Department of Infrastructure, Transport, Regional Development, Communications and the Arts
Tel. | +61 2 6163 7111 |
---|---|
URL | https://www.infrastructure.gov.au/ |
所在地 | Nishi Building, 2 Phillip Law Street, Canberra ACT 2601, AUSTRALIA |
幹部 | Michelle Rowland(通信担当大臣/Minister for Communications) |
DITRDCAは通信、放送分野の政策立案のほか、ブロードバンドの普及や地上デジタル放送への移行等、情報通信の普及・振興に関する施策を実施する。
Australian Communications and Media Authority
Tel. | キャンベラ +61 2 6219 5555 シドニー +61 2 9334 7700 メルボルン +61 3 9963 6800 |
---|---|
URL | https://www.acma.gov.au/ |
所在地 | キャンベラ Level 3, 40 Cameron Avenue, Belconnen ACT 2617, AUSTRALIA シドニー Level 5 The Bay Centre, 65 Pirrama Road, Pyrmont NSW 2009, AUSTRALIA メルボルン Level 32 Melbourne Central Tower, 360 Elizabeth Street, Melbourne, Victoria 3000, AUSTRALIA |
幹部 | Nerida O’Loughlin(長官/Chair) |
2005年7月1日に、オーストラリア通信庁(Australian Communications Authority:ACA)及びオーストラリア放送庁(Australian Broadcasting Authority:ABA)が統合し、通信、放送分野の規制監督機関として設立された。ACMAは以下の事項を所掌する。
Australian Competition and Consumer Commission
Tel. | +61 2 6243 1111 |
---|---|
URL | https://www.accc.gov.au/ |
所在地 | 23 Marcus Clarke Street, Canberra ACT 2601, AUSTRALIA |
幹部 | Anna Brakey(委員長/Commissioner) |
1995年に設立された。「2010年競争・消費者法(Competition and Consumer Act 2010)」及び州・準州における競争規則の執行面での責務を負う。同委員会は、電気通信分野に関しては、料金規制、相互接続、番号ポータビリティ、公正なブロードバンド環境整備等にかかわる事業者の規制・監督を所掌している。
1997年7月に施行された電気通信法は、事業免許の許認可、事業者事前選択、番号計画、技術基準等にかかわる規定で構成される。
また、2020年5月に成立した「2020年電気通信法改正(競争及び消費者)法(Telecommunications Legislation Amendment(Competition and Consumer) Act 2020)」により、超高速ブロードバンド・サービス(有線・無線含む)をユニバーサル・サービスとして提供することを義務付けられた「法定基盤提供者(Statutory Infrastructure Provider:SIP)」が新たに規定された(Ⅲ-3(2)の項参照)。
電気通信事業者に対する競争規定及び電気通信分野における消費者保護基準を規定している。電気通信分野には、第ⅪB章の反競争行為及び記録保持規則、第ⅪC章のアクセス制度等が適用される。
無線通信分野における競争を促進し、周波数管理制度を確立することを目的としている。2021年6月の改正により、周波数及び無線機器免許の期間延長、免許付与に関する意思決定の柔軟化、ACMAによる情報収集権限の強化等が新たに規定された。
「1997年電気通信法」及び「1997年電気通信(ユニバーサル・サービス基金)法」に基づき、消費者保護及びユニバーサル・サービスに関する詳細を規定している。
オーストラリアの電気通信事業者は、「1997年電気通信法」の規定に基づき、「電気通信事業者」と「サービス提供事業者」に分類される。電気通信事業者は通信サービスを提供するためのネットワーク設備を所有している事業者で、ACMAへ申請手続を行い、免許を取得する必要がある。
サービス提供事業者は、更に「搬送サービス事業者(Carriage Service Provider)」と「コンテンツ・サービス事業者(Contents Service Provider)」に分類され、免許は不要である。搬送サービス事業者は、電気通信事業者のネットワーク設備を使用して搬送サービスを提供する者を指し、ISPは搬送サービス事業者に該当する。一方、搬送サービスを利用して上位レイヤのコンテンツを提供する事業者は、コンテンツ・サービス事業者と規定される。
