Sub-Secretaria de Telecomunicaciones
Tel. | +56 225 888 000 |
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URL | https://www.subtel.gob.cl/ |
所在地 | Amunátegui 139, Correo 21, Santiago, CHILE |
幹部 | Claudio Araya San Martin(通信次官/Under-Secretary) |
1977年設立。運輸通信省(Ministry of Transport and Telecommunications :MTT)の管轄下にある。現在の運輸通信大臣はファン・カルロス・ムニョス(Juan Carlos Muñoz)氏である。
主な所掌事務は、電気通信分野における政策立案及び関係事項の調整、通信事業者の監督、事業免許の付与等である。2011年11月には、Subtelの下部組織として電気通信監督機関(Superintendency of Telecommunications)を新たに設置することが決定され、法律順守の監督、必要に応じて制裁措置の実行、事業者免許の付与及び取消し、周波数の適切な利用の推進、電気通信分野の情報収集と料金に関する規制を行うことが定められた。
2020年10月、上院運輸通信委員会は、新たな規制機関(Superintendencia de Telecomunicaciones:Supertel)を設置する可能性についての議論を再開した。新たな規制機関の設立については、これまで2011年と2014年に提案されていたが、実現には至らなかった。今回の提案では、Supertelの機能として、通信事業者の監督、個人情報の保護、行政措置・罰則の指示、免許の付与と変更に関する報告等が含まれる。一方、Subtelは政策の策定、周波数の管理、国家補助金の管理、統計の発行等を引き継ぐ。2023年10月現在、役割の更なる明確化が議論されている。
1982年に電気通信分野の基本法令として施行され、これにより民営化・自由化への方向性が示された。2011年7月に改正され、ネット中立性に関する項目が追加された。また、2014年にはチリ議会が電気通信分野における競争促進の目的で、ケーブルテレビや電気通信事業者が共同住宅の所有者と排他的な契約を結ぶことを禁止する改正電気通信法が成立した。
2017年11月には、「固定及びモバイル・インターネット接続サービスの最低速度保証を義務付ける改正法(第21.046号)」が成立したが、施行には至っていない。このため、MTTは2020年8月に技術的基準等を定めた法律施行規則「決議第1251」を発表した(Ⅲ-2(6)の項参照)。
「1982年電気通信法」の大幅な改正であり、競争政策の枠組みを規定している。同法の主な内容は以下のとおりである。
「1982年電気通信法」第9A条が、免許制度について規定しており、30年ごとの免許更新を定めている。また、同法では、MTTと経済省が電話サービスの最大料金を5年ごとに決定するとしている。VoIPサービス提供に、電気通信事業免許取得を義務付けている。
電気通信事業における外資の出資制限はない。
2003年1月に料金規制方針が定められ、規制の適用範囲が明確にされた。規制の対象となるサービスは市内電話、相互接続、公衆電話、アンバンドル回線による固定系ネットワーク・サービス等。対象外は国内長距離電話・国際電話、移動体通信、ブロードバンド、アンバンドル回線による移動系ネットワーク・サービス等となった。
1992年に市内電話、1994年に国内長距離電話及び国際電話が自由化された。
2012年1月から全国一斉に移動電話ポータビリティ(Mobile Number Portability:MNP)が開始された。一方、固定電話の番号ポータビリティは2011年11月から地域ごとに導入が開始され、2013年2月に全国レベルでの導入が完了した。
チリ政府は、2016年2月に8桁(移動体)と10桁(固定)が混在している電話番号の桁数を9桁に統一し、9月より移動体通信と固定電話間の番号ポータビリティを開始した。競争促進による市場の活性化を図ったが、期待した効果は得られていない。
自由競争保護裁判所(Tribunal for the Defense of Free Competition:TDLC)が公正な競争を阻害する恐れのある企業買収や、周波数オークション、料金規制、通信の妨害等に関して市場の監視を行っている。
