カナダ(Canada)
通信
Ⅰ 監督機関等
1 イノベーション・科学・経済開発省(ISED)
Innovation, Science and Economic Development Canada
| Tel. | +1 343 291 1777 |
|---|---|
| URL | https://ised-isde.canada.ca/site/ised/ |
| 所在地 | C.D. Howe Building, 235 Queen Street, Ottawa, Ontario K1A 0H5, CANADA |
| 幹部 | Mélanie Joly(産業大臣兼ケベック州経済開発庁担当大臣/Minister of Industry and Minister responsible for Canada Economic Development for Quebec Regions) Evan Solomon(AI・デジタル革新大臣兼南オンタリオ経済開発局担当大臣/Minister of Artificial Intelligence and Digital Innovation and Minister responsible for the Federal Economic Development Agency for Southern Ontario) Rechie Valdez(女性・ジェンダー平等大臣兼国務大臣(中小企業・観光担当)/Minister of Women and Gender Equality and Secretary of State(Small Business and Tourism)) Buckley Belanger(国務大臣(地方開発担当)/Secretary of State (Rural Development)) |
所掌事務
2015年12月にカナダ産業省(Industry Canada)から名称を変更した。
各種の産業振興政策や貿易管理等を所掌するが、情報通信分野に関しては、ICT振興政策の立案、基準認証、電波監理等を所掌している。
2 カナダ・ラジオテレビ電気通信委員会(CRTC)
Canadian Radio-television and Telecommunications Commission
| Tel. | +1 819 997 0313 |
|---|---|
| URL | https://crtc.gc.ca/ |
| 所在地 | Les Terrasses de la Chaudière, Central Building, 1 Promenade du Portage, Gatineau, Quebec J8X 4B1, CANADA(Central Office) |
| 幹部 | Vicky Eatrides(委員長兼最高経営責任者/Chairperson and Chief Executive Officer) |
所掌事務
1985年制定の「カナダ・ラジオテレビ電気通信委員会法(CRTC法)」により、電気通信及び放送に関する独立規制機関として設置された。主に料金審査、通信及び放送の規則制定、免許付与、紛争調停等を所掌する。
Ⅱ 法令
1 1993年電気通信法(Telecommunications Act of 1993)
電気通信分野の基本法令で、電気通信関連法規の統合法(Consolidation Act)として成立した。同法のいずれかの規定が他の法律との間で矛盾を生じる場合、同法の規定が優先される旨を明確にしている。
同法は、「オンライン・ニュース法」(放送/Ⅲ-3の項参照)の成立を受けて2023年6月に、更にブロードバンドサービスに係る情報の透明性と正確性の向上を目的とする改正法の成立を受けて2024年6月に改正されている。
また、1993年電気通信法及び関連法を改正する「重要サイバーシステム保護法(Critical Cyber Systems Protection Act)」(Ⅲ-4(3)の項参照)も、議会に提出されている。
2 1985年無線通信法(Radiocommunication Act of 1985)
無線通信分野に関し、総合的な規定を設けている。直近では、2024年6月に改正された。
3 その他の主な電気通信関連法令
| 法令 | 制定 | |
|---|---|---|
| カナダ・ラジオテレビ電気通信委員会法(CRTC法) | Canadian Radio-television and Telecommunications Commission Act | 1985年 |
| ベル・カナダ法 | Bell Canada Act | 1987年 |
Ⅲ 政策動向
1 免許制度
電気通信事業者の事業運営資格は、1993年電気通信法第24条により、CRTCの課す諸条件の順守が条件とされている。
1993年電気通信法第2部第16条により、カナダ国籍の電気通信事業者は経営権の代表者及び取締役の80%がカナダ国籍を有することが義務付けられていたが、2012年6月、同16条に国内通信市場の売上シェアが10%未満の事業者に対しては外資規制を撤廃するとの規定が付加された。これにより、外資規制の対象はベル・カナダ(Bell Canada)、ロジャース・コミュニケーションズ(Rogers Communications)(以下、ロジャースとする)、テラス(TELUS)の3大事業者に限定された。
