ブラジル連邦共和国 (Federative Republic of Brazil)

通信

Ⅰ 監督機関等

1 通信省

Ministry of Communications

Tel. +55 61 2027 5530/
URL https://www.gov.br/mcom/pt-br/
所在地

Esplanada dos Ministerios, Bloco R CEP 70044-902

Brasilia DF, BRAZIL

幹部 Fábio Faria(大臣/Minister)
所掌事務

ブラジル政府は、2020年7月10日、科学技術革新通信省(Ministry of Science, Technology, Innovation and Communications:MCTIC)から分離する形で通信省を設置・復活させた。通信省は1967年に創設されたが、2016年5月の当時のテルメ政権の省庁再編に伴い、MCTICに統合された。通信省は、通信、放送、郵便に関する行政機関として、国家政策の策定を行う。電気通信事業(電波政策を含む)に関する基本政策を策定し、電気通信庁(National Telecommunication Agency:Anatel)の活動を介して電気通信市場の発展を図る。

2 電気通信庁(Anatel)

National Telecommunication Agency

Tel. +55 61 2312 2000
URL https://www.gov.br/anatel/pt-br/
所在地

SAUS, Quadra 6, Bloco C,E,F e H CEP 70070-940

Brasilia DF, BRAZIL

幹部 Leonardo Euler de Morais(長官/President)
所掌事務

「1997年一般電気通信法」に基づき、1997年11月に独立規制機関として設立された。通信省が策定する電気通信事業の基本政策に基づき、電気通信に関する以下の管理・監視業務を所掌し、活動状況を通信省及び国会に報告する義務を有する。

Ⅱ 法令

1 1997年一般電気通信法(General Telecommunications Law of 1997、法律第9.472号)

同法により、それまで当時の通信省に与えられていた事業免許・許可等の権限のほとんどがAnatelに移管された。旧国営通信事業者テレブラス(Telebras)の民営化や、競争的市場を創出するための諸条件を定めており、電気通信に関する基本法令となっている。主な内容は以下のとおりである。

2019年10月4日には、ボルソナロ大統領が電気通信規則の近代化を目的とした「1997年一般電気通信法」の改正法(法律第13.879号)に署名した。概要は以下のとおりである。

2 1996年最小限法(Minimum Law of 1996、法律第9265/96号)

テレブラスの民営化に先駆け、1996年7月、移動体通信事業、衛星事業及び付加価値事業の自由化を規制した法律が制定された。テレブラスから移動体通信事業を分離すること、移動体通信事業を10の営業地域に分割すること、移動体通信事業への外資比率を49%に制限(1999年に外資比率制限は廃止)することが規定された。

3 2014年インターネット憲法(Civil Rights Framework for the Internet、法律第12.965号)

2014年4月、ネット中立性や表現の自由、個人情報の保護等を規定した「2014年インターネット憲法」が成立した。同法では、インターネットの中立性に関して、電気通信事業者によるユーザへの料金や接続速度による差別化を禁止するとともに、特定のコンテンツ事業者への有償優遇措置を禁じた。

4 2018年個人情報保護法(Personal Data Protection Law、法律第13.709号)

2020年9月18日、ブラジルの「個人情報保護法(LGPD)」が施行された。LGPDは、2018年5月に施行開始された「EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)」とほぼ同じ内容となっており、自由及びプライバシーに関する基本的権利(個人情報へのアクセス権、訂正権、アップデート権、削除権、ポータビリティ権、匿名化権、同意の撤回権等)の保護を目的として、個人情報の適切な取扱いを定めたものである(通信/Ⅲ-5(1)の項参照)。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

(1)概要

「1997年一般電気通信法」によれば、電気通信サービスを実施するための免許は、サービスの機能(公的又は私的)に沿って交付及び規制される。公的な電気通信サービスは「concession」「permission」をAnatelによって付与されることで実施できる。一方、私的な電気通信サービスは「authorization」を付与されることで実施できる。

公的な電気通信サービスには、伝統的な固定電話サービスが含まれ、ユニバーサル・サービスの実施に関する義務及びサービス品質の確保に関する規則が課されている。私的な電気通信サービスには、移動体通信、ブロードバンド・サービス、有料放送、付加価値サービス等が含まれる。これらのサービスにはユニバーサル・サービス義務は課されていないものの、サービス品質規則が課されている。

2019年10月の「1997年一般電気通信法」の改正では、市場競争・設備投資を促進するため、「concession」から「authorization」への免許種別の変更を条件付きで認める条項が加えられた。

(2)外資規制

1999年7月に、電気通信分野での外資規制は撤廃された。現在、スペイン資本のテレフォニカ(Telefónica)、メキシコ資本のアメリカ・モビル(America Movil)及びテルメックス(Telmex)、イタリア資本のテレコム・イタリア(Telecom Italia)等がブラジルの電気通信市場に進出している。なお、基本電気通信サービス免許は、国内法に基づき設立されたブラジル法人(議決権付き株式の過半数を所有)にのみ付与される(政令第2.617号)。

2 競争促進政策

(1)民営化及び自由化

1998年4月に、「一般免許計画(1998 General Concession Plan:PGO、法律第2.532号)」が発布され、固定通信市場の自由化に向けての具体的な内容が規定された。これを受けてAnatelは、それまで通信市場を独占していたテレブラスを市内電話3社、移動体通信8社、国際・国内長距離通信1社に分割再編した。

政府は、固定通信市場の民営化に際して、全国を三つの営業地域に分割し、各営業地域で旧テレブラス系の事業資産を引き継ぐ1社(concessionaire)に事業免許を付与した。1999年には、固定通信市場への新規参入を促す目的で、競争入札が実施された。これにより、各営業地域において、旧テレブラス系事業者と競争事業者(ミラーカンパニー)による2社競争体制が確立されることとなった。