ACCCは、電気通信市場において市場支配力を有する事業者が反競争的行為に及ぶ可能性がある場合には、「2010年競争・消費者法」に基づき、これを規制する。ACCCは、規制の対象となる特定の電気通信サービスを「告示(Declaration)」することにより、告示サービス(Declared Service)のすべての提供者に対し、当該サービスの相互接続を義務付ける。
また、ACCCは「標準アクセス義務(Standard Access Obligation)」として、告示サービスの提供者が同サービスの提供に必要な設備を保有している場合、当該事業者に対して、他事業者からの要請に応じて設備の相互接続を行うことを義務付けることができる。なお、2024年10月現在で、告示サービスは以下の表に示すとおりである。
サービス名 | 発効時点 | 有効期限 |
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超高速ブロードバンド・アクセス・サービス | 2021年7月 | 2026年7月 |
卸売ADSL | 2021年12月 | 2029年6月 |
移動体着信アクセス | 2019年6月 | 2029年6月 |
NBN接続サービス、及び付属サービス、設備アクセス・サービス(NBN Co提供) | 2013年12月 | 2040年6月 |
国内回線容量サービス | 2019年4月 | 2029年3月 |
卸売回線レンタル | 2018年11月 | 2029年6月 |
市内搬送 | 2018年11月 | 2029年6月 |
固定発信アクセス・サービス | 2018年11月 | 2029年6月 |
固定着信アクセス・サービス | 2018年11月 | 2029年6月 |
出所:ACCC「s.152AQ declared services register」
2009年よりネットワーク構築が開始された光ファイバ網「全国ブロードバンド網(National Broadband Network:NBN)」は、2024年9月現在、加入件数が全国で862万件、加入可能な世帯及び事業所は1,248万件に達し、概ね全国カバレッジを達成している。また、FTTH方式での接続が可能な世帯及び事業所は、前年の251万件から399万件と大幅に増加、通信速度1Gbps以上のサービスに接続可能な世帯及び事業所が全体の80%に達しており、ネットワークの高速化が顕著である。
NBNは、政府の100%出資で設立された卸売専業事業者NBN Coが担っているが、前・保守連合政権の下、成立した設立根拠法「2011年NBN公社法(National Broadband Network Companies Act 2011)」では、将来的な民営化が可能となっている。これに対し、現・労働党政権は2024年10月に「2024年NBN公社改正(公的所有の確約)法案(National Broadband Network Companies Amendment(Commitment to Public Ownership)Bill 2024)」を下院議会に提出、NBNが市民生活の改善や生産性の向上に貢献していることを強調し、NBN民営化の可能性を排除する意向を示した。
ユニバーサル・サービス制度は「1999年電気通信(消費者保護及びサービス基準)法」が原則を規定しており、主として支配的事業者であるテルストラ(Telstra)にユニバーサル・サービス義務(Universal Service Obligation:USO)が課されてきた。
「2020年電気通信法改正(競争及び消費者)法」が2020年5月に成立、上り5Mbps/下り25Mbps以上の伝送速度の超高速ブロードバンド・サービス(有線・無線含む)を全国民に提供することを義務付けられた「法定基盤提供者(SIP)」が新たに規定された。SIPには主としてNBN Coが指定されたが、他の事業者もSIPとなることは可能とされた。
また、政府は2018年12月に新たなユニバーサル・サービス制度である「ユニバーサル・サービス保証(Universal Service Guarantee:USG)」を発表、全国民に対してブロードバンドへのアクセスを、通話サービスと同様に保証するものとし、現状のUSOで保証されている固定電話及び公衆電話サービスはルーラル地域、遠隔地域でのみ保証対象となるとした。また、USGではルーラル地域、遠隔地域での通話サービスにテルストラ所有の銅線網を使用するとされたが、DITRDCA は2024年10月に、低軌道衛星を利用した固定通話サービス、並びにNBNが提供する固定無線及び衛星通信による固定通信サービスの信頼性、品質に関するトライアルを実施し、代替手段の検討に着手している。
連邦政府は2022年1月に「2021年オンライン安全法(Online Safety Act 2021)」を施行した。同法は、「ネットいじめ/虐待」「性的画像」「有害/違法コンテンツ」等をオンライン上から削除するための包括的オンライン安全対策法である。
同法は、関係事業者がオンライン安全性を確保するために順守すべき事項を規定する「オンライン上の安全に関する基本的な期待事項(Basic Online Safety Expectations:BOSE)」、オンライン上に拡散した有害/違法情報を削除するための方法を規定した「オンライン・コンテンツ・スキーム(Online Content Scheme)」を中心に構成されており、オンライン安全に関する専門規制機関「eSafetyコミッショナー」がこれらを運用する。
