コロンビア共和国(Republic of Colombia)

通信

Ⅰ 監督機関等

1 情報技術通信省(MINTIC)

Ministry of Information Technology and Communication

Tel. +57 1 344 34 60
URL https://www.mintic.gov.co/
所在地 Edificio Murillo Toro Cra. 8a entre calles 12 y 13, Bogotá, COLOMBIA
幹部 Sandra Milena Urrutia Pérez(大臣/Minister)
所掌事務

情報通信技術及び通信全般にかかわる政策策定のほか、事業者の登録や周波数利用許可の付与を所掌する。

2 通信規制委員会(CRC)

Communication Regulation Commission

Tel. +57 1 319 83 30
URL https://www.crcom.gov.co/
所在地 Calle 59 A bis No.5-53. Edificio LINK Siete Sesenta Piso 9 Bogotá, COLOMBIA
幹部 Paola Andrea Bonilla Castaño(委員長/Executive Director)
所掌事務

1994年に設立された通信分野の独立規制機関で、競争市場推進の原則に基づき、主に以下を所掌する。

また、2020年2月より、「2019年法律第1978号(Law 1978/2019、通称ICT近代化法)」に基づき、郵便及び放送分野もCRCの所掌分野となった。

Ⅱ 法令

2009年法律第1341号(Law 1341/2009

通信分野の基本法令であり、監督機関の所掌の定義のほか、相互接続基準、周波数の有効利用等の原則を規定している。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

「2009年法律第1341号」第15条が、通信網の運用又は通信サービス提供には、MINTICへの事前の届出が必要であり、MINTICは申請書類を審査、ICT事業者登録を行うと規定している。周波数の利用に際しては、同法の2019年改正第11条により、別途MINTICが発行する周波数利用許可(20年間)を取得しなければならない。

コロンビアの通信市場参入に対する外資規制は存在しない。

2 競争促進政策

(1)相互接続

「2009年法律第1341号」第50条により、通信事業者は他の通信事業者の要求があった場合、CRCの定める条件に従い相互接続に応じることとされている。同条は接続提供の際の基本要件を、①非差別的取扱、②透明性、③コストベースの料金設定、④自由競争の維持、⑤支配的地位の濫用の回避、⑥サービスの質の維持、と定めている。上記の条件に対する違反は、相手側の訴えにより処罰の対象となる。

(2)卸売提供制度とMVNO促進政策

固定・移動とも市場支配的事業者に関する規定は存在するが、2022年半ばの規制機関のサイト等では、回線卸売やネットワーク共有等に関して、実例に対する適用に関する報告はない。MVNOの市場参入は自由である。

(3)支配的事業者規制

「2007年政令第2870号(Decreto 2870 de 2007)」により、CRCは通信各市場で定期的に市場分析を実施、市場支配的事業者を指定することができる。市場支配的事業者は、相互接続その他、自社の所有する施設の他事業者による利用に対し、非差別的条件かつコストベースの料金で応じることとされている。

2013年1月から、CRCは移動体通信市場に非対称規制を導入、市場支配的事業者クラロ・コロンビア(Claro Colombia)の通話着信料金(卸)基準を他の事業者の基準以下に設定することを義務付けた。

3 情報通信基盤整備政策

(1)ユニバーサル・サービス

市内通話及びブロードバンド接続がユニバーサル・サービスと規定されている。サービスの財源として、MINTICの管理による「情報通信技術基金」が設定されており、通信事業者は年間収入のうち、MINTICの定める割合の額を基金に拠出する義務を負う。

(2)デジタル・ディバイド解消

政府は2018年、「すべての人々のためのデジタルの未来」という表題で、2022年までの国家デジタル化政策を発表した。この政策は、官民協力に基づき、国民のすべてがブロードバンド接続とそれに伴う各種ICTサービスを享受することを目標にしている。インフラ面でのディバイド解消政策としては、ルーラル地域でのコミュニティ・アクセス・センターの設置、公共機関でのWi-Fi接続サービスの普及等があり、また公立学校での接続環境の改善が急務とされた。

