平成2-7-12年接続産業連関表の特徴

 平成2-7-12年接続産業連関表(以下「接続表」という。)は、作表年次の相違により、部門分類とその概念・定義・範囲や推計方法等が異なる3時点間の比較を可能にするため、以下の2種類の表を作成している。

時価評価接続産業連関表(名目表)

 時価評価接続産業連関表(名目表)は、原則として、平成12年(2000年)産業連関表(以下、「平成12年表」という。)の部門分類に合わせて、平成 2年及び7年の産業連関表(以下、「過去表」という。)の部門を分割・統合し、概念・定義・範囲又は推計方法等の変更があった部門については、過去表の計 数を改訂している。ただし、過去表を平成12年表に合わせることが困難な場合は、平成12年表を過去表に合わせている。

固定価格評価接続産業連関表(実質表)

 固定価格評価接続産業連関表(実質表)は、平成2年及び7年の名目表を、平成12年の価格を基準とした取引額に実質化したものである。
 実質化は、平成12年次の価格を1として過去の年次の価格変化率を示した係数(インフレータ)を乗じることによって行っている。
 なお、粗付加価値部門計は、列部門ごとに実質化後の国内生産額と中間投入額の計との差をもって実質値としている(ダブルインフレーション方式)。粗付加 価値部門の各項目は名目値のままとし、名目値と実質値の差額は「ダブルインフレーション調整項」に一括して計上している。

接続表における平成12年表との主な変更点

1.自家輸送の取扱い

 各年の産業連関表では、投入構造を安定的にするため、自己の需要に応じて自家用自動車を使用して人貨を輸送(マイカーを除く)する活動を「自家輸 送」として仮設部門として計上している(自家輸送を設定しない表も同時に作成している。)。しかし、接続産業連関表では推計の困難性と、各部門別のエネル ギー需要を分析する利点を考慮し、自家輸送部門を設定していない。
 これにより、自家輸送活動に要した経費は各部門に直接財・サービスを投入することとなるため、当該部門の生産額が減少する。

2.ソフトウェア・プロダクツの資本の取扱い

 ソフトウェア・プロダクツ(受注以外のソフトウェア開発)については、平成12年表で新たに固定資本形成にも計上しているが、接続表では過去表における遡及推計が困難なことから12年値も中間需要扱いとした。
 これにより、固定資本形成が減額され、対応する列部門の中間投入が増加し、資本減耗引当が減額する。
 なお、政府サービス生産者及び非営利サービス生産者の生産額は投入コストの積み上げをもって生産額を計上することから生産額に変更が生じる場合がある。

3.再生資源回収・加工処理部門の取扱い

 平成12年表で新設した「再生資源回収・加工処理」部門は、過去表における遡及推計が困難なことから12年値を過去表に合わせ、従来の「マイナス投入方式」に組み替えた。
 これにより、再生資源回収・加工処理部門を迂回して計上されていた屑・副産物の取引が類似の部門(競合部門)から直接計上されることになるため、生産額が減額する。また、輸出入についても同様に、当該部門に計上していたものを直接各財部門に計上する方法に改めた。
 なお、「回収・加工処理経費」として付加した額は卸売部門に計上した。

4.統合部門分類の扱い

(1) 電気通信部門
 電気通信部門については、平成2年、7年、12年を「電気通信」サービスとして一つに統合して表章した。これは、接続3時点における制度やサービスの変化が著しく、平成12年の部門分類での接続が不可能であったことによる。
(2) 介護部門
 介護部門については、平成2年、7年をゼロとして表章した。これは、介護保険制度の枠組みが作られる以前において、介護保険の対象となるサービスに相当 する活動が、家事労働や医療サービス、福祉サービスなどに含まれており、これらを特定することが極めて困難であることによる。
 なお、逆行列係数を用いた産業連関分析を考えた場合、ゼロベクトルが含まれていると使いにくいため、分析に多用される「統合中分類」では医療・保健、社会保障と統合した部門とした。
(3) 住宅賃貸料部門
 住宅賃貸料のうち、持家の「帰属家賃」(給与住宅と民間住宅との差額分を含む)については平成12年表では特掲していたが、過去表については特掲した投入ベクトルの推計が困難なことから住宅賃貸料に含めて計上している

ページトップへ戻る