現在、連邦政府は生成AI等の新技術に対して、同法の枠組みを対応させるべく、各種の制度改正を行っており、2024年5月にはBOSEを改正、2023年6月から2024年6月までに事業者もしくはeSafetyが設定する、業種別の有害/違法コンテンツの削除ルールである「産業コード及び標準(Industrial Code/Standard)」が網羅された。
また、連邦政府は子どもたちをオンライン上の危険から確実に保護することを目指し、2024年11月に16歳未満の子どもがソーシャルメディアを利用することを原則禁止する法案「2024年オンライン安全性改正(ソーシャルメディア最低年齢)法案(Online Safety Amendment(Social Media Minimum Age)Bill 2024)」を成立させた。同法案は、プラットフォーム事業者に対して、16歳未満の子どもによるアカウント作成を防ぐために、実効性のある措置を講じることを義務付ける内容を有している。その一方、子どもや保護者に課される義務は規定されていない。なお、教育や健康促進を目的としたサービスについては規制対象外であり、引き続き利用が可能となっている。
電気通信機器の基準認証制度は、「1997年電気通信法」、電磁環境両立性(Electromagnetic Compatibility:EMC)を定めている「1992年無線通信法」及びそれらに基づく告示が規定し、すべての端末機器及び無線設備(放送設備等除く)に対して自己適合宣言制度が適用されている。ただし、技術基準規定がない場合、端末機器に対しては電気通信事業者や機器製造業者の同意又はACMAの接続許可が、無線設備に対しては無線局の許可が必要となる。
NBNの全国普及により、銅線網によるPSTN固定電話が激減している。主な固定電話事業者はテルストラで市場の過半を占める。競合事業者はオプタス(Optus)及びTPGテレコム(TPG Telecom)である。
テルストラ、オプタス及びTPGテレコムの3社が設備を有する移動体通信事業を行っている。また、amaysim等のMVNOが約30社存在している。
SA方式の5Gサービスは、TPGテレコムが2021年7月にシドニーで提供を開始、続いて、オプタスが2022年8月、テルストラが2022年11月に大都市の特定地域で提供を開始している。その一方、TPGテレコムが2024年1月に、テルストラとオプタスが2024年10月に3Gネットワークの運用を終了している。
なお、テルストラとTPGテレコムは2022年5月、マルチオペレータ・コアネットワーク(MOCN)を共用する10年契約を交わす計画を示した。計画は、TPGテレコムが現状保有している地方部の周波数の大部分(国内全人口の約17%をカバー)と、同地域における無線局の利用をテルストラに許可するもので、併せて、TPGテレコムがテルストラ所有の地方部でのインフラを共用し、移動体通信サービスの提供を継続するというものであった。
ACCCは同計画について、2022年12月に市場競争に対する懸念から反対する意向を表明、2023年3月には競争裁判所がACCCを支持する決定を下したため、両社は計画を断念した。
その後、TPGテレコムは2024年4月にオプタスと同様なMOCN契約を締結する計画を表明、ACCCは一転、同計画については反対しないことを決定した。ACCCは、同計画が国内の移動体通信市場に与える影響を慎重に検討した結果、市場競争が悪化する可能性は低いとの見解を示した。また、ACCCはこの契約がTPGテレコムの設備投資を減速させる可能性も低いと判断し、むしろ、テルストラやオプタスと比較して設備基盤が脆弱なTPGテレコムが、郊外地域でのサービス内容を改善することで市場全体の競争に好影響を与えると結論付けている。
固定ブロードバンドの主な提供事業者はテルストラ、TPGテレコム、オプタスである。テルストラが最大の市場シェアを有する。
接続方式別の加入数は、NBNを介する光ファイバ接続が大多数を占める。
Telstra
Tel. | +61 1300 368 387 |
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URL | https://www.telstra.com.au/ |
所在地 | Level 41, 242 Exhibition Street, Melbourne, Victoria 3000, AUSTRALIA |
幹部 | Vicki Brady(最高経営責任者/CEO) |
国内最大手の総合通信事業者である。「2005年テルストラ(完全民営化)法(Telstra (Transition to Full Private Ownership)Act 2005)」により、政府保有株式の完全放出が可能となり、純民営企業へと移行した。
同社は2022年7月にオセアニア島嶼各国で事業を展開するディジセル・パシフィック(Digicel Pacific)を買収した。この買収に際しては、政府がテルストラに対して公的融資を実施し、支援を行った。この政府支援はオセアニア島嶼地域に対する影響力拡大を模索する中国への対応策であると考えられている。
Optus
Tel. | +61 1300 647 635 |
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URL | https://www.optus.com.au/ |