4 ICT政策

MINTICは2018年、政府の国家デジタル化政策に呼応して、「通信戦略2019~2022」を発表した。この戦略は、情報通信技術の普及、それに伴うデータの拡散からの消費者保護、ICT技術開発のために通信事業者の拠出金で運営される基金の設置、ICT教育の普及、コンテンツ産業への支援、通信・放送サービスを通じたICT技術へのアクセスの容易化等を目標に、同省がそれぞれの目標の達成に果たす役割を規定している。

5 消費者保護政策

CRCは2011年後半から、移動体通信事業者との契約関係につき、一連の消費者保護措置を導入している。2011年には移動体通信事業者にSIMロック解除を義務付けた。2013年4月からは、プリペイド契約につき、契約期間を最低60日とすること、契約時に各サービスの料金の詳細を契約者に通知すること、カードの有効期限の終了の際には、少なくとも24時間前に契約者に通知することとした。

ポストペイド契約については、2014年7月、通信サービス契約と端末の抱き合わせ販売を禁止、契約と同時に端末を購入する消費者に対しては、サービス契約料金と端末料金を別建てで提示することと定められた。既存の販売奨励金付き契約については、最低契約期間の終了まで有効とされるが、各月の請求書に、端末購入料金に関する明細を明記することとされている。

CRCはまた、ポータルサイトを通じて、一般利用者向けの各種ICTサービス利用案内、苦情受付、料金比較等を提示している。

Ⅳ 関連技術の動向

基準認証制度

無線機器の基準認証は、「2009年法律第1341号」第22条により、CRCの責務とされている。CRCは、コロンビアにおける電気通信ネットワーク及びサービスにかかわる設備、端末等の重要な機器について、基準を策定し認証を行うとされ、認証を行う国内及び国際機関を指定すると規定されている。

Ⅴ 事業の現状

1 固定電話

PSTN方式の固定電話の加入者が減少を続ける一方で、ブロードバンド接続プロバイダによるトリプルプレイの伸長から、IP電話利用が伸びている。

PSTN方式は、Empresa de Telecomunicaciones de Bogota(ETB:市内・長距離・国際)、Empresas Municipales de Cali(EmCali:市内)の国営2事業者、スペインの総合通信事業者テレフォニカ(Telefonica)の子会社テレフォニカ・コロンビア(Telefonica Colombia、ブランド名:モビスター(Movistar))により提供されている。一方、VoIP方式は、クラロ・コロンビア及び、国営市内事業者EPMとMillicom International Cellular(MIC)の合弁会社ティゴ・コロンビア(Tigo Colombia)により提供されている。

2 移動体通信

移動体通信市場ではクラロ・コロンビア、モビスター・コロンビア(Movistar Colombia)、ティゴ・コロンビア、Avantel等がサービスを提供している。MVNO市場では、ヴァージン・モバイル・コロンビア(Virgin Mobile Colombia)とMovil Exitoで9割以上のシェアを占めている。

LTEサービスについては、モビスター・コロンビア及びAvantelが1.7GHz帯、ティゴ・コロンビアが700MHz/1.7GHz帯、モビスター・コロンビア、クラロ・コロンビアが700MHz/2.5GHzを取得、2013年12月以降、商用サービスを開始し、全国の都市部で利用が可能になっている。

5Gサービスについては、2020年1月にクラロ・コロンビア、モビスター・コロンビア、ティゴ・コロンビア及びETBに3.5GHz帯の暫定免許が付与され、各社ともトライアルを実施している状況である。

3 インターネット

主要ISPはクラロ・コロンビア(ケーブル、FTTH)、ティゴ・コロンビア(ケーブル、ADSL)、モビスター・コロンビア(ADSL、FTTx)、ETB(ADSL、FTTH)で、この4社で市場シェアの8割を占めている。接続方式はケーブルモデムが半数以上を占め、主流である。

Ⅵ 運営体

テレフォニカ・コロンビア

Telefonica Colombia

Tel. +57 1 6500000
URL https://www.movistar.co/
幹部 Fabian Hernandez Ramirez(会長/President)
概要

