Ministry of Post and Telecommunications
Tel. | +855 23 724 809 |
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URL | https://mptc.gov.kh/ |
所在地 | No. 13, Preah Monivong Boulevard, Phnom Penh, CAMBODIA |
幹部 | Chea Vandeth(大臣/Minister) |
郵便及び電気通信分野における政策の企画・立案を行い、郵便事業の監督を行っている。2006年6月に、電気通信の事業部門が分離・公社化され、2012年9月、規制監督を行う部門がカンボジア電気通信規制庁(Telecommunication Regulator of Cambodia:TRC)として分離された。一方、2013年10月には、それまで閣僚評議会の下にあった情報通信技術開発庁(National Information Communications Technology Development Authority:NiDA)が統合され、MPTCにICT総局及び郵便電気通信情報通信庁(National Institute of Posts, Telecoms and ICT:NIPTICT)が設置された。2021年2月には、NIPTICTが改組され、国家レベルのイノベーション促進を目的とするカンボジア・デジタル技術アカデミー(Cambodia Academy of Digital Technology:CADT)となった。
MPTCは、カンボジア政府機関の電子政府化を含めたカンボジア全体のICT開発を推進する中心的役割を担うものとされている。2024年10月時点では、大臣が電子政府委員会の委員長を務めている。
Telecommunication Regulator of Cambodia
Tel. | +855 23 722 333 |
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URL | https://www.trc.gov.kh/ |
所在地 | Street 102, Sangkat Wat Phnom, Khan Daun Penh, Phnom Penh, CAMBODIA |
幹部 | Chenda Thong(総裁/Chairman) |
2012年9月にカンボジアの電気通信分野における独立規制機関として設立された。電気通信市場における公平な競争の推進、電気通信事業者への権限供与、周波数帯の管理、相互接続の規制、電気通信事業者間の争議解決等を行っている。
2015年12月21日、「電気通信法」を公布した。法は、15章114条からなり、政策機関と規制機関の所掌、免許、インフラストラクチャとネットワークの使用と管理、機器やサービスの標準・QoS、ユニバーサル・サービス提供、事業者及び利用者の権利、罰則を主な内容としている。
2006年1月、MPTCは電気通信事業部門を分離し、公社としてテレコム・カンボジア(Telecom Cambodia:TC)を設立した。これによりMPTCは政策立案と規制実施を担う機関となった。TCは他事業者と同様に一事業者として同じ競争環境下で事業を展開しているが、幹部人事、事業計画についてはMPTCと経済財政省(Ministry of Economy and Finance:MEF)の承認が必要であり、これらの点における政府の影響力は依然として強い。2009年にはMEFがTCの民営化の検討を指示したが、作業は進展しておらず、公社の形態が維持されている(一時期は2013年中頃の株式公開を検討していた)。カンボジア証券取引所への新規上場は無期限延期された。
競争を促進して電気通信サービスの充実を図る政府方針により、順次免許が交付され、1990年代後半の移動体通信市場への新規参入開始後、主な電気通信事業分野では複数の事業者がサービスを提供している。2024年10月時点での事業者数は、固定網5、国際2、移動体4、VoIP 7、ISP 39、インフラ・シェアリング3である。最大で10社に交付されていた移動体免許数が半減する等、競争環境下で事業者数は増減している。相互接続制度等の競争関連規制の策定については、韓国の情報通信政策研究院(Korea Information Society Development Institute:KISDI)の協力を受けた。コストと環境への負荷を低減するために、移動体通信網を共用するよう大臣指導が行われ、移動体着信のVoIPサービスが保安上の理由により禁止された。