所在地 | Optus Centre Sydney, 1 Lyonpark Road, Macquarie Park, Sydney NSW 2113, AUSTRALIA |
幹部 | Stephen Rue(最高経営責任者/CEO) |
固定及び移動体通信を提供する総合通信事業者である。同時に、通信衛星OPTUSシリーズを運用し、国内の衛星通信及び放送の独占的プラットフォーム事業者である。2001年9月にシンガポールのシンガポール・テレコム(シングテル(SingTel))への売却手続を完了し、シングテルの完全子会社となった。
TPG Telecom
Tel. | +61 2 9964 4646 |
---|---|
URL | https://www.tpgtelecom.com.au/ |
所在地 | Level 24, 200 Barangaroo Ave Sydney NSW 2000, AUSTRALIA |
幹部 | Iñaki Berroeta(最高経営責任者/CEO) |
固定ブロードバンド市場第2位のシェアを有するTPGテレコムと移動体通信市場第3位のシェアを有するボーダフォン・ハチソン・オーストラリア(Vodafone Hutchison Australia:VHA)が2020年7月に合併し、誕生した総合通信事業者である。
事業者名は「TPGテレコム」となるが、新会社に対する持分比率はVHAが50.1%、TPGテレコムが49.9%となる。なお、新生TPGテレコムは、VHAや、旧TPGテレコム等の過去の合併により統合した事業者のブランドを引き続き使用することになる。
Tel. | +61 2 9926 1900 |
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URL | https://www.nbnco.com.au/ |
所在地 | 1)Level 13, 100 Mount Street, North Sydney NSW 2060, AUSTRALIA 2)Tower 5, Level 14, 727 Collins street, Docklands VIC 3008, AUSTRALIA |
幹部 | Philip Knox(暫定最高経営責任者/Interim Chief Executive Officer) |
NBNを建設・運営するために設立された、政府出資によるブロードバンド運営事業者で、通信事業者に向けて、主に光ファイバ接続の卸売サービスを提供する。
また、NBN Coはルーラル地域や遠隔地域では、衛星ブロードバンドやLTE技術を応用した固定無線ブロードバンドも提供しており、地方に住む約40万人の国民に高速ブロードバンド・アクセスを提供することで、デジタル・ディバイドの解消に貢献するとしている。
(通信/Ⅰ-1の項参照)
テレビ・ラジオ分野に関する政策策定及び関連機関への助言提供を所掌する。
(通信/Ⅰ-2の項参照)
テレビ・ラジオ分野に関する視聴者環境の整備、周波数管理、国際的利益の検討を所掌する。
1983年7月に施行され、公共放送であるオーストラリア放送協会(Australian Broadcasting Corporation:ABC)の組織、業務、運営等について規定している。
テレビ放送の多チャンネル化への傾向を踏まえ、放送制度を改革することを目的としたもので、「1942年オーストラリア・ラジオ放送法(Australian Broadcasting Act 1942)」に代わって1992年10月に施行された。同法はデジタルテレビ用免許の交付等の規定を有するほか、クロス・オーナーシップ規制の撤廃や、商業テレビ放送事業者に対する地域コンテンツの提供義務強化等を規定している。
「1992年放送サービス法」により、放送サービス免許の種類は以下の六つに区分されている。
ABCが提供する放送サービス、議会議事放送サービスである。ただし、ABCが行う有料放送サービス、有料・無料専門放送サービスは含まれない。
営利事業者が、広告収入に基づき一般に利用できる機器により受信できる番組を、視聴者に対し無料で提供するサービスである。商業放送の7ネットワーク(Seven Network)、9ネットワーク(Nine Network)、ネットワーク10(Network Ten)等が実施している。
非営利団体が、コミュニティの目的のために、一般に利用できる機器により受信できる番組を、一般公衆に対し無料で提供するサービスである。
視聴者が、契約料金の支払いによってのみ利用できる有料サービス。衛星による有料放送等である。
サービス対象、サービス地域、サービス期間、番組内容のいずれかを限定し、契約料金の支払いによってのみ利用できる有料サービスで、ケーブルテレビや衛星放送等が行っている飲食店やクラブ向けの放送等がある。
教育放送等のサービス対象、サービス地域、サービス期間、番組内容のいずれかが限定されたサービスである。なお、国際放送サービスは本区分に含まれている。
オーストラリア国内の無線通信送信機を使用し、海外に提供されるサービスである。上記の免許分類「商業放送サービス」「コミュニティ放送サービス」「有料放送サービス」の保有者が、本免許を取得することで、サービスの提供が可能となる。
