【東海総通】マイメディア東海

平成26年11月27日
東海総合通信局

コラムvol.20 電子レンジ

電波を利用したモノ紹介

はじめに

 私たちの身のまわりには、電波を利用した便利なモノがたくさんあります。
携帯電話やスマートフォンがない世の中は考えられないと思われる皆様は多いと思いますが、実は、電波を利用した便利なモノは携帯電話やスマートフォンだけではないということを紹介する企画です。

 今回のコラムは、電子レンジです。
皆様のお宅でも、冷凍食品を解凍したり、煮物料理などにかかる時間を短縮したり、電子レンジを便利に使っていると思います。
電子レンジの不思議についてお話ししたいと思います。

温まる物、温まらない物

 水の入ったコップ(耐熱ガラス製)と、空のコップ(耐熱ガラス製)を一緒に電子レンジの中に入れて1分間温めてみましょう。(空のコップだけを入れて温めないで下さい。)
水の入ったコップは熱くなっていますので、火傷をしないように注意してください。

 過去のコラムで、電磁波はエネルギーの性質もあると書いています。

イラスト1:水の入ったコップと空のコップ

 マイクロ波(電磁波)のエネルギーが物質を温めるのであれば、空のコップも温まっていなければおかしいですね。
でも、空のコップは熱くなりません。
不思議だと思いませんか。
どうしてでしょう。

 マイクロ波のエネルギーを吸収しやすい物質と透過、反射してしまう物質があるからです。
周波数2.4ギガヘルツのマイクロ波をよく吸収するのはです。

 陶器やガラスの食器やプラスチックのコップなど水分が含まれていない物質は、マイクロ波を当てられても透過してしまい、マイクロ波をほとんど吸収しません。
アルミホイルなどの金属は、金属表面に電流が流れて、マイクロ波の一部が熱になりますが、大部分のマイクロ波を反射します。
アルミホイルや金属製の食器、金属による装飾がある食器は、金属とマイクロ波が反応して火花が生じるなど危険なので、絶対に庫内に入れないようにしてください。

原理

 電子レンジの中には、船舶レーダーなどにも使われているマグネトロンと呼ばれる電子管(真空管の一種)が入っています。
マグネトロンから、2.4ギガヘルツ帯のマイクロ波(電磁波)が発生し、電子レンジ内の食品に当てられます。

 食品にマイクロ波が均一に当たるように私の家の電子レンジは、ターンテーブルが回転します。

イラスト2:電子レンジの構造イメージ

イラスト3:温める食品(お弁当)のイメージ

(ターンテーブルの無いフラット式では、食品にマイクロ波が均一当たるように、アンテナが回転したり、マイクロ波が乱反射する構造としています。)

食品に含まれている水分にマイクロ波のエネルギーが吸収されて、食品内部から全体が温められます。

 マグネトロンから発生したマイクロ波は、電子レンジ内の金属の壁に反射しながら食品を温めますが、電子レンジの外に強い電波が漏れることはありません。(窓の部分も電波が漏れないように金属のシールドが施されています。)

 一般家庭で使われている電子レンジは、高周波利用設備(型式確認設備)として電波法令で管理されています。

 従って、電子レンジから漏れてしまう電波の強さは、電波法施行規則46条の7の1に定める基準以下となっているため、安心です。

ただし、使用周波数が無線LAN(2.4ギガヘルツ)などと同じ周波数帯のため、無線LANが使えなくなったり、通信速度が遅くなったりする場合は、無線LAN機器を電子レンジから少し離してみてください。

水分子と誘電損失

図1:通常状態の水分子

 水に2.45ギガヘルツのマイクロ波が当たると加熱される理由について説明します。
水分子の構造は、正の電荷と負の電荷の重心が一致しない状態で、周囲の温度によってフラフラと動いています。(熱揺らぎといいます。)
従って、水分子全体としては、無極性です。

図2:図の上が負、下が正の電界の場合の水分子

 水分子にマイクロ波が当たると、水分子の極性がマイクロ波の電界により、一定の方向に揃おうとします。
マイクロ波の周波数は24億5千万ヘルツ(2.45ギガヘルツ)なので、1秒間に24億5千万回、プラスとマイナスの電界が反転します。
水分子は、その、反転に合わせて極性を揃えようとしますが、急激な動きにあわせられず、極性を揃える動きに少し遅れる傾向が現れます。(誘電緩和といいます。)

図3:図の上が正、下が負の電界の場合の水分子

 この遅れが誘電損失となり、損失は熱に変わります。
結果、マイクロ波のエネルギーは水を加熱します。

誘電損失

 誘電損失について、バネの伸び縮みのイメージで説明します。

下の図4、図5を見てください。

図4:誘電損失なしのイメージ

 バネの伸び縮みが水分子の反転運動に相当します。
摩擦がなければ損失は発生しません。

図5:誘電損ありのイメージ

バネの伸び縮みの遅れが水分子の反転運動の遅れに相当します。
摩擦により、熱が発生するように、水分子の反転の遅れが損失となり、熱が発生します。

おわりに

 電子レンジで調理した食品は、放射能を含んでいるから危険だ。という話を聞いたことがありますが、放射能を含むことはありません。

 マイクロ波がエックス線やガンマー線などと同じ電離放射線だと誤解している人たちがいるのでしょうか。

 マイクロ波は非電離放射線の仲間で電波です。

 従って、電子レンジで調理した食物が放射能を持つことはありません。
さらに、電子レンジのスイッチを切れば、マイクロ波が食品の中に残ることもありません。(明かりを消した後に光が残らないことと一緒です。)
安心して、電子レンジで調理した食品を食べてください。

 ちなみに、コップに氷を入れて電子レンジで温めても、水分子の状態が違うので、水と同様には熱くなりません。


連絡先
東海総合通信局 企画広報室
電話:052-715-5110

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