2021年2月、海外ネットワークとの接続地点としてナショナル・インターネット・ゲートウェイ(NIG)の設置に係る政令(Subdecree)が署名された(国際社会や人権団体から、カンボジア当局によるインターネット上の活動の監視、デジタル通信の傍受や検閲、利用者の個人情報の収集、保管及び共有を可能にするものとして懸念の声が上げられていることもあり、2024年10月時点で運用は延期されたままの状態である)。NIGの目的は、国家収益徴収の効率化、国家の安全、社会秩序と文化と伝統の維持とされ、プノンペン、シハヌークビル州、ポイペト及びバヴェットの4か所に相互接続点を設置する構想がある。また、NIGの運営を希望する電気通信事業者は、TRCに対して事業免許を申請する必要がある。
2023年2月に、首相が独立系報道機関を閉鎖し、その数分後にインターネット・サービス・プロバイダが、同社のウェブサイトをブロックしたことが報じられた。非政府組織である擁護政策研究所(Advocacy and Policy Institute :API)によると、カンボジアは2022年に、少なくとも六つのニュースメディアサイトを含む43のウェブサイトへのアクセスをブロックしたという報道がある。政府は、ナショナル・インターネット・ゲートウェイやオンラインでの管理を強化するための政策の準備を進めている。
移動電話の普及が進んだため、無線網の整備が政策の中心となっている。光幹線の整備によって中継容量が確保されている地方都市では、移動電話の普及率がますます向上している。「電気通信法」第6章においてユニバーサル・サービスの確保が規定され、国内通信事業者は総収益の2%をユニバーサル・サービス基金(Universal Service Obligation Fund:USOF)の原資として拠出するものとされ、この資金はMPTCが管理し、主にルーラル地域における電気通信網の拡大に充てられることになっている。制度の1年目(~2018年7月)から、900万USDの資金を徴収した。2018年2月末までの最初の支払いが指示され、負担金の徴収期限が延長されたものの施行が開始された。なお、ユニバーサル・サービス実現のために、USOFのほかに情報通信分野の人材育成、調査研究及び研究開発に充当するCapacity Building Research and Development Fund(CBRDF)も設立され、国内通信事業者は総収益の1%を納付する。2020年には、円滑な運用と透明性の確保のために、ユニバーサル・サービス実施のための政令も定められた。
2023年8月、フン・マネット首相がカンボジア政府における最上位の経済開発戦略である「第1次五角形戦略」を発表。当該戦略では、(前身である第4次四辺形戦略と比較し)新たに「デジタル経済社会の発展」が柱立てされている。これまで策定されていたデジタル、ICT関連政策の枠組みと整合性を保ちつつ、五つの主要テーマ(①デジタル政府及び市民の構築、②デジタル経済、ビジネス、Eコマース及び革新システムの発展、③デジタル・インフラの構築及び発展、④デジタル・システムに対する信頼の構築、⑤金融テクノロジーの発展)で個別施策が実施されている。
政府は、2021年6月に「2021~2035年デジタル経済社会政策フレームワーク(Digital Economy and Social Policy Framework of Cambodia 2021-2035)」を発表した。デジタル経済社会を形成するための目的とゴールを示し、デジタルなインフラ、信頼性、市民、政府、事業をその対象とする。実施に関しては、関係閣僚等によって構成される国家デジタル社会評議会(National Digital Economy and Society Council)を頂点に意思決定が行われている。また、具体的な施策の実施や評価を担当すべく、その傘下に関係省庁委員会である電子政府委員会(Digital Government Committee)、デジタルエコノミー・ビジネス委員会(Digital Economy and Business Committee)、デジタル・セキュリティ委員会(Digital Security Committee)の三つの委員会が設置されている。電子政府委員会は電子政府の推進を担当しており、国立データセンターの整備やverify.gov.kh.(QRコードを活用したカンボジア政府発行文書の電子証明)といった電子政府関係のデジタル・プロダクツの開発・提供を実施している。デジタルエコノミー・ビジネス委員会は電子商取引やFinTechの推進を担当、2024年3月に設置されたデジタル・セキュリティ委員会はサイバーセキュリティ水準の向上、サイバー犯罪、外交・防衛を含む総合的なサイバーセキュリティ対策の司令塔となっている。
