Ministry of Information Technology and Telecomunications
Tel. | +92 51 920 9090 |
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URL | https://moitt.gov.pk/ |
所在地 | Kohsar Complex, Red Zone, Islamabad, PAKISTAN |
幹部 | Shaza Fatima Khawaja(大臣/Minister) |
2002年11月に設立され、国家の情報通信分野の政策立案を所掌する。
Pakistan Telecommunication Authority
Tel. | +92 51 287 8125 |
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URL | https://www.pta.gov.pk/ |
所在地 | PTA Headquarters, Sector F- 5/1, Islamabad, PAKISTAN |
幹部 | Hafeez Ur Rehman(長官/Chairman) |
「1996年電気通信再編法(Pakistan Telecommunication(Re-Organization)Act 1996)」に基づき設立された独立規制機関であり、以下を所掌する。
規制機関のPTAと周波数管理委員会(Frequency Allocation Board:FAB)、事業体であるパキスタン電気通信株式会社(Pakistan Telecommunication Company Limited:PTCL)等の設立根拠法である。電気通信事業における免許要件等を規定している。
固定電話(市内・長距離・国際)市場でのPTCLの法定独占は2002年末で終了し、市場は自由化されている。同時に、PTCLの民営化も推進され、株式の市場開放が1994年に開始された。2018年11月現在、PTCL株式は政府が62%、アラブ首長国連邦(UAE)資本のEtisalatが23%所有している。
他方、移動体通信市場には外国資本を中心に計5社が参入しており、競争環境は十分に促進されている。これに加え、PTAは「2012年MVNO規則(Mobile Virtual Network Operation(MVNO)Regulations 2012)」により、MVNOの参入手続や設備提供事業者の義務等を規定している。しかし、国内に事業を行うMVNO事業者は存在していない。
MoITTは2022年1月、「2021年国家ブロードバンド政策(National Broadband Policy 2021)」の草案を発表した。同政策は、ブロードバンドとデジタル部門の発展を通じ、GDPに対して最大8%の寄与を達成することを目標としており、利用しやすい料金でのアクセス提供、デジタル・ディバイドへの対応、通信品質の向上、デジタル信頼度の促進を重要視している。
具体的には、主要都市並びに中規模都市において人口の100%を高速インターネットにアクセス可能とすること、主要都市においてインターネットの平均速度を50Mbpsとすること、2025年までにインターネット利用者の75%がデジタル銀行口座を保有可能とすること等が目標となっている。
なお、同政策は、パキスタンのデジタル基本計画である「デジタル・パキスタン政策」の一環として位置付けられる。
内閣は2018年5月に国家ICT計画である「デジタル・パキスタン政策(Digital Pakistan Policy)」を承認した。同政策は以下の政策目標を設定している。
MoITTは2023年11月、「国家AI政策(National AI Policy)」の草案を発表した。同草案は「個人データ保護法」「デジタル・パキスタン政策」等の枠組みを基本とし、長期的視点でAIを導入するため、以下の施策に取り組むことを明らかにしている。
すべての有線・無線の端末機器にかかわる基準認証は、PTAが「2018年型式認証技術標準規則(Type Approval Technical Standards Regulations 2018)」に基づいて実施する。認証された機器の製造元と商品名はPTAのウェブサイトで公開されている。また、2019年1月より、PTAの基準に適合した移動電話等のみが国内のネットワークで使用可能となるDIRBS(Device Identification Registration and Blocking System)の運用が開始され、国内で使用する移動電話の国際移動体端末識別(International Mobile Equipment Identifier:IMEI)の登録が義務化されている。
固定電話は有線と固定無線アクセス(FWA)で提供されている。PTA統計によれば、2023年6月末現在の有線固定電話加入数は約251万、FWA加入数は約6万1,000である。2018年6月現在、有線の固定市場シェアはPTCLが約85%を占める。PTCL以外の加入者10万以上の事業者は、有線事業者の政府系事業者NTCのみである。
PMCL、中国移動パキスタン、テレノール・パキスタン、PTMLの主要事業者4社による競争体制である。このほかにパキスタン軍とMoITTが、パキスタンが実効支配しているカシミール地域で運営する国営事業者SCO(Special Communication Organisation)が移動体通信を提供している。なお、パキスタンは、中国企業(中国移動パキスタン)に移動体通信事業者としての免許を与えている世界で唯一の国である。また、2024年8月現在、テレノール・パキスタンは不採算のためPTCLへ事業売却手続を進めている。