2001年12月、政府は旧テレブラス系事業者に新規参入事業者との相互接続を義務付けた。2002年1月には、ブラジルの固定電話市場(市内電話及び国内・国際長距離電話)が完全自由化された。

一方、移動体通信市場は、全国を10の営業地域に分割し、各地域のテレブラスの資産を引き継ぐAバンド事業者8社と、新規参入事業者であるBバンド事業者8社に免許が付与された。これにより、地域ごとに少なくとも2社が競合する競争体制が確立された。また、Anatelは、更なる競争促進を目指し、2001年から2002年にかけてGSM及び3G向けに周波数オークションを実施した。その結果、30を超える事業者が移動体通信市場に参入することとなり、地域ごとに3~4社が競合する形となった。しかし、ブラジルの移動体通信市場は、経営力に劣る小規模事業者が淘汰される一方、海外資本によるグループ化が一層進み、2019年現在では自社で移動体通信網を保有する移動体通信事業者(Mobile Network Operator:MNO)は、テレフォニカ・ブラジル(Telefónica Brazil、ブランド名:Vivo)、クラロ(Claro)、TIMブラジル(TIM Brasil)、Oi、アルガー・テレコム(Algar Telecom)、Sercomtel、ネクステル・ブラジル(Nextel Brasil)の7社となっている。

(2)MVNO(仮想移動体通信事業者)促進政策

Anatelは2010年11月にMVNO事業を解禁したが、MVNO市場が期待したほど活性化されていないことから、2016年3月、MVNO規則である「仮想通信網による個人向け移動体通信サービスの提供に関する規則(Regulations for the Exploitation of the Personal Mobile Service via the Virtual Network)」の改正を承認した。新規則では、MVNO市場の競争を促進するため、事業エリアを同じくする個別のMVNO事業者が資本関係を有することを禁じた。加えて、規則に従わない、あるいは市場競争を阻害するMVNO事業者に対しては事業認可を取り消すことが可能になった。

3 情報通信基盤整備政策

(1)ユニバーサル・サービス

1998年5月、基礎的電気通信サービスの提供を義務付ける「ユニバーサル・サービス化目標プログラム(General Program for Universalization Goals:PGMU)」が制定された。このプログラムは、元来、固定電話を提供する旧テレブラス系事業者に対するユニバーサル・サービスの達成目標を規定したものである。PGMUの達成目標は1998年以降、5回にわたり段階的に改定が行われ、2018年12月には、Anatelは2017年から2025年までの「PGMU V」の達成目標を採択した。具体的には、都市部(住民数300人以上の自治体)において要請に応じた個人への電話サービス提供義務、学校や図書館、医療機関、警察署等の公共施設への電話サービスのアクセス提供義務、障がい者・低所得者に対する電話サービスの提供義務、農村部における公衆電話の設置義務等が含まれている。特に、公衆電話の設置義務については、これまでの人口比と距離の基準が撤廃された。

また2019年1月に発効された「政令第9.619号」では、通信事業者(concessionaire)は、公衆電話の代わりに、4Gや固定無線アクセス(Fixed Wireless Access:FWA)等の基地局設置で代替することが可能となった。これにより通信事業者はこれまで課されていた、公衆電話を300mごと、かつ住民1,000人当たり1台以上設置するという義務から解放されることとなった。また、通信事業者は、固定通信基盤を必要とする1,473の自治体向けに2019~2023年末までに段階的に4G/FWA基地局を設置することが求められる。

(2)通信関連基金(Fust/Fistel/Funttel)の設立

現在、三つの基金が存在している。ユニバーサル・サービス基金(Fund for Universalization of Telecommunications Services:Fust)は、基礎的電気通信サービスを確保するため、そのコストの一部を支援することを目的とした基金であり、通信事業者は月間収入の1%を負担することとなっている。

通信監査基金(Telecommunications Supervision Fund:Fistel)は、二つの税で構成されており、一つ目はSIMを初めて有効化した際に課税される導入監査税(Installation Inspection Fee:TFI)、二つ目は有効な各SIMに年間課税される運用監査税(Operation Inspection Fee:TFF)である。

通信技術開発基金(Telecommunications Technology Development Fund:Funttel)は、技術イノベーションの振興、人材開発等に用いられている。通信事業者は電気通信サービスの月間収入の0.5%を負担している。

(3)ブロードバンド政策

政府は、ブロードバンドによる地域経済の発展を目的に、2010年5月に「国家ブロードバンド計画(National Broadband Program:PNBL、政令第7.175号)」を策定した。ブラジル全土で512kbps程度(後に1Mbpsに上方修正された)のブロードバンドを35BRL以下で提供することにより、2014年までに4,000万世帯まで普及させる目標を掲げた。

これを実現するため、ブラジル政府は国が保有する光ファイバ網を活用するとともに、民間企業に対する投資インセンティブの一環として減税措置を実施した。また、ケーブルテレビ事業者等によるブロードバンド事業への新規参入を支援するとともに、モバイル・ブロードバンドの整備促進を図った。更に、休眠状態にあったテレブラスを再起させた。テレブラスは、国や電力会社が保有する光ファイバ網や、国庫補助を受けて同社が構築した光ファイバ網を利用して、全国にバックホールを整備し、ブロードバンド・サービスの普及促進を図ることとした。

2014年8月には、ルセフ大統領(当時)が「ブロードバンド・フォー・オール(Broadband for All)」プロジェクトを発表した。2019年までに全国5,570の自治体の約90%を光ファイバ網で結び、平均25Mbpsの高速インターネット・サービスを提供するとの目標を掲げた。