また、電子政府への転換を加速させるため、政府は、2022年1月に「カンボジア電子政府政策2022~2035」を公表。デジタル・インフラとデジタル技術によって裏付けされた政府を確立することを目的としており、カンボジア国民の生活の質を向上させ、国民による信頼を強化することとしている。具体的な政策内容については上述の電子政府委員会において議論されており、全国的なデータセンターが存在せず、デジタル・セキュリティ能力がぜい弱であるという課題に向き合うため各省庁の保有するデータを一元管理することを目的としたナショナル・データセンターの構築を決定した。これに対し、日本政府は当該データセンター構築に係る一部について無償資金協力を2023年9月に閣議決定、同年12月の日・カンボジア首脳会談後に交換公文(E/N)に署名した。
情報通信法第7章において、国内通信事業者は総収益の1%を人材育成のためのCBRDFに拠出するものとされている。
事業者やICTインフラ構築に投資を行っている外国企業が、人材育成について力を持っている。
MPTCは、CBRDFの一部を活用し、デジタル分野における高等教育を促進するため、中等教育課程生徒や地方行政官、熟練労働者を含む地方コミュニティを対象にデジタル活用能力養成プログラムを提供するコミュニティ・テック・センターの整備を進めている。
2024年4月にはMPTCが「デジタル能力開発ロードマップ(Digital Skill Development Roadmap)2024~2035」を公表し、あらゆる年齢、職業の国民がデジタル・リテラシーを得られるための総合的なデジタル人材育成を進めている。
移動電話がテロや犯罪に悪用されることを防止するため、TRCや移動体通信事業者各社は2016年10月までの国内におけるSIMカード利用者情報の登録を呼びかけた。当局は引き続き取締りを強化するとともに、登録を呼びかけている。
2020年には、特に都市部でのインフラ整備等を行って移動体通信のサービス品質を確保するよう、MPTCが各社に対し指導を行い、2021年には高層ビル等における固定、移動体のサービス品質について指導を行った。2022年2月に、MPTCはスマートフォン・アプリ「MPTC Speed Test」をリリースし、各ユーザが自身の端末におけるダウンロード及びアップロードの速度等を計測できるようにし、各端末から収集されたデータを基に通信環境の改善に役立てることとしている。通常の速度から明らかな異常が計測された場合は、TRCに報告・通報できるようになっている。また同年7月に、MPTCは電気通信サービスの提供のための主要な品質指標、測定方法、監視メカニズムを決定するため、電気通信サービスの品質に関する省令(Prakas) No. 82を発行した。この省令は、モバイルや固定ブロードバンド、固定音声事業者に適用され、すべての事業者は、発効後10か月以内に、法律が示す品質指標に従ってサービスの品質を向上させることが求められる。
カンボジアのサイバーセキュリティ水準は低く、(ITUによる各国のサイバーセキュリティの取組状況について評価したグローバル・サイバーセキュリティ・インデックス(2020年版)において世界169か国中132位、アジア太平洋地域37か国中26位)関連する法令や制度も未熟な状況であるものの、デジタル・セキュリティ委員会が設置され、少しずつ整備が進み始めている。更に、2022年から悪意あるサイバー行動を制限し、政府機関や重要インフラに対するサイバー攻撃時の対処手順や重要インフラ事業者等に対するサイバーセキュリティ対策を義務付けるサイバーセキュリティ法案が討議されている。一方で政府のインターネットの監視権限等で言論の自由を阻害する可能性や事業者に対する負担への懸念等が指摘されており、2024年10月時点では成立していない。
情報通信法に基づき、電気通信機器の認証はTRCが実施している。同法第15条により、通信機器の輸出入、供給、流通には認可が必要とされ、いかなる者もTRCに申請することができる。型式認証の申請時には、設備の輸入・販売業者としての証明、設備の技術仕様、テスト報告に関する書類等を提出する。例えば、2024年7月にはスターリンク(Starlink)社関連の不法に輸入された機器の接続に関して、TRCより警告が出されている。
TCは、国連カンボジア暫定統治機構(United Nations Transitional Authority in Cambodia:UNTAC)の基盤を継承して事業を開始した。その他CamintelやViettel(Cambodia)(ブランド名:Metfone)が市内及び国内長距離通信サービスを提供している。TCは固定網、CamintelやMetfoneはFWAを主として市内通信サービスを提供している。長距離通信サービスは、ベトナム国境からタイ国境までの東西に走る光ファイバ網や、移動体通信事業者が独自に設置しているマイクロ網の借用等により提供されている。
VoIPサービスの提供には免許が必要であり、VoIPの加入者数は少なく、従来のメタル回線が9割近くを占めている。
