シンガポール (Republic of Singapore)

通信

Ⅰ 監督機関等

1 情報通信省(MCI)

Ministry of Communications and Information

Tel. +65 6837 9655
URL https://www.mci.gov.sg/
所在地 140 Hill Street #01-01A, Old Hill Street Police Station, 179369, SINGAPORE
幹部 S. Iswaran(大臣/Minister)
所掌事務

2012年11月に情報通信芸術省から情報通信分野に関する部門を分離し、創設された。情報通信政策の一般的枠組を策定している。通信・放送産業に関する政策策定は産業局(Industry and Information Division)が担当している。

2 情報通信メディア開発庁(IMDA)

Infocomm Media Development Authority

Tel. +65 6377 3800
URL https://www.imda.gov.sg/
所在地 10 Pasir Panjang Road #03-01, Mapletree Business City, 117438, SINGAPORE
幹部 Chan Yeng Kit(会長/Chairman)
所掌事務

メディア開発庁(Media Development Authority:MDA)と情報通信開発庁(Info-communications Development Authority:IDA)を再編したことにより、2016年10月に正式に発足。情報通信及びメディア産業を所掌する。また、同産業の成長機会の創造に向け、情報通信基本計画「インフォコム・メディア2025(Infocomm Media 2025:ICM2025)」を推進する。またIMDAは、MDAとIDAの規制範囲を基に、情報通信とメディアを統合した新分野にも対応し、同時に、消費者及び企業の双方に利益をもたらすイノベーションを推進する。

3 政府技術庁(GovTech)

Government Technology Agency of Singapore

Tel. +65 6211 0888
URL https://www.tech.gov.sg/
所在地 10 Pasir Panjang Road, #10-01 Mapletree Business City, 117438, SINGAPORE
幹部 Peter HO(最高経営責任者/Chief Executive Officer)
所掌事務

2016年11月に旧IDAから公共部門における情報化を推進する部門を分離、設置された。首相府に設置された「スマート・ネイション・デジタル政府局(Smart Nation and Digital Government Office:SNDGO)」と連携し、省庁横断的な基盤構築や全体のセキュリティ構築等を所掌する。政府部門の共通認証基盤であるSingPass、個人情報基盤であるMyInfo等を運用している。

Ⅱ 法令

電気通信法(第323章)(Telecommunications Act (CHAPTER 323)

電気通信事業分野における免許付与及び規制、これに関するIMDAの役割について規定している。「2011年電気通信改正法」により、罰則の強化、通信確保のための通信基盤に対する情報通信大臣の権限拡大、競争促進のための市場に対する介入権限の情報通信大臣への付与が新たに規定された。これに加えて、例えば「2002年電気通信(免許クラス)規制」や「2002年電気通信(無線通信)規制」等、個別分野の規制が存在する。また、省庁再編に伴い施行された「2016年情報通信メディア開発庁法」により、監督機関としてIMDAが規定された。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

シンガポールの通信事業免許は、電気通信設備を所有する設備ベース事業者(Facilities-Based Operator:FBO)と設備を所有しないサービス・ベース事業者(Services-Based Operator:SBO)に大別される。設備を持たずにMVNOやIP電話を提供する場合は、SBO個別免許が必要である。

なお、シンガポールでは、通信事業免許に外資規制は存在しない。

シンガポールの事業免許分類
免許区分 設備ベース事業者(FBO) サービス・ベース事業者(SBO)
定義 電気通信設備を保有し、サービスを提供 FBO事業者の設備を利用してサービスを提供
免許形態 個別免許(許可制) 個別免許(許可制)、クラス免許(届出制)
免許期間 10、15、20年 個別免許は5年、クラス免許はなし

