ギニア共和国(Republic of Guinea)

通信

Ⅰ 監督機関等

1 郵便・電気通信・デジタル経済省

Ministry of Posts, Telecommunications and Digital Economy

Tel. +224 627 32 14 13
URL https://mpten.gov.gn/
所在地 BP 3000, Boulevard du Commerce,Rue KA 007, Almamya, RÉPUBLIQUE DE GUINÉE
幹部 Saïd Oumar Koulibaly(大臣/Minister)
所掌事務

通信分野の監督及び政策立案、免許付与の最終決定を行う。

2 郵便・電気通信規制機関(ARPT)

Regulatory Authority for Posts and Telecommunications

Tel. +224 669 22 10 00
URL https://www.arpt.gov.gn/
所在地 BP 1500, Conakry Commune de Ratoma, RÉPUBLIQUE DE GUINÉE
幹部 Yacouba Cissé(長官/Director General)
所掌事務

2005年9月、2005年電気通信法第4章第2部第24節により設立。通信・ICTを含む公共部門の事業者への免許付与、紛争処理等の規制のほか、関連産業育成政策の策定及び消費者保護を所掌する。

Ⅱ 法令

2015年電気通信法(2015 Telecommunications Law)L/2015/018/AN

ARPTの設立条件及び通信分野の全般的な枠組みを規定した2005年一般電気通信法を改定し、郵便・電気通信・デジタル経済省の所掌範囲を規定する。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

2015年電気通信法第4編第10章第37節は、通信免許の種類を、①グローバル・ライセンス、②インフラ設備ライセンスの2種に分類している。前者は、電波資源及び番号を利用した公的な通信網の運用を許容し、後者は専用線及び国内外通信のために容量のリースを許容する。グローバル・ライセンスはインフラ設備の譲渡を含む。免許期間は最長10年とし、免許取得希望者は規制機関に書面で申請し、財政状態や適法性についての審査を受ける。ARPTは電波資源の効率的利用、又は電気通信番号の状況により、発行免許数を制限できる。

2020年8月現在の免許所有事業者は、通信事業者3件、ISP 4件、通信網卸売事業者1件である。

2 競争促進政策

(1)相互接続

2015年電気通信法第6編第15章第73節では、公共及び民間サービスを運用する免許事業者に対し、相互接続要求に応じることを義務付けている。相互接続の条件は、同法に基づき、当事者間の協議ベースとされる。同法第80節では、合意に至らなかった場合の事業者間紛争処理について定めている。ARPTは紛争当事者の申請受付日から2か月以内に紛争解決のための措置を講じなければならない。

第74節により、事業者間の相互接続契約は、私法上の協定として扱われる。第78節では市場支配的事業者の相互接続の料金の条件を設定している。

(2)卸売提供制度とMVNO促進政策

2015年電気通信法第7編第16章第81節では事業者間のインフラ共有を奨励している。ARPTは、通信設備保有事業者に対し、設備費用を回収できる条件下で設備共有を命じる場合がある。国の投資によるインフラについては、平等な条件で幅広い事業者が共有できる。2020年10月現在、MVNOに関する政策は発表されていない。

(3)支配的事業者規制

2015年電気通信法第5編第14章第68~71節では、通信市場の競争状況分析を実施し、市場支配的事業者が指定された場合は当該事業者に適切な規制義務を課すとしている。

3 情報通信基盤政策

(1)ユニバーサル・サービス

2015年電気通信法第12編第21章により、ユニバーサル・サービス基金及びユニバーサル・サービス管理委員会を設置する。基金は免許・認定所有者、国及び他の資金源からの拠出金により賄われる。ARPTが、ユニバーサル・サービスのコスト及び事業者からの拠出金の条件等を定める。

免許事業者の拠出金は年間収入の2%程度までとされる。ユニバーサル・アクセス基金は、固定、移動電話、公衆電話のほか、インターネット・アクセス、テレセンター、学校のインターネット接続、緊急サービスの提供を対象としている。

(2)デジタル・ディバイド解消

政府は2012年2月に、中国のEximbankからの融資により、4,000kmを超える全国光ファイバ・バックボーンの建設計画を発表した。華為技術(HUAWEI)が2億3,800万USDの契約で、2015年7月から2020年3月までネットワークを構築した。このプロジェクトにより、通信事業者のインフラ共有で、76町及び都市が通信ネットワークに接続された。

4 ICT政策

ICT利活用推進策としては「National Strategies for the Development of Information and Communication Technologies of the Republic of Guinea 2016-2020」があり、ICTが2020年までにGDPの7%程度に貢献することを目指している。同政策には、制度改善、サイバーセキュリティ、インフラ整備、デジタルID、電子政府整備等が盛り込まれている。

