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2) 機能分析表(DMM)

☆ 様式の概要

 機能分析表(Diamond Mandara Matrix:DMM)とは、分析対象とした業務の「機能」を洗い出し、洗い出した「機能」を徐々に詳細化(分割・階層化)していくことで、その業務を構成する「機能」の階層構造を明らかにするための表です。

☆ 表記方法

機能分析表(DMM)の例

図 「機能分析表(DMM)の例」

 DMMは、業務を構成する「機能」の階層構造を示した表です。一般に「人間が一目見て補足や分析ができる数の限界」は3x3=9であるとされており、DMMでは9個のマス(真ん中の1つのマスと、それを囲む8つのマス)を1つの単位として、業務の「機能」の階層構造を示します。
 DMMの真ん中の格子の中心のマスは、分析対象とした業務名を示します(上記の図では「住民基本台帳」業務です)。そのマスを囲む8つのマスは、その業務を構成する「機能」を示します(上記の図では「台帳登録」「台帳変更」「職権処理」「証明」「住基カード発行」「閲覧」「台帳閉鎖」「統計」の8つです)。それら「機能」は、DMMの真ん中の格子の周りにある8つの格子の中心のマスにそれぞれ置かれ、個々の格子の中で、さらに最大8つの「機能」に細分化されます(上記の図では、「台帳登録」機能が、左上の格子の中で、「届出受付」「審査」「新規台帳登録」「帳票作成」「交付」「異動連携」の機能に細分化されています)。
 なお、マスの中に書かれた番号は、マスとマスとの関係を示したものです。同じ番号が書いてあるマスは、同じ「機能」であることを示しています。

☆ 準備するもの

(1)グループ作業の場所

  • 対象業務の担当者(複数)が共同で「DMMの作成作業」を行うための場所と机・椅子等を確保します。

(2)DMMの様式

  • A3版の用紙1枚に「3x3」の枠を書いたものを、複数枚用意しておきます。

(3)付せん紙

  • 業務名や「機能」の名称を書き込む付せん紙を用意します。
  • 付せん紙の大きさは、7.5cm x 7.5cm程度のものを用意します。また付せん紙の色は、枠の真ん中のマスに貼る用、枠の周囲のマスに貼る用で分けます。

(4)筆記用具

  • 付せん紙に文字を書き込む筆記用具(サインペンなど、書いた文字が遠くから見ても読めるもの)を用意します。

☆ 作成方法

(1)業務を構成する「機能」の分割(第1層目の格子の作成)

  • 分析対象とした業務の名称を付せん紙に書き、用紙に書いた「3x3」の枠の中心のマスに貼ります。
  • その業務を構成する「機能」についてグループ討議を交えて8つ洗い出し、1つの「機能」の名称を1枚の付せん紙に書き、用紙に書いた「3x3」の枠の周囲の8つのマスにそれぞれ貼ります。
  • 付せん紙に書く「機能」の名称は、動詞になりうる言葉(「○○をする」という言葉になりうるもの)を入れ、「土地」「建物」と言った名詞は避けます。また、「管理」という言葉もできるだけ避け、どうしても「管理」という言葉を使う場合は、その前に具体的な対象となる言葉を入れて「○○管理」などとします。
  • 「はたらき」の手段(実現方法)に関する「機能」は書きません。例えば「電算マスター登録」といった機能は(情報システムは「手段」なので)書きません。
  • できるだけ業務の流れに沿って「機能」を洗い出し、「3x3」の枠の左上から時計回りに埋めていきます。最初の枠(第1層目の格子)は、大変でも8個すべてのマスを埋めることで、分析に参加する全員の知恵出しができます。

(2)業務を構成する「機能」の分割(第2層目の格子の作成)

