Department of Information and Communications Technology
Tel. | +63 2 8920 0101 |
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URL | https://dict.gov.ph/ |
所在地 | C. P Garcia Ave., Diliman, Quezon City, Metro Manila 1101, PHILIPPINES |
幹部 | Ivan John E. Uy(大臣/Secretary) |
2016年6月の「共和法第10844号」に基づき設立された。情報通信技術局(Information and Communications Technology Office:ICTO)や国際コンピュータセンター(National Computer Center:NCC)といった機関がDICTに統合されたほか、電気通信委員会(National Telecommunications Commission:NTC)や国家プライバシー委員会(National Privacy Commission:NPC)等の組織が付属機関とされた。
主な所掌事務は、ICT関連の政策立案、電子政府等のICT利用の促進、ICT関連の法整備である。
National Telecommunications Commission
Tel. | +63 2 8924 4042 |
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URL | https://ntc.gov.ph/ |
所在地 | NTC Bldg., BIR Road, East Triangle, Diliman, Quezon City 1104, PHILIPPINES |
幹部 | Ella Blanca B. Lopez(委員長代行/Commissioner officer in charge) |
1979年に「大統領令第546号」に基づき設立された。ガイドライン、規則を策定可能な独立規制機関であり、大統領府直属に設置されていたが、2016年6月の「共和法第10844号」により、情報通信技術省の付属機関となった。電気通信分野における主な所掌事務は以下のとおりである。
公衆電気通信政策法(Public Telecommunications Policy Act:PTPA、共和国法第7925号)
1995年3月に施行された。事業免許の付与条件、事業者の義務等が規定されている。電気通信設備を所有する電気通信事業者に、一定期間に一定数の加入者回線の設置を義務付ける一方、設備を保有せずにサービスを提供する付加価値サービス事業者に対しては、電気通信市場への参入を原則自由とすること等を規定している。現在、下院議会において、複数の改正法案が関連委員会に付託され、審議されている。
通信事業免許は「公衆電気通信政策法」第7条から第13条に基づき、下記の分類によりNTCより付与される。
「憲法」第12条第11項及び公共サービス法により、「公益事業」への外資比率の上限は40%と規定されてており、通信事業も「公益事業」に該当し当該規定が適用されると解釈されてきたが、2022年の公共サービス法の改正により「公益事業」の定義が、電力の送配電、石油又は石油製品のパイプライン輸送システム、上下水道、港湾、公共交通車両と明確化され、それに該当しない通信事業の分野では外資資本が100%投資が可能になった。ただし、重要インフラである通信分野では相手国がフィリピン人国籍者の投資を認めていない場合は50%以上の保有が禁止される。また、安全保障等の理由により、大統領は外資による投資を個別に保留もしくは禁止する権限を有する。
DICTは2018年1月、PLDT、グローブ(Globe Telecom)に続く第3の通信事業者を新規参入させる意向を表明。2019年7月、中国電信と国内企業3社(Mindanao Islamic Telephone Corporation、Udenna Corporation、Chelsea Logistics Holdings)が出資するDito Telecommunity(選定当時の名称はMislatel)に免許を付与した。同社は参入後5年間で2,500億PHPを投資し、5年後には84%の人口カバレッジを実現すると確約しており、2021年3月には商用サービスを開始している。
ドゥテルテ大統領(当時)は2019年2月に「移動電話番号ポータビリティ法(Mobile Number Portability Act)」(共和国法11202号)に署名した。同法は施行から6か月以内に、移動体通信事業者に対して全国で番号ポータビリティ(MNP)を無料で実施可能とすることを義務付けている。これが実行されない場合は、1万PHPの罰金を科す権限をNTCに付与している。なお、その後もMNPを拒否し続けた場合には罰金は4万PHPに増額されることになる。
NTCは同法の施行を受け、2019年6月にMNPに関する規則及び規制を定めた「Memorandum Circular 03-06-2019」を発令している。