更に2016年5月には、「政令第8.776号」に基づき、PNBLの後継プロジェクトとなる「インテリジェント・ブラジル(Brasil Inteligente)」を開始した。同プロジェクトでは、2019年までに、20億BRLを投資して、70%の自治体(人口にして95%)が光ファイバ網にアクセスできる環境を構築する。これに加えて「My Smarter School」プロジェクトを立ち上げ、全国3万校に平均78Mbpsのインターネット接続環境を導入する。インテリジェント・ブラジルの財源の一部は、2015年12月に実施された1.8GHz帯、1.9GHz帯及び2.5GHz帯の周波数オークションの収益から充てられた。また、同計画には、5G及びIoTに対する開発支援も含まれている。

MCTIC(当時)は2017年12月、今後18か月でルーラル地域を中心とした全国4万か所に無線接続ポイントを設置するプログラム「インターネット・フォ・オール(Internet for All)」を開始すると発表した。同プログラムは2018年1月よりサンパウロ州、アマゾナス州、サンタカタリーナ州の約300の自治体を皮切りに全国に拡大する。MCTIC(当時)が、無線接続ポイントの設置場所を選定し、自治体が費用を負担することになっている。

2019年6月には、Anatelが光ファイバ網への官民の投資を促すことを目的とした「電気通信ネットワーク計画(Plan for Telecommunications Networks:PERT)」プログラムを承認した。Anatelによると、2018年時点で国内5,570ある自治体のうち、光ファイバ網にアクセスできるのは3,542の市町村にとどまっていた。PERTでは、光ファイバ網の敷設が困難な地域では、衛星やその他の技術を使ったブロードバンド・アクセスを提供するために、官民の投資を推進する。また、3G/4Gによるモバイル・ブロードバンド・アクセスを拡大する。

Anatelは、ブロードバンド網の敷設状況について以下のとおり説明している。

(4)5G

MCTIC(当時)は2017年2月、5G移動体通信のエコシステムの構築と、ブラジルの国際的な議論への参加を促進するためのイニシアチブ「5G Brazil Project」を始動したことを発表した。「5G Brazil Project」は、Anatel、ブラジル電気通信協会(Brazilian Telecommunications Association:Telebrasil)、ブラジル電気電子産業協会(Brazilian Electrical and Electronics Industry Association:Abinee)、電気通信研究開発センター(Research and Development Center in Telecommunications:CPqD)、業界団体SindiTelebrasil、華為技術(HUAWEI)、ノキア(Nokia)、移動体通信事業者Oi、クアルコム(Qualcomm)等の国内外を代表する18の企業及び団体で構成されている。「5G Brazil Project」の活動には、研究開発プロジェクトへの資金提供、標準化フォーラムへの参加、国際協力等が含まれている。

(5)公衆電話ボックスの利活用

Anatelは2013年8月、公衆電話の利活用として、公衆電話ボックスに無線LAN機能を搭載することの検討を開始した。ブラジルでも移動電話の普及で、公衆電話の利用者は減り続けており、Anatelは国内に100万台ある公衆電話ボックスを、2016年までに60万台に削減し、そのうちの半分を公共無線LANとして活用している。

4 ICT政策

(1)国家IoT計画

ボルソナロ大統領は2019年6月、「国家IoT計画(National IoT Plan)」を制定するための「政令第9.864号」に署名した。

国家IoT計画は、MCTIC(当時)や経済省、ブラジル国立経済社会開発銀行(National Bank for Economic and Social Development:BNDES)、民間企業、学界等が共同策定したもので、2018年3月に発表された「国家デジタル・トランスフォーメーション戦略(Brazilian Digital Transformation Strategy:E-Digital)」の柱の一つとして位置付けられる。E-Digitalは、向こう4年間に、デジタル化技術を最大限に活用してブラジルの生産性、国際競争力、収入・雇用水準の向上を実現して、すべての人に公正で豊かな社会の構築を目指すものである。

国家IoT計画ではIoT政策に関するガイドラインを策定した。この中で、センサー及びIoTデバイスを通信機器ではなく付加価値サービスに分類しており、これによりセンサーとIoTデバイスはFistelへの納税が免除される。また、国家IoT計画の諮問機関として「M2M及びIoTの発展のための管理・監視評議会(通称IoT評議会)」を創設した。IoT評議会は、IoTソリューションの開発と利活用を促進するために、官民パートナーシップの促進や政策の提案、公共団体との連携等に取り組む。

(2)OTT(Over The Top

テメル大統領(当時)は2016年12月、「サービス税改正法案」に署名した。これにより、ブラジル国内ではネットフリックス(Netflix)やスポティファイ(Spotify)等のオンライン・コンテンツに課税することができるようになった。法律によれば、課税対象は「データ、テキスト、画像、動画、電子文書、アプリケーション、情報システムを対象とした情報処理、ホスティング」、並びに「ゲームを含むコンピュータ・プログラム、音楽、動画、画像等のインターネット上での開発あるいは提供」とされている。

(3)デジタル・サービス税

2020年5月、デジタル・サービスを提供する企業の売上げに対して課税する法案(法案第2.358/2020号)が連邦議会下院に提出された。同法案は、ブラジルでデジタル・サービスを提供する一定規模以上の企業に対して、その国内での売上高に対して課税することを規定している。課税対象となるのは全世界売上高が30億BRL超かつ、国内売上高が1億BRL超の企業で、税率は国内の売上高に応じて3段階に設定されている。

徴収された税は国家科学技術開発基金(National Fund for Scientific and Technological Development:FNDCT)に蓄積され、デジタル分野のイノベーション推進等に用いられる。

(4)災害警報システム

Anatelは2017年1月、全国リスク・災害管理センター(National Center of Risk and Disaster Management:CENAD)、連邦・地方政府の民防(civil defense)当局及び通信事業者と連携し、SMSによる災害警報システムを全国に実装する計画を明らかにした。

2017年10月には、サンタカタリーナ州とパラナ州において、SMSを利用した自然災害警告を受信するための番号登録が国内で初めて開始された。警告はCENAD、州及び地方自治体の民防当局によって送信されるものである。この登録により、移動電話サービスの加入者は自らの移動電話で洪水、暴風雨、地すべり等の自然災害に対する警告を受信することが可能となった。