1994年に米国のベルサウス(BellSouth)の子会社として事業を開始したが、2004~2005年にスペインの旧国営総合通信事業者テレフォニカが株式を取得、経営権を獲得している。テレフォニカが67.5%、コロンビア政府が32.5%の株式を所有している。

2012年に各サービス部門のブランド名をモビスターに統一した。シェア順位は、固定通信市場では3位、移動体通信市場ではクラロ・コロンビアに次ぐ2位である。

放送

Ⅰ 監督機関等

1 情報技術通信省(MINTIC)

(通信/Ⅰ-1の項参照)

2 通信規制委員会(CRC)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

所掌事務

2020年2月より、「2019年法律第1978号(Law 1978/2019、通称ICT近代化法)」に基づき、放送分野を管轄。放送事業免許付与、番組規制を所掌する。

Ⅱ 法令

2001年法律第680号

放送事業者の資本所有や放送コンテンツに占める外資の割合等につき規定している。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

テレビ事業は「憲法」第365条により、公共事業と位置付けられており、放送局の開局に当たっては、CRCの割り当てる対応周波数の利用許可を必要とする。割当てを受けた事業者は、3か月ごとに利用料として、CRCに収入の1.5%を拠出する。ラジオ放送局への周波数割当・番組管理は、「2009年法律第1341号」第Ⅷ章により、MINTICの所掌とされている。

なお、一放送事業者に対しての外資の上限は、資本全体の40%までとされている。

2 公共放送関連政策

公共放送Radio Television Colombia(RTVC)の設立規定である「1991年法律第014号」では、同社に対して広告放送を禁じている。

3 コンテンツ規制

番組規制

「2001年法律第680号」により、放送番組に占める国内制作番組の割合が以下のように定められている。

4 地上デジタル放送

2010年1月に地上デジタル放送が開始された。2011年にANTV(当時、国立テレビ協会)は2019年までに移行を完了すると定め、2012年には新たな放送規格としてDVB-T2方式を採用した。

2019年5月、地上デジタル放送向け周波数利用許可申請手続を明確化する決定が発効したが、同年6月にANTV(当時)が同年12月末に予定されていたアナログ停波を2022年12月末に延期することを決定した。

Ⅳ 事業の現状

1 ラジオ

公共放送ではRTVCが4系統の全国放送を実施している。商業放送事業者は数百を数えるが、AMで全国放送を実施している大手ネットワークには、Radio Cadena Nacionalがあり、FM放送大手には、音楽番組を中心に複数の局を運営しているRadio Super等がある。

2 テレビ

RTVCが2系統で全国放送を実施している。商業放送事業者には、Caracol Television(CRC)、RCN Television等がある。地上デジタル放送は、RTVC及び民間放送の双方を含め、2019年には人口カバレッジが92.6%に達している。

3 衛星放送

2022年6月現在の加入者数は約130万である。米国ディレクTV(DIRECTV)傘下のディレクTVコロンビア(DIRECTV Colombia)が最大手事業者であり、モビスター・コロンビアもインターネットとのバンドル・サービスとしてDTH放送番組の配信を実施している。

なお、政府は2014年10月、地上放送の非カバー地域に対し、公共放送を中心にDTHでの番組配信を実施するプロジェクトを開始、10年間で306自治体に衛星放送システムを導入するため、7,050万COPの予算を設定している。

4 ケーブルテレビ

2022年6月現在の加入者数は約400万である。クラロ・コロンビアとティゴ・コロンビアが2大事業者であり、両社は主にインターネットとのバンドル・サービスにより、有料放送加入者シェアの半数以上を占める。

Ⅴ 運営体

Radio Television Colombia(RTVC)

Tel. +57 1 2200700
URL https://www.rtvc.gov.co/
幹部 Adriana Vásquez Sánchez(総裁/Director)
概要

1991年に設立された公共放送事業者で、4系統のラジオ放送、2系統のテレビ放送を運営しているほか、地上デジタル放送を実施、難視聴地域への衛星配信も行っている。財源は政府からの給付金である。