MVNOの更なる促進政策として2015年6月にMVNOとMNOの間の卸売契約条件を明確化した新規則が施行された。新規則には、両当事者の権利と義務、及び紛争解決のためのプロセスが詳述されている。しかしながら、その後もMNOが接続を拒否するというケースが相次いだため、2021年8月、TDLCは、MNOに対し適正な卸売プランを提供することを命令した。
最初のMVNO事業免許は2007年8月、Grupo GTDとBlue Two Chileの2社に付与された。更に翌月、VTRやTro Bayo等6社が免許を取得した。2011年9月にはヴァージン・モバイル(Virgin Mobile)がMVNO事業免許を取得し、2012年4月からサービスを開始した。
MTTは2020年8月に最低限度の品質保証を通信事業者に義務付けた法律(第21.046号)の技術的基準を定めた法律施行規則「決議第1251」を発表した。この決議では、「ブロードバンド」の定義として、モバイルでは5Mbps/1Mbps(下り/上り)以上、固定回線では25Mbps/5Mbps以上の接続を指すこととされた。この基準値は導入開始から2年目まで適用され、その後毎年更新され、全国平均速度に基づいて10%ずつ引き上げる。また、広告表示・契約書記載の基準に関して、ピーク時には、プロバイダは固定回線では契約速度の95%、モバイルでは90%を保証しなければならず、オフピーク時には、98%(固定回線)、93%(モバイル)と設定された。更に、プロバイダは消費者が自分の通信速度を正確に測定するためのツールの提供も義務付けられた。
同分野の監視は2022年11月に新たに設置された独立機関である「Organismo Tecnico Independiente(OTI)」が担当する。
チリ政府は、1994年よりコスト高により音声通話サービスの普及が遅れているルーラル地域及び都市部の低所得者層向けに電気通信開発基金(Telecommunications Development Fund:FDT)を設け、デジタル・ディバイドの解消に取り組んできた。FDTは、他の南米諸国と異なり、事業者の負担金によるものではなく、国家予算により運営されている。
FDTの運営組織として、電気通信開発評議会(Telecommunications Development Council:CDT)が設置されており、評議会委員は、運輸通信大臣、通信次官、経済・振興・観光大臣、財務大臣等で構成される。
チリ政府は2013年5月、「デジタル・アジェンダ・チリ(Digital Agenda Chile) 2013~2020」を採択した。同計画では、2020年までにインターネット人口普及率を80%に、ブロードバンド世帯普及率を50%にそれぞれ拡大するほか、すべての自治体に無料のWi-Fiアクセス・ポイントを設置する、全国の70%の学校でブロードバンド接続を利用できるようにすること等、具体的な目標値が掲げられた。
2015年5月には、チリ南部パタゴニア地方で光ファイバ網を敷設し、同地域の企業と世帯向けにアクセス可能な価格での高速インターネット接続を提供することを目的とした「チリ南部海底ケーブル(Fibra Óptica Austral:FOA)プロジェクト」(プエルト・モン-プエルト・ウィリアムス間の約3,000kmを光ファイバで結ぶプロジェクト)が発表された。同プロジェクトは、パタゴニア地方のデジタル教育や遠隔医療、経済の活性化にもつながるものとなる。プロジェクトは2019年末に完了し、2020年3月よりサービスを開始した。2021年1月には、クラロ・チリ(Claro Chile)、エンテル・チリ(Entel Chile)、モビスター・チリ(Movistar Chile)の3社が光ファイバ・バックボーン回線を利用する契約を締結した。
また、チリ政府はFOAを補完するプロジェクトとして「国家光ファイバ(Fibra Óptica Nacional:FON)プロジェクト」を策定した。全国に1万kmの光ファイバ網を展開するために860億CLPの補助金が割り当てられた。Subtelは2020年1月に全国を六つのブロックに分割して入札を実施。2020年3月、六つのうち五つのブロックの契約について英国投資会社Novatorの傘下であるWOM(「Word of Mouth」の略語、旧ネクステル・チリ(Nextel Chile))が落札し、残りの一つはモビスター・ペルー(Movistar Peru)が落札した。2022年1月には、アイセン州において運用が開始された。
2021年5月、「国家衛星システム」の開発計画が発表された。イーロン・マスク氏の宇宙開発ベンチャー企業であるスペースX(SpaceX)が実施するこのプロジェクトでは、2024年までに10基の小型人工衛星が打ち上げられる。人工衛星はチリで製造され、2022年8月には、人工衛星を監視する国立宇宙センターの建設に向けた入札を開始した。