  • 第1層目の格子の中の周囲8つマスに貼られた「機能」の名称を書いた付せん紙を、1枚ずつ作ります。枠線を書いた新たな用紙を8枚用意して、各用紙の枠の中心のマスに、作った付せん紙を1枚ずつ貼ります。この8枚が、最初に作成した第1層目の格子の周りを囲む第2層目の格子になります。そして、8枚の用紙を、第1層目の格子の周囲に左上から時計回りに順に配置して、全体でDMMの形にします。
  • 個々の第2層目の格子について、第1層目と同様に、その枠の中心に貼られた「機能」を構成する1段階下の「機能」についてグループ討議を交えて最大8つ洗い出し、1つの「機能」の名称を1枚の付せん紙に書き、枠の周囲の8つのマスの左上から時計回りに貼っていきます。

(3)分割した「機能」の見直し

  • 第2層目の格子の作成作業が一通り終わったら、出来上がったDMM全体を見ながら、「機能」の分割結果の妥当性についてグループ討議します。
  • 第2層目の格子の中に、分割した「機能」の数が少ないものがある場合は、再度、全体のバランスを考え、必要に応じて「機能」を足します。
  • また「機能」の中に、サービス内容の差があるだけで同じ「機能」としてくくった方が望ましいものがあるかどうか検討します。例えば、「証明」という「機能」を構成する一段下の「機能」が「住民票の写しの交付」「住基台帳の記載内容証明の交付」のように「証明する内容の差があるだけ」である場合、「証明する」という「機能」自体は同じです。そのような場合は、「住民票の写しの交付」「住基台帳の記載内容証明の交付」等で共通に必要となる「機能」(交付申請書の受付、申請書の内容確認、本人確認、等々)を、「証明」の一段下の「機能」とします。なお、このように一度出した「機能」を見直した場合には、その履歴(もともと、どんな「機能」を書いていたか)を用紙にメモ書きしておきます。このメモは、後の「機能情報関連図(DFD)」の作成で使います。

☆ 作成例(川口市の場合)

川口市では、総務省の「平成17年度自治体EA事業」において、分析対象業務の担当者が参加した業務の機能構造分析の中で、DMMを作成しました。

☆ 作成のヒント

(1)DMMに書く「機能」について

  • DMMの作成では、第1層目の格子を構成する8つの「機能」を何にすれば良いかについて、なかなか考えつかない場合があります。このような場合は、分析対象業務について、「毎年、定期的に行うこと」「毎月、定期的に行うこと」「毎日、定期的に行うこと」「その都度、行うこと」という具合に、時系列に沿った「機能」の洗い出しを行います。
  • 例えば、国民健康保険税業務のDMM作成における第1層目の格子について、業務の年間計画を想定しながら、賦課や納税通知といった年間計画に沿って行う「機能」と、保険証発行や問い合わせ対応といった随時行う「機能」とを合わせて、8業務を洗い出すことができるでしょう。

(2)職員の「気づき」を引き出すための、DMMの見直し作業

  • DMMの作成では、「機能」の階層構造が正しく示されたDMMの作成を最初から目指すのではなく、まずは対象業務の担当者が考えている「機能」をそのままDMMに書き起こすのがポイントです。そして、一通り出来上がったDMM全体を見ながら「機能」の分割結果の妥当性についてグループ討議していく中で、日頃自分が行っている業務の真の姿に気づいていきます。
  • 日頃、実際に業務を担当している職員は、「日頃、自分が実際に行っている作業」がその業務の「機能」であると捉えがちです。そこで、最初は業務担当職員の思いのままにDMMを作成し、それを見ながらグループ討議していく中で、日頃、自分が実際に行っている作業が「機能」なのか「機能の実現手段」なのかについて認識を深めています。
  • 例えば、最初に作成した住民基本台帳業務のDMMに、電算処理といった「機能」が書かれていた場合は、DMMの見直しの中で、電算処理が「機能の実現手段」であって「機能」ではないことについて、職員の「気づき」を引き出します。
  • また、「住民基本台帳記載機能」の1段下が「転入」「転出」「転居」等になっているDMMである場合は、DMMの見直しの中で、「転入」「転出」「転居」等はサービス内容の差があるだけで同じ「住民基本台帳記載機能」としてくくった方が良いことついて、職員の「気づき」を引き出します。
最初に作成したDMMの例

図 「最初に作成したDMMの例」

上記のDMMを見直した後のDMMの例

図 「上記のDMMを見直した後のDMMの例」



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