ブラジル連邦共和国(Federative Republic of Brazil)
通信
Ⅰ 監督機関等
1 通信省(MCOM)
Ministry of Communications
| Tel. | +55 61 2027 6706 |
|---|---|
| URL | https://www.gov.br/mcom/pt-br/ |
| 所在地 | Esplanada dos Ministerios, Bloco R CEP 70044-902 Brasilia DF, BRAZIL |
| 幹部 | Juscelino Filho(大臣/Minister) |
所掌事務
ブラジル政府は、2020年、科学技術革新通信省(Ministry of Science, Technology, Innovation and Communications:MCTIC)から分離する形で通信省(Ministry of Communications:MCOM)を設置・復活させた。MCOMは1967年に創設されたが、2016年5月、当時のテメル政権の省庁再編に伴い、MCTICに統合されていた。MCOMは、通信、放送、郵便に関する行政機関として、国家政策の策定を行う。電気通信事業(電波政策を含む)に関する基本政策を策定し、電気通信庁(National Telecommunication Agency:Anatel)の活動を介して電気通信市場の発展を図る。2023年ルーラ政権による省庁再編後も引き続き通信省が通信行政を所掌する。
2 電気通信庁(Anatel)
National Telecommunication Agency
| Tel. | +55 61 2312 2000 |
|---|---|
| URL | https://www.gov.br/anatel/pt-br/ |
| 所在地 | SAUS, Quadra 6, Bloco C,E,F e H CEP 70070-940 Brasilia DF, BRAZIL |
| 幹部 | Carlos Manuel Baigorri(長官/President) |
所掌事務
「1997年一般電気通信法」に基づき、1997年11月に独立規制機関として設立された。MCOMが策定する電気通信事業の基本政策に基づき、電気通信に関する以下の管理・監視業務を所掌し、活動状況をMCOM及び国会に報告する義務を有する。
- 周波数及び衛星軌道の管理
- 電気通信事業者間の紛争処理
- 許認可により事業者間の競争を促進
- 消費者保護
- 料金規制の策定
- 電気通信サービスの開始/廃止勧告
- 電気通信産業の経済的規制 等
Ⅱ 法令
1 1997年一般電気通信法(General Telecommunications Law of 1997、法律第9472号)
同法により、それまで当時の通信省に与えられていた事業免許・許可等の権限の多くがAnatelに移管された。旧国営電気通信事業者テレブラス(Telebras)の民営化や、競争的市場を創出するための諸条件を定めており、電気通信に関する基本法令となっている。主な内容は以下のとおりである。
- 国営電気通信事業者テレブラスの民営化
- 独立規制機関Anatelの創設
- 事業免許、企業統廃合等、通信事業体の構成に関するAnatelの関与
2019年10月、ボルソナロ大統領(当時)が電気通信規則の近代化を目的とした「1997年一般電気通信法」の改正法(法律第13879号)に署名した。概要は以下のとおり。
- 電気通信事業者は公共サービス用事業免許である「コンセッション(concession)」か、または民間事業用免許である「認可(authorization)」を取得するかを選択できる。
- 電気通信事業者は、現行制度で公衆電話や固定電話等のユニバーサルサービスに対して義務付けられている投資を、ブロードバンド等の収益性の高い事業に充てることができる。
- 電気通信事業者が所有する旧国有資産の売却に関する規制を緩和する。
- 移動体通信使途で割り当てられた周波数帯の2次取引を認める。
2 2014年インターネット憲法(Civil Rights Framework for the Internet、法律第12965号)
2014年4月、ネット中立性や表現の自由、個人情報の保護、ネットの安全性・安定性等の保障が明文化された「2014年インターネット憲法」が成立した。同法では、インターネットの中立性に関して、電気通信事業者によるユーザへの料金や接続速度による差別化を禁止するとともに、特定のコンテンツ事業者への有償優遇措置を禁じている。また、通信の秘密が保障されるとともに、通信履歴や個人データの処理に関して透明性や同意が求められている。
3 2018年個人情報保護法(Personal Data Protection Law、法律第13709号)
2020年9月、国全体に適用される包括的データ保護法である「個人情報保護法(Lei Geral de Proteção de Dados:LGPD)」が施行された。LGPDは、2018年に施行された「EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)」をモデルとしており、共通点も多い。電気通信事業者を含むすべての事業者を対象としており、自由及びプライバシーに関する基本的権利(個人情報へのアクセス権、訂正権、アップデート権、削除権、ポータビリティ権、匿名化権、同意の撤回権等)の保護を目的として、個人情報の適切な取扱いを定めたものである(Ⅲ-5の項参照)。
Ⅲ 政策動向
1 免許制度
(1)概要