ルーラル地域の接続性を改善する取組みの一環として、2020年7月に「全国自動ローミング(National Automatic Roaming)法」が成立した。この法律は、移動体通信事業者にネットワーク共有(インフラ・シェアリング)を義務化することで、遠隔地や農村地域のユーザに接続性を提供することを目的としている。Subtelによると、十分なサービスが受けられない3,200の地域のユーザに、音声、メッセージング、及びモバイル・インターネット・サービスへのアクセスを提供する。このような地域に住むユーザは、移動体通信事業者に関係なく、その地域をカバーする事業者のネットワークを利用することができる。全国自動ローミング制度は2020年10月より導入されている。
2020年6月1日、「税制改革法(法律第21.210号)」が施行された。チリ国外の事業者からチリ国内の消費者に提供される特定のデジタル・サービスに対して19%の付加価値税が課されることになった。課税対象は次のとおりである。
デジタル・サービスがチリ国内で使用又は消費されたとする判断基準として、以下の四つの条件を挙げている。
チリ国会は2010年8月、ネット中立性原則を定めた電気通信法の改正案を可決し、「改正電気通信法」が2011年7月から施行された。従来の電気通信法に、ネット中立性原則に関する3項(第24条H、I、J)が追加された。
プロバイダに対し、ユーザが利用するコンテンツ、アプリケーション、サービスを意図的にブロック、介入、差別、妨害、制限することを禁止した。また有害コンテンツに対するペアレンタル・コントロール・サービスの提供と、提供サービスの透明性の確保を義務付けた。
Subtelは同法を根拠に、2014年6月、特定のオンライン・サービスへのアクセスを電気通信事業者が無料で提供する「ゼロ・レーティング」を違法とした。
チリ政府は、地震や津波等の災害発生時に、影響を受ける地域の移動端末に、一斉に緊急警報を通知する「Cell Broadcast System(CBS)」の導入を決定している。CBS導入に向けて、2011年に約25億CLPの予算をMTTに計上した。入札は2011年1月に公示され、英国eVigilo社が落札し、同社によってシステムの整備が進められた。このシステムは、国家緊急災害対策室(National Office of Emergency of the Interior Ministry)の早期警戒センターと移動体通信事業者の管理するコールセンター、移動体通信網から構成される。
Subtelは2017年9月23日より、国内で販売されているすべての移動電話に対して、地震、津波、火山噴火といった自然災害に対する早期警戒システムからの緊急通報を受信する機能を義務付けると発表した。通信事業者には加入者の移動電話に緊急通報を受信可能であることを示すラベルを添付することが義務付けられる。
「1982年電気通信法」により、Subtelが無線通信機器、電気通信機器の基準認証を所掌する。
移動体通信サービスの普及拡大により、固定電話(PSTN)離れが加速している。700MHz帯を活用したLTEサービスのカバレッジが拡大したことにより、特に固定系の通信サービスが行き届いていない地域では、移動体通信事業者が4G網を通じて固定電話の代替サービスを提供し始めている。また、VoIPの普及拡大も固定電話離れの要因の一つに挙げられ、クラロ・チリ、Telsur、VTRといった後発事業者がVoIPサービスを提供しており、全国に約120万の加入者がいる。チリ南部の第11州(アイセン州)や北部の第15州(アリカ・イ・パリナコータ州)等固定回線網の敷設が困難なルーラル地域では、エンテル・チリが3.5GHz帯を使用した固定無線アクセス(FWA)サービスを提供している。
市内電話事業者は大小合わせて数十社存在するが、テレフォニカ・チリ(Telefonica Chile)と米メディア大手リバティ・グローバル(Liberty Global)傘下のケーブルテレビ事業者であるVTR、エンテル・チリの3社寡占状態が続いている。Subtelによると、2023年9月現在、テレフォニカ・チリが33.7%、VTRが21.3%、エンテル・チリが19.7%の市場シェアを占めている。これ以外には、アメリカ・モビル(America Movil)傘下のクラロ・チリ(同7.3%、Telmexを含む)、Grupo GTD傘下のTelsur(同15.1%)等がサービスを提供している。
