ジョージアGeorgia

通信

Ⅰ 監督機関等

1 経済・持続的発展省(通信・情報・現代技術局)

Ministry of Economy and Sustainable Development(Communications, Information and Modern Technologies Department)

Tel. +(995 32)292 15 34
URL https://www.economy.ge/index.php?page=home&lang=en
所在地 1, Zviad Gamsakhurdia Embankment, 0114 Tbilisi, GEORGIA
幹部

Levan Davitashvili (大臣/First Vice Prime Minister)

Guram Guramishvili(次官/First Vice Prime Minister)

所掌事務

「経済・持続的発展省の設立認可に関する政府令」に基づき2016年に設立された。電子通信分野及び情報技術分野のほか、経済、持続可能開発、貿易・投資、製造、観光、国家資産管理、建設、都市・地域開発計画、郵便、運輸・ロジスティクス、技術基準、資本市場、年金制度、土壌管理、エネルギー分野に関する政策・規制業務等を所管する。

このうち、電子通信及び情報技術分野に関しては、通信・情報・現代技術局が所管し、電子通信・情報技術に関する法制度、電気通信網の高度化・イノベーション導入、技術・経済分析、技術標準管理、電子通信技術・製品の開発促進・国外展開支援、電子政府、サイバーセキュリティ、緊急通信・戦争時通信、国家番号制度、静止衛星軌道、電磁界防護に関する業務を実施する。

2 通信委員会(ComCom)

Communications Commission

Tel. +995 32 2921667
URL https://comcom.ge/ge/
所在地 50/18 Ketevan Tsamebuli Av.Bochorma Str., 0144 Tbilisi GEORGIA
幹部 Kakhi Bekauri (委員長/Chairman)
所掌事務

2000年7月に設立され、電子通信及び放送分野の規制を所掌する独立した国家規制機関である。通信委員会は、6年の任期を持つ5人の委員で構成される。また、委員会の収入源は、電子通信及び放送部門の認可及び認可を受けた者からのライセンス料及び規制料金によるものであり、これは通信事業者の年間売上高の0.75%、放送事業者の0.5%に相当する。所掌事項は以下のとおりである。

Ⅱ 法令

ジョージア電子通信法(Law of Georgia on Electronic Communications

ジョージアにおける電気通信等にかかる業務は、それまでの郵便通信法(1999年)に代わり、2005年6月6日に可決されたジョージア電子通信法によって管理されている。この法律は、自国の電気通信分野の法律を国際公約及びEUの規制枠組と調和させるために施行された。

2005年の法律によって導入された主な変更には、以下が含まれる。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

ジョージア電子通信法に基づき、電子通信ネットワーク設備事業と電子通信ネットワーク設備を手段としたサービス提供事業については、ComComに認可(authorisation)が必要である。また、周波数の使用に関しては免許(license)が必要とされ、ComComによるオークションを通じて付与される。周波数のライセンスは付与されてから、10年又は15年のスパンで更新される。

2 競争促進政策

(1)相互接続

国内における相互接続に関する契約は、通信事業者等の関係者間での交渉に基づき行われる。ジョージア電気通信法の第2条において、相互接続は「ネットワーク・オペレータによって提供される、無制限、義務的、無差別の相互アクセスによって維持される」と定義されている。また、第41条と第42条において紛争の処理手順等について、当事者間で和解が成立しない場合には、相互接続にかかる条件はComComによって規定すると定められている。

相互接続の料金計算モデルについては、将来の長期増分コストをその時点で最も低廉かつ効率的な設備と技術の利用に基づき算定されるBU-LRICモデルが採用されている。

(2)番号ポータビリティ

ジョージアでは、2010年に「番号ポータビリティに関する規制」が承認されている。この法律では、固定及び移動体通信事業者は、ある通信事業者から別の通信事業者に切り替える場合、加入者番号を維持する利用者の権利を確保するものと規定している。2017年には、番号の移行にかかる最大期間が3日から24時間に短縮されている。更に、2021年6月には、利用者はオンラインで番号移行の手続を実施できるようになった。

(3)MVNO

2020年2月に、ComComは、移動体通信網への卸売アクセスを規制し、MVNOを可能にする決議を発表した。市場分析調査において、SMP事業者としてSilkNet、MagtiCom、Cellfie Mobile(旧VEON Georgia)は、MVNOからのアクセスを許可することが求められた。2022年8月に、EclecticがSilkNetのネットワークを利用しジョージアで初めてMVNOの商用サービスを開始した。