外国人によるカナダ国籍の電気通信事業者に対する出資比率は、「カナダ電気通信公衆事業者所有管理規制(Canadian Telecommunications Common Carrier Ownership and Control Regulations)」により、直接投資の場合は電気通信事業者の議決権付き株式の20%(間接投資を含めて46.7%)、間接投資の場合は電気通信事業者持株会社の議決権付き株式の33.3%までとなっている。
2 競争促進政策
相互接続要件は、市場の自由化に応じてCRTCが各市場を対象に発行する決定による。接続料金は、市場ごとにCRTCが発行する決定でその原則が提示される。
(1)卸売提供制度
ISEDは2022年5月、インターネット及び移動体通信サービスにおける高すぎる利用料金の是正とサービス向上のため、新たな政策方針案を発表した。CRTCに対しては、インターネット卸売市場への参入と競争の強化、移動体通信における競争拡大、消費者の権利向上、ユニバーサルアクセスのための新しいインフラの高速化、消費者をよりよく支援するためのよりよい規制の構築を目的とした規則の導入を求め、2023年2月にこれを指令として正式決定した。これを受けて2023年3月、CRTCは、卸売料金を即時10%引き下げる決定を行い、卸売料金の再評価を行うための意見募集を行った。
CRTCは2023年11月、意見募集の結果を踏まえ、大手事業者に対し、6か月以内にCRTCが設定した暫定卸売料金でオンタリオ及びケベック州にて卸売FTTP(Fiber To The Premises)アクセスの提供開始を指示する決定を下した。2024年8月には、大手事業者3社(ベル・カナダ、テラス及びサスクテル(SaskTel))に対して、上述の決定を2025年2月から恒久化し、全国に拡大する決定を下したが、新たに敷設した光ファイバは2029年8月13日までは卸売アクセスに利用できないとして、インフラ投資における回収機会を与えている。
(2)MVNOへのネットワーク開放
2023年5月のCRTCの決定により、最終的なMVNOアクセスルールが設定され、国内に自社ネットワークを所有しつつ、他社ネットワークを利用してMVNO事業を行おうとする地域無線事業者に対して、大手移動体通信事業者はネットワークを開放することが義務付けられた。ネットワークの開放期間は7年間とされ、この間に地域無線事業者が自身のネットワークを整備・拡大することができる。CRTCは、移動体通信事業者(MNO)に対して2023年8月7日までに地域ネットワーク事業者とのMVNO契約を締結することを命じていたが、複数の大手移動体通信事業者と地域無線事業者の間で合意に至らず、CRTCが仲裁を行っている。
3 情報通信基盤整備政策
(1)ユニバーサルサービス
ユニバーサルサービスの補助金の徴収・配分を実施する基金は、1993年電気通信法第46.5条でその基本的枠組が決定された。基金の運営者、運営方法及び拠出金額は同条(2)及び(3)に従いCRTCが定める。同法第46.5条により、全国拠出基金(National Contribution Fund:NCF)が設立された。
ユニバーサルサービスの提供範囲について、CRTCは2016年12月、音声サービスとダイヤルアップインターネットに加え、ブロードバンドインターネット接続も基本通信サービスに含めることを宣言し、2018年9月にユニバーサル・ブロードバンド基金(Universal Broadband Fund:UBF)を設立した。同基金は、50Mbps/10Mbpsの固定ブロードバンドインターネットに接続できない地域向けのもので、大規模プロジェクトに対しては5年間で総額7億5,000万CADまで投資する。
(2)デジタルディバイド対策
政府は2014年7月、国家デジタル戦略「デジタルカナダ150(Digital Canada 150)」の一環として、デジタルディバイド是正のためのプログラムである「コネクティング・カナディアンズ(Connecting Canadians)」を始動させた。当初は2018年までに総世帯の98%が5Mbps相当のブロードバンドに接続可能という目標を掲げていたが、目標の引上げが度々行われ、2020年10月には、すべての国民が50Mbps/10Mbpsのブロードバンドサービスに接続可能になるという目標の下、同ブロードバンドサービスへの接続率を2026年までに98%、2030年までに100%とする目標設定がなされており、2019年以降に10年間で50億~60億CADをルーラルブロードバンドに投資する実行計画も公表されている。
2018年6月の「コネクティング・ファミリーズ・イニシアチブ(Connecting Families Initiative)」に続くものとして、政府は2022年4月、「コネクティング・ファミリーズ2.0(Connecting Families 2.0)」を開始し、月額20CADで200GBの通信量と50Mbps/10Mbpsのブロードバンドサービスが利用できる新しいオプションが提供された。