なお、アメリカ・モビルとリバティ・グローバルは2021年9月にそれぞれのチリ事業であるクラロ・チリとVTRを統合し、50:50の合弁会社を設立することに合意した。この提携は2022年11月に規制当局の認可を受け、同月に完了した。
チリの移動電話加入者数は2012年をピークにその後2017年まで小幅で減少が続いていたが、2021年は大幅な増加に転じた。
チリの移動体通信市場は、テレフォニカ系のモビスター・チリ、エンテルPCS(Entel PCS、親会社エンテル・チリ)、クラロ・チリ、英国投資会社Novatorの傘下であるWOMの4社で市場シェアの9割以上を独占している。Subtelによると、2023年9月末現在、各社の市場シェアは、エンテルPCSが32.4%、モビスター・チリが26.9%、クラロ・チリが17.5%、WOMが21.3%となっている。
後発企業のWOMは、親会社であるNovatorが2015年1月にネクステル・チリを買収すると、ブランド名を改称し、事業戦略の見直しを行った。ターゲットを若年層に絞り、他社より有利なプランを提示し、魅力的な新しい端末を投入する等の取組みを行い、また番号ポータビリティ制度の恩恵も受けて、2016年に加入者数を倍増させた。WOMは同市場での存在感を着実に高めている。対照的にエンテルPCSとモビスター・チリは加入者の流出が続き、苦戦を強いられている。
MVNO市場は、移動体通信事業者(MNO)との激しい競争にさらされている。同市場は2017年から縮小傾向にあり、2022年9月末のMVNO加入者数は約43万に過ぎず、移動体通信市場全体の1.6%を占めるに過ぎない。2023年1月末時点で実際にサービスを提供しているのは5社(Telsur、ヴァージン・モバイル、VTR、Netline、Mundo Pacifico)であるが、加入者数が10万を超えている、もしくはそれに近いのはVTR(30万)とPacifico Cable(12万7,000)の2社のみである。2020年11月にブロードバンド事業者のPacifico Cable(ブランド名:Mundo Pacifico)がMVNO市場に参入した。VTRやTelsurと同様に、Mundo Pacificoも既存の固定回線サービスを補完する目的でMVNOサービスを開始しており、低価格帯での競争に参入している。
2021年2月には、5G周波数オークションが実施され、WOM、エンテル・チリ、モビスター・チリが免許を落札した。2021年12月までに国内初の5Gサービスをエンテル・チリとモビスター・チリが開始し、少し遅れて2022年3月にWOMが5Gサービスの提供を開始した。
チリは、南米諸国の中でも固定ブロードバンド・サービスの普及が最も進んだ国の一つである。固定ブロードバンド市場は、ケーブルテレビ大手VTRと通信大手テレフォニカ・チリの2強状態が続いており、Subtelによると、2023年9月現在、それぞれ24.1%と31.2%の市場シェアを占めている。これ以外にも中小規模のISPが数十社ほど存在しており、代表的なISPとしてクラロ・チリ(市場シェア6.7%)、Grupo GTD(同7.1%)、エンテル・チリ(同7.1%)、Pacifico Cable(同18.0%)等がある。また、移動体通信事業者WOMが2020年初頭にFTTHサービスを開始し、年内に有料テレビ市場への参入を計画する等、総合的電気通信事業者へと事業を拡大しようとしている。
近年は、広帯域化への設備投資が進み、テレフォニカ・チリやエンテル・チリ、Grupo GTD、クラロ・チリといった事業者がVDSLやFTTx、HFC方式を利用した高速インターネット接続サービスを大都市圏で提供開始しており、新規加入者を増やしている。
2012年に100万以上の加入数があったADSLは、2023年9月には約5万にまで減少した。対照的に、FTTxの加入数は2017年頃から急激に増加し、2023年9月現在はケーブル・モデムの約122万を抜いて約311万に達した。Subtelによると、2023年6月末現在、接続技術別の加入者シェアはFTTxが69.0%、ケーブル・モデムが27.1%、ADSLが1.1%となっている。このほかに、3G/4G/5Gモバイル・ブロードバンドで接続している加入者が約2,255万いる。
米国実業家のイーロン・マスク氏率いるスペースXが開発を進める衛星ブロードバンド・プロジェクト「スターリンク(Starlink)」の拠点として、チリ国内の2か所がラテンアメリカ初の国として選ばれた。Subtelによると、2021年7月よりカレタ・シエラ(コキンボ州)とソトモ(ロス・ラゴス州)の学校では衛星ブロードバンドが利用できるようになる。2021年11月より一般向けに商用展開が始まりっており、Subtelによると、2022年9月時点で加入者数が7,115に達したと発表した。