2018年2月より全国でSMS警報システムが利用可能となり、既に600万人近くが登録した。

5 消費者保護政策

(1)プライバシー保護

2020年9月18日、「個人情報保護法(LGPD)」が施行された。LGPDは、2018年8月14日に制定され、2019年7月9日の改正を経て、2020年8月16日に施行される予定であった。しかし、新型コロナウイルスへの対応や、大統領による暫定措置の提出等により、施行が延期されていた。2020年8月26日、ボルソナロ大統領がLGPDを直ちに発効させる改正案に署名し、2020年9月18日にLGPDが施行された。

LGPDは、企業や公的機関が国民の個人情報を収集するに当たり明示的に本人の同意を得ることや、収集した個人情報に関して当人がアクセスする権利、修正や削除を要請する権利を規定している。

また、より高い保護水準を定めた「機微(センシティブ)データ」というカテゴリーを設け、人種、民族、思想信条、宗教観、健康状態等に関する情報については、本人の明示的な同意がない限り、商用に用いることを禁じている。

ブラジル人の個人情報の国外転送に関しては、転送先の国がブラジルと同等レベルの個人情報保護法制を有しているか、事業者が同等レベルの保護を保障する場合にのみ認められる。他方、ブラジル人の生命・健康の保護上で必要な場合、また、その他法令上の要請がある場合等正当な目的がある場合に限り、個人データの転用が認められる等の例外規定が設けられている。

罰則に関しては、法令を順守しない企業に対して年間売上額の2%、又は5,000万BRLのいずれか低い方の課徴金が課される。

(2)情報公開

2011年11月、ルセフ大統領(当時)が「情報公開法(Freedom of Information Law)」に署名し、同年5月10日に施行された。情報公開法は、ブラジルの立法、行政、司法等国家レベルから市町村レベルに至るすべての公的機関の情報公開を義務付け、その手順を規定している。

情報公開法では情報を「極秘」「秘密」「取扱注意」「制限なし」の4段階に分類し、このうち「極秘」情報については最大で50年間非開示とした。また市民による情報入手を保障するために公的機関が順守すべき手順や、情報を入手するための手続、手続の案内等を行う専門部局の設置等を規定している。

Ⅳ 関連技術の動向

基準認証制度

無線機器の基準認証は、「電気通信機器の基準認証及び適合証明にかかわる規則(附則、決定第242/2000号)」に基づき、Anatelが所掌している。Anatelは、基準認証証明機関(Designated Certification Organization:OCD)を指定し、検査及び証明書の発行等の業務を委託している。OCDは2019年11月現在17団体である。輸入される機器も、OCDの証明を受ける必要がある。認証の申請はブラジル籍の代理人又は代表者に限られる。また、OCDは認証を受けた製品の市場での適合性の監視も担当し、サンプリング調査等を実施している。

Anatelは認証機器を以下の3種類に分類し、認証された機器にはAnatelマークが付される。カテゴリーⅠ:電気通信端末機器、カテゴリーⅡ:無線通信機器、カテゴリーⅢ:その他通信装置である。また、Anatelは2002年に規則を変更して、認証のための試験は、ブラジルでの試験が不可能な機器を除いて、ブラジル国内の認定試験機関が実施する必要があるとの条件を付している。

承認を受けた機器の情報はAnatelのウェブサイト上で公開される。

Ⅴ 事業の現状

1 固定電話

ブラジルでは従来の固定電話網(PSTN)に加え、VoIPやFWAによる音声通話サービスが提供されているが、近年、移動体通信サービスが急成長したこともあり、固定電話の契約数は減少傾向にある。

ブラジルの固定電話市場は近年、大型買収・合併が繰り返され、現在ではOi、テレフォニカ・ブラジル、クラロの既存電気通信事業者3社の寡占状態になっており、これら大手3社で9割以上のシェアを占めている。ミナスジェライス州を本拠地とする地域通信事業者アルガー・テレコムが小規模ながらPSTNを提供している。Anatelによると、2020年9月現在、固定電話市場シェアは、Oiが31.4%、テレフォニカ・ブラジルが30.2%、クラロが29.5%、アルガー・テレコムが4.4%を占めている。

2016年6月、地場企業のOiがリオデジャネイロ州の裁判所に、同社及び子会社6社の会社更生手続の適用を申請した。負債総額は654億BRLとなり、ブラジルにおける過去最大の破たんとなった。2017年12月に、Anatelを含む債権者側は、Oiがリオデジャネイロ州の裁判所に提出した経営再建計画案を承認。2019年1月には、再建計画が実施され、第三者割当増資の過程で計32億2,600万株の新株が発行され、資金繰りに窮するOiに約40億BRLの資金をもたらした。

固定電話市場にはクラロやTIMブラジル等VoIPサービスを提供する事業者が数社おり、2019年12月末現在、約1,538万の加入者がいる。ブラジルにはVoIP規制はなく、政府は今後も規制を課す予定はないという。

2 移動体通信

移動電話加入者数は、2014年中旬からの経済危機の影響を受け、減少傾向が続いている。大手移動体通信事業者は、Fistelへの納税を回避するため、未使用のSIMカードを遮断する措置を実施しており、これがプリペイド加入数の減少傾向に拍車をかけている。2020年9月現在、プリペイド加入者の比率は49.7%となっている。

ブラジルでは、スマートフォンの盗難が社会問題となっている。Anatelは2018年9月より違法端末の取締りを強化するプロジェクト「Cellular Legal」を実施しており、2018年12月以降、違法端末の通信を遮断する措置を実施している。

移動体通信事業者は、テレフォニカ・ブラジル、クラロ、TIMブラジル、Oiの大手4社と、市場シェアが1%前後の小規模事業者のネクステル・ブラジル、アルガー・テレコム、Sercomtelの3社がいる。