(3)緊急通信
CRTCは各事業者に対して緊急通信に関する義務付けを実施しており、ケーブル及び衛星放送事業者、ラジオ放送事業者、地上テレビ放送事業者、VODサービス事業者に対して、市民に向けて警告メッセージを中継することを義務付けているほか、国内の全移動体通信事業者が自社LTE網に無線公共緊急警報システムを導入することも義務付けている。電気通信事業者各社は、2020年6月末までの次世代型緊急通信911「NG 911」音声サービスの提供開始を、2020年末までの同テキストメッセージングサービスの提供開始を義務付けられていたが、ネットワーク整備の遅れを理由に期限延期を要求しており、CRTCは現在、「NG 911」の提供開始期限を2027年3月まで延期している。
(4)通信障害対策等
政府は2022年9月、国内移動体通信事業各社が、大規模通信障害発生時に緊急ローミングやその他の相互支援を確保・保証する正式な合意に達したと発表した。同合意は、同年7月に発生したロジャースの大規模通信障害を受けて結ばれたもので、移動体通信サービス、インターネットサービスを提供する多くの電気通信事業者は、サービスの信頼性を保証するために多くの義務を負うことを約束し、事業者のうち1社で大規模な障害が起これば、他の事業者が通信を提供する。また政府は、同大規模通信障害を受けて、カナダ・セキュリティ通信諮問委員会(Canadian Security Telecommunications Advisory Committee:CSTAC)に、通信網の強靭化を進めるための新たなワーキンググループとしてカナダ電気通信網レジリエンス(Canadian Telecommunications Network Resilience:CTNR)を設置している。
4 ICT政策
(1)AI関連政策
政府が従来から推進する国家AI戦略である「汎カナダAI戦略(Pan-Canadian AI Strategy)」は、2022年6月に①商業化、②標準化、③人材と研究という三つの柱で構成される第2フェーズを開始し、約4億4,300万CADを投資した。
更に、政府は2024年度予算においてAI支援策を公表し、2024年度から今後5年間で24億CADを投資するとした。内訳として、中心となるのが「カナダAI主権コンピューティング戦略(Canadian Sovereign AI Compute Strategy)」で、民間投資の動員に最大7億CAD、「公共スーパーコンピューティングインフラ」の構築に最大10億CAD、事業者によるコンピューティングリソースの購入を支援する「AIコンピューティングアクセスファンド」の設立に最大3億CADを投資する。この他、中小企業がAIソリューションを導入・順応するための支援プログラムを開始し、新技術の市場投入やAI導入を支援する「地域AIイニシアチブ(Regional Artificial Intelligence Initiative:RAII)」に2億CADを、AIソリューションの構築・導入を支援する「AIアシストプログラム(AI Assist Program)」に1億CADを、クリエイティブ産業等のAIの影響を受ける可能性のある労働者支援に5,000万CADを投資する。
2023年9月に、政府は「高度な生成AIシステムの責任ある開発・管理に関する自主的な行動規範」を公表した。これは、生成AIシステム/サービスを開発・提供する事業者に対して、強制力のある法規制が定立されるまでの間、生成AIシステムにまつわる各種のリスクの特定・軽減に自主的に取り組み、その旨を公表することを促すためのガイドラインとして位置付けられている。
(2)デジタルサービス税
国外の大手テクノロジー企業に対するデジタルサービス税の初徴収が2026年6月30日に行われる予定だったが、米国トランプ政権との貿易交渉の結果、政府は導入を撤回した。同税は、企業がカナダのユーザから暦年に2,000万CAD以上のデジタルサービス収入を得た場合に、3%の課税が行われ、全世界での年間売上が7億5,000万EUR以上の企業にのみ適用されるため、米国大手企業がその主な対象となる予定だった。
(3)サイバーセキュリティ
政府は2022年5月、国家安全保障のために華為技術(HUAWEI)、中興通訊(ZTE)の5G機器の使用を禁止すると発表した。既に両社の機器を使用している事業者は、4G機器は2027年末まで、5G機器は2024年6月末までの撤去が義務付けられる。5G機器撤去費用の償還はされない。UKUSA協定(United Kingdom-United States of America Agreement)に基づく機密情報共有枠組であるファイブ・アイズ(Five Eyes)を構成する5か国のうち、米、英、豪、ニュージーランドは既に華為技術、ZTE製機器の使用を禁止していたが、カナダは中国との外交的緊張の中で延期していた。
政府は2022年6月、1993年電気通信法及び関連法を改正し、重要インフラを運営する国内企業に対して、サイバー攻撃被害の政府への報告やサイバーシステム強化を義務付ける「重要サイバーシステム保護法(Critical Cyber Systems Protection Act)」案を下院に提出したが、ジャスティン・トルドー前首相の辞任を受けて廃案になり、新たな法案が2025年6月に下院に提出されている。