「1997年一般電気通信法」に基づき、電気通信サービスを提供するには、国家からの権利付与が必要であり、大きく「コンセッション」と「認可」に分類される。「コンセッション」は、国家が直接義務を負う固定電話等の公共サービスを対象としており、継続性や普遍性確保のための要件が課される。一方、より柔軟な形態である「認可」は、事業者の経済合理性による料金設定が可能であり、移動体通信、ブロードバンドサービス、有料放送、付加価値サービスが対象となっている。なお、2019年の同法の改正では、市場競争・設備投資を促進するため、「コンセッション」から「認可」への免許種別の変更を条件付きで認める条項が追加され、制度の簡素化が図られた。
(2)外資規制
2021年8月、企業設立の簡素化、手続の効率化等を目的とした「事業環境法」(法律第14195号)が制定された。同法は一般電気通信法によって義務付けられていた「ブラジル法人による間接投資のみ」という制限を廃止し、行政が外国資本比率を制限する根拠を削除した。これにより電気通信サービス事業者への外国資本の直接投資が認められ、行政手続の簡素化で事業環境が改善された。
2 競争促進政策
(1)相互接続
2025年8月、Anatelは市場競争を強化し投資を促進するための規制枠組「競争目標一般計画PGMC」を承認した。PGMCはブラジル通信市場競争促進政策の土台であり、相互接続規則、卸売サービスへのアクセス、インフラの共有、不公正な市場支配力の防止等を規定している。市場や技術の発展の現状に沿って、数年ごとに内容を更新している。2025年のPGMCの焦点は以下のとおり。
- MVNOの大手キャリアへの過度な依存を防ぐため、長期間の常設ローミングへの対策を強化する。具体的にはMVNO利用者の5%以上が他社ネットワークで90日以上通信サービスを継続して使用している場合、大手キャリア側は、MVNOとの契約を一方的に解除することが可能となる。
- 当初予定されていた接続条件の緩和や卸料金の規制等MVNOを対象とした優遇措置や、通信大手が保有する周波数帯を他社へ開放する政策について、十分な競争が存在するとの理由から撤回する。
なお、電気通信事業者による反競争行為を防止するため、競争当局である、経済擁護行政委員会(CADE)にも裁定権限が与えられており、Anatelの業務を補完している。
(2)卸売提供制度とMVNO政策
「競争目標一般計画(PGMC)」の一環として、電気通信事業者が自社ネットワークを第三者に提供できる仕組みであるEIR(Exploração Industrial de Rede)制度が定義されている。同制度は、市場支配的事業者(SMP)に適用され、これらの事業者は自社のネットワークを、EIRを通じて他の事業者に提供する義務を負う。これにより、MVNOや新規参入事業者も、大手MNOの基地局やコアネットワーク設備を利用できるようになり、市場競争の促進が期待されている。
Anatelの2025年第2四半期の「競争モニタリングレポート」によると、Vivo(テレフォニカ・ブラジル(Telefônica Brasil))、クラロ(Claro(アメリカ・モビル(América Móvil)))、TIMブラジル(TIM Brasil)3社は、国内移動体通信市場全体において95.2%の市場シェアを占めており、現在SMPとして指定されている。
(3)端末流通制度改革
2025年4月、移動電話の認証要件を規定するAnatel決議第14430号が施行され、2Gまたは3Gのみの対応機器の認証が停止された。新規認証における4Gまたは5G対応を義務付けるもので、国内で既に認証・使用されている機器には影響しない。
2025年8月、決議第780号により、電気通信製品の適合性評価及び認証に関する規制が更新された。これにより、オンラインにおける未承認通信機器の流通に関して、プラットフォーム事業者も販売者とともに法的な責任を問われることとなった。また、オンラインでの商品掲載の際、プラットフォーム側にもAnatelの認証コード表示義務等が課される。これまで中古品の再流通先となるリスクを避けるため制限していたリファービッシュ製品(メーカーの修理・点検を経て販売される修理再生品)についても公共利用が目的であれば、条件付きで認証可能となった。
3 情報通信基盤整備政策
(1)ユニバーサルサービス
①達成目標PGMU
1997年電気通信法に基づき、固定電話サービスの全国普及を目的として導入された「ユニバーサル化目標一般計画(PGMU)」がブラジルのユニバーサルサービス政策の柱となっている。PGMUの達成目標は数年ごとに改定され、現状に対応した義務内容を定めている。現在は、2021~2025年までの第5次計画となる「PGMU V」が採択されており、光ファイバ網広帯域インフラ整備を中心として、公立学校のブロードバンド接続、農村地域でのインターネット普及、公衆電話設置義務の段階的廃止等が規定されている。
②ユニバーサルサービス基金
2000年に制定された法律第9.998号(FUST Law)によって電気通信サービス普及基金(Fund for Universalization of Telecommunications Services:FUST)が設立された。これにより、電気通信事業者は通信事業収入の1%を同基金へ拠出することが義務付けられ、同基金の財源となっている。2020年の改正により、従来の固定電話サービス中心だった対象は、ブロードバンドやインフラ開発等幅広いユニバーサルサービス政策にも利用可能となり、より効率的な配分方法が導入された。
(2)通信関連基金(FUST/FISTEL/FUNTTEL)
ブラジルでは、上記のユニバーサルサービス基金(FUST)のほか、通信業界固有の基金が二つ、合計三つの基金が存在する。
- ①通信監査基金(Telecommunications Supervision Fund:FISTEL):通信サービス及び周波数利用に関する監督、規制、検査活動を支援。無線通信基地局新設ごとに課税される導入監査税(Installation Inspection Fee:TFI)及びすべての無線通信基地局に年間課される運用監査税(Operation Inspection Fee:TFF)等が財源である。
