ジョージア(Georgia)

通信

Ⅰ 監督機関等

通信委員会(ComCom)

Communications Commission

Tel. +995 32 2921667
URL https://comcom.ge/ge/
所在地 Ketevan Tsamebuli Av.Bochorma Str. 50/18 0144 Tbilisi Georgia
幹部

Kakhi Bekauri (委員長/Chairman)

所掌事務

2000年7月に設立され、電子通信及び放送分野の規制を所掌する独立した国家規制機関である。通信委員会は、6年の任期をもつ5人の委員で構成される。また、委員会の収入源は、電子通信及び放送部門の認可及び認可を受けた者からのライセンス料及び規制料金によるものであり、これは通信事業者の年間売上高の0.75%、放送事業者の0.5%に相当する。

[https://comcom.ge/en/the-commission/about-commission 等]

Ⅱ 法令

ジョージア電気通信法(LAW OF GEORGIA ON ELECTRONIC COMMUNICATIONS

ジョージアにおける電気通信等にかかる業務は、郵便通信法 (1999年) とその改正に代わり、2005年6月6日に可決されたジョージア電気通信法によって管理されている。この法律は、自国の電気通信法を国際公約及びEUの規制枠組みと調和させるために導入された。

2005 年の法律によって導入された主な変更には、以下が含まれる。

[ジョージア電気通信法等]

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

ジョージア電気通信法に基づき、無線周波数スペクトルの使用ライセンスはComComによるオークションを通じて付与される。無線周波数スペクトルのライセンスは付与されてから、10年または15年のスパンで更新される。

2 競争促進政策

(1)相互接続

国内における相互接続に関する契約は、通信事業者等の関係者間での交渉に基づき行われる。ジョージア電気通信法の第2条において、相互接続は「ネットワークオペレータによって提供される、無制限、義務的、無差別の相互アクセスによって維持される」と定義されている。また、第41条と第42条においては紛争の処理手順等が規定されており、その中で相互接続における紛争について、当事者間で和解が成立しない場合には、相互接続にかかる条件はComComによって特定すると定められている。

相互接続の料金計算モデルについては、将来の長期増分コストをその時点で最も低廉かつ効率的な設備と技術の利用に基づき算定されるBU-LRICモデルが採用されている。

近年の通信・放送融合サービスの伸長に伴い、2020年からは放送事業者規制機関との連携を強化、2021年以降は毎年、デジタル・サービス利用状況に関する報告書を共同で発表している。

ARCEPの最高意思決定機関である委員会は、法律、技術、地域経済の各専門家7名からなる。うち委員長を含む3名は大統領により、2名は国民議会議長により、2名は元老院議長により指名される。各委員の任期は6年で、再選は許されない。2022年に政府から供与された活動資金額は約539万EUR、2022年12月現在の職員数は174名であった。

[ジョージア電気通信法等]

(2)番号政策

ジョージアでは、2010年に「番号ポータビリティに関する規制」が承認されている。この法律では、固定及びモバイルのサービスプロバイダーは、使用されている技術に関係なく、あるネットワーク事業者から別のネットワーク事業者に切り替える場合、加入者番号を維持する権利等を利用者が確保できるものと規定している。2017年には、番号の移行にかかる最大期間が3日から24時間に短縮されている。さらに、2021年6月には、利用者はオンラインで番号移行の手続きを実施できるようになった。

(3)MVNO

2020年2月に、ComComは、モバイルネットワークへの卸売アクセスを規制し、MVNOを可能にする決議を発表した。市場分析調査において、大きな市場支配力 (SMP) を持つ事業者としてSilkNet、MagtiCom、Cellfie Mobile(当時はVEON Georgia)は、MVNOへのアクセスを許可し、公開することが求められた。2022年8月に、EclecticがSilkNetのネットワークを利用しジョージアで初めてMVNOの商用サービスを開始した。

2021年5月には、免許制度の改変やブロードバンド・サービスのユニバーサル・サービス化を主眼とする2018年12月のEU「欧州電子通信コード」の国内法制化が完了した。その他、近年に実施された主な改正としては、周波数オークション規定(2019年10月)、ユニバーサル・サービス提供条件の追加(2020年12月)、ARCEPの規制対象拡張(2021年12月、Ⅰ-2の項参照)、通信端末販売における未成年者保護(2022年3月)等がある。

3 情報通信基盤整備政策

(1)ユニバーサル・サービス

ユニバーサル・サービス基金は、住宅用固定音声サービス、公衆電話、緊急サービス等を対象としている。2005年9月に、EU ユニバーサル・サービス指令 (2002/22/EC) を考慮して、基金を管理するために、政府及び通信委員会の職員で構成されるユニバーサル・サービス委員会が設立された。

