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3−2.自治体EA導入(その2):個別業務の改善

☆自治体EA導入のきっかけ

地方自治体における部署単位での個別の業務改善は、原課職員の「気づき」に基づくものから、集中改革プランの実施といった全庁的な行財政改革における各部署の目標達成のための業務見直しまで、様々あります。また、いわゆる2007年問題に絡んで、その部署に所属していたベテラン職員の退職にともない、「ベテラン職員の業務知識を若手職員に移管するとともに、業務効率向上の面から過去の経緯を一度断ち切って業務を見直してみることで、業務に対する従来の思い込みを打破する」といった業務改善もあります。 部署単位での個別の業務改善では、部署内や対象業務の効率化のみを考える(個別最適を図る)のではなく、他の部署や業務とのつながりを考えた効率化を考える(全体最適を図る)のが、大きなポイントとなります。この全体最適の視点がないと、ある部署での業務改善が他の部署の業務効率の低下を招き、地方自治体全体としての業務効率がかえって悪くなってしまう可能性があります。庁内業務の全体最適の視点に基づいて部署単位での個別の業務改善を行うには、庁内の各種業務のつながりをまとめた図の作成や、各部署の個々の業務機能の標準化が必要になります。

自治体EAは、庁内の個々の業務機能の標準となる「参照モデル(総務省標準第一版)」を提供します。これは、総務省の平成17年度自治体EA事業の中で、人口規模が異なる複数の地方自治体の業務分析結果や評価に基づいて策定したものです。また、地方自治体の情報システム導入に多くの実績がある複数の企業がモデル策定に参加しており、策定された参照モデル(総務省標準第一版)については参加企業間での情報共有が図られています。 さらに自治体EAは、ベテラン職員の業務知識を若手へ移管する場合や、他の部署や業務とのつながりを考慮した業務見直しを行う際、「原課職員が自ら行う業務の「見える化」作業の実施手法」を提供します。地方自治体の業務は、地方自治体の原課職員が一番良く知っています。業務の見直しを外部の支援業者に任せるのではなく、対象業務の原課職員が自ら行うことによって、業務の効率化に向けた見直し作業をより効果的に進めることができるとともに、対象業務の本来のあるべき姿についての原課担当者間の共通認識を深めることができます。

☆自治体EA導入の体制づくり

自治体EAを「各原課の個別の業務改善」の実施方策として導入する場合には、その原課の役職(部長・課長)や担当者のみが参加する小規模な体制を組みます。
実際に自治体EAにおける各種作業を始める前には、自治体EAに係る課内の勉強会を開き、本手引きを活用して自治体EAの概要把握や各種作業の試行などを行い、自治体EAに対する関係者の理解を深めます。
自治体EA導入検討の担当者となった原課職員は、自治体EA導入の事務局の役割を担います。事務局の作業には、課内に向けた自治体EAに関する各種情報の発信、スケジュール調整、各種作業結果(分析図表など)の管理、EA勉強会の開催等があります。

☆自治体EAにおける各種検討作業の実施

自治体EAの導入体制や作業内容、役割分担の一例は次の表のとおりです。

作業項目 実施※1 作業量
※2
作業分担※3
自治体EA体制
部長・課長 担当者 EA担当者
1.刷新化の方向性策定 各種資料の収集
部長・課長の方針提示
環境分析 1
組織目標の確認 1
行動成功要因分析
目的手段分析 1
3段階工程表検討
行動目標設定 1
2A.現状分析(業務分析) 既存資料の収集
業務の機能構造分析 2
機能・情報実現手段分析
業務情報の抽象化 1
真の業務の姿の把握 1
2B.現状分析 (システム分析) 既存資料の収集
インフラの現状整理
アプリの現状整理
3.刷新化対応構造(あるべき姿)検討 1
4.個別課題の解決方策の検討 3
※1 ◎:必須項目、○:簡易に実施可能、●:省略可能
※2:1回2時間のグループ作業を1単位とした場合の、原課職員1人当たりの作業量
※3 ◎:主たる作業者、○:作業者、△:支援者