- ②通信技術開発基金(Telecommunications Technology Development Fund:FUNTTEL):通信産業における研究開発やイノベーション促進を目的としている。財源は、電気通信事業者が拠出するサービスの総売上の0.5%。
Anatelは2023年9月、電気通信事業者に対するこれらの税制による負担を軽減するための調査を開始。同国の通信関連税が他国と比して相対的に高額であるだけでなく、その計算方法と複雑な管理が、Anatelにとっても負担であるとしている。
(3)デジタルディバイド解消
①アマゾン地域の通信インフラ整備
政府は2021年、アマゾン地域における高速光ファイバ網の敷設と公共機関への接続を目的とした、「政令第10800号」を公布し、政策枠組である「持続可能なアマゾン統合プログラム(PAIS)」を策定。PAISの中心プロジェクトである「Norte Conectado」では、13億BRLを投資し、アマゾン川の川底に総延長約1万2,000kmの8本の光ファイバ網を整備し、約1,000万人をカバー、最大6,800万本の樹木を保護する計画である。アマゾン川に沿って敷設される光ファイバ幹線網は「インフォビア(Infovia)」と総称され、それぞれのルートには「インフォビア01」から「インフォビア08」までの番号が付与されている。既に完成しているルートもあるが、2025年9月現在も、複数のインフォビアにおける各フェーズの作業が進行中である。
②ConectaBRプログラム
2023年10月、MCOMは、モバイルブロードバンドの品質及びカバレッジを改善し、地域格差是正を目的とした「ConectaBRプログラム」を発表。ルーラル地域や低所得者層地域の地域格差是正への取組みを強化した内容で、4G下り通信速度10Mbps、5G下り100Mbps、カバレッジ95%を基準として設定している。また、衛星通信や固定無線アクセス(FWA)を含むカバレッジ拡大策を提示している。
③リバースオークション
「リバースオークション」は、農村地域の通信格差是正を目的とした施策で、入札事業者が最も低い費用で4G/5Gを整備できる条件を提示し、その結果をもとに落札者を決定するシステムである。2024年10月実施の第1回リバースオークションでは、Brisanet、Vivo、Sercomtelの3社が最安値で落札。90日以内に基地局展開を完了することが義務付けられており、2025年1月に稼動している。2025年3月実施の第2回リバースオークションでは、Brisanet、Ligga、iez! Telecom、Unifiqueが落札している。この2回のオークションの対象は地方自治体や未接続地区に光回線や4G/5G接続を提供する契約。地域限定の競争入札であるため、中小事業者も参入可能であり、市場競争促進効果が見込まれている。
(4)国家ブロードバンド政策
Anatelは、2025年度版「電気通信ネットワーク構造計画(PERT)」を公表した。同計画は官民連携による国内ブロードバンド接続拡充を目的として、国内通信インフラの現状について総合的な評価を実施するもので、ブロードバンドアクセス拡充に向けた公共政策立案のガイドラインとして位置付けられている。PERTが最初に策定された2019年以降、毎年、最新のデータや情報を反映させた見直し作業を実施。従来のPERTは、ネットワークの現状把握が中心であったが、今年度は、国際電気通信連合(ITU)がデジタル格差是正のために提唱している「普遍的かつ意味のある接続Universal and Meaningful Connectivity(UMC)」を新たな基準として、学校・農村・コミュニティの接続を焦点とする包括的な内容となっており、公共政策の中核戦略としている。PERTが公表した2024年第4四半期の主なデータは以下のとおり。
- バックホール網光回線接続:市町村カバレッジ76.5%、人口カバレッジ94.3%。1,207の自治体が未接続。
- 4G接続:市町村カバレッジ100%、道路カバレッジ49.8%、非中心地域2万1,525の自治体のうち1万3,602の自治体で4G以上が利用可能であり、7,923の自治体は未整備。
- 5G接続:812の自治体で整備済み、人口カバレッジ78%。
- 固定ブロードバンド通信速度:平均447Mbps、バックホール整備地域の光回線利用率98.2%。一方、光ファイバ未整備地域の42.5%が100Mbps以下であった。
4 ICT政策
(1)サイバーセキュリティ
①R-Cyber規制
2020年末、Anatelは「電気通信セクターに適用されるサイバーセキュリティ規制(R-Cyber)」を決議第740号で承認。同規制は、通信インフラの保護、インシデント対応、データの安全性確保等、通信分野に特化したセキュリティ促進のためのガイドライン及び手続を規定している。2024年、決議第767号によりR-Cyberは改正され、国際海底ケーブル事業者、移動体通信事業者、大規模卸通信事業者を事前規制対象として拡大したほか、すべての電気通信事業者に対して、データ保護庁に加えて、Anatelへもセキュリティインシデント報告を義務付ける等、内容が強化された。
②国家サイバーセキュリティ委員会の設立
2023年12月、「政令第11856号」公布によって、国家サイバーセキュリティ政策(PNCiber)が改定され、国家サイバーセキュリティ委員会(CNCiber)が制定された。同政令は、国家主権によるガイドライン、監督、戦略設計、政策調整を担う枠組み、及びCNCiberの役割と構成を規定している。CNCiberは、政府によって任命された政府・市民・学術・産業界の代表者らで構成されており、Anatelも参加し、R-Cyber規制との整合が図られている。毎年10月には市民の意識向上のために「CyberSafe October」キャンペーンが実施されている。