事業者間の競争は、3Gから4Gへとシフトしている。Anatelによると、2020年9月現在、4Gが72.5%、3Gが15.4%、2Gが12.1%を占めている。

アメリカ・モビルは2019年3月、NIIホールディングス(NII Holdings、70%)及びAIブラジル・ホールディングス(AI Brazil Holdings、30%)両社から、ネクステル・ブラジルの株式100%を9億500万USDで買収することで合意し、2019年12月に買収手続を完了した。

クラロは、2016年10月にスウェーデンのエリクソン(Ericsson)と共同で15GHz帯(14.7-15.1GHz)を用いて、同国初の5Gデモンストレーションを実施した。2019年には、Anatelが5Gの試験用周波数として3.5GHz帯の使用を許可したため、各社が相次ぎ5Gサービスのトライアルを実施した。

MVNOは、EUTV(Surf Telecom)、J. Safra Telecomunicacoes、America Net、Correios Celular(ブラジル・ポスト)等がサービスを提供しているが、MVNO加入者の総数は2020年6月現在、約32万に過ぎず、ブラジルの移動体通信市場の競争促進に大きなインパクトを与えているとは言えない。一方、Datra Mobile、T-Systems Brasil等、IoT/M2Mサービスに特化したMVNO事業者が増えている。

3 インターネット

固定ブロードバンド回線の主流はxDSLとケーブルモデムであるが、xDSLの成長が鈍化する一方で、中間所得層の拡大を背景に有料放送やインターネット配信サービスに加入するユーザが増えているため、ケーブルモデムと光ファイバ(FTTx)への需要が拡大し、シェアを伸ばしている。

ISPは、ケーブルテレビ最大手NETセルビソス(NET Servicos)と固定通信エンブラテル(Embratel)を傘下に持つクラロを筆頭に、フランスのメディア大手ビベンディ(Vivendi)からGVTを買収したテレフォニカ・ブラジル、地場企業Oiの大手3社が、ブラジルのインターネット市場を支配している。Anatelによると、2020年9月現在、各事業者のシェアはクラロが28.1%、テレフォニカ・ブラジルが18.6%、Oiが14.4%となっている。これ以外に、アルガー・テレコムやTIMブラジル等が光サービス提供に注力しているのに加え、有料放送事業者のスカイ・ブラジル(Sky Brazil)が2.5GHz帯を利用したTD-LTEサービスを提供している。

Ⅵ 運営体

1 Oi

Tel. +55 21 3131 2918
URL https://www.oi.com.br/
所在地

Rua Humberto de Campos 425, Leblon, Rio de Janeiro

RJ 22430-190, BRAZIL

幹部 Eurico de Jesus Teles Neto(最高経営責任者/CEO)
概要

リオデジャネイロに本社を置く総合通信事業者である。市内電話及び長距離電話に加え、移動体通信、データ通信も提供している。

総合通信事業者としての地位を強化すべく、2007年2月より全サービスについて「Oi」のブランド名を冠することとした。2008年9月には衛星放送免許を取得しており、また2009年1月にはブラジル・テレコムの買収を完了した。

2019年度の売上高は201億3,600万BRLであった。2019年12月末の加入者数は、固定電話が1,030万、移動電話が3,680万、インターネットが420万、有料放送が150万であった。

2 テレフォニカ・ブラジル(旧Telesp)

Telefónica Brazil

Tel. +55 11 3549 7200
URL http://www.telefonica.com.br/
所在地

Rua Martiniano de Carvalho 851-17 andar

Sao Paulo 01321-000 BRAZIL

幹部 Eduardo Navarro de Carvalho(会長/President)
概要

1998年にサンパウロで固定電話事業者として出発したTelespが、スペインのテレフォニカを主として編成されたコンソーシアムにより買収され、テレフォニカ・ブラジルとして市内・長距離電話及び国際長距離電話を提供していた。2006年1月の固定通信免許の更新により、有効期間が2025年12月31日まで20年間延長された。2012年4月、ブランド再構築戦略の一環として、グループ企業を「Vivo」ブランドに統一した。

スペインの親会社テレフォニカがテレフォニカ・ブラジルの株式の73.7%を保有している。2019年度の売上高は100億3,500万EURとなった。2019年12月末の加入者数は、固定電話が1,082万(VoIP加入者433万を含む)、移動電話が7,457万、インターネットが701万、有料放送が132万であった。

3 その他の主な事業者

事業者 URL 出資組織
クラロ https://www.claro.com.br/ アメリカ・モビル:98.5%
TIMブラジル https://www.tim.com.br/ テレコム・イタリア:67%
アルガー・テレコム https://www.algartelecom.com.br/ アルガーS.A.:100%
Sercomtel https://www.sercomtel.com.br/

パラナ州ロンドリーナ市:50.88%

Copel(電力会社):45%

放送

Ⅰ 監督機関等

1 通信省

(通信/Ⅰ-1の項参照)

放送行政は通信省が所管する。通信省内の放送事業局(Secretariat of Broadcasting:SERAD)が放送の規制監督に当たっている。局長は、Maximiliano Salvadori Martinhão氏。ただし、公共放送機関EBC(Empresa Brasil de Comunicação)の監督については、大統領府の社会コミュニケーション特別局(Special Secretariat for Social Communications)が行っている。

2 電気通信庁(Anatel)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

通信、インターネット、ケーブルテレビの規制監督を行う、連邦政府から独立した機関である。

Ⅱ 法令

1 「1962年ブラジル通信法」(法律第4.117号)

同法が放送に関する一般規則を定めている。

2 「2008年公共放送法」(法律第11.652号)

公共放送機関EBCの設立に関して規定している。2017年3月、同法の一部改正(法律第13.417号)が行われ、EBC会長の罷免権が大統領に移管された。これによりEBCに対する大統領の影響力が増すことになった。

