Ministry of Public Infrastructure and Industries-Bureau of Communications
URL | https://www.palaugov.pw/executive-branch/ministries/public-infrastructure/ |
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所在地 | P.O. Box 6051 Koror, 96940 PALAU |
幹部 | Charles I. Obichang(公共インフラ産業大臣/Minister) |
2017年12月に成立した「2017年パラオ電気通信法(Palau Telecommunications Act of 2017)」に基づき、公共インフラ産業省内に設置された電気通信規制機関である。電気通信及び放送規制、相互接続ルール、事業者免許の発行、電話番号管理、周波数の割当て、電気通信機器規制を所掌する。なお、2021年4月の「2017年パラオ電気通信法」改正法(RPPL 11-4)により、新規の電気通信事業者免許の発行や周波数の割当ては2025年まで猶予されることとなった。
2017年12月に成立。海底ケーブル保護措置の確立、通信局の設置、電気通信市場への新規参入促進、パラオ国営通信公社(Palau National Communication Corporation:PNCC)の業務範囲の拡大等が規定されている。
「2017年パラオ電気通信法」第302条及び402条に基づき、通信局は電気通信事業者免許の発行並びに監督権限を有している。免許の種類は設備事業者向けの「個別免許(Individual License)」、サービス事業者向けの「クラス免許(Class License)」の2種類である。新規免許の発行は、PNCCの経営状況の悪化等を理由に2025年まで猶予されている。
「2014年電気通信法」第413条に基づき、通信局は相互接続規則を提案し、競争と投資の促進、事業者間の相対交渉による合意の奨励、相互運用性の確保、紛争解決プロセスの確立、標準条件と料金原則の定義、義務付けすべき相互接続及びアクセス・サービスの特定、相互接続約款(RIO)及びアクセス約款(RAO)に関する規則の制定等に関する権限を有している。
パラオ政府は2022年12月、「デジタル居住法(Digital Residency Act)」を成立させ、パラオ市民ではない者が、パラオに物理的に居住することなく、パラオのデジタル居住者となることを可能にするプログラムを導入した。
デジタル居住プログラムは、世界中の申請者に物理的なIDカードとブロックチェーン・ベースのデジタルIDの双方を提供することが可能なプログラムである。このデジタルIDではブロックチェーン技術であるRNS(Root Name System)を利用している。
申請者は248USDの申請料を支払い、パラオでの滞在を最長180日まで延長できるほか、選挙での投票、保険プランの購入、ローン申請、年齢確認、銀行口座や証券口座、KYC/AML(マネーロンダリング防止のための本人確認)要件等にデジタルIDを使用することができる。
「2017年パラオ電気通信法」第302条、426条及び427条に基づき、通信局は電気通信機器の運用に関する技術標準を特定かつ承認する権限を有している。また、この標準を満たさない電気通信機器がネットワークに接続した場合。電気通信事業者は当該の通信を拒否することができると規定されている。
PNCCが国内唯一の固定電話提供事業者である。「2017年パラオ電気通信法」により市場の自由化が目指されたが、主としてPNCCの経営状況に対する懸念から、2025までは新規参入は見送られることとなり、同年まで市場独占が継続する。
PNCCの移動体通信子会社パラオセル(PalauCel)が国内唯一の移動体通信提供事業者であり、2G、3G及び4Gサービスを提供している。
2006年8月に競争事業者Palau Mobile Corporation(PMC)が市場に参入したが、経営不振のため2014年に撤退している。
その後、「2017年パラオ電気通信法」により市場の自由化が目指されたが、主としてPNCCの経営状況に対する懸念から、2025年までは新規参入は見送られることとなり、同年まで市場独占が継続する。
なお、2023年6月、米国貿易開発庁(United States Trade and Development Agency:USTDA)はPNCCに対し、5Gサービスの導入を見据えた、オープンRAN技術を採用した移動体通信網の近代化への支援を表明した。
固定ブロードバンドの提供事業者はPNCCと民営事業者パラオ・テレコム(Palau Telecoms)の2社である。PNCCは有線(DSL及びFTTx)、固定無線アクセス、衛星接続によりブロードバンドを提供しているが、パラオ・テレコムはWiMAX規格を採用した固定無線アクセスのみを提供している。
Palau National Communication Corporation