NTCは2019年5月に「Memorandum Circular 01-05-2019」において、移動電話のSIMロック解除についてのガイドラインを発表した。移動体通信事業者には主に以下の義務が課され、義務に違反した場合には罰則が科される可能性もある。
2020年9月、上院公共サービス委員会は、国内ブロードバンド・サービスの速度標準を設定した「2020年上院法案第1831号(通称、Better Internet Act)」を承認した。同法案は、国内通信及びISP事業者に対して、DICTの決定に従い、「国内でブロードバンドが提供されていない地域とサービスが不十分な地域において、固定及びモバイル・ブロードバンドのサービス・エリアを3年以内に拡張する」ことを求めた。また、同法では、各事業者が提供するブロードバンドの最低速度(下り)について、以下のとおり、提案した。
なお、同法案は2022年7月に、事業者に対する要求水準を高めた内容を含んだうえ、上院議会に「2022年上院法案第386号」として再提出された。新法案では、各事業者は「国内でブロードバンドが提供されていない地域とサービスが不十分な地域において、固定及びモバイル・ブロードバンドのサービス・エリアを2年以内に拡張する」ことが求められ、また、通信速度についての要求も以下のとおり改訂された。
上記の新法の施行後には、すべての通信及びISP事業者に対して2年以内に、上記の内容を実践することが求められるが、法案は2023年9月末現在、成立していない。
DICTは2022年5月、衛星通信事業の拡大に資するための施策に着手したことを発表した。DICTは衛星通信事業者に国内事業を拡大し、DICTが推進しているデジタル・トランスフォーメーション(DX)事業に寄与することを促しており、衛星通信事業及び同システム・プロバイダの事業環境を整備する等、政策面においても支援することを明らかにした。
DICTはこれまでも、衛星通信事業者が迅速に市場参加できるよう、登録、規制及び監視等の簡素化及び自由化に取り組んでおり、事業者のためのオンライン申請プラットフォームを導入する計画も示している。また、DICTは、上述の外資規制の緩和によりSpace X社のStarlinkのフィリピン国内への迅速な展開が可能になったことを評価しており、外資企業による更なる投資を歓迎する姿勢を示している。
DICTは、固定や移動体を使用する高機能ICTインフラでも自然災害に対しては脆弱であり、地理的に孤立した地域対策としても衛星通信アクセスは重要であるとしている。
2023年2月、DICTは「Starlinkを歓迎」と題するリリースを公表し、フィリピンがStarlinkによる最大200Mbpsのダウンロード速度を東南アジアで最初に享受する国である、と発表した。
下院議会は2021年9月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の財源確保を目的に、国内のデジタル取引に12%の付加価値税(VAT)を課す法案を可決した。法案は、デジタル・サービス提供者(Digital Service Provider:DSP)に対して、DSPが提供するデジタル・サービス及びDSPを介して取引される財・サービスの双方に課税を賦課することを規定している。
具体的な課税対象は、オンライン広告、購読料を得るデジタル・サービス、その他インターネットを介する電子取引となり、デジタル・サービスには、オンライン・ライセンスやソフトウェアのアップデートとアドオン、ウェブサイトのフィルタとファイアウォール等も含まれる。
また、音楽、ファイル、画像、テキスト等のデジタル・コンテンツ、オンライン広告スペースや電子取引の場、検索サービス、SNS、データベースの提供も課税の対象となる。
ただし、電子的に又はオンラインで販売される書籍その他の印刷物は適用除外であり、一定売上げ以下の中小企業及び一定所得以下の個人への課税は免除となる。
2022年10月10日、移動電話のSMSを用いた詐欺等の防止を目的に、すべてのSIMカードの所有者情報の登録を義務付けるRepublic Act No. 11934 SIM Card Registration Actが成立し、同年12月27日に施行された。同法は、通信会社とSIMカードの販売会社に対してSIMカード販売時に有効な身分証の提示を求めることを義務付けるとともに、SIMカード所有者に対して、法施行後180日以内に個人情報を通信会社に登録することを義務付けている。また、通信事業者は登録されたSIMカード登録情報を保存し、裁判所の命令又は召喚状に応じて情報を開示することが求められている。
SIMの登録期限は、2023年4月26日に設定されていたが、90日間の延長措置が講じられ、7月25日に期限を迎えた。期限までに国内の発行SIM約1億6,801万枚(当時)のうち6割を超えるSIMの登録があった。
2023年10月22日現在のSIM登録枚数は、1億2,268万枚となっている。
DICTとシンガポール情報通信省は2022年9月、デジタル分野における専門知識、技術、ベストプラクティスを両国間で共有する等の協力関係を構築するための覚書に署名した。同覚書では、特にアクセシビリティの確保、電話やSMSによる詐欺対策、個人データ保護、新興技術、電子政府、サイバーセキュリティ等の分野における連携を強調している。2023年1月には、DICTと中国工業情報化部は、AI、5G、クラウド、IoT等の先端分野での専門知識の共有や、5G、6G等に関する民間の協力支援、電子政府、デジタル・ガバメント戦略、データセンター標準に関する協力を内容とする覚書を署名した。また、同月DICTは、米国、日本、英国、フランス、タイ、マレーシア、ブルネイ等と知識共有や共同プロジェクトに関する議論をしていると明かしている。