Telefonica Chile
Tel. | +56 2 691 2020 |
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URL | https://ww2.movistar.cl/ |
幹部 | Alfonso Gómez Palacio(中南米事業最高経営責任者/CEO Hispam) |
国営通信事業者(旧Telefonica CTC Chile)として1930年に設立され、チリ経済開発公社(Production Development Corporation)が株式を所有していたが、1987年から株式売却を開始、1990年に民営化され、現在はスペインのテレフォニカが同社株式の98.96%を所有している。固定・移動体通信事業で支配的地位を維持しており、次世代網のLTEとFTTHへの投資も積極的に行っている。2006年からは子会社テレフォニカ・マルチメディア(Telefonica Multimedia)を通じて有料放送(IPTV/DTH)市場に参入した。また、固定・移動の融合サービスを実現するため、固定・移動サービスのブランド名を、2009年10月から「モビスター」に統一した。
なお、2021年1月に現地メディアが、スペインの親会社テレフォニカはチリ市場からの撤退を計画していると報道し、チリ部門の売却先候補としてVTRとクラロ・チリの名前を挙げた。2023年1月現在、売却交渉の進展はない。
Entel Chile
Tel. | +56 2 360 0123 |
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URL | http://www.entel.cl/ |
幹部 | Antonio Büchi Buc(社長/General Manager) |
元国営長距離・国際通信事業者として1964年に設立され、1992年に民営化された。現在は、固定事業と、完全子会社のエンテルPCSを通じて移動体通信事業を展開しており、移動電話市場ではモビスター・チリと首位を争っている。主要株主は通信事業大手Almendral傘下のAltel Investments(54.9%)である。
(通信/Ⅰの項参照)
放送用周波数の割当て、免許付与等、放送行政を所掌する。
Consejo Nacional de Television
Tel. | +56 2 592 2700 |
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URL | https://www.cntv.cl/ |
所在地 | Mar del Plata 2147, Providencia, Santiago, CHILE |
幹部 | Faride Zerán Chelech(委員長/President) |
1989年9月に「国家テレビ委員会の設立に関する法律(法令第18838号)」に基づき設立された放送事業及び放送内容の規制監督を行う独立規制機関である。11名の委員によって構成され、委員長は大統領が任命し、残りの委員は上院の承認の下、大統領によって任命される。任期は8年。
主な所掌事務は、視聴者の苦情を基にテレビ番組の内容の監督、不適切なテレビ番組の報告、高品質なテレビ番組制作のための基金の運用、テレビの影響に関する調査・研究の実施・公表(青少年、ジェンダー等)、過疎地域向けのアンテナ設置の助成金支給、視覚障がい者向けのアクセシビリティ確保等である。
「1982年電気通信法」がラジオ及びテレビ・サービスの基本法令となっている。また「1994年マルチキャリア法」がケーブルテレビ、衛星放送、インターネットに関して規定している。
外資の出資比率に関する規則はない。「1982年電気通信法」は、放送免許を保有またそれを利用する者は、公営あるいは私営の法人であり、チリにおいて設立され、国内に位置しなければならないと規定している。
2009年9月、ミシェル・バチェレ大統領(当時)は、チリにおける地上デジタル放送方式の規格として日本方式ISDB-Tを採用することを決定した。2010年5月には、サンティアゴで地上デジタル放送の試験放送を実施している。
チリ政府は、2010年6月のサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会までに本放送を開始する予定であったが、根拠となるデジタル放送法案の上院での審議が滞っていたため、MTTは既に交付した16の試験放送免許について、試験放送期間を1年間自動延長し、その後も最高5年間延長できる政令を発出した。