(2)AI
①AI国家戦略
科学技術イノベーション省(MCTI)は2021年4月、長期的な国家基本方針である「ブラジルAI戦略(EBIA)」を発表。同戦略はOECD等の国際基準に沿った倫理的かつ責任あるAI導入を強調し、競争力・イノベーション推進、大学・研究機関の支援、教育と人材育成、規制整備等幅広い分野を対象としている。2024年7月には政府が、EBIAを実現するために約230億BRLの大規模投資を行う具体的施策である「ブラジルAI計画2024~2028」を発表。五つの戦略的柱と54の具体的行動で構成されている。再生エネルギーを利用したスーパーコンピュータを装備したインフラの導入、国内データを活用したポルトガル語の高度なLLMの開発、主権クラウド整備、公共サービスの効率化及びビジネスイノベーションへのAI活用等が挙げられた。
②AI法案(PL 2338/2023)
2025年9月現在、国内ではAIに特化した連邦法は制定されていない。2023年にブラジル上院で可決されたAI法案は、現在下院で審議中である。国際ベストプラクティスとしてEUの「AI法」の影響を強く受けており、リスクベース、供給チェーン全体でのコンプライアンスを柱とした規制導入が検討されている。AnatelはAI規制モデルについて、単一集中型ではなく、各分野の規制機関の専門性や権限を尊重した、協調型モデルの採用を提案。正当な理由がある場合に限り、規則の適用除外を各規制機関に認める柔軟性のあるアプローチを提案している。
5 消費者保護政策
(1)プライバシー保護
2020年9月、「個人情報保護法(LGPD)」が施行された。LGPDは、企業や公的機関が国民の個人情報を収集するに当たり明示的に本人の同意を得ることや、収集した個人情報に関して当人がアクセスする権利、修正や削除を要請する権利を規定している。また、より高い保護水準を定めた「センシティブデータ」というカテゴリーを設け、人種、民族、思想信条、宗教観、健康状態等に関する情報については、本人の明示的な同意がない限り、商用に用いることを禁じている。個人情報の国外転送に関しては、転送先の国がブラジルと同等レベルの個人情報保護法制を有しているか、事業者が同等レベルの保護を保障する場合にのみ認められる。監督機関は国家データ保護局(ANPD)で、法令を順守しない企業に対しては、年間売上額の2%、または5,000万BRLのいずれか低い方の課徴金が課される制裁措置が設定されている。
(2)通信サービスにおける消費者権利
Anatelは2014年3月、通信分野における透明性向上と消費者権利保護を目的とした「電気通信サービス消費者権利一般規則(RGC)」(決議第632号)を承認。2025年9月1日、改訂版RGCが施行された。同改定は通信サービスプロバイダと消費者間における規定を明確化し、透明性を高めるとともに、より利用しやすいサービスの提供を目的としている。また、監視メカニズムの強化、障害発生時における消費者保護の拡大、より迅速な補償の実施等が盛り込まれている。改訂版RGCの主な変更点は以下のとおり。
- サービスの特徴を簡潔に説明する「標準ラベル(Standard Label)」の導入
- 契約開始から12か月以内の料金変更の禁止
- 契約終了時におけるサービス移行に関する透明性の確保
- 支払遅延時におけるサービス提供の明確化及び消費者の選択権確保
- 新しい消費者向け専用ページをポータル上に開設し、改訂版RGC、消費者権利、苦情対応窓口等に関する情報へのアクセスを拡大
Ⅳ 関連技術の動向
基準認証制度
無線機器の基準認証は、「電気通信機器の基準認証及び適合証明にかかわる規則(附則、決定第242/2000号)」に基づき、Anatelが所掌している。Anatelは、基準認証証明機関(Designated Certification Organization:OCD)を指定し、検査及び証明書の発行等の業務を委託している。輸入される機器も、OCDの証明を受ける必要がある。認証の申請はブラジル籍の代理人または代表者に限られる。また、OCDは認証を受けた製品の市場での適合性の監視も所掌し、サンプリング調査等を実施している。Anatelは認証機器を以下の3種類に分類し、認証された機器にはAnatelマークが付される。カテゴリーⅠ:電気通信端末機器、カテゴリーⅡ:無線通信機器、カテゴリーⅢ:その他通信装置である。また、Anatelは2002年に規則を変更して、認証のための試験は、ブラジルでの試験が不可能な機器を除いて、ブラジル国内の認定試験機関が実施する必要があるとの条件を付している。承認を受けた機器の情報はAnatelのウェブサイト上で公開される。
Ⅴ 事業の現状
1 固定電話
ブラジルの固定電話回線数は過去10年で50%以上減少し、過去5年間で減少幅は加速している。2024年末時点での市場シェアは、クラロが約30%でトップ、VivoとOiが20%台、TIMブラジルが数パーセント台の順である。固定電話市場が縮小している主な要因は以下のとおり。
- 移動電話の普及により音声通話の大半が無制限通話プランやVoIP等モバイル端末経由となった。
- WhatsApp、Telegram、Zoom等OTTサービスの音声・ビデオ通話が主流となっており、特にブラジルはWhatsApp利用率が高い。
2 移動体通信
(1)主要3社による市場支配
2024年末現在、ブラジルの移動電話契約数は約2億1,600万で、普及率は101.9%。ラテンアメリカ平均の117%より低い水準となっている。市場シェアは、Vivoがトップで、クラロ、TIMブラジルの順である。地域事業者のAlgar Telecomのシェアは1%未満にとどまる。