2023年8月のフォンデア・ライエンEU委員長から言及のあった、EUの海底光ファイバーケーブルのフィリピンへの延長について、DICTが期待を表明したほか、2023年9月には、エストニア政府と、電子政府分野とサイバーセキュリティ分野における両国の協力を強化することで合意したと発表した。
なおDICTは、現在フィリピンではマルコス政権が電子行政サービスのガバナンス統合を推進している最中であることや、7,100の島々のアクセシビリティ改善に積極的に取り組んでいること等を挙げ、フィリピンをアジアの次世代ハイパー・スケーラー・ハブに育て、外国投資を拡大するための準備を進めていることを強調している。
NTCの機器標準部(Equipment Standards Division)が、電気通信機器関連の規則制定や技術標準の普及、制定、認証を行っている。また、機器標準部では、型式検定書(Type Approval Certificate)と型式認証書(Type Acceptance Certificate)の2種類を発行している。型式検定書では、国内で機器検定試験を実施し発行する。一方の型式認証書は、海外で認められた機器が国内で検定試験を行わない場合に、型式検定書の代替となり発行されるものである。
島嶼群により国家が構成されている地理的要件から固定電話の普及水準は低い。有線のほか、固定無線アクセス(FWA)も使用されている。2021年度の市場シェアはPLDTが約57%、グローブが約41%である。
移動体通信市場は、概して支配的事業者PLDT傘下のスマート(Smart Communications)と競争事業者であるグローブの複占市場である。PLDTは2011年10月に市場第3位の事業者であったディジテル(Digitel)を買収しており、この結果、移動体通信市場は現行の複占状態となった。
なお、2019年7月に中国電信系列のDito Telecommunityが第3の事業者として移動体通信市場での営業を認可され、2021年3月にダバオ及びセブで商用サービスを開始、同年5月にはルソン島、ミンダナオ島、ヴィサヤ諸島の主要地区でサービスを開始した。
2023年9月現在、移動体通信市場のシェアはスマートが約47%、グローブが約46%、Dito Telecommunityが約6%である。5Gについてはグローブが2020年2月に、スマートが2020年7月にノンスタンドアロン(NSA)方式による商用サービスを開始している。また、スマートはスタンドアロン(SA)方式の商用サービスも2021年10月より開始している。グローブも2022年12月にライブトライアルを踏まえたSAの展開を発表した。2022年12月時点で、両社の5G無線局の設置数はスマートが約7,300基、グローブが約2,200基となっている。
インターネット接続は固定通信網の設備不足を反映して低水準である。2023年9月現在の固定ブロードバンド市場シェアはグローブが約21%、PLDTが約46%である。その他の事業者としては光ファイバ網運営事業者のコンバージICT(Converge ICT Solutions)等が存在する。
2022年度における接続方法の比率はDSLが全体の約7%、FTTxが約64%である。ケーブルモデム接続は約4%と低水準である。
Philippine Long Distance Telephone
Tel. | +63 2 8816 8684 |
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URL | https://main.pldt.com/ |
所在地 | Ramon Cojuangco Building, Makati Ave. corner Ayala Ave., Legaspi Village, Makati City, Metro Manila, PHILIPPINES |
幹部 | Alfredo S. Panlilio(社長兼最高経営責任者/President and CEO) |
1928年に設立され、100年間(2028年まで)の事業免許を得ている国内最大の電気通信事業者である。主に国際通信及び国内通信サービスを提供してきたが、2000年にスマートを買収し、移動体通信分野にも進出している。2011年10月には当時市場第3位の移動体通信事業者であったディジテルも買収した。
PLDTは2020年9月、自社のDSL加入者を無料でFTTxにアップグレードすることを目指す、18か月間に及ぶ「近代化プログラム」を発表、2021年度内に計画を完了する意向を示している。2023年3月31日現在、PLDTの主要株主は、First Pacificグループ(25.57%)、NTT グループ(20.35%)、JGサミットグループ(11.27%)等となっている。
Globe Telecom
Tel. | +63 2 7730 2000 |