5 消費者保護政策

2015年電気通信法第11編第20章第107節では、通信事業者の消費者に対する義務を規定している。通信事業者は、契約条件の基準及び料金の内訳等の公開義務がある。第115節及び第116節では、サービスの中立性、データ・プライバシー及び個人情報保護を通信事業者に義務付けている。通信事業者は消費者に対し、個人に関するデータの取得・修正・更新・削除等を要求する権利を保証しなければならない。

Ⅳ 関連技術の動向

基準認証制度

2015年電気通信法第4編第13章第64、65節により、無線・電子機器を輸入する際はARPTの基準認証を必要とする。電気通信・ICT機器を設置しようとする個人及び法人は設置者としての承認を必要とする。VSATを含む電気通信・ICTネットワーク構築の際も、設置者としての承認が必要である。

Ⅴ 事業の現状

1 固定電話

2013年に当時唯一の固定電話事業者であったSociete des Telecoms de Guinee (Sotelgui)が破産して以来、現在までギニアには固定電話サービスが存在しない。Sotelguiは1993年に設立され、2年後にテレコム・マレーシア(Telekom Malaysia)が株式の60%を買収したが、ギニアの政治不安等の事情により事業を停滞した。テレコム・マレーシアは2008年に保有株のすべてをギニア政府に払い戻し、Sotelguiの破産は2013年に発表された。Sotelguiの破産前は、固定電話(PSTN)サービスは、首都及び限られた都市のみで提供され、国土の大部分が未接続の状況であった。

2 移動体通信

2020年10月現在、移動通信市場にはOrange Guinea、MTN Guinea、Cellcom GuineaのMNO 3社が存在する。

携帯電話利加入者数の合計は約1,287万3,000、加入率は100%を超え、市場はほぼ飽和状態である。プリペイド・サービス利用が全体の95%以上を占めている。MVNOサービスの参入はまだない。

3社とも3Gサービスを提供しており、Orange Guinea及びMTN Guineaの2G及び3Gサービスは全国に展開している。Orange Guineaは2019年3月に4G免許を獲得しサービスを開始した。2019年末現在で4Gの普及率は人口の約34.4%である。

移動体通信事業者(2021年3月現在)
事業者 事業開始年 システム 加入者シェア
Orange Guinea 2007年11月 GSM900/1800、W-CDMA、LTE 59%
MTN Guinea 2006月4月 GSM900/1800、W-CDMA 30%
Cellcom Guinea 2012年3月 GSM900/1800、W-CDMA 11%

出所: ARPT統計

3 インターネット

固定ブロードバンド市場は未成熟であり、インターネットのアクセスは限られている。2020年月現在、固定インターネット加入者数は1,591であり、インターネットの接続はほとんどがモバイルを利用している。 ISPはETI、Mouna Group、SkyVision、VDCの4社に加え、Orange GuineaとMTN Guineaが固定ブロードバンド市場に参入している。

固定電話ネットワークがないため、FTTH加入が伸びている。MTNは首都及びカムサルにおいて最大ダウンロード速度5Mbps、10Mbps、20Mbpsのサービスを提供し、ETIは2019年10月に首都で一般向けサービスを開始した。Orange Guineaは一般向けサービスを強化中であり、4G Wi-Fiルータと固定電話サービスをセットにした「Homebox」デュアル・プレイ・パッケージを2019年11月に発表した。

Ⅵ 運営体

1 Orange Guinea

Tel. +224 624930000
URL https://www.orange-guinee.com
所在地 BP 4549, Donka-ex immeuble Fluor, côté Corniche, au 2e étage, Conakry, RÉPUBLIQUE DE GUINÉE
幹部 Aboubacar Sadikh Diop(最高経営責任者/CEO)
概要

2007年に市場に参入し、移動体通信及び固定ブロードバンド・サービスを提供している。移動体通信市場の国内シェアは第1位である。セネガルの通信事業者Sonatelが株式の89.4%を所有し、フランスが本拠地のOrangeグループはSonatelの株式の42.3%を所有している。2019年の移動体通信事業の総収益は約5兆GNFである。

2 MTN Guinea

Tel. +224 64 22 22 22
URL https://www.mtn.com.gn
所在地 BP 3237, Quartier Almamya, Commune de Kaloum, Conakry,
RÉPUBLIQUE DE GUINÉE
概要

2006年に市場に参入し、移動体通信及び固定ブロードバンド・サービスを提供している。MTNグループが株式の75%を所有し、移動体通信市場の国内シェアの18%を獲得することにより、第2位である。