出所:IMDAウェブサイト

2 競争促進政策

IMDAが策定する「電気通信競争コード(Telecom Competition Code)」は、免許人が従うべき事前義務と事後規定を含む包括的な競争管理枠組みで、免許分類、免許人の義務、相互接続、不可欠設備、公正競争要件等が定められている。2012年4月23日に「次世代全国ブロードバンド網(Next Gen National Broadband Network:NGNBN)」の提供事業者に関して同コードの適用を規定した「2012年電気通信競争コード(Telecom Competition Code 2012)」が発効した。また、2014年7月2日、「2012年個人データ保護法(Personal Data Protection Act 2012:PDPA)」の施行に伴い、同コードのエンドユーザ情報に関する規定は、PDPAを優先するよう改められた。

同第6条に基づき支配的事業者であるシングテル(SingTel)には相互接続約款(Reference Interconnection Offer:RIO)の作成が義務付けられ、約款に相互接続提供に関する料金を掲載する必要がある。なお、事業者間の接続協定には、①RIOによる協定、②現存の相互接続協定の継続、③当事者間の個別相互接続協定、の三つの選択肢があることが、コードにより規定されている。また、③の個別協定での交渉については、事前・事後を問わずIMDAが紛争調停処理を行うことが制度化されている。

同様にスターハブ(StarHub)は市内ブロードバンド接続サービス市場及び卸売ブロードバンド接続サービス市場について支配的事業者に指定されており、これらの相互接続料金をコードに基づき開示している。

3 情報通信基盤整備政策

高速ブロードバンド基盤整備

シンガポールでは2006年から2015年までの情報通信基本計画「インテリジェント・ネイション2015(iN2015)」によりNGNBNが構築された。NGNBNは設備提供事業者(NetCo)であるネットリンク・トラスト(NetLink Trust)、サービス卸売事業者(OpCo)であるニュークリアス・コネクト(Nucleus Connect)が共同で運用し、ISP事業者各社が加入者に対して提供するFTTPサービスである。

その後、IMDAは新たな情報通信基本計画「インフォコム・メディア2025(ICM2025)」により、固定ブロードバンド網であるNGNBNに加え、以下の情報通信基盤を構築し、情報通信の可用性を拡大していく意向である。

4 ICT政策

(1)情報通信基本計画「インフォコム・メディア2025」

シンガポール政府は2015年8月、2006年から2015年までの情報通信基本計画であった「iN2015」に代わる新たな情報通信基本計画である「インフォコム・メディア2025(ICM2025)」を発表した。

新計画では、iN2015の「専門性の高い人材開発」により「情報通信産業の生産性を拡大」し、「経済的、社会的な変容」を誘発するという基本ヴィジョンを継承しつつ、同時期のコンテンツ振興政策であった「シンガポール・メディア融合計画(Singapore Media Fusion Plan)」の内容を取り入れ、設備及び技術基盤とアプリケーションやコンテンツのエコシステム構築を強調する内容となっている。

また、新計画では「ビッグデータの運用能力拡大」や「ヒューマン・セントリックな技術開発」を戦略分野として掲げ、首相府主導のスマートシティ計画「スマート・ネイション・ヴィジョン」との連携により、シンガポール市民の「クオリティ・オブ・ライフ」の向上を目指すことを強調している。

(2)スマート・ネイション・プログラム

リー・シェンロン首相は2014年8月の施政方針演説(National Day Rally)において「スマート・ネイション・ヴィジョン(Smart Nation Vision)」を発表、国家単位でのスマートシティ構築を目指すと表明した。

これに伴い、同首相は首相府内局としてSNDGO(旧称スマート・ネイション・プログラム局)を新設、同ヴィジョンを政府全体で推進する役割を与えた。同時に、同ヴィジョンに基づき運用される情報通信設備基盤の整備は、民間部門はIMDA、公的部門はGovTechが所掌することとした。

政府はSNDGO を中心に同ヴィジョンに基づき、SNPと称する全国展開のセンサー・ネットワークを構築している。SNPは「全国通信センサー・ネットワーク(NCSN)」及び「スマート・ネイションOS(SN-OS)」の双方で構成されるプラットフォームである。

