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レイのブログ

世界一の社会課題に「学び」で挑む

インターネット上に、洪水のように情報があふれる現代社会。当たり前のようにスマートフォンを持つようになった子どもたちは、誤った情報や悪意のある偽情報のリスクに常にさらされています。
ダボス会議(世界経済フォーラム)では、毎年「Global Risks Report」と呼ばれる「今、世界で最も懸念される社会課題」が発表されます。そこで2024・2025年にトップとして選ばれたのは、実は気候変動でも、貧困の拡大でもなく「偽情報・誤情報」でした。
日本を見てみても、2024年1月に発生した能登半島地震では、偽の救助要請や様々なデマがSNSで広く拡散され、救助活動の遅れなどの実害が引き起こされました。このように政治・医療・芸能・そしてネットいじめなど、幅広い場面で偽・誤情報が問題となっています。
総務省が行った2020年の調査によると、15〜19歳の若者の約83%が誤情報を見分けられず、そのうち約45%が無自覚に拡散してしまうという実態も。ここ数年では、生成AIの進化により、現実とほぼ見分けがつかないフェイク画像・動画も簡単に作成できるようになり、状況はより複雑化しています。
そんな中で、「楽しみながら」フェイクを見抜くマインドセットや最新のスキルを学べるように開発されたのが「レイのブログ Ray's Blog」です。2023年以来、世界10カ国で2万人以上の学生が体験してきました。

生成AIフェイクを見抜き、ストーリーを進めろ!

ゲームは、プレイヤーが中学時代にタイムスリップし、「レイ」と名乗る謎の人物から挑戦状を受けとるところから始まります。レイが残した謎のブログが見つかりますが、なぜか、ほとんどがウソの内容ばかり。プレイヤーたちは実際にインターネットを使って正しい情報を調べ、真偽を判断していきます。その作業を繰り返すことによって、レイの正体に迫るヒントが与えられ物語が進みます。
ゲームでは実際にインターネット検索を駆使して情報を検証します。統計の誤りを探したり、動画に映った建物から撮影場所を特定したり、生成AIで作られた画像の不自然さを発見したりと、プロのファクトチェッカーも使う最新技術を楽しみながら学べます。
続く「レッスン」パートでは、講師や動画でのインタラクティブなレクチャーを通して、ゲームで遊んだ内容が現実の世界で起きている誤情報・偽情報の事例と、どのように関連しているかを学んでいきます。生成AIを使ったフェイク画像作りの実演では「こんなに簡単に作れるの?!」といつも驚きの声が上がっています。
レイのブログの一番の魅力、それは「楽しさ」です。固くなりがちなメディアリテラシーというトピックを親しみやすくし、本当の意味での学びにつなげるため、誰しもが楽しめるゲームやアニメの要素を取り入れました。学生たちは、ゲームを楽しみながら物語の謎を解いているうちに、誤情報への向き合い方を自然と学んでいきます。

レイのブログイメージ

ゲーム後は世界大会?! Classroom Adventureの目指す未来

私達の用意している学びは「レイのブログ」で終わりではありません。Classroom Adventureは5カ国の様々な団体と協力してファクトチェック世界大会の「Youth Verification Challenge -ユースファクトチェック選手権」を開催しています。2024年の大会では日本からは60チームが参加しました。世界中の2千人近くのライバルたちとフェイクを見抜くスキルを競います。
Classroom Adventureは現役の大学生3人によって結成された教育スタートアップです。情報リテラシー教育を起点にしながら様々な「学び」をゲームのチカラで誰もが楽しめる形にすることを目標にしています。レイのブログ以外にも、「闇バイト」の危険性を学ぶ「レイの失踪」など様々なプログラムを届けています。
私たちがめざしているのは、「市民一人ひとり自らが信頼できる情報を手に入れ、判断をできる世界」の実現です。インターネットの普及により、人々は膨大な数の情報に平等に触れるようになりました。その中にはもちろん、誤情報や悪意をもった偽情報も含まれます。こうしたフェイク情報がこの世から完全に無くなることはおそらくありません。しかし、誰もが自らの力で疑い、検証・判断する軸をもっていれば、怖いものはありません。
レイのブログにご興味を持ってくださった方は、体験会やイベントにぜひご参加ください!

学生達の集合写真