2022年4月、国内モバイル市場では大きな再編が行われた。経営破綻したOiが債務返済の一環として移動体通信部門を売却。これを主要3社が取引総額159億BRLで分割取得した。TIMブラジル、Vivo、クラロはOiの加入者及び基地局を取り込むことで市場シェアを拡大し、3社による寡占化が強化される結果となった。
(2)5G展開状況
Anatelは2025年5月に「2024年年次経営報告書」を公表。その中で5G展開の前倒し、飛躍的拡大について以下のように報告している。
- 2024年末時点で、748の自治体に5G基地局が設置済み
- 5G基地局数は全国で約3万に達し、2025年首都圏整備目標を前倒しで達成
- 3,400万人が5G対応機器を保有、5G利用が可能
- 全国5,570の市区町村で3.5GHz帯の5G SAが導入可能
3 インターネット
(1)概況
Anatelの2024年の年次経営報告書によると、ブラジル全体の電気通信サービスにおいて、固定ブロードバンドが前年比6.9%増と最も高い伸びを記録。主力技術は、光ファイバ(FTTH)76.2%、ケーブル(HFC)16.3%、DSL 1.8%、衛星接続約1%となっている。同市場は大手事業者による競争が激しく、上位ISP 3社が市場の40%以上を支配。2024年末時点の市場シェアはクラロが首位、Vivo、Oiの順となっている。
(2)小規模ISPの役割
ブラジルの固定ブロードバンド市場構造は非常に分散しており、1万社以上のISPが存在、その大部分が市場シェア5%未満の小規模事業者となっている。小規模ISPは大手によるサービスが不十分である遠隔地等の自治体を中心にサービスを提供しており、地方におけるFTTH拡大に貢献している。近年、Anatelが小規模ISPの市場参入を支援する優遇措置を設けたこともあり、同ISPは成長傾向にある。その結果、地域系FTTH事業者間の合併・買収が活発化しており、大手事業者に対する圧力となり、市場競争が促進されている。
Ⅵ 運営体
1 Telecomunicacoes Brasileiras(Telebras)
| Tel. | +55 61 20271000 |
|---|---|
| URL | https://www.telebras.com.br |
| 所在地 | SIG Quadra 04 Bloco A, Salas 201, 202, 214 a 224 Edificio Capital Financial Center Brasilia, DF 70610-440 |
| 幹部 | André Leandro Magalhães(最高経営責任者/CEO) |
概要
1972年に設立された同社は国営の独占電話事業者であったが、1998年7月に分割・民営化され、長距離通信のEmbratel、三つの地域固定電話会社、八つの移動体通信会社に再編され、民間に売却された。しかし、2010年に政府主導のブロードバンドインフラ整備を担う国営企業として再編され、再始動している。
同社は2025年現在、政府が過半数株式を保有する株式会社でありながら、政府機関のような役割も担っている。約3万kmの光ファイバ網を保有・運用しており、全国をカバーする通信衛星を活用し、非採算地域である遠隔地や貧困地域への通信提供も担っている。
2 Oi
| Tel. | +55 21 3131 2918 |
|---|---|
| URL | https://www.oi.com.br/ |
| 所在地 | Rua Humberto de Campos 425, Leblon, Rio de Janeiro RJ 22430-190, BRAZIL |
| 幹部 | Marcelo José Milliet(最高経営責任者/CEO) |
概要
国営電気通信公社テレブラスの分割により誕生した地域会社の一つである、TelemarがOiの母体となる。2016年、Oiがリオデジャネイロ州の裁判所に、同社及び子会社6社の司法保護申請による会社更生手続の適用を申請。負債総額は654億BRLとなり、国内史上最大規模の破たんとなった。多額の債務を抱えるに至った背景には、経営戦略の誤り、急速な市場変化、経済環境の悪化等、複合的な要因が指摘されている。
2025年現在、移動体通信基地局や不動産資産売却による負債削減のほか、ブロードバンド部門を別ブランドに再編する等FTTH事業強化が進められている。それでもなお多額の債務を抱えており、依然として危機的局面にあるとされている。またAnatelは2024年7月、Oiに対して、これまでの固定電話サービス事業免許である「コンセッション」から「認可」モデルへ移行することを承認。これにより、ユニバーサルサービス義務等の規制から解放され、収益性の高い光ファイバや企業向けサービスへの集中投資等、柔軟な事業展開が可能になるため、再建計画が大きく前進すると期待されている。
3 テレフォニカ・ブラジル(Vivo)
Telefónica Brazil
| Tel. | +55 11 3549 7200 |
|---|---|
| URL | https://www.vivo.com.br |
| 所在地 | Rua Martiniano de Carvalho 851-17 andar Sao Paulo 01321-000 BRAZIL |
| 幹部 | Christian Gebara(最高経営責任者/CEO) |
概要
移動体通信事業Vivo Participaçõesは2002年、ポルトガル・テレコムとスペインのテレフォニカが折半出資する合弁会社Brasilcelの下で、複数のブラジル移動体通信事業者を統合して誕生。2006年にはAnatelの承認を得て、複数子会社を再編しVivo SPに統合。2011年3月、合弁企業のパートナーであるポルトガル・テレコムからブラジルの移動体通信事業Vivo Participaçõesの50%の株式を買収。2012年4月、固定通信と移動体通信を統合したブランド再構築戦略の一環として、「Vivo」に統一した。