2013年10月、地上デジタル放送の本放送を開始するための「地上デジタル法案」が5年にわたる審議の末、上院で可決されたが、その後も憲法裁判所での承認待ちの状態が続き、2014年5月になってようやく「地上デジタル法」(法律第20.750)が官報に掲載された。2015年4月にはMTTにより地上デジタル放送への移行計画が発表された。計画によると、2017年より全国15州の州都でデジタル放送を開始し、2020年までに地上デジタル放送を完了する計画であった。辺境地域は衛星デジタル放送でカバーする予定で、その場合は受信装置を無償で配付する。
2017年11月、Subtelは地上デジタルテレビ放送移行のための放送設備への投資にかかる補助金の公募を発表した。予算規模は57億5,000万CLP程度。また、2017年12月には、地方・辺境地域向けにパイロット・プロジェクトとして、地上デジタル放送の受信キットの配布を開始した。
MTTは2019年5月、地上テレビ放送のアナログ停波を2024年4月に延期すると発表した。また、2022年4月までにチリ国民の80%が地上デジタル放送を視聴可能にするという目標の下、放送局に新たな要件を課すことも明らかにした。それによれば、放送局は1年以内に地上放送のデジタル化に着手するほか、移行スケジュール表を作成し、その進捗状況を報告しなければならない。スケジュールではデジタル移行率の目標値として、1年目に30%、2年目に50%、3年目に80%、4年目に100%を設定することが求められている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の影響を受け、テレビ局等が地上デジタル方式への移行完了期限を2026年に再延期するよう求めていた問題で、チリ政府はその訴えを拒否し、移行完了はこれまでどおり2024年4月とすることを確認した。ただし、アナログ放送の停止期限については変更を認め、最初の期限は2021年12月15日、それ以降は2022年12月15日、2023年12月15日、最終期限は2024年4月15日とした。
商業放送局が約140局、国営放送のRadio Nacional de Chile(RNC)が4局、その他、各地に大学放送局が7局存在している。
7社が全国放送を実施。TVN、メガビジョン、チリビジョン、Channel 13の四つの放送局が最も視聴されており、それぞれ10%弱の視聴率を獲得している。TVNは政府から財政的に独立しており、運営資金の約95%は広告収入によるものである。
国土が海岸地帯、山岳地帯、アマゾン地帯と多様な地形で成り立っているチリでは衛星放送の加入率が比較的高く、2023年6月現在、衛星放送の加入数が約97万8,000である。これは、有料放送サービス加入数全体の30.7%を占める。テレフォニカ・マルチメディア、クラロ・チリ、ディレクTVチリ(DirecTV Chile)、TuVes等がDTHサービスを提供しており、テレフォニカ・チリが市場シェア21.3%(DTHとIPTVの合計)を得ている。このほかに、ディレクTVが19.0%の市場シェアを獲得している。
Subtelによると、2023年6月現在、有料放送サービス加入数は約319万で、加入率は15.9%である。ケーブルテレビの加入数は約221万で、有料放送サービス加入数の69.3%を占める。そのうちケーブルテレビ最大手のVTRが27.8%(約88万6,000件)、クラロ・チリが9.7%となっている。
Television Nacional de Chile
URL | https://www.tvn.cl/ |
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所在地 | Bellavista 0990, Comuna de Providencia, Santiago, CHILE |
幹部 | Alfredo Ramírez(会長/Executive Director) |
1969年設立の国営放送事業者であるが、1990年代には政府の補助が打ち切られた。その後の財源は広告収入のみであり、商業放送的な性格が強まっている。主要チャンネルTVN、第2無料放送チャンネルNTV、ストリーミングTVチャンネルTVN 3、ニュースチャンネルCanal 24 Horas、国際チャンネルTV Chileなど複数のチャンネルを運営している。TVNは、ニュース、フィクション、海外コンテンツ、スポーツイベントなど、様々な番組を制作することで知られている。
(通信/Ⅰの項参照)
周波数割当、周波数管理、基準認証等、電波監理全般を所掌する。