移動電話のサービス開始は1992年末で、翌年には加入数が固定電話を上回り、世界で初めて移動網の加入者数が固定網の加入数を上回った国となった。移動電話加入数の増加の主な要因は、固定網整備のペースが上がらないことと、移動電話加入数の95%を占めるとされるプリペイド方式の契約によって、低所得者層にも利用が容易なためである。また、モバイル料金は東南アジア諸国の中でも最も安価な部類に入り、TRCのモバイル料金ガイドラインに基づき、各社おおよその目安として、1週間8GBのインターネット利用、60分間の通話、60通のSMSで1USD(月額約4.5USD)となっている。
2023年9月時点、市場シェアの大きな事業者はViettel(Cambodia)(2008年事業開始、親会社はベトナムのViettel、フン・セン元首相長女のフン・マナ氏が一部出資)、Smart Axiata(Smart Mobile、Applifone、Hello Axiata、Latelz等が合併、2017年から累計で三井物産が実質20%を出資)、及びCamGSM(ブランド名:Cellcard、地場コングロマリットであるロイヤル・グループ(Royal Group of Campanies)の一つ、2023年6月にカンボジア証券取引所(CSX)上場)の3社である。競争が激しいため、事業者数は増減し、外国資本にも入退出がある。大手3社は、4Gサービスを首都プノンペンのほか、地方にも展開し、人口カバレッジは2022年時点で92.1%となった。Viettel(Cambodia)は、カンボジア、ベトナム、ラオスでのローミング料をすべて国内レートと同様に設定する等、積極的な地域展開を行っている。
5Gについては2024年11月時点で展開されていない。MPTCは、2019年に主要各社に5Gの運用試験免許を付与し、主要各社が実証事業を実施した。2019年7月、Smart Axiataは華為技術(HUAWEI)のモバイル・デバイスを使用して、プノンペンで5Gの実証実験を実施。Viettel(Cambodia)は、同年9月に華為技術のモバイル・デバイスを使用した5Gの実証実験を実施。CamGSMが同年10月、South East Asia Telecom(SEATEL Cambodia)は2020年2月に5Gの実証実験を実施したものの、2020年3月には同省が各社に実証の中止を要請、4Gネットワークの増強を優先課題として2021年には試験免許を剝奪している。
2024年7月にも、大臣が5G開始に向けたコメントを発表しているものの、10月時点では実際の政策が発表されていない。
2020年6月に、W-CDMAサービス等を提供していたCadComms(ブランド名:qb)は営業停止処分となり、2014年に参入したXinwayは2024年8月時点で事業を停止している。
2002年、データ通信市場が自由化され、ISPが新規参入した。2024年8月現在、39社がサービスを提供している。市場の主要プレイヤーとなる大手ISPは、Viettel(Cambodia)(ブランド名:Metfone、シェア64.4%)、TC(同:Camnet、シェア9.5%)、Ezecom(シェア7.9%)、Smart Axiata(シェア7.5%)、CogeTel(同:Online、シェア2.9%)の5社である。
無線ブロードバンド・アクセスについてはCityLinkがプノンペン市内でのWiMAXサービスを2007年に開始し、2008年にはWiMAX網の全国免許が付与され、2011年7月に9都市で商用サービスを開始した。Ezecomが同じロイヤル・グループのCamGSMのネットワークを使って様々なWiMAXサービスを提供している。
政府は、「2021~2035年デジタル経済社会政策フレームワーク」の鍵となるのはインターネットの接続だと考えており、4Gと5Gによって人口の100%をカバーしようとしている。
Telecom Cambodia
Tel. | +855 23 261 111 |
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URL | http://www.tc.com.kh/ |
「公共企業体としてテレコム・カンボジアを設立する政令」に基づき、2006年1月にMPTCから分離された公社である。MPTCとMEFの監督を受け、両省に加え、閣僚評議会、TC総裁及びTCの従業員の中から選ばれた者の計5名で経営委員会を構成する。同社は、国際及び国内サービスを管轄するグループと、計画やICTサービス、顧客対応を管轄するグループとに大きく分かれ、情報通信技術部が大手ISPのCamnetを運営している。
2013年3月に予定されていたカンボジア証券取引市場への上場は、無期限延期となった。
Tel. | +855 12 800 800 |
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URL | https://www.cellcard.com.kh/ |