5 消費者保護政策
(1)迷惑通信規制
2008年に「迷惑電話お断りリスト(Do Not Call List)」制度が導入された。更に、CRTCは2019年12月、発信者IDの偽装対策として、電気通信事業者に「STIR/SHAKEN(Secure Telephony Identity Revisited/Signature-based Handling of Asserted information using toKENs)」規格による認証枠組の導入を指示し、その監督機関として電気通信事業者によって構成される「Canadian Secure Token Governance Authority(CST-GA)」の設立を承認した。
(2)個人情報保護規制
2015年6月に「デジタルプライバシー法(Digital Privacy Act)」が成立したことで、民間部門を対象とする「個人情報保護及び電子文書法(Personal Information Protection and Electronic Documents Act:PIPEDA)」が改正され、個人情報の収集、利用、公開について明確な規則が制定された。
更に2018年11月、国内で操業する企業に対して、あらゆるデータ流出について発見し次第、顧客とプライバシーコミッショナー事務所(Office of the Privacy Commissioner:OPC)に報告するよう義務付ける新規制が施行された。企業は、どのような個人情報がいつどのように流出し、どのような対策がとられているのかを被害を受けた個人に伝えなければならないほか、データ流出の記録を最低2年間保管しておかなければならない。これらを故意に行わなかった場合、最大10万CADの罰金が科せられる。
Ⅳ 関連技術の動向
基準認証制度
電気通信端末機器に関する基準認証は、1993年電気通信法に基づき、CRTCが端末接続諮問委員会(Terminal Attachment Program Advisory Committee:TAPAC)の助言を受けて規格を制定する。無線機器については、「1985年無線通信法」によりISEDが技術基準(Radio Standards Specification:RSS)を策定する。無線機器及び通信端末機器の認証は認証・技術室(Certification and Engineering Bureau:CEB)が担当する。
通信機器に関する国際的な流通を促進することを目的として、以下の諸国・国際組織と相互承認の枠組み(Mutual Recognition Arrangements/Agreements:MRA)を結んでいる。欧州共同体(European Union:EU)、欧州経済圏(European Economic Area:EEA)、欧州自由貿易連合(European Free Trade Association:EFTA)、スイス、米州機構(Inter-American Telecommunication Commission:CITEL)、アジア・太平洋経済協力(Asia Pacific Economic Cooperation:APEC)等。
Ⅴ 事業の現状
1 固定電話
ベル・カナダを含むベル・カナダ・エンタープライズ(Bell Canada Enterprises:BCE)傘下の地域電話事業者、テラス、ロジャースが全国レベルで固定通話サービスを展開しており、3大事業者とされる。そのほかには、マニトバ州を拠点とするBell MTS(旧MTS)、サスカチュワン州を拠点とするサスクテル、ケーブルテレビ事業者であるショウ・コミュニケーションズ(Shaw Communications)(以下、ショウとする)、ビデオトロン(Videotron)やコゲコ・コネクション(Cogeco Connexion)も固定通話サービスを提供している。
ロジャース等のケーブルテレビ事業者を含む競争的地域電話事業者(Competitive Local Exchange Carrier:CLEC)の数は、都市部でBCEやテラスを含む既存地域電話事業者(Incumbent Local Exchange Carrier:ILEC)から市場シェアを奪う形で2016年以降増加傾向にあったが、2019年以降は減少傾向に転じている。
2 移動体通信
全国規模で事業を行う移動体通信事業者は3大事業者のベル・カナダ、テラス、ロジャースである。そのほかには、ケベコア(Quebecor)傘下のフリーダム・モバイル(Freedom Mobile)及びビデオトロンがサービスを提供している。
商用5Gサービスについては、ロジャースが2020年4月に、ベル・カナダとテラスが2020年6月に、ビデオトロンが2020年12月にそれぞれサービスを開始した。ロジャースはカナダ初の商用5G SAサービスを2022年3月に、同初の3500MHz帯商用5Gサービスを2022年6月に開始している。フリーダム・モバイルは、ビデオロトン傘下となった後の2023年7月に5Gサービスを開始した。
3 インターネット