3 Cellcom Guinea

Tel. +224 655 100 100
URL http://www.gn.cellcomgsm.com/
所在地 BP 6567, Immeuble WAQF BID 2e étage, Almamya Commune de Kaloum, Conakry, RÉPUBLIQUE DE GUINÉE
幹部 Frans Joubert(最高経営責任者/CEO)
概要

米国を拠点とするプライベート・エクイティ・グループEmerging Capital Partners(EPC)から設立され、2008年に市場に参入した。2020年6月現在、加入者数が180万となり、移動体通信市場において、第3位である。

放送

Ⅰ 監督機関等

1 情報・コミュニケーション省

Ministry of Information and Communication

Tel. +224 626 563 782
URL https://infocommunication.gov.gn/
所在地 BP 617, Kaloum Boulbinet, Conakry, RÉPUBLIQUE DE GUINÉE
幹部 Amara Somparé(大臣/Minister)
所掌事務

情報及びコミュニケーション(放送、マスコミ)の分野において、政府の方針を策定し、実施する。

2 コミュニケーション高等評議会(HAC)

High Authority for Communication

Tel. +224 628 90 68 06
URL https://hac.gov.gn/
所在地 BP: 2955, Palais du 25 Août, Cité des Nations, Conakry, RÉPUBLIQUE DE GUINÉE
幹部 Boubacar Yacine Diallo(委員長/Président)
所掌事務

報道機関が法律及び規制により規定された義務を順守することを監視し、放送部門においては、事業者に対する免許付与、コンテンツ規制、紛争処理等を所掌する。

Ⅱ 法令

2010年法律L/2010/003/CNT

第1編第5節により、HACは国の周波数計画に基づき、放送事業者に周波数を割り当てる。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

報道の自由に関する「2010年法律L/2010/002/CNT」第2編第1章第1部第27節により、HACは放送事業免許を発行し、全国のラジオ、テレビ放送局、及びコミュニティ・ラジオの設立を承認する。2020年11月現在、FMラジオ85局、テレビ番組放送局11局が存在する。

2 コンテンツ規制

「2010年法律L/2010/002/CNT」では、治安、公的機関、公序良俗に反し、個人の名誉を棄損する等の内容を含む意見の表明及び情報提供を禁じている。同法第10編第5部では、高等司法会議の審議等の映像による報道を制限している。

3 地上デジタル放送

2020年9月末、情報・コミュニケーション省は地上デジタル放送の開始を発表した。伝送方式にはDVB-T2が用いられている。

Ⅳ 事業の現状

1 ラジオ

2005年の電波自由化以来、ラジオ・サービス市場は成長を遂げた。2015現在、RKS(Radio Kaloum Stéréo:RKS)及びRRG(Radios Rurales de Guinée:RRG)のネットワークを含む国営のギニア・ラジオ・テレビ(Radio Télévision Guinéenne:RTG)があり、60近くの民間及びコミュニティ・ラジオ局、二つの国際ラジオ局がある。

2 テレビ

国営放送事業者RTGには二つの放送局がある。RTG1(別名Koloma)は国土の40%、RTG2(別名Boulbinet)は首都圏ををカバーする。RTGは情報・コミュニケーション省に付属し、運営がほとんど同省に依存する。民間放送にはGangan TV、Évasion TV等がある。IPTV、衛星及びケーブルテレビによるサービスも提供されている。

Ⅴ 運営体

ギニア・ラジオ・テレビ(RTG)

Radio Télévision Guinéenne

Tel. ++224 44 22 01
URL https://rtgkoloma.info/
所在地 BP 391 Conakry, RÉPUBLIQUE DE GUINÉE
概要

ラジオ放送を1958年、テレビ放送を1977年に開始した国営放送事業者で、ラジオ、テレビとも複数の公用語での放送を実施している。

電波

Ⅰ 監督機関等

監督機関

郵便・電気通信規制機関(ARPT)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

Ⅱ 電波監理政策の動向

1 電波監理政策の概要

2015年電気通信法第8編第17章第89節により、周波数の管理は国際規格に準拠し、事業者及びサービス・プロバイダのニーズに適切に応えるように実行される。周波数割当は、国家周波数計画を策定するARPTの所掌である。同法第90節により、ARPTは電気通信・ICT、放送、テレビ、海事及び航空無線通信、アマチュア無線に関連する周波数の管理、計画、割当て及び制御を所掌する。

2 電波利用料制度

周波数の使用については金額及び条件が別途定められる。当該周波数の需要が供給を上回る場合、ARPTはオークションを優先的に実施する。オークション及び周波数取引の場合を除き、電波利用料の計算方式の決定は、周波数の機会コストに基づく必要がある(第92節)。