3 「2011年有料テレビ法」(法律第12.485号)

2011年9月、「1995年ケーブルテレビ法(法律第8.977号)」に代わり「2011年有料テレビ法(法律第12.485号)」が成立した。これにより、通信事業者はケーブルテレビや衛星放送等の有料放送事業に参入できるようになったほか、外資の参入も認められることとなった。2017年11月には、ブラジル連邦最高裁判所が「2011年有料テレビ法」の一部を無効とする判決を下し、衛星放送やケーブルテレビで外国製の広告放送が認められることになった。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

外資規制

地上テレビ・ラジオ放送への外資の参入は2002年まで禁止されていたが、2002年5月、政府は、国内に現地法人を持つ事業者が30%を上限に放送事業者の株式を保有することを認める決定を下した。ただし、「1962年ブラジル通信法」に基づき放送事業の代表者、編成責任者はブラジル国籍を有する者に限定される。なお、ケーブルテレビ事業への外資の出資比率はこれまで上限が49%に制限されていたが、「2011年有料テレビ法」で上限が撤廃された。

2 コンテンツ規制

(1)概要

テレビ番組はその内容に応じて放送の時間帯が制限されており、視聴可能最低年齢をテレビ画面に表示することが義務付けられている。また、「2011年有料テレビ法」では、放送内容について、午後6時から10時までのゴールデンタイムのうち最低週3時間半は国内制作の番組を放送しなければならないとしており、そのうち半分以上は放送事業者以外の制作とすることが定められている。

(2)デジタル放送

ブラジル政府は、2006年6月、ブラジルの地上デジタルテレビ放送の規格に日本のISDB-T方式を採用すること決定し、2007年12月に地上デジタル放送の本放送を開始した。ブラジル方式は、日本のISDB-Tをベースに動画圧縮技術にH.264を用いて改良が加えられたもので、ブラジル以外に、ペルーやアルゼンチン、グアテマラをはじめとする中南米諸国で広く採用されている。

ブラジル政府は2014年7月、地上テレビ放送移行に伴うアナログ放送終了計画を正式に決定し、2016年2月から地域ごとに順次アナログ放送を終了し、2018年11月までに全国でデジタル移行を完了するとした。しかし放送設備及び受信機器の普及が進んでいないことから政府は2016年1月に地域ごとの移行スケジュールを見直すことにした。

それによると、2016年2月にパイロット地区であるゴイアス州リオヴェルデ市でアナログ放送を終了する(実際に移行が完了したのは2016年3月)のを手始めに、2016年10月に首都ブラジリアとその周辺、2017年4月にサンパウロ大都市圏、2017年7月にレシフェ、2017年9月にサルヴァドールとフォルタレザ、2017年10月にリオデジャネイロ、2017年11月にベロ・オリゾンテ、そして2018年12月までにその他の主要都市でアナログ停波を完了する計画であった。しかし、多くの都市で、アナログ停波の基準となる地デジの受信可能世帯の割合が90%に達していなかったため、アナログ停波が1か月程度遅れ、実際にデジタル移行が完了したのは2019年1月であった。なお、全土でのアナログ停波は2023年の見込みである。

Ⅳ 事業の現状

1 ラジオ

2019年8月現在、放送免許を受けているのは、FM商業局が2,157系統、FM教育局が466系統、AM商業局が1,562系統、短波局が122系統、コミュニティFM局が4,575系統となっている。よく視聴されているラジオ局は、公共放送機関EBCが運営するRádio Nacionalのほか、商業ラジオ局のRádio Globo、Jovem Pan等である。

デジタル放送への移行に伴い、地上放送に使用されていた76-88MHz帯がFM局に割り当てられた。FM局の帯域は76-107.9MHzに拡大。これにより、AM放送からFM放送へ転換するラジオ局が増えている。

現在、ブラジルでは二つのデジタル・ラジオ規格の試験放送が行われている。一つは欧州で広く採用されているDRM(Digital Radio Mondiale)方式、もう一つは米国で実用化が進んでいるIBOC(In-Band On-Channel)方式で、どちらの規格を採用するかまだ決まっていない。

2 テレビ

商業放送は、Rede Globo、Rede Record、SBT(Sistema Brasileiro de Televisão)、TV Band、RedeTV!の5大ネットワークが系列局を通じて全国放送を実施している。公共放送は、公共放送機関EBC傘下のTV Brasilが首都ブラジリアやサンパウロ、リオデジャネイロ等11都市で放送している。この他の代表的な公共放送には、サンパウロ州営のTV Culturaや教育省が運営するTV Escola、リオデジャネイロ州営のTV Educative等がある。

2018年4月、Anatelは「マストキャリー規制」の廃止を決定した。ブラジルでは従来、マストキャリー規則があったが、これはアナログ放送を対象としたもので、デジタル放送は対象外だった。地上デジタル放送が進展する中、地上放送局は、デジタル放送の再送信料の支払いを有料放送事業者に求めることとしたが、加入者離れが進んでいる有料放送事業者側が支払いを拒否し、両者の対立が深まっていた。今回の決定により、地上放送局は原則として独自に有料放送事業者と再送信条件を含めた交渉を行い、契約を締結することとし、合意に至らなかった場合にAnatelが介入することとした。

3 衛星放送

Anatelによると、2020年9月末現在、有料放送の契約件数は1,510万で、世帯加入率は21.3%となった。プラットフォーム別では、DTHが50.0%、ケーブルテレビが43.0%、FTTHが7.1%の加入シェアを占めている。

衛星放送はこの数年の間に新規参入が相次ぎ、クラロ、スカイ・ブラジル、Oi、テレフォニカ・ブラジル、GVT、アルガー・テレコム、Nossa TV等10社以上が放送免許を受けてDTHサービスを提供している。スカイ・ブラジルは、ブラジルの複合メディア大手Rede Globoと米国のAT&T傘下のディレクTVラテンアメリカ(DirecTV Latin America)の合弁会社による衛星プラットフォームで、2020年9月現在の契約者数は466万となっている。

