コートジボワール共和国(Republic of Côte d’Ivoire)

通信

Ⅰ 監督機関等

1 デジタル経済・郵便省

Ministry of Digital Economy and Posts

Tel. +225 20 34 73 72
URL http://www.telecom.gouv.ci/
所在地 17 bp 1404,Plateau immeuble Postel 2001 23ème étage, Abidjan17, CÔTE d’IVOIRE
幹部 Claude Isaac De(デジタル経済・郵便大臣/Minister of Digital Economy and Posts)
所掌事務

電気通信・デジタル経済一般に関する法の整備及び電気通信基盤に関する政策の策定を所掌する。

2 コートジボワール電気通信規制機関(ARTCI)

Tel. +225 20 34 43 73
URL http://www.artci.ci/
所在地 18 BP 2203, Abidjan 18, CÔTE d’IVOIRE
幹部 Diéméléou Amon Gabriel Bile(長官/General Director)
所掌事務

「法律95-526号」により、1995年7月に独立規制機関「コートジボワール通信庁」として設立され、「2012年3月21日の命令第2012-293号」により、事業者の業務契約監査及び紛争処理機関であった「コートジボワール通信協議会」と合併した。電気通信に関する規則の施行、電気通信事業免許の付与、相互接続、事業者間紛争処理、端末機器の型式認定、希少資源の管理、消費者・個人情報保護等を所掌する。

Ⅱ 法令

2012年3月21日の命令第2012-293号(l’Ordonnance n°2012-293 du 21 mars 2012

監督機関の統合、所掌の再定義と新たな規制の枠組みを指示している。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

2012年の命令により、公衆通信網運用、電話サービス及び国内・国際ネットワーク設立及び医療等公共性の高いサービス提供については個別免許(期間は20年以内)の取得が要される。個別免許の申請者は国内法人とされ、申請時に事業計画を提出、技術及び財務条件につき、ARTCIの審査を受けることとされている。その他の公衆向けICTサービスについては、ARTCIの監査を経る一般認可の取得が必要とされる。インターネット接続や付加価値サービスについては、ARTCIの事前の届出のみでサービスを開始することが可能である。なお、周波数利用については、「デクレ第2015-80号」により、ARTCIが入札によって当該サービスに関する周波数帯の割当てを行う。

2 競争促進政策

(1)相互接続

2012年の命令により、公衆通信網を運用する事業者は、透明かつ非差別的条件で、他事業者からの相互接続要求に対する交渉に応じることとされている。また、移動体通信事業者は、コストベースの料金で他事業者からの国内ローミングの要求に応じることとされている。国際ローミングについては、ARTCIが料金基準を定める。

(2)卸売提供制度とMVNO促進政策

ARTCIは各年の市場分析において、固定・移動双方の卸売市場のSMP(Significant Market Power)事業者に一連の義務を課している((3)の項参照)。MVNOについては、2019年半ばまで、導入に関する発表はなされていない。

(3)SMP事業者規制

2012年の命令により、ARTCIは通信各市場の分析を実施、市場シェア25%以上を一応の基準として、市場において顕著な支配力を有するSMP事業者を指定、相互接続におけるコストベースの料金設定、ローカル・ループ・アンバンドリング(LLU)等の義務を課すとされている。2018年現在、固定電話接続及び固定インターネット接続(小売・卸)で旧国営事業者のコートジボワール・テレコム(CI-Telecom、現オレンジCI(Orange CI))、移動体通信接続(小売)及び専用線でオレンジCI及びMTN CI等、10市場でSMP事業者が指定されている。

(4)番号ポータビリティ

ARTCIは2018年8月、移動電話市場での番号ポータビリティ(MNP)を導入、サイト上に消費者向けのガイドラインを発表した。移動を希望する加入者は、指定の番号への電話連絡により番号の移行可能性を確認した後、移転先事業者に連絡すれば、無料で移行手続を完了できるとしている。ただし、番号の移行後6か月間は、新たな移行を行うことはできない。

3 情報通信基盤整備政策

(1)ユニバーサル・サービス

2006年4月、ユニバーサル・サービス基金が創設され、電気通信事業者に収入に応じての拠出が義務付けられた。2012年の命令により、ユニバーサル・サービスの対象は、通話サービス、データ送信及びブロードバンド接続と定められた。

(2)デジタル・ディバイド解消

デジタル経済・郵便省は、2016年に2020年までの通信サービス普及目標として以下を掲げた。

4 ICT政策

デジタル経済・郵便省が掲げた通信サービス普及目標では、電子政府について、2020年までに行政サービスのうち300項目をオンラインで手続可能にするとしているほか、農業や医療を重点分野として、各種ICT導入推進計画を公表している。