4 その他の主な事業者
| 事業者 | URL | 出資組織 |
|---|---|---|
| クラロ | https://www.claro.com.br/ | アメリカ・モビル:99.6% |
| TIMブラジル | https://www.tim.com.br/ | テレコム・イタリア:67% |
| アルガー・テレコム | https://www.algartelecom.com.br/ | アルガーグループ:75% |
放送
Ⅰ 監督機関等
1 通信省(MCOM)
(通信/Ⅰ-1の項参照)
放送行政は通信省(MCOM)の所管。MCOM内の放送事業局(Secretariat of Broadcasting:SERAD)が一般的な放送免許制度や技術規制を所掌。ただし、公共放送機関EBC(Empresa Brasil de Comunicação)の監督については、社会コミュニケーション局(Special Secretariat for Social Communications:Secom)傘下で行っており、二重構造になっている。Secomは、2023年1月のルーラ新政権の発足に伴い、MCOMから分離し、大統領府傘下へ移管されている。
2 電気通信庁(Anatel)
(通信/Ⅰ-2の項参照)
通信、インターネット、ケーブルテレビの規制監督を行う、連邦政府から独立した機関である。放送分野に関しては主に周波数割当及び事業免許の発行等を所掌している。
3 国家映画庁(Ancine)
国家映画庁(Agência Nacional do Cinema:Ancine)は、文化省に属する連邦政府の規制機関で2001年に設立された。映画及び視聴覚産業の振興、規制、監督を所掌する。放送政策においてコンテンツ面では関与するが、技術、周波数、免許には関与しない。国内視聴覚産業プロジェクトの開発、制作、配給、展示等の活動支援を目的とした連邦基金であるオーディオビジュアル・セクター・ファンド(Fundo Setorial do Audiovisual:FSA)の管理及び運営も行っている。
Ⅱ 法令
1 1962年ブラジル電気通信法(CBT、法律第4117号)
1990年代に通信分野の民営化が進み、1997年一般電気通信法(LGT)制定によってCBTの条項の多くは廃止されたが、放送分野に関しては倫理、公共性、外国資本制限等規制面で1962年法の公共性原則の効力が現在も残っている。
2 2008年公共放送法(法律第11652号)
公共放送制度を整備するための法律。国営公共放送会社EBCの設立を規定。2017年3月、同法の一部改正(法律第13417号)が行われ、EBC会長の罷免権が大統領に移管された。これによりEBCに対する大統領の影響力が拡大した。
3 2011年有料テレビ法(Servico de Acesso Condicionado:SeAC、法律第12485号)
2011年9月、「1995年ケーブルテレビ法(法律第8977号)」に代わり「2011年有料テレビ法(法律第12485号)」が成立した。主な内容は以下のとおり。
- バリューチェーンの明確化:有料テレビサービスのバリューチェーンを、制作、プログラミング、パッケージング、配信の4段階に分類。Ancineはプログラミング及びパッケージングを所掌。Anatelは配信を監督する。
- 外資規制の緩和:ケーブルテレビ事業者に対する外国資本49%の上限を撤廃。
- クロスオーナーシップ規制:電気通信事業者が作品制作のプロデューサー及びプログラマーの30%以上所有することを禁じる。
- 映画産業開発税の拡大:映画及び視聴覚産業の発展を目的とした、映画産業開発税(CONDECINE)の課税対象が有料テレビ事業者にも拡大された。
Ⅲ 政策動向
1 免許制度
外資規制
地上テレビ・ラジオ放送への外資の参入は2002年まで禁止されていたが、同年5月、政府は、国内に現地法人を持つ事業者が放送事業者の株式を30%まで保有することを認める決定を下した。ただし、「1962年ブラジル電気通信法」に基づき放送事業の代表者、編成責任者はブラジル国籍を有する者に限定される。なお、ケーブルテレビ事業への外資の出資比率はこれまで上限が49%に制限されていたが、「2011年有料テレビ法」で上限が撤廃された。
2 コンテンツ規制
「2011年有料テレビ法」は、国内における独立した視聴覚コンテンツ制作の奨励を目的としており、地上無料放送と有料放送の両方で、午後6時から午前0時までのプライムタイムにおいて、週最低3時間半は国内制作番組を放送することを義務付けている。更にそのうち半数をテレビ局以外の独立した制作会社によるものと規定している。有料テレビによるパッケージ枠では、2チャンネル以上、1日に12時間以上の国産視聴覚コンテンツの提供が義務付けられている。
3 地上デジタル放送
(1)700MHz帯の開放
ブラジル政府は、2007年12月に地上デジタルテレビへの切替えを開始した。2013年には、デジタルテレビへの移行を加速するため、700MHz帯開放を目的とした省令を発令し、移動体通信サービス用への転用を進めるほか、低所得者向けにデジタルテレビ用セットトップボックスを配布する等の措置を実施した。2025年12月30日、ブラジル政府は75年以上にわたり家庭に普及してきたアナログテレビ放送を完全に終了し、全国で100%デジタル放送への移行を達成したと発表した。
(2)新放送規格「TV3.0」