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URL | https://www.globe.com.ph/ |
所在地 | The Globe Tower, 32nd Street corner 7th Avenue, Bonifacio Global City, Taguig, PHILIPPINES |
幹部 | Ernest L. Cu(最高経営責任者/President and CEO) |
固定電話、移動体通信及びブロードバンドを提供する国内最大の競争的総合通信事業者である。グローブは2012年12月に固定通信事業者バヤンテル(BayanTel)の株式を約98%取得したが、PLDT等の競合事業者からの反対により買収が未承認であった。2015年7月、NTCが同買収を承認し、バヤンテルを傘下に置くこととなった。
アヤラコープ(Ayala Corporation)とシングテル・グループ(Singtel Group)の合弁会社であるアジアコム・フィリピン(Asiacom Philippines)が52.36%を所有。アヤラは直接14.62%の株式を所有し、シングテルは22.26%を所有している。
(通信/Ⅰ-2の項参照)
放送に関する主な所掌事務は、ケーブルテレビ、テレビ、ラジオ事業者の監督、免許付与、放送サービスに関する政策立案と規制監督である。
Presidential Communications Office
URL | https://ops.gov.ph/ |
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所在地 | メインオフィス改修のため、以下住所のオフィスを含む複数オフィスに分散。7th Floor Times Plaza Building, United Nations Ave., Ermita, City of Manila, PHILIPPINES |
幹部 | Atty Cheloy E. Velicaria-Garafil(広報大臣/Secretary) |
「2022年大統領令第2号」により設置され、政府の広報部門を担う。「大統領府広報部(Presidential Communications Operations Office:PCOO)」からOffice of Press Secretaryに改称されたが、2023年1月に更に現在の名称に改称されている。国営通信社や国営放送事業者各社を傘下に置いている。
Movie and Television Review and Classification Board
URL | https://midas.mtrcb.gov.ph/ |
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所在地 | MTRCB Building, No.18 Timog Avenue, Quezon City, PHILIPPINES |
幹部 | Diorella Maria “Lala” Sotto-Antonio(委員長/Chairperson) |
「1985年大統領布告第1986号」により設置された大統領府の直属機関で、映画及びテレビ番組の内容の審査、分類を実施している。
放送事業全般に関する基本法令はなく、「1987年憲法」第19条が国家に対して放送を含むマスメディアに対する規制権限を付与している。無線ラジオ及びテレビ放送事業に対する個別の規制は、通信分野と同様に「1979年大統領令第546号」に従い、NTCが所掌している。他方、ケーブルテレビについては「1987年大統領令205号」が適用される。その他、放送局の所有に関する「1974年大統領布告第576-A号」やMTRCBの設立を規定した「1985年大統領布告第1986号」等が放送事業を規制している。
「1987年憲法」第16条第11項で、地上テレビ放送、ケーブルテレビを含むマスメディアへの外資参入は禁止されている。
「2010年大統領令第4号」により、国営放送事業者Philippine Broadcasting Services(PBS)、People’s Television Network Inc.(PTNI)、Intercontinental Broadcasting Corporation(IBC)、Radio Philippines Network(RPN)がPCOO(現PCO)傘下に統合された。なお、PCCOは2011年からRPNの株式をNine Media Corporation等の民間部門に放出し、2020年現在、政府のRPN保有株式は全体の20%である。
NTCは2010年6月に地上デジタル放送の規格にISDB-T方式を採用することを決定、2018年1月にはPTNIがマニラ都市圏で運営しているPTV4(People’s Television 4)が地上デジタル放送を開始した。2016年3月には、地上デジタル放送受信機規格が公布され、販売店におけるデジタル放送対応の有無等のラベリングの義務や、緊急警報放送システム(Emergency Warning Broadcast System:EWBS)機能の搭載義務等が規定された。地上デジタル放送用の周波数割当計画はマニラ首都圏をはじめほぼ全国で完成し、各放送事業者への通知、免許手続が進められている。また、14-20ch帯域を新たに地上デジタル放送用に割り当てるための規則が2016年6月に規定された。2017年10月にDICTは「地上デジタル放送移行プランの枠組み」を公表、地上デジタル放送への完全移行の期限を2023年末に設定していたが、地元紙によると、2023年末に予定されていたアナログ放送の停止を延期する旨が掲載された。
