トップページ > 導入編「自治体EAの導入方法」 > 2.自治体EAを活用した業務・システム見直しの効果

2.自治体EAを活用した業務・システム見直しの効果

自治体EAを活用した業務・システムの見直しの効果には、目的・手段の明確化、業務の「見える化」、機能・情報の流れの標準化、業務の見直し方法と効果の提示などがあります。
平成17年度自治体EA事業における川口市の取組みでは、約870名の部長・課長および原課職員が全庁的に参加して職員自らが検討・分析作業を行いました。業務の現状やその見直しの必要性について参加した職員が知識の共有を図り、住民満足度の向上を図る方策の1つとして、窓口における住民のみなさんの待ち時間を従来よりも短縮する方策をまとめました。

川口市における平成17年度自治体EA事業の実施スケジュール
川口市における平成17年度自治体EA事業の作業状況

図 「川口市における平成17年度自治体EA事業の実施スケジュールと作業状況」
(クリックして拡大)

☆自治体EAによる目的・手段の明確化

川口市では、まず、市長との対話などを通じ、市長の基本方針を踏まえた上で、部長・課長が刷新化の方向性を策定しました。この作業の中で、市外からの転入者が多いという川口市の特徴を踏まえ、住民満足度の向上を図るためには「転入手続などの生活と直結する窓口サービスを向上することが住民満足度の向上を図る効果的な方策の1つである」「窓口サービスを向上するため、その効果を計る指標の1つとして、窓口で従来よりも住民のみなさんの待ち時間を短縮すること」ことにしようという結論に至りました。

刷新化の方向性検討のイメージ

図 「刷新化の方向性検討のイメージ」
(クリックして拡大)

刷新化の方向性検討の状況

(刷新化の方向性検討の状況)

☆自治体EAによる業務の「見える化」

自治体EAでは、業務の流れを分析する作業を原課の職員が自ら行うことにより、業務の流れを「見える化」することが重要です。
川口市では、業務の流れを「見える化」する作業を、市民課や児童福祉課などの原課職員が組織横断的な対話を通じて自ら行いました。具体的には、業務を「機能と、機能間を結ぶ情報の組合せ」として捉え、その結果を機能分析表(Diamond Mandara Matrix:DMM)機能情報関連図(Data Flow Diagram:DFD)にまとめて、業務の「見える化」を行いました。
この結果、窓口での住民の待ち時間を短縮する方策を検討する際、その前提として窓口業務の現状を把握することができるようになりました。

「見える化」作業の結果(DMM、DFD)

図 「「見える化」作業の結果(DMM、DFD)」(クリックして拡大)

(業務の現状の分析)

 
「対話にあたってのポイント」
  • どの機能が重要なのか
  • どの機能に負担があるのか
  • どの機能を改善したいのか
  • どの機能をIT活用するのか
  • 機能は重複していないのか
  • 各機能は誰が担当しているのか

☆自治体EAによる機能・情報の流れの標準化

自治体EAでは、業務の機能・情報の「見える化」(論理化、抽象化)作業を行うことで機能・情報の流れを整理することができます。
川口市では、業務の機能・情報の論理化、抽象化作業を原課職員が自ら行いました。具体的には、業務の「見える化」作業で作成したDMM、DFDを用いて、「個々の窓口での業務が、どこからどこまでつながっているか(機能の論理化)」「異なる窓口業務の中の機能を、本来は同じ機能であるとして、1つにまとめることができるか(機能の抽象化)」「異なる窓口での業務の中を流れる情報を本来は同じ情報であるとして、1つにまとめることができるか(情報の抽象化)」といった業務分析を行い、その結果に基づいて様々な窓口業務を「基本的な機能や情報の組合せ」として捉えてDMM、DFDおよび情報体系整理図(UMLクラス図)にまとめ、窓口業務のあるべき姿を「見える化」しました。この結果、窓口での住民のみなさんの待ち時間を短縮する方法として、「複数の窓口業務に重複する機能・情報を統合する」「非効率な業務の流れを排除する」「窓口業務毎に異なっている機能・情報を標準化する」といった見直しを行うことができました。

機能・情報の流れの標準化作業結果

図 「機能・情報の流れの標準化作業結果(機能体系整理図)
(クリックして拡大)

(機能・情報の流れの標準化作業の状況)

☆自治体EAの各種作業結果を用いた、業務の見直し方法と効果の提示

自治体EAでは、各種作業結果を活用して、関係する様々な部署の職員が自ら業務を見直し、また見直した際の効果を導き出すことができます。
川口市では、窓口業務を担当する複数の原課の職員が集まり、これまでの自らの業務を分析した結果に基づいて、「窓口での住民の待ち時間を短縮するために、どのように業務を見直せば良いか」について検討するため、ワーキング・グループを設置しました。
ワーキングループでは、まず、「子供や要介護者のいる世帯」を想定し、その世帯が川口市内へ転入する際の手続にどのくらいの手間がかかるか(どのくらいの時間がかかるか、何カ所の窓口を回る必要があるか、個々の窓口でどのような手続をしているか等)について、実際に住民の方が申請をする際にかかる時間をモデルを使って計測しました。その結果、転入する際に必要となる5種類の手続を行うのに、4個所(4課)の窓口を回り、個々の窓口でそれぞれ申請書の記入や提出を行い、全体で54分21秒の時間がかかることが分かりました。

手続の現状(子供や要介護者のいる世帯が転入する際)

図 「手続の現状(子供や要介護者のいる世帯が転入する際)」(クリックして拡大)

ワーキング・グループでは、窓口での住民の待ち時間を短縮する方法について、個々の窓口業務が所管課や手続の種類によらず同様な機能・情報の組合せで構成されている点を踏まえ、自治体EAの各種作業結果を活用するとともに、必要に応じてそれら以外の関連資料も収集し、以下のようにまとめました。(ただし、必要に応じて、自治体EAの各種作業結果以外の関連資料の収集が必要です。)

  • 転入届の受付時に記載された情報を市民課から関係各所管課に展開、共有することにより、申請者が同じ情報を何度も記載する必要がないようにする。
  • 各所管課が申請者の世帯の状況を事前に把握することにより、申請者が円滑に手続ができるよう、世帯の状況に合わせた準備を行うことができるようにする。
  • 本人確認や添付書類の提出については1つの窓口で受け付けるようにし、申請者が移動ぜずに行うことができるようにする。
  • レイアウトを工夫し、申請者の移動距離が短くなるようにする。

そして、業務見直しを行った際に手続の所要時間がどの程度になるか試算した結果、全体で37分56秒に短縮されることが分かりました。これは、現状の窓口業務と比較して16分25秒(約30%)の時間短縮となります。
川口市ではこのように自治体EAを活用して、関係する職員が自ら業務の見直し検討を実施して、業務を見直す方法と見直した際の効果を導き出しました。

手続見直し後の改善方策と改善効果(子供や要介護者のいる世帯が転入する際)

図 「手続見直し後の改善方策と改善効果(子供や要介護者のいる世帯が転入する際)」 (クリックして拡大)



前へ 次ヘ

目次

ページの先頭へ