(2)高速ブロードバンド計画

ジョージアのブロードバンドインフラ開発プログラムの一環として、2020年に「ブロードバンドネットワーク開発戦略2020~2025年」を発表した。この戦略では、2025年までに、学校、高速道路、公共施設等において、最大1Gbpsのダウンロード速度でのインターネットアクセスを提供することを義務付けている。また、この戦略はインフラを構築するだけでなく、知識とスキルを向上させ雇用の増加につなげるとともに、ジョージアを周辺地域のデジタル及び情報のハブとして確立することを目的としている。

(3)5Gネットワ​​ーク及びサービスの開発促進戦略

ComComは、2019年12月に、5Gの周波数の解放、調整及び調和計画を含む「5Gネットワ​​ーク及びサービスの開発促進戦略(Strategy for Promoting the Development of 5G Network and Services.)」を発表した。この戦略では、5G周波数のライセンスに関連して、必要となる法改正や5Gのユースケース等が示されている。また、ComComは、2020年4月に「5G周波数リソース料金コンサルティング文書(5G Frequency Resource Fee Consulting Document)」を公開している。

Ⅳ 関連技術の動向

電気通信機器及び無線機器に関する基準認証はComComが行う。端末機器の認定については、「ジョージア電気通信法」第X章第59条により、ComComが定める規則に従って認証される必要があり、ジョージア国立標準化・測定・認証機関(the National Agency for Standardisation, Metrology and Certification of Georgia)により検査を受け、ComComの勧告により認定される。

[https://matsne.gov.ge/en/document/download/29620/26/en/pdf 等]

Ⅴ 事業の現状

1 固定電話

固定電話市場は、1996年に自由化され、当時最大の固定電話事業者であったSilkNet(当時はUnited Telecom of Georgia)の他、多数の通信事業者が参入しすぐに競争的な市場環境が作られた。2022年12月末時点で、合計25社が固定電話市場で活動している。

2 移動体通信

携帯電話市場は、MagtiCom、SilkNet、Cellfie Mobileの3社によって、市場シェアの9割以上が占められている状況である。市場シェアについては、2023年9月末の時点で、MagtiCom が39.3%、SilkNetが32.6%、Cellfie Mobile が22.5%を占めている。MVNOについては、Eclecticが2022年8月に、Halloというブランド名で、ジョージアで初めて商用サービスを開始した。同社は、2021年末にSilkNet(MNO)と契約を締結している。契約者数は、2023年9月末時点で、約3万5,000件ほどである。

3 インターネット

ジョージアの固定ブロードバンド市場は、DSL、FTTH、FWAといった多様な通信サービスが十分に提供されている状況にある。MagtiComとSilkNetが主要な事業者であり、市場シェアについては、2023年9月末の時点で、MagtiCom が47.5%、SilkNetが31.0%となっている。

Ⅵ 運営体

SilkNet

Tel. +995 32 2100000
URL https://www.silknet.com/
所在地 78-80 rue Olivier de Serres, 75015, FRANCE
幹部 David Mamulaishvili(最高責任者/General Director)
概要

2009年に設立され、Silk Road Group Holdingのうちの一社であり、直接的な親会社は、SilkNet Holdingとなる。ジョージア国内の大手通信事業者であり、固定電話、移動体通信、固定ブロードバンド等を提供している。2023年1月末時点での契約者数は以下のとおりである。

[https://www.silknet.com/等]

放送

Ⅰ 監督機関等

1 通信委員会(ComCom)

(通信/Ⅰの項参照)

所掌事務

放送部門では、放送事業の認可の他、放送周波数管理及び衛星・ケーブルテレビ事業者の監督を所掌する。

Ⅱ 法令

1 2005年ジョージア放送法(LAW OF GEORGIA ON BROADCASTING

放送分野における規制及び放送権の取得にかかる規則、手続き等を定めている。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

「ジョージア放送法」に基づき、ComComにより放送の認可が行われる。周波数スペクトル及び衛星を使用した放送については、ライセンスが発行される。

Ⅳ 事業の現状

1 ラジオ

Radio Holding-Fortunaが、ジョージアの最も大きなラジオ放送事業者である。主要なチャンネルとして、Fortuna、Fortuna Plus、Ar Daidardo 等がある。

2 テレビ

公共放送機関であるGeorgian Public Broadcaster(First Channel等)の他、Teleimedi(IMEDI TV)がジョージアにおいて主要事業者にあたる。

3 衛星放送

Maestro(MaestroTV)が、衛星チャンネルを提供している。

4 ケーブルテレビ

ケーブルテレビ事業者の組合として、ジョージアケーブルテレビ組合(Cable Televisions Union of Georgia)が設立されている。電気通信分野における国際協力の促進の他、有料のTVプラットフォームに対する海外テレビチャンネルの配信等を行う。