主な全国放送は、地上テレビ局が所有するネットワークのGMA Network(GMA)等である。国営放送としてPCOが運営するPBSが存在し、AM波による公共放送「Radyo ng Bayan」、英語及びフィリピン語による国際短波放送「Radyo Pilipinas」を実施してきたが、2017年6月に双方を「Radyo Pilipinas」のブランド名で統一することが発表された。
全国放送を行う代表的な事業者は、商業放送のGMA、TV5 Network(PLDTが間接出資)の2社、及び国営放送のPTNI、IBCの2社である。また、政府が一部株式を保有するRPNは米国CNNとフランチャイズ契約を結び、2015年3月にCNN Philippinesとして放送を開始した。
衛星放送事業者はCignal(PLDTが間接出資)、Dream Satellite TV、G Sat、SkyDirect(ABS-CBN傘下)の4社で、2019年現在の加入総数は約335万である。
ITU統計によればフィリピンにおけるケーブルテレビ加入者は、2019年3月現在で約276万5,000である。また、フィリピン統計機構(Philippine Statistics Authority:PSA)によればケーブルテレビ市場には2018年時点で、地域放送を実施する小規模事業者を中心に1,268社が存在している。
主要ケーブルテレビ事業者はSkyCable(ABS-CBN傘下)及びその子会社であるDestiny Cable、Global Cable(大手ニュース専門局GNN傘下)、Cablelinkで、SkyCableが半数近くの市場シェアを有している。
URL | https://www.abs-cbn.com/ |
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所在地 | Sgt. E.A., Esguerra Avenue, Quezon City 1103, PHILIPPINES |
幹部 | Carlo L. Katigbak(会長兼最高経営責任者/President and CEO) |
Lopez Groupが所有する国内最大の商業テレビ放送事業者であり、地上テレビ放送1系統のほか、全国各地に多数のラジオ局を保有してきた。また、有料放送事業者SkyCableも子会社としている。国内制作の番組を中心に、スペイン語からの吹替え番組や英語番組を提供してきた。
しかし、長年にわたるドゥテルテ大統領(当時)との政治的対立を背景に、2020年5月の25年間の放送事業の免許期間終了時に、NTCはABS-CBNに対して放送停止を命令、系列局も含みABS-CBNの放送は中止されることとなった。同年7月、下院議会の立法免許委員会(Committee on Legislative Franchises)はABS-CBNの事業免許更新を70対11の圧倒的な多数で否決、同年8月には最高裁判所がNTC命令の停止嘆願を却下、同年9月にはNTCはABS-CBNに割り当てられた周波数を返還するよう命令を下したため、ABS-CBNの事業継続は困難なものとなった。
なお、NTCは2022年1月、ABS-CBNが使用していた二つの周波数帯域をメディア企業AMBS、SMNI及びAliwの3社に付与すると発表した。
URL | https://www.gmanetwork.com/ |
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幹部 | Felipe L. Gozon(会長兼最高経営責任者/Chairman and CEO) |
フィリピン大手商業テレビ放送事業者である。総合放送GMA Networkを1系統、国際放送を3系統、ニュース専門チャンネルGMA News TVを1系統で実施している。ラジオ放送もFM放送を2系統で実施している。2016年12月、地上デジタル放送への初期投資として約4億PHPを投入すると発表、2019年2月には約10億PHPを追加投資する計画を明らかにした。なお、GMAは2020年5月より、NTCにより恒久的に付与されたUHFチャンネル15を使用し、マニラ首都圏での地上デジタル放送のテスト放送を開始している。
(通信/Ⅰ-2の項参照)
周波数分野に関する業務は、特殊免許局(Special Licensing Branch:SLB)と、委員長直下の無線周波数計画部(Radio Spectrum Planning Division:RSPD)、放送事業部(Broadcast Services Division:BSD)及び機器標準部(Equipment Standard Division:ESD)が所掌する。特殊免許局は、特殊無線事業部(Special Radio Services Division:SRSD)と安全無線事業・STCW認証部(Safety Radio Services and STCW Compliance Division:SRSSCD)の2部からなる。周波数分野におけるNTCの主な所掌事務は以下のとおりである。