CamGSMは、Millicom International Cellularと国内資本のロイヤル・グループとの合弁により設立、2009年8月にカンボジア資本が株式の100%を取得した。「CellCard」のブランド名でサービスを提供しており、国内で最初にGSM網を構築、国際関門免許を保有している。放送事業者Cambodian Television Network(CTN)に投資を行っている。2023年6月にカンボジア証券取引所に上場した。
TCは華為技術と共に管理及び運営をするグレート・メコン・サブリージョン(GMS)情報スーパーハイウェイ・プロジェクトにより全国光ファイバ網を整備している。総延長681km、620Mbpsの伝送速度を持つこの計画へは、中国からの最大5,000万USDまでの融資が供与される予定である。また、5Gも華為技術や中興通訊(ZTE)と協力して実証実験が実施されている。
2024年10月時点でカンボジアには2本の光海底ケーブルが接続されている(いずれもシハヌークビル)。カンボジアで初となる海底ケーブルとしてマレーシア、カンボジア、タイを1,300kmで結ぶMCT(Malaysia-Cambodia-Thailand)が2017年から稼動した。続いて、アジア、アフリカ、欧州を2万5,000kmで結ぶAAE-1(Asia-Africa-Europe 1)がカンボジアにおいては2018年から稼動した。
また、2020年に中国との経済技術協力合意書が結ばれたシハヌークビルと香港を結ぶ光海底ケーブル(総延長2,715km)の敷設を中国のUnicom Group等が中心に実施しており、2025年7月の完成を目指している。
Ministry of Information
Tel. | +855 23 430 514 |
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URL | https://www.info.gov.kh/ |
所在地 | 62 Monivong Boulevard, Sangkat Sras Chork, Khan Daun Penh, Phnom Penh, CAMBODIA |
幹部 | Neth Pheaktra(大臣/Minister) |
メディアと出版物に関する政策と規制・監督のほか、放送事業の監督を所管する。
2024年時点で、正式な放送法はない。1995年に施行された報道法「Press Law」が報道の基本法となっているが、改正を検討中である。テレビ/ラジオの放送局を含む報道関係の開設免許の付与と規制監督は情報省が、周波数免許はMPTCが付与を行っている。外資に対する明確な規制はない。
政府は、多くの地上放送免許を交付してきたが、全国放送を行っているのはカンボジア国営テレビ(National Television of Cambodia:TVK)のみで、民間の地上放送が視聴できるのは首都圏と各州都周辺に限られる。なお、TVKは、地上放送に加え、衛星を利用し、人口の80%に放送を提供している。
地上デジタル放送については、欧州方式(DVB-T2)を採用し、2023年をめどに切り替える計画となっていたが、具体的な日程は発表されておらず、既に延長を繰り返している。
2021年8月にBayon Media Group、ロイヤル・グループ、Hang Meas HDTV Groupが、DVB-T2方式の地上デジタル放送プラットフォームを構築するCambodia TV Alliance社を設立するための合弁会社を設立することを発表した。Cambodia TV Alliance社は、2022年8月から運営を開始している。このプラットフォームを軸に2025年の全土での完全移行を目指している。
国営放送事業者のカンボジア国営ラジオ(Radio National of Cambodia:RNK)が、AM放送(全国)とFM放送(ローカル)で全国をカバーしている。多数の民間FM局が放送を行っている。
2017年8月に、情報省がVoice of America、Radio Free Asia等の15局に対し、閉鎖を命じた。
全国をカバーしているTVKと、主要都市をカバーしているRoyal Armed Forces Television(TV5)、Bayon Television(Bayon TV)、Cambodian Television Network(CTN)、MyTV、Hang Meas HDTVの6事業者が、主要事業者である。Hang Meas HDTVはインターネットでの同時配信を行っている。
首都には、商業放送局が多数存在している。
2002年1月、情報省とTVKは、Thaicom-3衛星を使用し、オセアニア在住のカンボジア人向けに「TVK Cambodia」と呼ばれるクメール語のテレビ国際放送を開始した。ニュースや娯楽等の総合編成になっている。また、Thaicom傘下のCambodia DTV Network Limitedが最大の事業者であり、国内全域を対象に衛星テレビ・チャンネルを提供している。