世帯利用におけるインターネット接続方式はケーブルモデム接続が主流である。2023年現在、ケーブルモデム接続が約5割を占め、DSLは約1割で大きく減少傾向の一方、FTTxは約3割と比率が高まってきている。
2025年6月現在の事業者別市場シェアは、ロジャースとベル・カナダがトップで並び、以下、テラス、ビデオトロンと続く。
Ⅵ 運営体等
1 ベル・カナダ・エンタープライズ(BCE)
Bell Canada Enterprises
| Tel. | +1 888 932 6666 |
|---|---|
| URL | https://www.bce.ca/ |
| 所在地 | 1 Carrefour Alexander Graham Bell Building A, 4th Floor Verdun, Quebec H3E 3B3, CANADA |
| 幹部 | Milco Bibic(社長兼最高経営責任者/President and CEO) |
概要
国内最大手の情報通信総合グループBCEは持株会社であり、通信事業部門のベル・カナダ(オンタリオ及びケベック州を中心に全国展開)、ベル・アライアント(Bell Aliant、大西洋沿岸部)、ベルMTS(Bell MTS、マニトバ州)、テレベック(Télébec、ケベック州)及びノーザンテル(NorthernTel、オンタリオ州)等を通じて、固定通信、移動体通信、衛星通信、インターネット等の事業を総合的に展開している。
BCEは2024年6月、同社が所有し、北部地域にてサービスを展開するノースウェステル(Northwestel)を、ユーコン準州、ノースウェスト準州及びヌナブト準州の先住民コミュニティのコンソーシアムであるシックスティ・ノース・ユニティ(Sixty North Unity)に10億CADで売却することで合意した。
2 テラス
TELUS
| Tel. | +1 604 432 2151 |
|---|---|
| URL | https://www.telus.com/ |
| 所在地 | 555 Robson Street, Vancouver, British Columbia, V6B 3K9, CANADA |
| 幹部 | Darren Entwistle(社長兼最高経営責任者/President and CEO) |
概要
国内第2位の電気通信事業者であり、固定通信部門のテラス・コミュニケーションズ(TELUS Communications)や移動体通信部門のテラス・モビリティ(TELUS Mobility)等を通じて固定通信、移動体通信、インターネット、衛星及びIPTV等の事業をブリティッシュ・コロンビア州中心に全国で展開する。自社有料放送サービス「Telus Optik TV」等により、メディア部門の事業拡大を図っている。
3 ロジャース・コミュニケーションズ
Rogers Communications
| Tel. | +1 416 935 3532 |
|---|---|
| URL | https://www.rogers.com/ |
| 所在地 | 333 Bloor Street East, Toronto, Ontario M4W 1G9, CANADA |
| 幹部 | Tony Staffieri(社長兼最高経営責任者/President and CEO) |
概要
移動体通信部門のロジャース・ワイヤレス(Rogers Wireless)、ケーブルテレビ・固定通信部門のロジャース・ケーブル(Rogers Cable)、メディア部門のロジャース・メディア(Rogers Media)を通じて、固定通信、移動体通信、ケーブルテレビ、インターネット等の事業を総合的に展開する電気通信事業者であり、新規分野への参入も積極的に行っている。
ロジャースは2021年3月、ショウを約200億CADで買収すると発表した。電気通信市場第4位のショウを買収すれば、テラスを抜き、市場リーダーのベル・カナダを急追することになるが、競争局(Bureau of Competition)が同買収の阻止を示唆したため、ロジャースはショウが子会社として所有するフリーダム・モバイルを約29億CADで競合相手のビデオトロンの親会社であるケベコアに売却すると発表。しかし、合意には至らず、競争審判所での公聴会の結果、条件付きで競争局から承認を受け、フリーダム・モバイルをケベコアに売却した。
4 ビデオトロン
Videotron
| Tel. | +1 514 281 1711 |
|---|---|
| URL | https://videotron.com |
| 所在地 | 612 Rue Saint-Jaques Montreal, Quebec H3C 4M8 Canada |
| 幹部 | Pierre Karl Péladeau(社長兼最高経営責任者/President and CEO) |
概要
ビデオトロンは、カナダのメディア複合企業であるケベコアの完全子会社であり、ケーブル事業のほか、固定通信や移動体通信、インターネット等の事業をケベック州中心に展開している。2023年4月にショウから買収したフリーダム・モバイルは、ビデオトロン傘下となった。
5 その他の主な事業者
| 事業分野 | 事業者 | URL |