ルーラ大統領は2025年8月、「TV3.0(ブランド名:DTV+)」を次世代地上デジタル放送規格として正式に採用する大統領令に署名した。ブラジルではこれまで、ISDB-T国際規格をベースとした独自の方式であるSBTVD(Sistema Brasileiro de Televisão Digital)を使用してきた。これに対して、標準化団体「ブラジル地上デジタルテレビ・システム・フォーラム」が次世代地上デジタルテレビ規格として「TV3.0」を提唱し、主に米国や韓国で導入されているATSC3.0技術の採用を推奨した。TV3.0は全国同時ではなく、リオデジャネイロとサンパウロでの試験放送を経て、大都市から段階的に導入される。商用サービスは2026年のFIFAワールドカップ開催に合わせて開始される予定である。
Ⅳ 事業の現状
1 ラジオ
Anatel 及びMCOMによると、2024年末~2025年初頭における、認可を受け、稼動中のFM放送局は3,486局、AM放送局は297局。デジタル放送への移行のため、AM局のFM帯域への移行が政策上の優先事項となっている。周波数不足の解消や音質改善を目的として、地上放送に使用されていた76-88MHz帯がFM放送用途に再活用される「eFM(Extended FM)」制度が導入され、FM局の帯域は76-107.9MHzまで拡大された。
2 テレビ
(1)無料地上テレビ
インフラ普及率やアクセス性等の観点から、無料地上テレビはブラジルにおいて依然として主な視聴メディアであり、新放送規格「TV3.0」導入で品質やサービス性の向上が見込まれている。しかし、視聴時間や影響力は、ストリーミングやモバイル視聴の増加により低下傾向にある。Anatelの2024年末~2025年初頭のデータによると、番組制作を行うテレビ放送基幹局(GTVD)数535局、デジタルテレビの再送信局(RTVD)約1万3,700局が運用されている。
- 商業放送:ブラジルのテレビ市場は非常に集中しており、2024~2025年のデータによると、TV Globo、SBT、Record、Bandの4大ネットワークが、国民のテレビ視聴率の70%以上を占めている。特にTV Globoは突出しており、約36.9%のシェアを占めている。
- 公共放送:公共放送機関EBCの傘下であるTVブラジル(TV Brasil)は、国土の約90%をカバー。その他の公共放送として、サンパウロ州運営TV Cultura、教育省運営TV Escola等がある。公共放送の番組は、商用地上テレビ、ケーブルテレビ、衛星放送等でも再送信されている。
(2)有料テレビ(衛星放送及びCATV)
Anatelによると、2025年7月の有料テレビ契約数は、約810万であった。
有料テレビ市場シェアは、クラロ53.7%、スカイ・ブラジル(Sky Brazil)27.7%、TIMブラジル9.2%。アクセス手段は衛星が48.5%、ケーブル38.6%、光回線12.8%となっている。有料テレビ業界も、OTTサービスとの競争に直面しており、加入数・収益ともに継続的に縮小している。
3 OTTによる動画配信サービス
2024年の有料ストリーミングサービス利用世帯数は、TV所有世帯の約43.4%に当たる3,270万、2023年比で約150万増となった。2015年以降、ブラジルではOTTによる動画配信サービスが飛躍的に増加しており、視聴覚産業に大きな影響を及ぼしている。Netflix加入者数は約2,060万、国内オンライン動画加入市場シェアの約30%を占めている。次にAmazon Prime Video、Globoplay等が続く。ブラジルにおいてOTTは、規制上「通信」や「放送」には該当せず、付加価値サービスとして分類されている。しかし現実には、番組制作から配信に至るまで従来のテレビ局や有料テレビ事業者と同様の機能を担っているにもかかわらず、クロスオーナーシップ規制の適用対象外とされている。その結果、公正な競争環境の確保が難しいといった課題が浮き彫りになっている。国内コンテンツ市場では、OTT、スマートTV、クロスメディア動画の普及により、消費者の視聴形態が一層多様化している。
一方で、電気通信及び放送分野の規制枠組は複雑で、複数の当局がそれぞれ直接または間接的に異なる権限を有している。このような状況に対応するため、現在、包括的な法改正が検討されている。
Ⅴ 運営体
1 ブラジル・コミュニケーション会社(EBC)
Empresa Brasil de Comunicação
| URL | https://www.ebc.com.br/ |
|---|---|
| 幹部 | André Basbaum(Chief Executive Officer) |
概要
EBCは2007年に設立された公共放送機関である(Ⅱ-2の項参照)。大統領府の社会コミュニケーション局(Secom)が所管。EBCの財源は、政府交付金、広告料、寄付金、電気通信事業者の負担金で賄われ、受信料制度はない。多様な公的機関と提携し、テレビとラジオの公共・教育・文化系の放送局を結ぶネットワーク「全国公共放送ネットワーク(RNCP)」を主導し、全国規模で公共放送を強化に取り組んでいる。2024年、RNCPはテレビ126局、ラジオ162局で構成されており、2,548の自治体でテレビ網、188の都市でラジオ網を提供している。
2 TV Globo
| URL | https://grupoglobo.globo.com/ |
|---|---|
| 幹部 | João Roberto Marinho(会長/President of the Board) |
概要
ブラジルのメディア複合企業グローボ・グループ(Grupo Globo)が所有する地上テレビ放送事業者で、ラテンアメリカ最大の放送事業者である。本拠地はリオデジャネイロで、1965年創業。地上テレビ放送は、五つの直営局及び122の系列局で、国土の98%以上をカバーしている。番組制作は高品質ドラマである「テレノベラ」、報道番組、大型スポーツ中継等、ゴールデンタイムに強い。メキシコのテレビサ(Televisa)に次ぐ制作本数を誇っており、中南米をはじめ、世界各国の放送事業者に番組販売を行っている。TVのほか、ラジオ、オンラインメディア、出版事業等を多角的に所有。