電波

Ⅰ 監督機関等

1 監督機関

(1)情報技術通信省(MINTIC)

(通信/Ⅰ-1の項参照)

(2)通信規制委員会(CRC)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

(3)国家周波数庁(ANE)

National Agency of Spectrum

Tel. +57 1 6 00 00 30
URL https://www.ane.gov.co/
所在地 Calle 93 # 17-45, Pisos 4, 5 y 6. Bogotá D.C., COLOMBIA
幹部 Miguel Felipe Anzola Espinosa(長官/Director)
所掌事務

「2009年法律第1341号」により設立され、MINTICあるいはCRCの諮問機関として、周波数管理に関する計画策定や事業者規制に関する助言や技術支援を実施する。

2 標準化機関

コロンビア技術規格協会(ICONTEC)

Instituto Colombiano de Normas Técnicas y Certificación

Tel. / Fax +57 1 607 88 88
URL https://www.icontec.org/
所在地 Carrera 13 Nro. 97-75-Sede principal Carrera 37 N.° 52-95​-Bogotá, D.C., COLOMBIA
幹部 Roberto Enrique Montoya Villa(会長/Executive Director)
所掌事務

1963年に設立された。国際的にコロンビアを代表する標準化機関として認められた民間非営利団体であり、国家標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)等の国際標準団体に参加し、コロンビア国内の標準化業務を所掌している。

Ⅱ 電波監理政策の動向

1 電波監理政策の概要

「憲法」第75条において、電波は公共の財産と定義されており、「2009年法律第1341号」は、周波数管理について規定している。電波監理については、以下の3機関により実施する。

(1)情報技術通信省(MINTIC)

「2009年法律第1341号」第18条は、MINTICの22の任務を規定し、電波監理関係では、周波数の政策、計画及び管理について実施するとして、周波数分配表の策定、周波数の割当監理、無線局免許の認可、周波数に関する国際条約の実行等を任務としている。

(2)通信規制委員会(CRC)

「2009年法律第1341号」第22条は、CRCの20の任務を規定している。電波監理関係では、以下のとおりである。

(3)国家周波数庁(ANE)

「2009年法律第1341号」第22条は、ANEの13の任務を規定しており、電波に関する管理、計画、監視及び制御の技術面でMINTIC及びCRCを支援するとされており、主な電波監理関係の所掌は、以下のとおりである。

2 無線局免許制度

周波数の利用には、事前にMINTICの認可が必要とされる。認可は、技術中立であり、技術は干渉を相互サービスに与えないこと、国際市場に整合していること、持続的な発展に貢献していることが必要である。

MINTICは、関係者への公平な通知により周波数利用の認可手続を実施し、関係者に公正平等に与えられるべきである。また、周波数割当は、オークションに基づき実施される。

割当周波数の譲渡は、MINTICの承認なしには認められない。承認のためには、電波利用の質、アクセス、社会的な利益が損われないことが必要である。

なお、最近数年間の周波数割当例としては、以下がある。

2019年12月に700MHz帯と2500MHzのオークションが実施され、結果は以下のとおりである。なお、700MHz帯の帯域の取得者には、国内ルーラル地域の3,500余りの自治体に対し、5年以内にLTE網への接続を提供することが義務付けられた。

3 電波利用料制度

「2009年法律第1341号」第13条により、電波を利用するためには、帯域幅、潜在的なユーザ数、カバレッジ、周波数需要、技術要素等に基づき算定された額を情報通信技術基金(Fondo de las Tecnologías de la Información y las Comunicaciones)に納める必要がある。

4 電波の安全性に関する基準

MINTICは、通信・放送事業者を対象とした「2005年政令195号」及び端末等の通信機器を対象とした「2005年政令第1645号」によって、電磁界ばく露にかかわる規制を行っているが、その制限値は、ITU-T Rec. K.52及び国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)での制限値と同等である。

Ⅲ 周波数分配状況

MINTICは、周波数分配表を策定、ANEが公表している。

2022年の最新版のURLは以下のとおりである。