバイドの解消に努めます。
具体的施策
1.電波の安全性に関する取組の強化
電波の安全性に関するリテラシーの向上をより一層図るため、電波の安全基準や電波の人体への影響などについて、一般市民等を対象とした説明会や地域からの要請による出前説明会を開催します。
2.重要無線通信妨害対策の強化
航空・海上無線、消防無線、携帯電話などの重要無線通信が妨害されると、航空機や船舶の安全運航の確保や救急活動に支障を来すなど、社会生活へ大きな影響を与えます。このため、重要無線通信妨害に迅速に対応してこれらの妨害排除を行います。
3.良好な電波利用環境の確保
不法無線局の撲滅に向けて、不法行為の防止に関する周知啓発活動及び販売店調査・指導を行うと共に、電波監視・取締り等の不法無線局対策を強化して、混信・妨害の排除を迅速・的確に行い、良好な電波利用環境の確保を図ります。