Ⅳ 関連技術の動向

基準認証制度

2012年の命令により、電気通信関連機器の認証はARTCIが所掌する。公衆通信網に接続する端末機器のすべてがARTCIによる認証の対象とされる。

Ⅴ 事業の現状

1 固定電話

回線はほぼオレンジCIが独占しているが、2010年には南アフリカに本拠を持つ多国籍事業者MTN傘下のMTN CIが市場に参入、PSTNサービスを提供している。2019年3月現在の加入者数は約30万で、オレンジCIが97%のシェアを得ている。IP電話の提供は自由で、2018年末の加入者数は約1万である。

2 移動体通信

2019年3月現在、加入者数は約3,441万に達し、うち3,425万がプリペイド・サービスを利用している。サービスを実施しているのは、オレンジCI、MTN CI、モロッコの旧国営事業者Maroc Telecom子会社のMoovの3社である。スマートフォンはAlcatelや中興通訊(ZTE)等による比較的安価な製品を中心に多機種の導入が進んでいる。

移動体通信事業者(2019年3月現在)

事業者 事業開始年 システム 加入者シェア
オレンジCI 1996年10月 GSM900/1800、W-CDMA、LTE 41%
MTN CI 1996年10月 GSM900/1800、W-CDMA、LTE 34%
Moov 2006年 7月 GSM900/1800、W-CDMA、LTE 25%

出所:ARTCI「INDICATEURS CLES DU MARCHE DE LA TELEPHONIE MOBILE 1ème TRIMESTRE 2019」等

3 インターネット

固定ブロードバンド・サービスを実施しているのはオレンジCI、MTN CI、VIPNETで、2019年3月現在の加入者数は約17万7,000、バックボーンを有するオレンジCIが90%以上のシェアを得ている。加入者のうち48%がADSL、44%がLTE-Fix、6%がFTTxを利用している。IP電話やIPTVとのバンドル・サービスも提供されている。IPTV加入件数は2017年に約150万であった。

モバイル・ブロードバンドは移動体通信事業者3社が提供しており、2018年末の加入者数は約1,342万8,000で、インターネット加入全体の99%近くを占めている。近年はモバイル・マネー・サービスが急激に伸びており、2018年12月現在で3社合計の利用者数は約1,344万で、うち750万超がオレンジCIのサービスを利用している。

Ⅵ 運営体

Orange CI

Orange Cote d’Ivoire

Tel. +225 21 23 07 07
URL https://www.orange.ci/
幹部 Mamadou Bamba(社長/General Director)
概要

1996年に移動体通信事業者として市場に参入した。2019年3月現在、株式の約85%をフランスの総合通信事業者オレンジが所有している。2017年1月には同社株式の75%を取得してブランド名をオレンジに統一、固定・移動双方で国内シェア第1位の事業者となった。

放送

Ⅰ 監督機関等

視聴覚高等評議会(HACA)

Tel. +225 22 41 96 60
URL http://www.haca.ci/
所在地 Cocody Angré 7ème Tranche, lot n°3769, ilot n°307, Abidjan, CÔTE d’IVOIRE
幹部 Ibrahim Sy Savane(委員長/President)
所掌事務

独立規制機関として、放送事業者規制、消費者保護、紛争処理等を所掌する。

Ⅱ 法令

視聴覚通信の法的枠組に関する2017年12月27日の法律第2017-868号

HACAの所掌を再定義し、放送事業者規制の基本的要件を規定している。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

「視聴覚通信の法的枠組に関する2017年12月27日の法律第2017-868号」により、地上放送における商業放送事業者(広告収入を主たる財源とする事業者)への免許付与は、政府の実施する周波数割当に関する公募によって行われる(第148条)。応募資格者の条件は、国内に本拠を持ち、ラジオで5,000万XOF、テレビで3億5,000万XOF以上の資本金を有する私企業とされている(第91条、第95条)。免許期間はラジオで5年、テレビで10年である(第91条、第96条)。ラジオについては、国外事業者は年間2,500万XOF以上の利用料支払により、国内での放送活動が認められる(第106条)。一方、衛星、ケーブル及びADSLによるテレビ配信事業については、事業者は政令で定められる料金をHACAに支払うことにより事業活動の許可を得るとされている(第107条)。

2 コンテンツ規制

「視聴覚通信の法的枠組に関する2017年12月27日の法律第2017-868号」により、商業テレビ放送事業者は、番組及び映画放送の20%以上を国内制作によるものとしなければならない(第92条)。

3 地上デジタル放送

地上デジタル放送への移行計画は2015年に開始され、2017年までに無料放送で4事業者、有料放送で2事業者が免許を付与された。2019年2月に政府は国内第1の都市アビジャンでの本放送を開始すると発表し、アナログ停波は2020年6月となる見通しを示している。

Ⅳ 事業の現状

1 ラジオ

公共放送事業者RTIがFM放送3系統の全国サービスを行っている。商業放送は、5事業者がFM放送を行っている。このほか、州営ラジオ局1、民間の非営利放送局が178局存在する。