オーストラリアでは2001年1月にDVB-T方式で地上デジタルテレビ放送が開始、2004年1月には全国域での受信が可能となった。アナログ停波は2010年6月より開始され、2013年12月10日に地上デジタル放送への移行が完了した。
また、難視聴地域では2010年より「視聴者アクセス衛星テレビ・サービス(Viewer Access Satellite Television:VAST)」が提供されている。VASTは公共放送及び民間放送について全国一律に番組を提供し、地域報道については、ABC及び少数民族向け公共放送SBSが各州において個別のチャンネルにより提供することが可能である。
「2023年通信法改正(プロミネンス及び反サイフォン制度)法案(Communications Legislation Amendment(Prominence and Anti-siphoning)Bill 2023)」が2024年7月に成立した。同法は、国内の地上テレビ放送番組が国際的な動画コンテンツに淘汰されることを防ぐため、動画配信サービス事業者に対して、これら番組の「再送信義務」を課す内容を含む。
また、同法は「国家的に重要なイベント」の独占放送を禁止する反サイフォン制度の対象に、新たに動画ストリーミング事業者を含めた。法案提出に併せて、改めて反サイフォンリストが提示されたが、リストに記載されたイベントはすべてオリンピックやラグビー、サッカー、クリケット等のスポーツイベントである。
公共放送ABCが20系統の全国放送を実施している。SBSもメルボルン、シドニー等の主要都市を対象に5系統で放送を行っている。
他方、商業放送事業者は多数存在し、広域に放送を実施している代表的事業者にSouthern Cross AustereoやAustralian Radio Networkがある。
ABC、SBSの公共放送事業者2社、7ネットワーク、9ネットワーク、ネットワーク10の商業放送事業者3社が全国向けに各1系統の放送を行っている。
フォクステル(Foxtel)が、DTHとケーブルテレビによる有料放送を行っている。ケーブルテレビはオプタス及びテルストラ所有の同軸ケーブル網によって視聴者に提供されている。フォクステルは競合事業者であったオースター(Austar)を2012年5月に買収し、実質的に有料放送市場の独占事業者となっている。
なお、2024年6月末現在でのフォクステルの有料放送サービス(ストリーミングを除く)加入数は約145万2,000 である。
Australian Broadcasting Corporation
Tel. | +61 139 994 |
---|---|
URL | https://www.abc.net.au/ |
所在地 | ABC Ultimo Centre, 700 Harris Street, Ultimo NSW 2007, AUSTRALIA |
幹部 | David Anderson(代表取締役/Managing Director) |
1932年に設立の公共放送事業者である。「1983年オーストラリア放送協会法」に基づき、組織運営及び放送事業を実施する。受信料制度は1974年に廃止されており、主要財源は政府交付金である。政府交付金の金額は議会で決定され、財務大臣がこれについてABCに対し指示する権限を有する。
Special Broadcasting Service Corporation
Tel. | +61 1800 500 727 |
---|---|
URL | https://www.sbs.com.au/ |
所在地 | Locked Bag 028, Crows Nest NSW 1585, AUSTRALIA |
幹部 | James Taylor(代表取締役/Managing Director) |
少数民族向けの多言語放送を実施する公共事業者である。1980年に設立され、ラジオ及びテレビの全国放送を実施している。財源の85%が政府交付金であるが「1991年特別放送サービス法(Special Broadcasting Service Act 1991)」によって広告収入が認められている。放送時間の半分について、英語以外の言語での放送が義務付けられており、64種以上の言語で放送が実施されている。
Foxtel
Tel. | +61 2 9813 6000 |
---|---|
URL | https://www.foxtel.com.au/ |
所在地 | 5 Thomas Holt Drive, North Ryde NSW 2113, AUSTRALIA |
幹部 | Patrick Delany(最高経営責任者/CEO) |
1995年にテルストラとニューズ・コープ(News Corp)が折半投資で設立した有料放送事業者である。2018年4月にニューズ・コープの100%子会社FOXスポーツ(Fox Sports)を経営統合した結果、両社のフォクステルの持株比率はテルストラが35%、ニューズ・コープが65%となった。2012年5月に唯一の競合事業者であったオースターを買収し、実質的に有料放送市場の独占事業者となっている。なお、ニューズ・コープは2024年12月に保有する全株式をスポーツ専門動画配信事業者DAZNに売却する計画を発表した。
事業者名 | URL |
---|---|
7ネットワーク | https://www.sevenwestmedia.com.au/ |
9ネットワーク | https://www.nineforbrands.com.au/ |