衛星放送を直接受信するアンテナ等の設置には規制がなく、外国の衛星放送の受信も可能である。
首都ではCambodia Cable TVとPhnom Penh Municipal Cable TV(PPCTV)が大手で、月額約10USDで国内地上テレビ放送に加え、衛星経由の外国放送も見られる。PPCTVは主にホテルやサービス・アパートメントを対象にIPTVサービスも提供している。大規模な地方都市でもケーブルテレビでの視聴が一般的になりつつある。
Radio National of Cambodia(Kampuchea)
Tel. | +855 12 737 356 |
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URL | https://www.rnk.gov.kh/ |
1947年、国営放送局として政府にサービスを提供するために設立された。2005年からはオーストラリアの公共放送事業者であるオーストラリア放送協会(Astralian Broadcasting Corporation:ABC)と協力関係を築いている。国土の95%をカバーしている。
National Television of Cambodia
Tel. | +855 17 8181 07 |
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URL | https://www.tvk.gov.kh/ |
1966年に国営放送として設立されたテレビ放送事業者で、全人口の80%をカバーしている。現在の局舎は、我が国の無償資金援助によって建設され、スタジオの整備、機材の供与も行われた。ニュース中心の番組編成である。財源は国庫交付金と少額の広告収入で、国際協力関係の援助資金も受け入れているが、財政基盤が盤石とはいえない。
(通信/Ⅰ-2の項参照)
電気通信分野の組織再編の一環で2012年9月にMPTCから独立したTRCが、周波数管理と周波数免許の交付等を行っている。
「情報通信法」第47条において、周波数資源は、売却対象ではなく、リース又は免許により利用権が認められる国家資源であり、また、MPTCが同資源を所管し、組織、管理、周波数の分配に関する規定は、本法以下の政令(Subdecree)規定により決定されることが規定されている。
また、同法第48条では、MPTCは国家周波数計画を作成し、すべてのものがこれに従うことが規定されている。国家周波数計画には次の事項が含まれることとされている。
実際の周波数の分配・割当て、周波数免許の付与・停止・移行・執行等の周波数監理業務はTRCが実施している。不法電波の監視についても、TRCが実施する。
周波数の割当方式は、先願主義に基づき行われてきたが、2016年12月に、4G向けに800MHz帯(829.5-834.5MHz/874.5-879.5MHz)の5MHz幅×2と2.6GHz帯(2510-2520MHz/2630-2640MHz)の10MHz幅×2を割り当てる周波数オークションが初めて実施された。2.6GHz帯については、SEATEL Cambodiaが落札した。800MHz帯については、落札者はいなかった。800MHz帯を使ったLTEサービスは、SEATEL Cambodiaが、既に850MHz帯の割当てを受けていたGT-Tell (Excell)を買収し、2015年7月からサービスを提供している。
2020年4月に情報省が、MPTCに対して、アナログ停波後にテレビ放送用に用いられていた700MHz帯を5G用に明け渡すことを発表している。
また、2023年11月から12月に開催された2023年世界無線通信会議(WRC-23)の結果、6GHz帯のうち6425MHzから7125MHzまでの700MHz幅の周波数について、カンボジアにおけるモバイル通信用の利用が認められた。これにより、カンボジアにおいて700MHz幅の周波数を追加的に5Gや6Gのモバイル通信サービスに利用することができるようになる。
周波数の配分等に当たり、MPTCは、2020年6月に、利害関係者との会合を開催し、周波数資源の効率的な管理や電気通信分野における競争力の強化、国家予算収入の徴収等を組み込んだ法案について話し合いを行ったが、2024年10月時点で5Gへの周波数配分は発表されていない。移動体通信事業者に対し、次の表のとおり周波数が割り当てられている。
電波監視に関しては、無免許の機器がルーラル地域を中心に数多く使用されていることが問題となっている。中でも、無免許の携帯型無線装置から発射される電波が最大の問題で、正規の免許人にとって障害となっている。また、国境地帯においては、干渉が頻繁に生じており、外国政府との調整が進められている一方で、カンボジア側の不法な電波発射への取締りの強化が期待されている。