「1982年電気通信法」第8条において、電波は原則として無線局免許の枠組みで許可されることが規定されている。軍事用通信の周波数管理は、軍が所掌する。
上院の運輸・電気通信委員会は、2020年10月に新たな規制機関である運輸通信省/通信次官官房(Subtel)に関する議論を再開した。新たな監督機関の設立に関する提案は、2011年と2014年に提出されたことがあるが、発効には至らなかった。新たな提案では、運輸通信省/通信次官官房(Supertel)の機能として、電気通信サービスの監督、ユーザデータの保護の確保、行政措置の指示、違反に対する制裁措置の開始、免許の付与と変更に関する報告が含まれる。Subtelは引き続き、規制政策の決定、周波数帯の管理、補助金の管理を担当する。この提案は、当時は大筋で承認されたが、2023年1月までにこれ以上の進展がなかったため、計画は再び脇に置かれた。
「1982年電気通信法」第9A条で、電気通信サービス提供に必要な免許に関する規定が行われており、30年ごとに免許が更新されるべきことが定められている。
周波数の割当ては、「1982年電気通信法」第13条に基づき、技術的に不可能な場合を除いて、周波数オークションにより行われる。放送、移動体通信及びブロードバンド無線通信(BWA)については、周波数オークションが行われている。
「1982年電気通信法」第21条により、周波数利用の権利の移転、譲渡、リースについては、Subtelによる事前許可が必要である。
最初のオークションは1989年に行われ、テレフォニカ・モビル・チリ(Telefonica Mobile Chile:TMC)とベルサウス(BellSouth)が800MHz帯を獲得し、1991年にTDMAサービスを開始した。1997年には1900MHz帯のオークションが実施され、エンテルPCSとチリサットPCS(Chilesat PCS、後にSmartcomに買収される。現クラロ・チリ)が獲得した。2004年にCTC(現モビスター・チリ)がTMCとベルサウスを買収したことで、1社が保有できる帯域の上限を超えたため、公正取引委員会の仲裁により開放された帯域のオークションが2005年に実施され、クラロ・チリが獲得した。2009年には、1710-1755MHz/2110-2155MHzのAWS帯域のオークションが新規参入2社に閉じた形で行われ、VTRとネクステル・チリ(現WOM)が獲得した。2013年8月、VTRの親会社リバティ・グローバルが戦略的代替案としてフルMVNOへの移行を決定し、2013年12月にはVTRはMVNOへの移行が完了した。Subtelは未使用となった周波数の返還をVTRに求めているが、VTRは返還を拒否しており、2023年1月現在もVTRが保有したままである。
2012年1月、2505-2525MHz/2625-2645MHz、2525-2545MHz/2645-2685MHz、2545-2565MHz/2665-2685MHzに関するオークションが実施され、クラロ・チリ、エンテルPCS及びモビスター・チリに2.6GHz帯の周波数割当が行われた。2014年3月には、4Gサービスの補完用として700MHz帯のオークションが行われ、クラロ・チリ、エンテルPCS及びモビスター・チリに割り当てられた。
2009年1月、チリ最高裁判所は、周波数の保有上限を60MHzに設定したが、その後の入札ではこの上限が事実上無視されていたため、訴訟に発展するケースが見られた。そのためSubtelは2018年10月、今後オークションにかける予定の周波数帯を四つに分割し、それぞれに個別の上限を設けるという提案をTDLCに提示した。TDLCはこの提案に修正を追加し、2020年7月には、最高裁判所は、SubtelとTDLCが提示した提案にほぼ沿った判決を下した。この判決により、以下の上限が設定された。
2018年6月、Subtelは、3.5GHz帯が効率的に使用されていないことを理由に、クラロ・チリ、エンテルPCS、Grupo GTD、モビスター・チリ、VTRに対し、3.5GHz帯の商業利用を停止するよう命じた。また、まだ使用する帯域が決まっていないにもかかわらず、5G技術のために周波数をため込んでいると事業者側を非難した。事業者側はSubtelのこうした主張に対し、異議申立を行ったが、裁判所はこれを却下した。この判決でSubtelは、事業者は3.5GHz帯を固定無線アクセス(FWA)にのみ使用できることを明確化した。エンテルPCS、クラロ・チリ、モビスター・チリの3社は最終的に未使用の3.5GMHz帯の一部を返還することに合意した。