5Gについては、2024年8月現在、商用サービスは開始されていない。PTAは2020年1月、PMCL及び中国移動パキスタンに対して5Gテスト用免許を交付したが、同免許の運用は非営利活動に限定された。当初、商用5Gサービスは2024年8月から開始される予定であったが、2025年4月に延期されている。
PTA統計によれば、2024年8月現在での固定ブロードバンド加入者は約360万である。接続方式別の加入者数はFTTHが約173万(市場シェア約48%)、DSLが約118万(同約33%)、HFCが約1万8,000(同約1%)、W-CDMA及びLTEによる固定無線接続が約56万(同約16%)、CDMA2000 EVDOによる固定無線接続が約11万(同約3%)となっている。
市場シェアは、2024年6月現在でPTCLが6割以上を占めているが、その他事業者としては国内独立系ISPのCybernet、ケーブルテレビ事業者のWorldCall TelecomやUAE本拠のISPであるWateen Telecomが挙げられる。
Pakistan Telecommunication Company Limited
Tel. | +92 51 228 3005 |
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URL | https://www.ptcl.com.pk/ |
所在地 | Block-E, G-8/4, Islamabad, PAKISTAN |
幹部 | Hatem Bamatraf(社長/President & CEO) |
1996年、電気通信公社PTCを株式会社に転換し発足した。固定電話事業には、「1996年電気通信再編法」に基づき25年間の事業免許が独占的に付与されたが、2002年末の市場自由化により、法定独占が終了した。移動体通信市場には子会社PTML(ブランド名:Ufone)を通じて、1998年から参入している。
事業者 | URL |
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PMCL | https://www.jazz.com.pk/ |
テレノール・パキスタン | https://www.telenor.com.pk/ |
中国移動パキスタン(CMPak) | https://www.zong.com.pk/ |
Ministry of Information and Broadcasting
Tel. | +92 51 910 3557 |
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URL | https://www.moib.gov.pk/ |
所在地 | Cabinet Block, Pak. Secretariat, Red Zone, Islamabad, PAKISTAN |
幹部 | Attaullah Tarar(大臣/Minister ) |
放送行政を所掌する。また、情報・放送担当大臣は「1973年パキスタン放送協会法」に基づき、国営ラジオ放送のパキスタン放送協会(Pakistan Broadcasting Corporation:PBC)の理事となることが義務付けられる。同時に、四つの州からPBCの理事を4名任命する権限も有する。
Pakistan Electronic Media Regulation Authority
Tel. | +92 51 910 7151 |
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URL | https://www.pemra.gov.pk/ |
所在地 | PEMRA Headquarters, Mauve Area G-8/1, Islamabad, PAKISTAN |
幹部 | Muhammad Saleem(長官/Chairman) |
2002年3月に設立され、商業テレビ及びラジオ放送事業者に対する免許付与、規制監督、ケーブルテレビ事業の監督等を所掌する。「パキスタン電子メディア規制委員会令」により、委員会の構成メンバーは、大統領に指名された委員長と12名の委員とされている。
規制監督機関PEMRAの設立、運営、所掌に関する規定として2002年3月に布告され、2023年に一部改正された。
放送事業免許の申請・付与・取消し等、免許の諸要件について定めている。
テレビ放送局の免許、番組の基準等を定めている。
ラジオ放送局の免許、番組の基準等を定めている。
ケーブルテレビ、DTH、モバイルテレビ、IPTV等の番組配信サービスの免許基準、消費者保護、サービス品質基準等を定めている。
国営放送事業者PBCの設立、運営に関する規定として1973年2月に施行され、2002年に修正された。
2002年1月、商業テレビ及びラジオ放送を認可する閣議決定が行われ、同年3月には新規参入放送事業者への免許付与や放送の規制監督、ケーブルテレビ事業者の監督を所掌するPEMRAが設置された。「2002年パキスタン電子メディア規制委員会令」の2023年改正により、放送事業者の免許期間が20年に延長された。
パキスタンの地上アナログテレビ放送網は1960年代に日本の支援にて整備された経緯があり、地上デジタル放送規格は日本方式のISDB-T規格又は中国の推進するDTMB規格となることが予測される。
2017年12月に発表された「2017~2030年中国・パキスタン経済回廊長期計画(Long Term Plan For China-Pakistan Economic Corridor(2017-2030))」では、情報ネットワーク分野の重要協力領域として、「パキスタンにおける地上デジタル放送へのDTMB規格の採用促進」が言明されている。