また、GovTechは2017年8月にスマートネイション・ヴィジョンの促進に向けた国家戦略プロジェクトを発表し、以下の具体的な課題に取り組むことを明らかにしている。

(3)セキュリティ政策

シンガポール政府は2016年10月にシンガポール・サイバーセキュリティ戦略(Singapore’s Cybersecurity Strategy)を発表した。同プランはサイバーセキュリティ庁(Cyber Security Agency of Singapore:CSA)が策定したものである。CSAは2015年4月に設立された、サイバーセキュリティに関する規則を策定し、施行する機関であり、MCIが管轄する機関である。

同プランは以下の四つの重要領域を設定している。

また、2014年7月より「2012年個人データ保護法」が施行され、新たに設立された個人データ保護委員会(Personal Data Protection Commission:PDPC)により、通話拒否登録制度(Do Not Call Registry:DNC)の運用が開始されている。

IMDAでは「電気通信サイバーセキュリティ実践コード(Telecommunication Cybersecurity Code of Practice)」を策定し、シンガポールの主要ISPに対して同コードの順守義務を課しており、インターネット・サービスを提供するためのネットワーク設備も対象となる。

(4)MVNO

2019年3月現在、IMDAより免許を取得しているMVNO事業者は15社以上存在するが、実際にサービスを提供している事業者は、マレーシア企業VivoHub Mobile(ブランド名:VivoBee)、SMART World Singapore(フィリピンPLDT子会社)、Liberty Wireless(ブランド名:Circles.Life)、Blue Wireless、ISP MyRepublic、Zero Mobile、Zero1、GlobalRoam(法人専用)の8社のみである。

Ⅳ 関連技術の動向

基準認証制度

電気通信機器(有線端末機器及び無線通信機器)の販売及び使用には、機器供給者によるIMDA基準への適合性認定実施の「供給者適合宣言(Supplier’s Declaration of Conformity)」に基づく、IMDAへの機器登録(Equipment Registration)が必要となる。

登録手続には、以下の三つが設けられている。

機器の登録料はGERが350~500SGD、SERが100SGD、ESERが無料となっている。IMDAは、機器登録手続の合理化を目的とし、2013年4月25日付で機器登録手続の変更を発表。機器登録の手続や料額を含む「電気通信機器登録ガイドライン(IMDA GUIDE EQR)」の最新版は2019年11月第1版Rev.4となっている。

Ⅴ 事業の現状

1 固定電話

固定電話の市場シェアはシングテルが2019年1月現在で71.9%(136万回線)を有するが、2014年12月末には81.2%であり、独占度は縮小しつつある。

2 移動体通信

移動体通信市場は、シングテル、スターハブ、M1の設備事業者3社を中心に構成されているが、2016年12月に4番目の事業者としてTPGテレコムに周波数が割り当てられた(電波/Ⅱ-2の項参照)。

LTEについては、M1が2011年6月、シングテルが2011年12月に、スターハブが2012年9月にLTEサービスを開始している。

なお、IMDA調査によれば、2018年6月末現在、屋外ではLTEサービスは概ね全国をカバーしており、3大事業者が国土の99%以上をカバーしている。また、IMDAは2018年7月までに道路トンネル及び地下鉄でのカバレッジを99%以上とすることを3社に義務付けているが、2018年6月末現在、チャンギ空港線及びフォートカニング・トンネル(シングテルのみが未達成)を除いて99%以上がカバーされている。屋内カバレッジについては、IMDAが2018年10月から12月まで実施した調査結果によると、ランダム抽出された60か所すべての建物内で最低信号強度(-109 dBm)を満たしたのはシングテルのみであった。