|---|---|---|
| 固定・移動体通信 | Bell MTS | https://www.bellmts.ca/ |
| サスクテル | https://www.sasktel.com/ | |
| ケーブル等 | コゲコ・コネクション | https://www.cogeco.ca/ |
| ショウ・コミュニケーションズ | https://www.shaw.ca/ |
放送
Ⅰ 監督機関等
1 イノベーション・科学・経済開発省(ISED)
(通信/Ⅰ-1の項参照)
所掌事務
放送用周波数管理等を所掌する。
2 カナダ民族遺産省
Canadian Heritage
| Tel. | +1 819 997 0055 |
|---|---|
| URL | https://www.canada.ca/en/canadian-heritage.html |
| 所在地 | 15 Eddy Street, Gatineau, Quebec J8X 4B3, CANADA |
| 幹部 | Steven Guilbeault(カナダ・アイデンティティ・文化大臣/Minister of Canadian Identity and Culture) |
所掌事務
文化的アイデンティティ、多文化主義、言語、スポーツの普及等に関する政策官庁である。放送分野においては、関連政策の立案や国内コンテンツ産業の支援等を所掌している。
3 カナダ・ラジオテレビ電気通信委員会(CRTC)
(通信/Ⅰ-2の項参照)
所掌事務
放送分野においては主に以下の事項を所掌している。
- 公共放送事業者、商業放送事業者、ケーブルテレビ事業者、衛星放送事業者への免許付与
- 放送に関する規則制定及び実施
- 公聴会の開催
Ⅱ 法令
1991年放送法(Broadcasting Act of 1991)
第1章「総則」、第2章「放送に関するCRTCの目的及び権限」、第3章「カナダ放送協会」等から構成される。同法は、放送に関する基本原則、カナダ放送協会(CBC/Radio-Canada:CBC)の組織、役割、商業放送事業者等について規定していた「1968年放送法(Broadcasting Act of 1968)」を改正したもので、「1968年放送法」と比較すると、内閣のCRTCに対する監督権限が強化されている。
2023年4月、放送法を改正する「C-11法案(通称オンライン・ストリーミング法)」が成立した。同改正は「1991年放送法」を近代化するもので、動画配信事業者に対して、既存放送事業者と同様の規制を負わせ、CRTCの規制監督下に置くことを明記。動画配信事業者は、国内外のどちらに拠点を置いているかにかかわらず、カナディアン・コンテンツの制作・配信・表示に貢献し、あらゆる動画配信制御システムにおいてカナディアン・コンテンツを発見可能とする結果が表示されるよう保障しなければならない。
放送法改正を受け、CRTCは2024年3月、新たな「放送料金規則」を決定し、同年4月に発効した。これにより「1997年放送ライセンス料規則」が廃止され、単一の放送事業者は200万CADまで、複数の放送事業者を所有する持株会社は2,500万CADまでの収益に対して、免税基準額が設けられた。更に、CRTCは2024年6月、国内で操業する主要ストリーミングサービスに対して、国内地上放送支援を目的に、カナダにおける収益のうち5%を拠出することを義務付けるとの決定を下している。同決定は、2024年9月に発効し、カナダの地上放送事業者と提携していないサービスに適用される。
CRTCは、1985年に制定されたCRTC法(最終改正は2023年12月)、1991年に制定された放送法(最終改正は2023年6月)、2010年に制定されたCRTC規則(最終改正は2021年4月)、及び1993年電気通信法(最終改正は2024年6月)によってその権限を与えられている。CRTCの管轄区域には以下が含まれる。
- 電気通信分野の料金及び特定の協定の承認
- 電気通信規制の順守促進
- 電気通信市場の競争促進
- 放送免許及び国際電気通信免許の発行
- 放送部門の合併、買収、所有者の変更に関する決定
Ⅲ 政策動向
1 免許制度
「1991年放送法」において放送免許取得事業者に課される義務が規定されている。CRTCが、ラジオ、テレビ、放送配信サービス(ケーブルテレビ及び衛星放送が該当)、ニューメディア放送(VODサービス等が該当)の各サービスに対し個別規定を設け、免許条件やコンテンツ制作基準等を規定する。
「1991年放送法」は「カナダの放送システムの所有者及び管理者はカナダ国籍でなければならない」とも規定しており、これが外資規制の根拠となっている。直接投資は20%(間接投資を含めて46.7%)まで、間接投資は33.33%までとされている。所有規制についてはCRTCが決定しており、1企業が同時に所有できるメディア事業者の数はテレビ放送事業者、ラジオ放送事業者、新聞社のうち最大二つまでで、1社で英語圏あるいはフランス語圏の視聴者占有率の45%を超えてはならない。
2 コンテンツ規制