上記の各種作業項目のうち、「1.刷新化の方向性策定」と「2.現状分析(業務分析)」「3. 刷新化対応構造(あるべき姿)検討」とは、並行して実施することが可能です。
業務改善項目や達成目標がすでに明確になっている場合は、「刷新化の方向性策定」作業は省略可能です。また、本手引きの「資料編2:参照モデル(総務省標準第一版)」を業務標準のたたき台として活用することにより、「現状分析(業務分析)」作業の一部を簡易に実施することができます。

参考 川口市での作業状況(その2)

作業名 基幹業務:福祉関連業務 生活保護 現状分析(業務分析)作業
日時 平成 17年10月27日(木)
13:00 〜 15:00
場所 川口市役所5F大会議室
参加者 職員:福祉課
石井課長補佐
青羽主事
加藤主事沢田主任
支援企業:【基幹】
日立製作所 榎本
使った資料
1.「自治体業務・システム刷新化事業」現状分析(業務分析)作業について
概要

【作業の目標】

  • 生活保護に関する業務範囲・業務目標の設定と、現行業務がどのように行われているのか共通の記述様式を使って整理します。

【当日の流れ】

13:00〜13:10 業務分析の目的と本日の作業の確認(10分)
13:10〜13:20 業務説明表の記入(「業務の目的・概要」欄のみ)(10分)
13:20〜14:40 機能分析表(DMM:以下「DMM」という)の作成(80分)
14:40〜15:00 機能情報関連図(DFD:以下「DFD」という)の作成(20分)

【作業内容】

  • 9/28の説明会に出席していない参加者もいたため、事業の目的、実施内容等に時間を充て説明しました。
  • 業務の目的・概要は、基本的に法令と同等であり、これを基に議論を進め記入しました。
  • DMM作成にあたっては初めての参加者もいたため、「カレーを作る」といった身近な例題にて機能分割のコツ(順序があること、停滞箇所で切れること等)を5分程度説明した後で、生活保護の作業に取りかかりました。
  • 生活保護は、保護決定までの業務と決定以降の業務に大きく分けられることから、それぞれの業務を順に記載することでDMMの階層1を固めました。
  • 階層1が出来上がった時点で、一旦、機能に不足がないか確認したところ、国・県への補助金請求の機能が必要ということで、機能の抽象化(統合)を行い8機能に収まるよう、機能区分を工夫することとなりました。
  • 同時に機能の抽象化に伴い、機能名称の付け方について言葉選びに苦労するところがありました。例えば、当初「実態把握」としていた機能について、その機能の指し示す内容が生活保護者への指導・指示を含むものであるといった議論から、もう少し広い意味の言葉を探すことになりました。結果としては、一般的な用語でないものの、生活保護に関わる職員にとっては「ケースワーク」といった言葉がしっくりくるとのことで、多少専門性を含んだ用語に落ち着きました。
  • DMMの作成時にDMM上に情報の流れ(矢印)や外部の連携機関(外部要因)を記録していたこともあり、参加者自らDFDの作成に取りかかることができました。

【出てきた意見】

  • 9/28に実施した内容が残っていれば、それを取りかかりとして進めたかった、との意見が出されました。(今回完成したものとの比較も含め)
成果物
(1)業務説明表・・・「業務の目的・概要」欄のみ記載しました。
(2)DMM(1枚)・・・階層1、2まで作成しました。
(3)DFD(1枚)・・・階層1「審査決定」のみ作成しました。その他の機能については、本作業時間帯で作成できませんでしたが、DMM作成時に業務の流れ・外部機関との連携部分を確認しています。
ポイント
  • 身近な事柄を題材に機能分割の仕方を説明することで、自然と機能分割の揃え方、抽象化の考え方等を想定できるものと思われます。
  • DMMでもある程度の業務の流れが確認できるため、多少DMMに時間を掛けてでも、共通理解を促すことが有効と思われます。
  • 機能の名称の付け方については、なるべく専門用語を使わないような言葉選びが必要と思われます。


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