4 ケーブルテレビ

経済不況の影響を受けて2015年以降、有料放送の契約件数は減少している。代わりに、OTT等比較的安価なVODサービスへと移行する傾向が見られる。

ケーブルテレビ最大手はアメリカ・モビルで、同社はケーブルテレビ子会社のNETセルビソスと衛星放送子会社のクラロTVを運営しており、両者を合わせた契約数は2020年9月時点で717万である。

Ⅴ 運営体

1 ブラジル・コミュニケーション会社(EBC)

Empresa Brasil de Comunicação

URL http://www.ebc.com.br/
幹部 Glen Lopes Valente(会長/President)
概要

公共放送機関EBCは2007年に設立され、七つのラジオ局、TV Brasilのほか、国際放送のTV Brasil International、通信社のAgência Brasil等を運営している。2019年1月のボルソナロ政権発足に伴い、TV Brasilは同年4月に連邦政府の広報チャンネルNBRと統合され、新生のTV Brasilとしてスタートした。TV Brasilは首都ブラジリアやサンパウロ、リオデジャネイロ等11都市で放送されており、ラジオ放送と合わせて、人口カバレッジは76%(人口1億4,000万人、3,474の自治体)に達する。EBCの財源は、政府交付金、広告料、通信事業者の負担金である。EBCの2019年度予算は6億1,700万BRL。

2 Rede Globo

URL https://grupoglobo.globo.com/
幹部 Roberto Irineu Marinho(会長/President)
概要

ブラジルのメディア複合企業グローボ・グループ(Grupo Globo)が所有する地上テレビ放送事業者で、ラテンアメリア最大の放送事業者である。本拠地はリオデジャネイロで、1965年創業。地上テレビ放送は、五つの直営局及び122の系列局で、国土の98%以上をカバーしている。番組制作はテレノベラ(メロドラマに類似した連続ドラマ)が中心で、メキシコのTelevisaに次ぐ制作本数を誇っている。中南米をはじめ、世界各国の放送事業者に番組販売を行っている。

3 ブラジル・テレビ・システム(SBT)

Sistema Brasileiro de Televisão

Tel. +55 11 3687 0111
URL http://www.sbt.com.br/
概要

テレビ番組司会者でもあるシルビオ・サントス氏が創設したGSS(シルビオ・サントス・グループ)が保有する視聴率第2位の放送局である。1981年に創設された。本拠地はサンパウロで、系列局114局で全国をカバーしている。

電波

Ⅰ 監督機関等

1 監督機関

(1)通信省

2020年7月10日、科学技術革新通信省から分離する形で通信省が復活した。

(通信/Ⅰ-1の項参照)

(2)電気通信庁(Anatel)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

所掌事務

「1997年一般電気通信法」に基づき、通信省が策定する電気通信事業の基本政策の下に、周波数及び無線局を含む電気通信に関する管理・監視業務を所掌し、活動状況を通信省及び国会に報告することになっている。

2 標準化機関

ブラジル規格協会(ABNT)

Brazilian Association of Technical Standards

Tel. +55 11 3017 3630
URL http://www.abnt.org.br/
所在地 Rua Conselheiro Nebias, 1.131 - Campos Eliseos - SP -01203-002 São Paulo, SP, BRAZIL
幹部 Mario William Esper(会長/President)
所掌事務

1940年に設立された。ブラジルを代表する標準化機関として国際的に認められた民間非営利団体であり、国際標準化機構(International Organiztion for Standarization:ISO)、国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission:IEC)、アメリカ標準化委員会(Pan American Standard Commission:COPANT)、メルコスール標準化団体(Mercosur Association of Standardization:AMN)、国際試験所認定協力機構(International Laboratory Accreditation Cooperation:ILAC)等の標準化業務を所掌している。

Ⅱ 電波監理政策の動向

1 電波監理政策の概要

Anatelが独立規制機関として、「1997年一般電気通信法」に則った電波監理を実施している。周波数分配はITUの国際第2地域に対する分配に基づき行われている。Anatelは通信用及び放送用の周波数を管理している。

2 無線局免許制度

(1)免許手続等

周波数の使用認可に関する規定は、「1997年一般電気通信法」第163~169条及び「周波数使用規則」の決議第671/2016号(2016年11月3日)に定められている。主な無線業務における免許付与は、セルラー及びPCS(Personal Communications Service)は比較審査又はオークション、ブロードバンドはオークション、放送(ラジオ、テレビ)は比較審査、衛星システムは先願方式で実施される。

周波数リースについては、2019年10月4日に成立した「1997年一般電気通信法」の改正法(法律第13.879号)により可能となった。

免許不要局については、「無線通信と制限された放射機器に関する規則(決議第365/2004号)」に規定されており、2.4GHz帯のWLAN等が認められている。本決議は、「第506/2008号」に改訂され、対象となる機器・周波数が追加されている。

周波数割当は周波数分配表に基づき、分野ごとに手順が定められている。

周波数の譲渡は認められていない。例外的に、電気通信サービス免許と同時の場合には、Anatelの承認を受けて、譲渡ができる。

(2)周波数オークション
①700MHz帯

2014年9月30日に終了した700MHz帯オークションは、落札総額が58億5,000万BRLと、ブラジル政府が当初見積もっていた77億BRLを35%も下回る結果となった。落札事業者は以下の4社で、Oiは、オークションに参加しなかった。

700MHz帯オークションでの落札事業者
事業者 ロット番号 周波数帯 落札額(百万BRL)
クラロ 1 738-748/793-803MHz 1,947.2
TIMブラジル 2 718-728/773-783MHz 1,947
テレフォニカ・ブラジル 3 728-738/783-793MHz 1,928
アルガー・テレコム 5 708-718/763-773MHz 29.6