電波
Ⅰ 監督機関等
1 監督機関
(1)通信省(MCOM)
2020年7月、MCTIC(当時)から分離する形でMCOMが復活した。
(通信/Ⅰ-1の項参照)
(2)電気通信庁(Anatel)
(通信/Ⅰ-2の項参照)
Anatel傘下のCBC-2は無線通信・電波に関する技術基準、周波数の管理、国際的な調整の場として機能しており、国際フォーラム等でブラジルの立場を整える役割を持つ。
「1997年一般電気通信法」に基づき、MCOMが策定する電気通信事業の基本政策の下に、周波数及び無線局を含む電気通信に関する管理・監視業務を所掌し、活動状況をMCOM及び国会に報告することになっている。なお、周波数オークションの価格設定については、連邦会計裁判所(TCU)による監査が必要となる。
2 標準化機関
ブラジル規格協会(ABNT)
Brazilian Association of Technical Standards
| Tel. | +55 11 3017 3600 |
|---|---|
| URL | http://www.abnt.org.br/ |
| 所在地 | Rua Conselheiro Nebias, 1.131 - Campos Eliseos - SP -01203-002 São Paulo, SP, BRAZIL |
| 幹部 | Mario William Esper(会長/President) |
所掌事務
1940年設立。ブラジルを代表する標準化機関として国際的に認められた民間非営利団体であり、国際標準化機構(International Organiztion for Standarization:ISO)、国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission:IEC)、アメリカ標準化委員会(Pan American Standard Commission:COPANT)、メルコスール標準化団体(Mercosur Association of Standardization:AMN)、国際試験所認定協力機構(International Laboratory Accreditation Cooperation:ILAC)等の標準化業務を所掌している。
Ⅱ 電波監理政策の動向
1 電波監理政策の概要
Anatelが独立規制機関として、「1997年一般電気通信法(LGT)」に則った電波監理を実施。電気通信分野だけでなく、放送及び有料テレビ分野における周波数オークション計画を含む周波数管理の責任を負う。2年ごとに「ブラジル周波数帯の割当て・配分・分配計画(PDFF)」を見直すことが定められている。放送サービスの周波数割当手続については、MCTI、議会、大統領等からの承認も必要となる。
2 無線局免許制度
(1)免許手続等
周波数の使用認可に関する規定は、「1997年一般電気通信法(LGT)」第163~169条及び「周波数使用規則」の「決議第671/2016号(2016年11月3日)」に定められている。周波数利用手続、事業免許の種類及び要件、割当手続、周波数オークション規則等を規定している。2019年10月に実施された「LGT改正法(法律第13879号)」により、それまで主流であった固定電話等を対象とした「コンセッション」方式から、より柔軟な「認可」方式へ移行が可能となり、周波数使用の枠組みも市場原理を取り入れたオークション方式が基本となった。
(2)5G用マルチバンド周波数オークション
2021年11月、ブラジル史上最大規模となる700MHz帯/2.3GHz帯/3.5GHz帯/26GHz帯5G用周波数オークションが実施された。20年間有効の事業免許に対して総落札額は約470億BRLであった。5Gオークションは、国庫収入の確保を主目的とせず、全国的なインフラ整備を推進するための政策的手段として設計されている点が特徴である。落札事業者は、対価を現金で納めるか、あるいは公共投資として充当するかを選択できる仕組みとなっており、実際には約9割の事業者が公共投資を選択した。その結果、国の直接的な財政収入は限定的となっている。
落札事業者に対する主な要件は以下のとおり。
①3.5GHz帯:
- 5Gパイオニアバンド。2022年までに主要都市で5G SAを開始する。
- 政府向けのプライベート通信ネットワークを構築する。
- 光ファイバによるバックホール整備
- 持続可能なアマゾン統合プログラム(PAIS)を実施する。
②2.3GHz帯:4G未提供の人口600人以上の都市や自治体に通信サービスを提供する。
③700MHz帯:主に4G補完のための帯域。地方自治体及び高速道路で音声・データサービスを提供する。
④26GHz帯:全国の公立学校における高速インターネットの整備。
落札結果は、Vivo、クラロ、TIMブラジルが、主要帯域である3.5GHz帯を獲得。Brisanet、Algar、Winity等新規事業者も参入した。
Ⅲ 周波数分配状況
「周波数利用規則」第2章第158条により、Anatelが周波数分配表を策定、公表している。「ブラジル周波数帯の割当て・配分・分配計画(PDFF)」(2025~2026年版)を掲載しているURLは以下のとおり。
- https://anvisalegis.datalegis.net/action/ActionDatalegis.php?acao=detalharAto &cod_menu=9486&cod_modulo=644&desItem=&desItemFim=&nomeTitulo=codigos&numeroAto=00000772&orgao=CD%2FANATEL%2FMCOM&seqAto=000&tipo=RES&valorAno=2025&