Tel. | +680 587 9000 |
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URL | https://www.pnccpalau.com/ |
所在地 | P.O. Box 99, Koror, 96940 PALAU |
幹部 | Simon M. Fraser(最高経営責任者/CEO) |
1982年に設立された政府完全所有の通信事業者である。「パラオ国家法典(Palau National Code)」第15編第3章「通信」を設立根拠としている。固定通信(有線、固定無線、衛星)、移動体通信、インターネット、デジタル放送等のサービスを提供している。インテルサット(Intelsat)との協力により遠隔島嶼に移動体通信網へ拡張する試みや国内の公立学校すべてに高速光ファイバ網を接続する等の施策により、パラオ全国域におけるデジタル環境の構築に積極的にかかわっている。
(通信/Ⅰの項参照)
放送分野に関しては、「パラオ国家法典」第15編「通信」の規定に基づき、放送コンテンツの規制や免許付与を所掌する。
「パラオ国家法典」第15編「通信」(Palau National Code Title 15 - Communications)
第4補章「AM、FMラジオ放送局及びテレビ放送局の規制」により、放送事業が規制されている。放送内容の記録及び保持の義務付け、免許要件や罰則に関する規定を定めている。
放送事業の免許は「パラオ国家法典」第15編第3章「通信」第4補章「AM、FMラジオ放送局及びテレビ放送局の規制」に基づき付与される。放送事業免許はAMラジオ局、FMラジオ局、テレビ局の3種である、免許の有効期限は4年間を超えないとされる。外国政府及び外国企業は免許を取得することができない。国内企業であっても、外国政府及び外国企業が5分の1以上の株式を直接保有する場合、また、4分の1以上の株式を間接保有する場合は免許を取得することができない。
2022年に更新されたITU作成の「地上デジタルテレビの移行状況(Status of the Transition to Digital Terrestrial Television)」によれば、パラオでは地上デジタル放送は開始されておらず、アナログ停波予定や放送規格等も不明とされている。
2022年9月、日本が国連開発計画(UNDP)を通じて実施している、パラオへの災害対応・防災支援事業(総額750万USD)により建設されたAMラジオ塔が引き渡された。パラオには2012年、2013年及び2021年に大型の台風が襲来し、既存のAMラジオ塔は大きな損傷を受け使用不可能となり、パラオ中心部と地方部及び離島部を結ぶ通信手段が脆弱な状況が続いていた。このAMラジオ塔がカバーするエリアは、北はカヤンゲル島、南はパラオ中心部から約600km離れた南西諸島(ソンソロール州・ハトホベイ州)までパラオ全域に及ぶとされる。
政府所有のT8AA(ブランド名:Eco Paradise)がAMとFMの2系統で国営放送を実施している。民間事業者ではWWFM、KRFMの2社がFM放送を実施している。また、オーストラリアの公共放送ABCが2023年にT8AAと提携し、国際放送を実施している。
パラオでは地上テレビ放送は実施されていない。
PNCC等のケーブルテレビ事業者4社が放送を実施している。主に米国のコンテンツを中心とした国際チャンネルが放送されている。
Tel. | +680 488 2417 |
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URL | https://www.facebook.com/divisionofmedia |
国営放送局であり、FM放送、AM放送を各1系統で放送している。放送局の運用はPNCCが実施している。2022年3月には2021年4月の台風被害からのFM放送設備復興について、日本の「草の根・人間の安全保障無償資金協力(Grant Assistance for Grassroots Human Security Projects:GGP)」から、総額7万3,925USDの無償資金供与を受けることが発表された。
(通信/Ⅰの項参照)
通信局が電波監理を所掌しており、「2017年パラオ電気通信法」第404条に基づき、周波数の免許、周波数の割当て及び調整等の業務を実施している。
「無線周波数免許規則(Radio Frequency Licensing Rules)」の付則1「周波数免許の種類」では、以下の周波数使用免許が指定されている。2024年9月現在、同規則は草案の段階にある。
また、同規則では、無線局免許についても以下のとおり指定されている。
「2017年パラオ電気通信法」第503条に基づき、通信局は周波数割当計画(Frequency Allocation Plan)を策定し、随時更新している。同計画では国内の効率的な周波数割当とともに、ITU等の国際機関との協調が求められている。周波数分配表は公表されていない。