出所:Anatel

オークションにかけられたロット数は合計六つであったが、そのうちの二つのロット(ロット4及び6)が売れ残った。ロット1~3は全国免許、ロット4はロット5と6を除いた全国免許、ロット5はブラジル南部の4州にまたがる87の自治体を含む地域免許、ロット6はパラナ州の二つの自治体(ロンドリーナ及びタマラナ)を含む地域免許となっている。

ブラジルの700MHz帯のバンドプランは、10MHz幅×2単位の周波数ブロックとなっている。なお、700MHz低帯域の5MHz幅×2(703-708/758-763MHz)は、公共安全(Public Protection and Disaster Relief:PPDR)向けに既に割り当てられている。

700MHz帯の落札者は、地上デジタルテレビ放送との間の有害な干渉の軽減措置にかかわる費用に加えて、テレビ・チャンネルの再編にかかわる費用も負担しなければならない。これらの費用は、全国免許事業者の場合は9億300万BRL、地域免許事業者の場合は2,950万BRLとなっている。ロット4とロット6の落札者が負担するはずであった費用の8億8,900万BRLはAnatelが負担する。

700MHz帯オークションは、当初、2014年春に実施される予定であったが、同年9月まで延期された経緯がある。その理由は、ブラジル国家会計当局(Brazilian Court of Accounts:TCU)が、干渉軽減措置や最低落札価格等の一連の問題に対する適切な説明がAnatelからなされるまで、オークション手続に入ることを禁じていたためであった。最終的に、2014年8月末にAnatelから説明を受けて、TCUは2014年9月末のオークション実施を認めた。2018年8月に700MHz帯のすべてのテレビは移行を終え、すべての都市で移動体通信用として使用できるようになった。

②1.8GHz帯/1.9GHz帯/2.5GHz帯

2015年12月、Anatelは、ブロードバンドの普及等に向けた政府の財源確保の目的で、1.8GHz帯、1.9GHz帯及び2.5GHz帯に残された帯域に対するオークションを実施した。落札総額は7億6,270万BRLとなり、主な事業者別では、ネクステル・ブラジルが4億5,500万BRL、テレフォニカ・ブラジルが1億8,545万BRL、クラロが6,186万BRLとなっている。加えて自治体単位のロットCのオークションにおいては、324の事業者が参加し、落札総額は8,990万BRLとなった。

③5Gサービス用(700MHz帯/2.3GHz帯/3.5GHz帯/26GHz帯)

Anatelは、2.3GHz帯を5Gに使用するパブリック・コメントを2018年8月に実施した。政府は当初2020年3月までに5G周波数オークションを実施したい意向を示していた。これを受け、2019年7月7日に国内における5Gサービス展開計画について、公開協議を開始した。Anatelによれば、5Gオークションの落札総額は約200億BRLに達するとされ、このうち、100億BRLは国庫に、残りの100億BRLは移動体事業者に対する投資義務及びカバレッジ義務を一部補償するために支出される予定である。2021年から国内の大都市で5Gサービスを開始することが見込まれている。

2020年1月31日、MCTIC(当時)は5Gに使用される700MHz帯、2.3GHz帯、3.5GHz帯、26GHz帯オークションのガイドラインを発表した。この中で、衛星放送と干渉する恐れがある3.5GHz帯について、適切な干渉軽減措置を導入することに言及した。

Anatelは、2020年6月17日、2.3GHz帯の新たな技術要件を定めた「法律第2.934号」を発表した。従来、5Gで使用されるネットワーク設備の技術基準については3GPPと欧州郵便電気通信主管庁会議(CEPT)の電気通信委員会(ECC)が規定する技術基準に基づいてきたが、今後は、国際基準に加え、国内の設備運用の効率化を図るため、4Gや3Gで利用されてきた既存設備も、同法律が規定する技術要件の範囲内で5G上での運用が可能となる。また、Anatelは、3.5GHz帯の技術要件に関しても、同日にパブリック・コンサルテーションを開始した。

ブラジル政府はこのコンサルテーションの結果を踏まえて、5Gオークションを実施する予定である。現在のところ、通信省は2021年上半期に実施の意向を示している。

3 周波数利用料制度

周波数利用料制度は、「周波数使用の使用権による公共費用の徴収規則」(決定第387/2004号)、「周波数使用規則」((決議第671/2016号)により一部改正)に規定されている。通信、衛星及び放送分野で電波を利用する場合、周波数利用料の支払義務がある。免許を取得した初年度のみの周波数利用料(Public Price Charges for the Right of Use of Radio Frequency:PPDUR)と毎年の電波監理経費が賦課される。通信衛星の利用に当たっては、衛星利用料(Public Price for the Right to Exploit Satellite:PPDES)がPPDURに代わって課せられる。ただし、防衛及び民間航空を目的とした利用や政府機関が利用するときは、周波数利用料が免除される。

4 電波の安全性に関する基準

Anatelは2002年の「決定第303号」によって電磁界ばく露にかかわる規制を行ってきたが、2009年5月には世界保健機関(World Health Organization:WHO)のガイドラインに基づく「法律第11.934号」を定めて、人体の電磁界ばく露に関する制限値として国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の値を正式に採用した。また、同法はAnatelに対して、電磁界レベルの監視と制限値の順守を執行する権限を与えている。

2018年9月にAnatelは同法を改正し、Anatelがいつでも無線局のばく露レベルを検査しコンプライアンス報告書と矛盾があれば運用停止させることができることとし、その代わり出力5W以下の無線局については5年に一度の定期検査を不要とした。

Ⅲ 周波数分配状況

「周波数利用規則」第2章第158条により、Anatelが周波数分配表を策定、公表している。周波数分配表(2019年版)を掲載しているURLは以下のとおりである。