3 情報通信基盤整備政策

(1)ユニバーサル・サービス

ユニバーサル・サービス基金は、住宅用固定音声サービス、公衆電話、緊急サービス等を対象としている。2005年9月に、EU ユニバーサル・サービス指令 (2002/22/EC)を考慮して、基金を管理するために、政府及び通信委員会の職員で構成されるユニバーサル・サービス委員会が設立された。

(2)高速ブロードバンド計画

ブロードバンド・インフラ開発プログラムの一環として、政府は2020年に「ブロードバンド・ネットワーク開発戦略2020~2025年」を発表した。同戦略では、2025年までに、4Gの全国カバレッジ99%の達成、三つの自治地区(municipalities)における5Gパイロット・サービスの実施、学校、高速道路、公共施設等において、最大1Gbpsのダウンロード速度でのインターネット・アクセスの提供、全世帯への100Mbps以上のブロードバンドの提供を目標としている。また、この戦略はインフラを構築するだけでなく、知識とスキルを向上させ雇用の増加につなげるとともに、ジョージアを周辺地域のデジタル及び情報のハブとして確立することを目的としている。

(3)5Gネットワーク及びサービスの開発促進戦略

ComComは、2019年12月に、5Gの周波数の開放、調整及び調和計画を含む「5Gネットワーク及びサービスの開発促進戦略(Strategy for Promoting the Development of 5G Network and Services)」を発表した。この戦略では、5G周波数免許に関連して、必要となる法改正や5Gのユースケース等が示されている。また、ComComは、2020年4月に「5G周波数リソース料金コンサルティング文書(5G Frequency Resource Fee Consulting Document)」を公開している。

Ⅳ 関連技術の動向

基準認証制度

電気通信機器及び無線機器に関する基準認証はComComが行う。端末機器の認定については、「ジョージア電気通信法」第X章第59条により、ComComが定める規則に従って認証される必要があり、ジョージア国立標準化・測定・認証機関(National Agency for Standardisation, Metrology and Certification of Georgia)により検査を受け、ComComの勧告により認定される。

Ⅴ 事業の現状

1 固定電話

固定電話市場は、1996年に自由化され、当時最大の固定電話事業者であったSilkNet(旧United Telecom of Georgia)のほか、多数の通信事業者が参入し、競争的な市場環境が作られた。

2 移動体通信

移動電話市場は、MagtiCom、SilkNet、Cellfie Mobileの3社によって、市場シェアの9割以上が占められている状況である。5Gについては、Cellfie Mobileが2023年11月にパイロット・サービスを開始し、12月にトビリシ、グダウリ、バクリアニにおいて国内初の商用サービスを開始した。MVNOについては、Eclecticが2022年8月に、「Hallo」というブランド名で、ジョージアで初めて商用サービスを開始した。同社は、2021年末にSilkNetの通信インフラを使用する契約を締結している。

3 インターネット

ジョージアの固定ブロードバンド市場は、DSL、FTTH、FWAといった多様な通信サービスが十分に提供されている状況にある。MagtiComとSilkNetが主な事業者である。

Ⅵ 運営体

SilkNet

Tel. +995 32 2100000
URL https://www.silknet.com/
幹部 David Mamulaishvili(最高責任者/General Director)
概要

2009年に設立され、Silk Road Group Holdingが約95%の株式を保有するSilkNet Holding傘下の通信事業者。ジョージア国内の大手通信事業者であり、固定電話、移動体通信、固定ブロードバンド等を提供している。

放送

Ⅰ 監督機関等

通信委員会(ComCom)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

所掌事務

放送部門では、放送事業の認可のほか、放送周波数管理及び衛星・ケーブルテレビ事業者の監督を所掌する。

Ⅱ 法令

ジョージア放送法(Law of Georgia on Broadcasting

放送分野における規制及び放送権の取得にかかる規則、手続等を定めている。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

「ジョージア放送法」に基づき、ComComにより放送の認可が行われる。周波数及び衛星を使用した放送については、周波数免許が発行される。

2 地上デジタル放送

2015年7月1日より、首都トビリシからアナログ地上波の停波が行われており、ジョージア全土のデジタル放送への切替えは、同年の8月1日までの完了が計画され、10月に切替えが完了したことが発表された。方式としては、DVB-T方式が採用されている。