無線通信機器を含む電気通信及び放送機器に関する標準規格の策定制定についてもNTCが所掌している。
「公衆電気通信政策法」に示された電波政策における基本的方針に基づき、NTCが希少な公共資源である電波の効率使用のための電波監理を担っており、「実施規則」に基づき周波数使用の許可や無線局及び電気通信設備の管理監督を実施する。
無線局及び無線通信に関する規制の原則は、「無線通信規制法」で定められており、無線局の運用には、基本的には無線局免許が必要となる。無許可での無線通信局の設置や無線局免許の譲渡を禁止しているが、会社自体の売却は許容されている。また、第三者に無線通信サービスを提供するためには、電気通信営業許可(フランチャイズ)の取得が前提となり、放送サービスを提供するためには公共性の観点からパブリック・ヒアリングが実施されたうえで免許が交付される。
NTCは、2013年に、PLDTがディジテルを買収する条件としてNTCに返還した3G用周波数10MHzの免許再割当のためのオークションについて検討を開始した。また、2017年に、NTCは未使用の周波数の再利用を図る方針を示し、割当済みの周波数リスト及び未使用の周波数リストを双方公表し、第3、第4の移動体通信事業者の市場参入が可能であるとの見解を示した。
2018年1月に、ドゥテルテ大統領(当時)は新規の設備通信事業者を早急に選定することを指令、NTCは同年2月より新規事業者の入札要件に関するパブリック・コメントを公募、その後、同年9月通達「Memorandum Circular 09-09-2018」を発表、入札要件が決定した。主な概要は以下のとおり。
周波数帯 | 周波数 |
---|---|
700MHz | 738.0-748.0MHz |
793.0-803.0MHz | |
2100MHz | 1955.0-1970.0MHz |
2145.0-2160.0MHz | |
2000MHz | 2010.0-2025.0MHz |
2.5GHz | 2535.0-2555.0MHz |
3.3GHz | 3300.0-3400.0MHz |
3.5GHz | 3480.0-3520.0MHz |
同通達は2018年10月に発効し、応募者は11月までに応札書類を提出した。その結果、DICTは3件の応募があり中国電信の主導するコンソーシアムであるMislatel(現Dito Telecommunity)だけが適格参加者となったと発表、同月、正式にMislatel(当時)を第3の移動体通信事業者として選定したことを発表した。
DICTは2020年6月、各移動体通信事業者各社が自ら建設していた通信塔を第三者に建設させることで競争原理を導入し、通信基盤構築の加速化を図るためのガイドライン「Department Circular 008-2020」を発表した。この施策は、DICTが、既存の通信サービスのカバレッジ拡大に加え、5Gの導入環境の整備には、基地局数を既存の1万9,000から約5万に増加させる必要があると判断していることを反映している。
同ガイドラインにおいて「共用パッシブ通信タワー・インフラ(Shared Passive Telecommunications Tower Infrastructure)」と称される共用通信塔は、通信事業者ではない「独立タワー事業者(Independent Tower Companies:ITC)」により建設、運用されることとなる。ITCはDICTによる許認可事業者であり、認可期間は5年で、更新継続が可能である。
ITCが運用する共用通信塔には、移動体通信事業者全社及びDICTが、同一の通信塔を使用して、もれなく無線通信設備を運用することが可能なスロットを確保することが義務付けられている。また、コロケーション料金についても、同一で合理的な料金を設定することが義務付けられている。
NTCが国内を14の地域に分け、地方局(Regional Office)を設置して電波監視を実施している。
電波利用料の徴収については「公衆電気通信政策法」第15条によって規定されている。電波利用料に当たる電波使用者負担金(Spectrum User Fees:SUF)が、NTCが策定した規則「Memorandum Circular 10-10-97」「Memorandum Circular 11-12-2001」(2G等に対するSUF)及び「Memorandum Circular 07-08-2005」(3Gに対するSUF)に基づき、毎年徴収される。SUFは、基本的には、無線局による使用帯域幅、提供サービスの種類、無線局数、カバー地域及びその地域の経済分類等に基づいて決定される。
なお、アマチュア無線、船舶と航空安全確保のための無線、放送サービスについては、電波利用料は徴収されない。
周波数分配表(National Radio Frequency Allocation Table:NRFAT)については、「Memorandum Circular 3-3-96」に基づき、NTCが策定する。周波数割当はNRFATに基づいて実施される。
https://ntc.gov.ph/wp-content/uploads/2022/frequencyallocations/NRFAT_Rev_2020.pdf