5Gについては、スターハブがノキア(Nokia)と共に、3.5GHz帯を使用した5G New Radio(NR)の実証実験に成功したと2018年11月に発表した。また、シングテルは2019年1月に、エリクソン(Ericsson)とシンガポール・ポリテクニック(Singapore Polytechnic)と共に5G施設を開設したことを発表した。

3 インターネット

IMDA統計によれば、固定有線ブロードバンドの接続方式別の加入者数は2018年末現在、DSL加入者数が6,600、ケーブル・ブロードバンド加入者数が11万7,300、光ファイバ加入者数が136万1,000と、光ファイバ接続が全体の91.4%を占めている。なお、ケーブル・ブロードバンドの唯一の提供事業者であるスターハブは2019年9月末にケーブルテレビも含めたHFC網によるサービスを終了した。

Ⅵ 運営体

1 シンガポール・テレコム(SingTel)

Singapore Telecommunications

Tel. +65 6838 3388
URL https://www.singtel.com/
所在地 31 Exeter Road, #19-00, Comcentre 239732, SINGAPORE
幹部 Chua Sock Koong(最高経営責任者/CEO)
概要

旧国営事業者で、1993年11月にシンガポール株式取引所に上場した。2019年5月現在、政府系持株会社であるTemasek Holdingsが株式の52.5%を所有している。固定通話、DSL及びFTTHによる固定ブロードバンド、LTEをはじめとする移動体通信事業等、包括的に通信事業を展開している。

なお、シングテルは国外への投資に積極的であることで知られ、2019年6月末現在、シンガポールやオーストラリアをはじめ、インド、インドネシア、フィリピン、タイ、アフリカの新興市場を含む21か国で7億人以上の移動体通信サービスを提供している。2019年3月末現在、シングテルが出資している主な海外事業者は以下のとおりである。

海外出資状況
事業者 国名 出資比率
オプタス オーストラリア 100.0%
Advanced Info Service(AIS) タイ  23.3%
Bharti Airtel インド  39.5%
Globe Telecom フィリピン  21.5%
Pacific Bangladesh Telecom バングラデシュ  45.0%
PT Telekomunikasi インドネシア  35.0%

出所:Singtel Annual Report 2019

2 スターハブ(StarHub)

Tel. +65 6825 5000
URL https://www.starhub.com/
所在地 67 Ubi Avenue 1 #05-01 StarHub Green 408942, SINGAPORE
幹部 Peter Kaliaropoulos(最高経営責任者/CEO)

概要

2000年4月に、通信市場の自由化により新規参入事業者として固定及び移動体通信サービスを開始した。2002年に国内唯一のケーブルテレビ事業者Singapore Cable Visionと合併し、ケーブルテレビ配信事業及び自社アクセス網によるブロードバンド接続事業を展開することとなった。

また、2009年4月に、NGNBNの卸売サービスについて料金等設定・運用を担う事業者(OpCo)として選定されたニュークリアス・コネクトを新規完全子会社とし2010年8月より事業を開始した。スターハブやシングテルは2010年9月よりNGNBNの小売サービス事業者としてサービス提供を開始している。

スターハブはNGNBNによる超高速ブロードバンド・サービスや移動体通信サービス、また法人に対する固定通話、データ通信サービス等を提供している。なお、HFC網によるサービスは2019年9月末に終了した。

3 M1

Tel. +65 6655 1111
URL https://www.m1.com.sg/
所在地 10 International Business Park, 609928, SINGAPORE
幹部 Manjot Singh Mann(最高経営責任者/CEO)

概要

1997年に「モバイルワン(MobileOne)」として移動体通信事業を開始した競争事業者である。2010年4月に社名をモバイルワンからM1に変更した。主としてW-CDMA/HSPA及びLTE規格による移動体通信サービスを行っているが、ブロードバンドや国際通信では固定サービスも提供している。2012年9月には東南アジアで初めて全国に4Gサービスを展開した事業者となった。

4 ネットリンク・トラスト(NetLink Trust)