ネットワーク10 | https://10play.com.au/ |
(通信/Ⅰ-1の項参照)
(通信/Ⅰ-2の項参照)
電波監理部門においては、周波数の計画及び管理、無線局免許要件の順守、電波干渉の調査を所掌する。周波数の管理所掌は、ACMA通信基盤局(Communication Infrastructure Division)の傘下の周波数計画エンジニアリング(Spectrum Planning and Engineering)部が主に所掌している。なお、地域事務所は、免許と周波数配分に関する周波数へのアクセス業務、及び電波干渉監視と規制上の各種問題を持ち込む際の窓口となっている。
Standards Australia
Tel. | +61 2 9237 6000 |
---|---|
URL | https://www.standards.org.au/ |
所在地 | Level 10, The Exchange Centre, 20 Bridge Street, Sydney NSW 2001, AUSTRALIA |
幹部 | Tracey Gramlick(会長/Chair) |
1922年に設立されたStandards Association of Australiaが1999年に現在の組織名に変更された。連邦政府の承認を受けて同国の標準化機関という位置付けを得ており、同協会が策定する規格が国家規格となる。国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)、国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission:IEC)及び太平洋地域標準会議(Pacific Area Standards Congress:PASC)において同国を代表する。電気通信規格は、ACMA、オーストラリア通信産業フォーラム(Australian Construction Industry Forum:ACIF)、DITRDCAとの連携の下で制定される。
「1992年無線通信法」の施行により、新たな電波監理機関の導入、技術中立的な周波数免許及びクラス免許の導入、オークション制の導入、新たな技術標準への順応のための柔軟な枠組みを含む市場主導の電波監理制度が導入された。また、1997年の法改正により、周波数再配分の手続の導入、オークションに関する競争原則の設定、健康と安全に関する電磁波基準にかかわる規定等が定められた。周波数の2次取引は、1998年6月に施行された「1998年無線通信(周波数免許取引規則)決定(Radiocommunications(Trading Rules for Spectrum Licences)Determination 1998)」により制度化された。
政府は2020年8月、「1992年無線通信法」の改正法案である「無線通信法改正(改革及び近代化)法案」を議会に提出、同法案は2021年7月に施行された。この改正により、周波数に関する計画、免許、設備に関する規則を簡略化し、特に周波数帯の割当てに関する規制・手続をより円滑にし、政府、ACMA、及び周波数帯使用者の役割を明確にし、安定性の維持に留意しつつ放送用周波数帯を一般の周波数帯と同じ枠組みに移行させ、違反に対する罰則を整備することが可能となった。
ACMAは2021年12月、主として5G使途である850/900MHz帯のオークションを完了。落札総額は20億9,162万AUDで、テルストラが4ロットを6億1,566万AUDで、オプタスが12ロットを14億7,596万AUDで落札した。
オークションの結果、オプタスは獲得可能な900MHz帯の全事業免許を落札。同事業免許は2024年7月から発効し、20年間有効となる。この状況は、迅速な5Gサービス展開を望む他の事業者にとって、競争上の不利を招いており、ACMAはオプタスに対して、特定の地域においてのみ早期のサービス開始を認めるとし、他の事業者とサービスエリアが重複した場合には、先に登録した事業者を優先することを決定した。
一方、テルストラは、2016年以降使用していない、かつて2G使途であった同社が保有する900MHz帯を再利用することを計画。既に登録していた109か所の無線局に、206か所を追加し、合計315か所の登録を申請した。これに対してACCCが、この申請が競合事業者であるオプタスの5G全国展開の妨げになるとして懸念を示した結果、テルストラは153か所の登録申請を取り消している。
ACMAは2023年11月、3.4GHz及び3.7GHz帯のオークション結果を公表した。両周波数帯合計588ロットのうち、574ロットを下記の通信事業者4社が取得し、落札総額は7億2,200万AUDであった。
ACMAによると、3.4GHz帯の新事業免許は間もなく発効し、2030年12月まで有効となる。一方3.7GHz帯免許は2024年初頭から20年間、2044年1月まで有効となる。
国内の周波数分配は、「オーストラリア周波数計画(Australian Radiofrequency Spectrum Plan)」に示されている。現行の計画は2021年版である。同計画は、4年を基準に開催されるITUの世界無線通信会議(World Radiocommunication Conference:WRC)のファイナル・アクト(Final Acts)に対応して、定期的に見直される。