文化保護政策の一環である「カナディアン・コンテンツ規制(Canadian Content Requirements for Radio and Television)」により、番組編成における国内制作番組の比率が定められている。カナディアン・コンテンツには、カナダの制作会社製であること、著作権の20%以上がカナダ人所有であること、監督や脚本家等の主な役職がカナダ人である場合に付与されるポイントの合算が閾値(60%または80%)以上であること、制作コストの75%以上がカナダ人に支払われていること等の条件を満たした番組が該当する。商業放送事業者は1日の放送時間を通して平均60%以上(午後6時から12時までは50%でも可能)、CBCは時間帯を問わず60%以上を国内制作番組で編成することが義務付けられている。ラジオ放送では、一部の例外を除いて番組内容の35%以上をカナディアン・コンテンツにすることが定められている。
3 オンラインプラットフォーム規制
2023年6月、「C-18法案(通称オンライン・ニュース法)」が成立した。同法は、オンラインプラットフォームの運営企業に対し、報道機関のコンテンツ使用にかかる利用料の交渉等を義務付けるものである。政府は2023年12月、「オンライン・ニュース法の適用及び免除規則」を発効し、①暦年における全世界売上高が10億CAD以上、②検索エンジンまたはソーシャルメディア市場での事業展開、カナダにおける平均月間ユニークビジター数または平均月間アクティブユーザ数が2,000万人以上という三つの基準をすべて満たす場合に同法を適用するとした。
4 地上デジタル放送
2011年8月31日に商業テレビ放送の大半が地上デジタル放送に移行した。公共放送のCBCは財政的な理由により一部地域での移行が期日内に困難であったため、2012年7月31日まで期限が延長された後、移行した。
Ⅳ 事業の現状
1 ラジオ
CRTCによると、2024年時点で、総計1,133系統でラジオ放送が実施されており、そのうち866系統が英語放送、224系統がフランス語放送、43系統がその他の言語での放送である。また、公共放送CBCは92系統、商業局はAMが110系統、FMが614系統、宗教局が54系統、コミュニティ局が132系統、キャンパス局が49系統、先住民向けの放送が55系統ある。
2 テレビ
2024年時点で、地上テレビ放送はCBCの27系統と商業放送の94系統のほか、宗教6系統と教育4系統で実施されており、そのうち全国放送は公共放送のCBCと商業放送のCTVが実施している。CBCは英語とフランス語の全国ネットワークを運用しているが、各ネットワークにはCBC直営局のほか、一部の商業放送事業者も加盟している。
このほか、フランス語圏のケベック州をサービス地域とするフランス語放送のTVA等に代表される地域放送事業者があるほか、どのネットワークにも属さない独立系商業放送事業者や州交付金で運営される州営放送事業者がある。
3 衛星放送
衛星放送は、ロジャースによるShaw DirectとBCEによるBell Satellite TVが、カナダのケーブルテレビ番組を中心に米国の番組を加えた内容でサービスを提供している。
4 ケーブルテレビ
2024年時点で、国内のケーブルテレビ加入者数は約156万、IPTVの加入者数は約648万、衛星放送の加入者数は約101万である。
Ⅴ 運営体
1 カナダ放送協会(CBC)
CBC/Radio-Canada
| Tel. | +1 613 288 6000 |
|---|---|
| URL | https://www.cbc.radio-canada.ca/ |
| 所在地 | 181 Queen Street. Ottawa, Ontario, K1P 1K9, CANADA |
| 幹部 | Marie-Philippe Bouchard(社長兼最高経営責任者/President and CEO) |
概要
1936年に設立された公共放送事業者である。「1991年放送法」の規定に基づいて運営され、二つの全国テレビネットワークと四つの全国ラジオネットワークを運用している。言語は英語とフランス語のほかに、先住民向けに地域言語が用いられる。ラジオはAMとFMで英語放送及びフランス語放送を行っているほか、国際放送の「ラジオ・カナダ・インターナショナル(Radio Canada International:RCI)」、インターネットラジオ、移動端末向けの文字放送も行っている。2018年12月にストリーミングサービス「CBC Gem」を開始した。
2 CTV Television Network(CTV)
| Tel. | +1 416 384 5000 |
|---|---|
| URL | https://www.ctv.ca/ |
| 所在地 | 299 Queen St. West, Toronto, Ontario M5V 2Z5, CANADA |
| 幹部 | Sean Cohan(社長/President) |
概要
CTVは、2011年4月に国内最大の電気通信事業者であるBCE(通信/Ⅵ-1の項参照)による完全買収が完了したことに伴い、BCE傘下のBell Mediaの1部門となった。国内最大の商業テレビネットワーク(英語放送)を展開している。20以上の加盟系列局や衛星放送局等で全国ネットワークを構成している。
電波
Ⅰ 監督機関等
1 監督機関