2 テレビ

番組放送はRTIが3系統で行っている。第1、第2放送は全国ネットであるが、RTI Bouakeはローカル放送である。商業放送は、LIFE TV、OPTIMUM MEDIA CI、SACI、Sorano CIが2017年に地上デジタル無料放送免許を付与されている。このほか、TELENUMとStaartimes Mediaが地上デジタルの有料放送向けマルチプレックスの割当てを受けている。

3 衛星放送

DTH契約者数は2017年に約90万7,000である。RTIがインテルサットを利用して、地上波の届かない地域に第1放送の番組を配信している。有料放送はフランス系のカナル・プリュス(Canal+)のほか、Startimes Media、TV COM及びAKWABA TELEが、フランス語によるDTHを実施しており、約500チャンネルが視聴可能である。2018年5月には、新たにFREE AFRICA、SAT IVOIRE及びTNT SAT AFRICAが衛星あるいはケーブル放送事業免許を取得した。

Ⅴ 運営体 

RTI

Tel. +225 22 40 12 50
URL http://www.rti.ci/
幹部 Ahmadou Bakayoko(社長/Director General)
概要

1963年設立。ラジオ・テレビ部門共に国営である。2003年に株式会社となったが、国が株式の98%を所有している。広告放送も実施している。

電波

Ⅰ 監督機関等

1 監督機関

コートジボワール電気通信規制機関(ARTCI)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

所掌事務

無線通信事業者に対する許可の付与、周波数管理を所掌する。

2 標準化機関

コートジボワール標準化機関(CODINORM)

Côte d’Ivoire Normalisation

Tel. +225 22 41 17 91
URL https://www.codinorm.ci/
所在地 Abidjan-Cocody 2 Plateaux/Sideci-Angle Boulevard Latrille-Rue K 115-Villa 195 (Repère SOCOCE 2 Plateaux), CÔTE d’IVOIRE
幹部 BOKA Constant(会長/Direction Générale)
所掌事務

1992年に設立された。民間の組織であるが、政府の承認を得て、公正競争の下でのリスク防止、セキュリティ保護等を目的に、産業製品の標準化を実施する。

Ⅱ 電波監理政策の動向

1 電波監理政策の概要

無線事業に関する許可の付与、周波数の割当て及び管理はARTCIが所掌する。「デクレ第97-391号」により、20年間の公衆無線通信網運用許可は資本金1億XOF以上の事業者にのみ与えられ、各事業者は無線局を設置する際、事前にARTCIの了解を得、また割当てを受けた周波数帯の用途の詳細、カバーエリアについてARTCIへ報告の義務があると定められている。

非営利目的の独立系無線通信網の運用についても許可(共同使用:10年、個人使用:5年)が必要であり、周波数の有効利用原則の順守、無線局の技術条件、カバーエリア等のARTCIへの報告が義務付けられている。独立系無線通信網の運用者による公衆無線通信網への接続は、それが共同使用目的であり、通信相手をユーザ・グループ内部に限っている場合のみ認められる。

移動体通信3社のほか、Comium CI (ブランド名:Koz)及びGreenN CI(旧Oricel)がGSM向けに、それぞれ900/1800MHzの割当てを受けていたが、サービス品質の低下を理由に、ARTCIが2016年3月に免許を失効させた。また、2017年10月には868-870MHzをIoT業務に割り当てる決定を発表している。

2 電波利用料制度

「デクレ第97-391号」第17条では、公衆無線通信網の運用事業者は、ARTCIの無線局監視コストを負担する税、無線局運営に関する事業税及び電波利用料の合計額として、売上高の0.5%を政府に支払うと定めている。この拠出金の額については、各事業者の前月の業績に基づきARTCIが月ごとに定める。独立系無線通信網の運用に際しても、同デクレ第44条により同様の拠出が求められ、拠出金の額については、個々の条件に基づいてARTCIが個別に定める。

3 デジタル・ディバイド対策

「デクレ第97-391号」第17条では、公衆無線通信網を運用する事業者は、その売上高の2%をルーラル地域のデジタル・ディバイド解消を目的とした基金に拠出することと定めている。この拠出金の額については、各事業者の前月の業績に基づきARTCIが月ごとに定める。

4 電波の安全性に関する基準

電磁界へのばく露に関する人体への制限値は、国際非電離放射線防護委員会(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection:ICNIRP)の「時間変化する電界、磁界及び電磁界によるばく露を制限するためのガイドライン(300GHzまで)」(Guideline for Limiting Exposure to Time-varying Electric, Magnetic, and Electromagnetic Fields(up to 300GHz))(1998年)に準拠している。

Ⅲ 周波数分配状況

ARTCIの公開する最新の周波数の分配表は2015年現在のものであり、URLは以下のとおりである(2019年9月現在)。