パキスタンでは2015年4月の習近平中国国家主席のパキスタン往訪の際に合意されたDTMB規格の実証プロジェクトが実施済みであり、また、2017年5月には中国通信ベンダ中興通訊(ZTE)と国営放送パキスタン・テレビ放送会社(Pakistan Television Corporation:PTV)との間でDTMB規格に関する技術開発、人材育成、コンテンツ制作等についての提携合意が発表されている。
他方で、情報・放送省からも日本に対して、ISBD-T導入に向けた支援要請がなされている。
国営PBCが「Radio Pakistan」の名称で、全国で放送局を32局運用し、計72チャンネルのAM、FM放送を実施している。Radio Pakistanはヒンディ語、タミル語、ベンガル語等の22言語で国内放送を、世界6地域において国際放送を実施している。なお、民間ラジオ放送はFM放送のみであり、2024年10月現在で商業事業者175局、非営利事業者60局に免許が付与されている。
地上放送には国営放送のパキスタン・テレビ放送会社(PTV)と商業放送のATVがある。PTVは「PTV Home」及び「PTV News」等の9系統で実施している。他方、商業放送最大手ATVは、2005年6月の完全民営化に合わせてSTNから名称変更し、主要都市を中心に1系統の放送を実施している。
PEMRAは2024年10月現在で142の商業衛星放送チャンネルに免許を付与している。パキスタンではDTH放送は実施されていないが、PEMRAはDTH事業者の免許制度について適格性基準等の個別要件を現在策定中であり、連邦政府の指令により今後最終決定されるとしている。
パキスタンには多くのケーブルテレビ事業者が存在し、2023年6月現在で3,939社にケーブルテレビ事業者免許が付与されている。2017年6月にケーブル網を提供する事業者に「回線設備所有者免許(Loop Holder Licence)」を付与し、ケーブルテレビ配信事業者(Cable TV Operator)と免許を分離した。なお、PERMAは将来的にケーブルテレビ配信事業者に対しては入札で免許付与するとしている。
Pakistan Television Corporation
Tel. | +92 51 920 8651 |
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URL | https://www.ptv.com.pk/ |
所在地 | Constitution Avenue, Islamabad, PAKISTAN |
幹部 | Sayyed Mubashar Tauqir Shah(社長/Managing Director) |
1964年に設立された国営公共放送事業者で、政府が発行済株式のすべてを保有している。政府が指名したメンバーで構成される理事会が運営に当たる。財源は広告収入、受信料収入(電気料金に合わせて「TV Fee」として0.5USD相当程度が請求される)等である。
(通信/Ⅰ-1の項参照)
(通信/Ⅰ-2の項参照)
Frequency Allocation Board
Tel. | +92 51 925 7706 |
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URL | https://www.fab.gov.pk/ |
所在地 | Plot No.112, Sector H10/4, Islamabad, PAKISTAN |
幹部 | Muhammad Tahir Ahmed Khan(事務局長/Executive Director) |
「1996年電気通信再編法」第6章の第42条及び第43条により設立。周波数帯域の割当て、無線通信利用者間の紛争処理、国内における無線局の調整、国際会議等への参加、周波数管理等を所掌する。
FABは、PTA長官、PERMA長官並びに防衛省、内務省(Ministry of Interior)、MoITT及び情報・放送省の代表者で構成され、委員長・副委員長は連邦政府が任命する。
FABは、政府、電気通信サービス・システム提供事業者、ラジオ・テレビ放送事業者、公共・民間の無線運用者等に対する周波数分配・割当に関する独占的な権限を有するが、免許付与はPTAが実施する。ITUの規則や勧告に対する国内対応はFABが取り扱う。
周波数割当については、PTAが事業者による周波数使用権の申請を受け付ける。申請が適切である場合には、PTAは申請を受理してから30日以内に、FABに対して当該申請について照会する。そしてFABが3か月以内に、当該申請の電気通信サービスを区分し、周波数を割り当てた後、PTAが免許付与を行う。また、PTAは、FABが割り当てた周波数使用権を免許付与する場合に、必要に応じてオークションや比較審査等の手続を検討することができる。
MoITTは2017年10月にPTAに対して5Gサービスの導入準備を開始するよう指令し、PTAは2019年6月に試験免許付与の枠組みを発表、2020年までにPMCL、テレノール、中国移動パキスタンが試験サービスを実施した。この後、MoITTは2020年8月に「5Gオークション委員会(Committee for the auction of 5G spectrum)」の設置を発表、5Gの商用サービス開始に向けた準備を開始した。同委員会は700MHz、1800MHz、2300MHz、2600MHz、3.5GHz、ミリ波(26GHz)帯の電波を含む利用可能な周波数帯のレビューを実施した後、2023年1月までにオークションを完了させることを目指していたが、MoITTは同年8月に最大10か月の延期を発表した。