Ⅳ 事業の現状

1 ラジオ

Radio Holding-Fortunaが、ジョージアの最も大きなラジオ放送事業者である。主要なチャンネルとして、Fortuna、Fortuna Plus、Ar Daidardo等がある。

2 テレビ

ジョージア公共放送(Georgian Public Broadcaster)のほか、Teleimedi(IMEDI TV)がジョージアにおいて主要事業者に当たる。

3 衛星放送

Maestro(MaestroTV)が、衛星チャンネルを提供している。

4 ケーブルテレビ

ケーブルテレビ事業者の組合として、ジョージアケーブルテレビ組合(Cable Televisions Union of Georgia)が設立されている。電気通信分野における国際協力の促進のほか、有料のTVプラットフォームに対する海外テレビ番組の配信等を行う。

Ⅴ 運営体

ジョージア公共放送(GPB)

Georgian Public Broadcaster

Tel. +995 2 409 477
URL https://1tv.ge/
所在地 68 Merab Kostava Street, 0171, Tbilisi, GEORGIA
幹部 Tinatin Berdzenishvili(事務局長/Director General)
概要

2005年1月に施行された「ジョージア放送法」に基づき、国営放送機関から公共放送機関に移行した。GPBは主に「First Channel」(1956年以降)と「Second Channel」(1991年以降)の二つのTVチャンネルを運営している。

電波

Ⅰ 監督機関等

1 監督機関

通信委員会(ComCom)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

Ⅱ 電波監理政策の動向

1 電波監理政策の概要

ComComが周波数の管理業務を所管しており、周波数計画の策定や規制、管理等を行う。

2 周波数割当制度

周波数割当にオークション制度が導入されている。2016年5月末にマルチ周波数オークションではMagtiComが800MHz帯の10MHz幅(5MHz幅×2)を2,540万GELで落札した。免許期間は15年間で、ネットワーク拡張義務として、獲得から1年以内に人口カバレッジを30%、2年以内に50%、3年以内に70%、5年以内に90%とすることが義務付けられた。同時に、ComComは800MHz帯の5MHz幅×2、900MHz帯の4.5MHz幅×2、1800MHz帯の5MHz幅×2の三つのロットと2100MHz帯の5MHz幅×2の三つのロットでオークションを実施したがいずれも入札は不調に終わった。2018年9月に行われた800MHz帯のLTE免許のオークションでは、Geocell(2018年3月からSilkNetの一部)が唯一の入札者となり、新たに5MHz幅×2の周波数を獲得した。

5Gについては、2020年11月に、ComComは、5G周波数オークションに関する諮問文書を公表した。対象周波数帯として、700MHz帯においては703-733MHz及び758-788MHzの30MHz幅×2、800MHz帯においては816-826MHz及び852-862MHzの10MHz幅×2、3400-3800MHz帯の範囲では50MHz幅×5、40MHz幅×1、30MHz幅×1が指定された。また、落札者は公平かつ無差別な条件でのMVNOへのネットワーク・アクセスを許可(1ロットはこの義務から除外)するほか、今後3~7年間かけて、ジョージアの人口密集地域、観光地、港、空港、鉄道、主要高速道路において、5Gサービスを段階的にカバーすることが義務付けられた。2023年8月に第1回目のマルチ周波数オークションが実施され、Cellfie Mobileが、1800MHz帯の5MHz幅×2と2600MHz帯の10MHz幅×1の2ロット、更に700MHz帯の5MHz幅×2及び3500MHz帯の50MHz幅×1を獲得した。落札価格は合計265万7,000GELであった。その後2024年10月に第2回目のマルチ周波数オークションが実施され、MagtiComが、700MHz帯(5MHz幅×2)で1免許、800MHz帯(5MHz幅×2)で1免許、2600MHz帯(10MHz幅×2)で3免許、3600MHz帯(50MHz幅)で1免許のほか、700MHz帯(5MHz幅×2)と3500MHz帯(50MHz幅)を組み合せた1免許の計7免許を落札した。なお、落札事業者に課される義務のうち、MVNOへの自社回線を開放する義務については、第1回目のオークションで、主要通信事業者がMVNOへのアクセス開放は交渉ベースで行うべきと反発し、Cellfie Mobileのみの参加・落札となったため、ComComはMVNOへの回線開放義務を選択制に変更し、第2回オークションを実施している。

Ⅲ 周波数分配状況