(1)イノベーション・科学・経済開発省(ISED)
(通信/Ⅰ-1の項参照)
所掌事務
電波監理は戦略政策局(Strategic Policy Sector)の通信政策部及び周波数・電気通信局(Spectrum and Telecommunications Sector:STS)が所掌する。
電波政策に関する諮問機関としてカナダ無線アドバイサリ・ボード(Radio Advisory Board of Canada:RABC)がある。RABCはカナダの製造、事業、放送等の無線通信関連の業界団体及び警察等の公共団体が加盟する機関である。周波数の利用と規制に関して、公平かつ専門的なアドバイスをISEDに対して行う。
(2)カナダ・ラジオテレビ電気通信委員会(CRTC)
(通信/Ⅰ-2の項参照)
2 標準化機関
カナダ規格審議会(SCC)
Standards Council of Canada
概要
カナダ規格審議会は、1970年に国有企業として設立され、カナダを代表する標準化機関となっている。
Ⅱ 電波監理政策の動向
1 電波監理政策の概要
ISEDは、周波数割当方法として、先願方式(First-Come, First Served:FCFS)のほか、電波ニーズの状況に応じて、比較審査あるいはオークション方式を採用している。放送免許はCRTCの管轄であるが、放送用の周波数割当についてはISEDが許可する。
1996年の「無線通信法」改正によって、地域と周波数帯(または複数の周波数)のみを規定する周波数免許(Spectrum License)が導入されている。通常の無線局免許は特定の無線機及びアンテナを持つ局に与えられるのに対して、周波数免許では免許人が免許後に許容された範囲で設備等の変更が可能である。また、オークションで落札された周波数免許の場合には、その全部あるいは一部を第三者に譲渡することができる。FCFSで得た場合にはISED大臣の認可のある場合、譲渡が可能である。なお、通常の無線局免許は毎年更新する必要があるが、周波数免許の場合には10年を基本的な免許期間とする。
2023年8月に2023年から2027年までの計画を示した「周波数アウトルック(Spectrum Outlook 2023 to 2027)」を公表し、2018年の際に公表された計画から、以下の周波数帯が追加されている。
- 優先度1:3900MHz帯
- 優先度2:2500MHz帯及び37-37.6GHz帯
- 優先度3:1675-1680MHz帯、2020-2025MHz帯、4940-4990MHz帯、5GHz無人航空機(UAV)帯、3.1-3.45GHz帯
更に、上記の周波数計画で示された効率的かつ国民の公正な利益となる周波数利用という指針を受け、政府は2025年3月、10GHz未満の移動体通信向け周波数における電波利用料の料金体系について見直しを実施した。20年以上ぶりとなる料金体系の見直しは、コスト負担を小規模事業者から大規模事業者に転嫁するものとなっており、事業者が保有する周波数帯域の総量に基づく3段階の料金枠組を導入する。
2 周波数再編
(1)3500MHz帯
ISEDは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて1年以上遅れていた3500MHz帯オークションを2021年6月に実施した。割当計画では、200MHz(3450-3650MHz)の帯域幅を10MHz TDDブロックとして20分割し、172の免許地域ごとに割り当てた(計3,440免許)。21事業者が計3,431件を落札し、総額は約89億1,200万CADとなっている。
5G向けとなる3800MHz帯(3650-4200MHz)のオークションについては、2023年8月に計画され、最終的に決定された22社のリストが公開された。オークションは同年10月から11月にかけて実施された。
ISEDは2023年5月、3900MHz帯(3900-3980MHz)及び26GHz、28GHz、38GHz帯の一部に対し、小規模ユーザが非競争的手段を用いてローカル5G等の免許を獲得できるようにする非競争的ローカル免許付与の枠組み(Non-Competitive Local Licensing Framework:NCLL)の導入を決定した。免許付与については、自動免許付与システムの利用が可能である。
(2)6GHz帯
ISEDは2021年5月、Wi-Fiに利用できる周波数帯の拡大を目的として、固定業務及び固定衛星業務に割り当てられていた6GHz帯(5925-7125MHz)の開放を決定した。この決定により、基準を満たすリモートローカルエリアネットワークであれば免許不要で6GHz帯の利用が可能となった。
(3)ミリ波帯
ISEDは2022年6月に26GHz帯、28GHz帯及び38GHz帯域にかかるコンサルテーションを実施し、2025年3月には5G向けにミリ波帯を分配する新たなイニシアチブを発表した。NCLLと今後実施する周波数オークションを通じて、ミリ波帯を分配するとしている。
Ⅲ 周波数分配状況
- 周波数分配表(2023年1月改定案)URL:https://www.ic.gc.ca/eic/site/smt-gst.nsf/eng/sf10759.html