URL https://www.netlinktrust.com/
幹部 Tong Yew Heng(最高経営責任者/CEO)

概要

NGNBNの管路・局舎等の受動設備基盤の管理事業者であったが、2014年10月にNGNBNのNetCoであったオープンネット(OpenNet)を経営統合し、通信設備の運用を担うこととなった。免許要件や接続約款等の規定をオープンネットから引き継いでいる。2017年より、政府が新たに設立したNetCoであるネットリンクNBNトラスト(NetLink NBN Trust)の一部門となっている。

放送

Ⅰ 監督機関等

1 情報通信省(MCI)

(通信/Ⅰ-1の項参照)

2 情報通信メディア開発庁(IMDA)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

Ⅱ 法令

放送法(第28章)(Broadcasting Act(CHAPTER 28)

放送サービスの運営と保有について規定しており、IMDAに放送事業免許の付与権限や放送・広告コードの設定等の権限を与えている。1994年に施行された。また、省庁再編に伴い施行された「2016年情報通信メディア開発庁法」により、監督機関としてIMDAが規定された。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

(1)概要

IMDAは放送免許を「放送法」第8条により、放送事業者に付与する。また、衛星放送免許については、IMDAから衛星通信にかかわる通信免許を取得する必要がある。付与可能な放送免許は「放送法」附則2により20分類が規定されている。同法に基づき、「全国無料(Free-to-air)テレビ/ラジオ放送サービス免許」がメディアコープ(MediaCorp)に付与されており、「全国契約テレビ放送サービス免許」がケーブルテレビ事業者スターハブに付与されている。

現状で申請可能な放送免許は「全国契約テレビ放送サービス免許」「特定(Niche)テレビ・サービス放送免許」の2種である。「全国契約テレビ放送サービス免許」は実質的にリニア放送のIPTVを対象とする免許であり、スターハブ、シングテルのmioTV、M1のMibox、メディアコープのToggleが主な付与対象である。また、「特定テレビ放送サービス免許」は小規模事業者に対して付与され、「個々のチャンネルの視聴者が1日当たり10万以下」及び「提供チャンネル全体での視聴者数が1日当たり25万以下」であることを免許要件としている。また、「特定テレビ放送サービス免許」はネット動画配信やビデオ・オン・デマンド(VOD)も免許対象のサービスとしている。

(2)外資規制

「放送法」第44条は、放送免許付与条件として、外資比率が49%を超えない、又は、該当事業者ないし持株会社の議決権の49%を超えない、「外国性(foreign sourse)」を持つ役員が半数以下、又は、慣例的や義務的に外国の指示等を受けないことを規定している。「放送法」第43条第9項は、外国性を、シンガポール国外の政府、あるいはその代理人、シンガポール法で設立されたものでない法人、シンガポール国籍を持たない個人としている。

(3)オンライン・メディア

IMDAが2013年6月にインターネット上でシンガポールに関するニュース情報を配信するウェブサイトに対して、放送や新聞と同様に免許制度を導入した。この免許は「インターネット・コンテンツ・プロバイダ・クラス免許」として規定されており、国内の月間アクセス数が2か月以上にわたり5万を超えるサイトに取得が義務付けられる。

2 コンテンツ規制

テレビ放送番組はIMDAが規定する事業免許分類に対応したコンテンツ・コードを順守することを必要とされる。「無料テレビ放送」「全国契約テレビ放送」「特定契約テレビ放送」免許に対応したコンテンツ・コードが存在する。加えて、「ネット動画配信」や「ビデオ・オン・デマンド」に対するコンテンツ・コードも存在する。

また、IMDAは、コンテンツの流動化を企図して、2011年8月1日より有料テレビ放送の独占放映権(Exclusive Carriage Agreements:ECA)を廃止し、競合他社の契約者に対しても番組を開放することを義務付けている。