Subtelは2018年7月に「5G国家計画」に関するパブリック・コンサルテーションを公表し、3.4-3.8GHz帯及び27.5-28.35GHz帯を5Gの最優先帯域として検討する方針を示した。2020年1月には、5G周波数オークション(700MHz、2100MHz、3.5GHz、26GHz)の実施に向けて準備が進められていることが明らかにされた。以下の帯域がオークションにかけられることが決まった。
2021年1月には、Subtelは四つの周波数帯の公開入札に対して5社の応募があったことを明らかにした。エンテルPCS、クラロ・チリ、モビスター・チリ、WOMの4社に加えて、新規参入となる米国とフィンランドのコンソーシアムBorealnetが入札を希望した。そのうち26GHz帯については、要求を満たすのに十分な帯域があることから、2021年1月、オークションを行わずにオファーを提出したクラロ・チリ、エンテル・チリ、WOMの3社すべてに付与されることになった。
他の三つの帯域については、2021年2月にオークションが実施され、700MHz帯び2100MHz帯をWOMがそれぞれ608億CLPと162億6,000万CLPで落札した。また、3.5GHz帯については、モビスター・チリ、エンテルPCS、WOMの3社がそれぞれ50MHz幅を落札した。各社の落札価格は、モビスター・チリが約1,170億CLP、エンテルPCSが約1,000億CLP、WOMが約320億CLPであった。
2021年5月、クラロ・チリはエンテルPCSから3.5GHz帯の30MHz幅を購入することに合意した。同年2月に行われた3.5GHz帯の5Gオークションで、エンテルPCSは保有する周波数の総量が105MHzの上限を超えて、合計130MHzとなったため、同社は同帯域の一部を他社に売却するか、規制当局に返還するかのいずれかの方法で処分する必要があった。一方、クラロ・チリは、オークションで3.5GHz帯の周波数を追加で獲得できなかったため、5Gサービスを提供するために同帯域の一部を追加で確保する必要があった。
2023年にSubtel は、3.5GHz帯の入札ルールを公表した。3400MHz〜3600MHz帯の周波数帯50MHzの売却に関するオークション資料を公表した。入札では、10MHzずつ最大5ブロックの免許が30年間有効である。コンセッションは、展開時間、提案されたカバレッジ、設置される新しいインフラを考慮した技術提案の評価に基づいて申請者に授与される。Subtelは、3400MHz~3600MHz帯の電波が連続したブロックになっていないため、入札終了後、オークションで落札されたブロックが「連続したブロックとなり、(この帯域で)付与された残りのブロックの分散を最小限に抑え、可能な限り連続したブロックとなるよう」配置変更を行う。申請は2024年1月16日までに提出される予定である。
「1982年電気通信法」第31~35条において、無線局免許に対する電波利用料の支払義務を記述している。電波利用料は、周波数の数、送信電力、帯域幅、無線局数等により決定される。
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインを採用し、人体に対する電波の保護基準を設けている。
2000年に「電気通信サービスのための無線局への安全要件の決議505号」を発行した。本決議は2002年に改正され、携帯端末の公衆ばく露SARの基準が追加された。また、2012年に法律20599号制定し、各都市における電界強度が飽和限界に達した地域を公開することで、当該地域の鉄塔の建設を制限している。
電波周波数の上限を定め、5G通信事業権を付与するための公開入札手続きを開始する。いくつかの法的紛争の後、2020年7月13日付の判決により、チリ最高裁判所は、通信事業者による電波周波数帯の使用権に新たな上限を設けるとともに、将来の5Gコンセッションの一般入札に適用される補完的措置を定めた。この判決に基づき、2020年8月1日にSubtelは、5G技術を含む高速無線ネットワークを運営する電気通信事業権付与のための公募を官報に掲載した。
Subtelは、周波数管理のため、2006年3月に周波数分配計画表「General Plan for Radio Spectrum Usage」を策定した。同計画表は必要に応じて部分的に改正され(最新版直近改正は2016年)、全文及び改正の内容は以下のURLで公表されている。
2023年4月25日に公布された政令Decree 192, Transportの第1条は、第4条第4節「周波数帯域割当表」を、「General Plan for Radio Spectrum Usage」における規則で示された周波数帯域の割当てに置き換えるという意味で、現行の規則を修正している。