[各社ウェブサイト等]

Ⅴ 運営体

ジョージア公共放送(GPB)

Georgian Public Broadcaster
Tel. +995 2 409 477
URL https://1tv.ge/
所在地 68 Merab Kostava Street, 0171, Tbilisi, Georgia
幹部 Tinatin Berdzenishvili(事務局長/Director General)
概要

2005年1月に施行された「ジョージア放送法」に基づき、国営放送機関から公共放送機関に移行した。GPBは主に「First Channel」(1956年以降)と「First Caucasian」(2010年から2012年まで)、「Second Channel」(1956年以降)の3つのTVチャンネルを運営している。

[https://1tv.ge/ 等]

電波

Ⅰ 監督機関等

1 監督機関

(通信/Ⅰの項参照)

Ⅱ 電波監理政策の動向

1 電波監理政策の概要

ComComが周波数の管理業務を所感しており、周波数計画の策定や規制、管理等を行う。

2 無線局免許制度

2015年1月に、ComComは、4Gサービスの提供を可能にするために既存の通信事業者の周波数ライセンス(800MHz、900MHz、1800MHz、2100MHz)の再構築を完了した。また、800MHz帯の2×10MHzのライセンスを唯一の申請者であるCellfie Mobile(当時はMobitel)に約5,080万GELで販売した。その際、15年間の譲歩条件に基づきCellfie Mobileは、2016年2月1日までに人口5,000人未満の集落に対して、その集落の30%の4Gのカバレッジを提供することが義務付けられた。さらにこの条件は、2017年2月1日までに50%までのカバレッジに引き上げられ、最終的には2020年2月1日までに90%を対象とすることとなった。

2016年5月末に行われたオークションの結果、800MHz帯域のさらに2×5MHzのライセンスがMagtiComによって落札された。同社は15年間のライセンス料として2,540万GELを支払った。条件として、獲得から1年以内に30%、2年以内に50%、3年以内に70%、5年以内に90%をカバーすることが義務付けられた。同時に、ComComは800MHz帯の2×5MHz、900MHz帯の2×4.5MHz、1800MHz帯の2×5MHzの3つのロットと2100MHz帯の2×5MHz の3つのロットでオークションを開催したがいずれも入札は不調に終わった。2018年9月に行われた800MHz帯のLTEライセンスのオークションでは、Geocell(2018年3月からSilkNetの一部)が唯一の入札者となり、新たに2×5MHzのスペクトルを獲得した。

5Gについては、2020年11月に、ComComは、計画されている5G周波数オークションに関する諮問文書を公表した。対象とされた周波数帯は、700MHz帯においては703MHz‐733MHz及び758MHz‐788MHzの2×30MHz、800MHz帯においては816MHz‐826MHz及び852MHz‐862MHzの2×10MHz、3400MHz~3800MHz帯の範囲では5×50MHz、1×40MHz、1×30MHzが指定された。通信事業者は、700MHz帯と800MHz帯のそれぞれにおいて2×10MHzと3400MHz~3800MHz帯の合計100MHzに制限される。2022年6月には無線周波数計画が更新され、それから約1年後の2023年7月に、ComComは、700MHz、800MHz、1800MHz、2600MHz、3.5GHz帯のモバイル周波数帯のオークションを承認した。合計24のロットが、オークションにかけられ、補償義務や価格が異なるロットを組み合わせた4つのオークションが行われた。1回目は623万GEL、2回目は253万GEL、3回目は259万GEL、4回目は265万GELであった。また、落札者は公平かつ無差別な条件でのMVNOへのネットワークアクセスを許可する必要がある(1ロットはこの義務から除外)ほか、今後3~7年間かけて、ジョージアの人口密集地域、観光地、港、空港、鉄道、主要高速道路において、5Gサービスを段階的にカバーすることが条件として求められた。しかしながら、同年7月末に、ComComはMagtiComとSilkNetがオークションプロセスに参加しないことを選択したため、CellfieMobileが5Gオークションの唯一の参加者となった。ComComは、両社がオークションに参加しなかった理由として、ライセンスの条件、特にMVNOのネットワークアクセス義務に反対したと報じている。一方でMagtiComとSilkNetは、MVNOの導入は歓迎するが、強制されるものではなく、相互の利益を考慮した交渉ベースで行われるべきものであると表明している。

最終的に、オークションは予定通り2023年8月に行われ、CellfieMobile単独入札となり、同社は1800MHz帯の2×5MHzと2600MHz帯の1×10MHzの2ロット、さらに700MHz帯の2×5MHz及び3500MHz帯の1×50MHzを獲得した。落札価格は合計265万7,000GELであった。

Ⅲ 周波数分配状況