なお、未成年者が移動電話を介して不適切なコンテンツにアクセスするのを防ぐため、移動体通信事業者3社(シングテル、スターハブ、M1)が共同で「シンガポールのモバイルコンテンツの自主規制に関する自主規定」を2010年4月に策定している。

3 公共放送関連政策

旧国営放送事業者のシンガポール放送協会が1994年に廃止されたため、公共放送事業者は存在しない。

4 地上デジタル放送

デジタル放送の伝送規格は、欧州方式のDVB-Tを採用している。メディアコープが2008年2月から本放送を開始、2013年12月末にすべてのチャンネルでデジタル化が完了した。DVB-T2は2013年に開始され、HD番組の視聴や、HbbTV対応サービスとしてキャッチアップTVやVODが利用できる。DVB-T2ではメディアコープの七つのチャンネルが視聴できるほか、車等でのモバイル受信も可能である。なお、アナログ放送は2019年1月2日に停波された。

また、IMDAは2014年9月に低所得者に対して、地上デジタル放送用セットトップボックス(STB)及び室内アンテナを無料配布し、地上デジタル放送への移行を支援する施策「デジタルテレビ支援スキーム(Digital TV Assistance Scheme)」を開始した。対象となる世帯の収入要件は世帯月収が1,900SGD以下、あるいは同居者1人当たりの世帯月収が600SGD以下、等となっている。加えて、2018年4月には有料テレビ放送を視聴していないすべての世帯に同セットトップボックスを提供する施策も発表した。IMDAによると、これまで約45万世帯が支援スキームを利用し、同スキームの申込期限は2019年3月末まで延長された。

Ⅳ 事業の現状

1 ラジオ

メディアコープ傘下のメディアコープ・ラジオ(MediaCorp Radio)が11系統のFM放送を提供している。その他のラジオ事業者としては、国軍予備役協会によるSo Drama! Entertainment(旧SAFRA Radio)及びSingapore Press Holdings傘下のSPH Radioが存在する。また、BBC World Serviceが唯一の外国放送として国内向けに放送されている。

2 テレビ

地上テレビ放送は、メディアコープの独占状態にある。英語系のチャンネル5、中国語系のチャンネル8及びチャンネルU、マレー語系のSuria、タミール語系のVasantham、英語系ニュース専門チャンネルのChannel News Asia(CNA)等、総計7系統の放送が提供されている。

3 衛星放送

個人による衛星放送の直接受信は禁止されている一方で、外国衛星放送については税制上の優遇措置を与えて誘致を進めている。

4 ケーブルテレビ

伝統的な同軸ケーブルによるケーブルテレビ配信事業はスターハブ子会社のスターハブTV(旧スターハブ・ケーブルビジョン)1社の独占市場であるが、スターハブは2019年9月末にインターネットも含めたケーブルテレビ網によるサービスを終了した。

今後は、シングテル、スターハブ及びM1の移動体通信3大事業者によるIPTVサービス、メディアコープによるOTT(Over The Top)サービスToggle等により有料放送市場が形成されることとなる。

Ⅴ 運営体

メディアコープ

MediaCorp

Tel. +65 6333 3888
URL https://www.mediacorp.sg/
所在地 1 Stars Avenue 138507, SINGAPORE
幹部 Tham Loke Kheng(最高経営責任者/CEO)
概要

国営放送を前身とする複合メディア企業で、傘下にメディアコープTV、メディアコープTV12、メディアコープ・ニュース、メディアコープ・ラジオ等がある。地上テレビ放送に関しては、独占的な地位を保持している。

電波

Ⅰ 監督機関等

1 監督機関

(1)情報通信省(MCI)

(通信/Ⅰ-1の項参照)

(2)情報通信メディア開発庁(IMDA)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

所掌事務

周波数政策の施行は、競争・基盤開発局(Competition and Enabling Infrastructure Development Wing)下の政策・競争部(Policy and Competition Development)の資源管理・標準課(Resource Management and Standards)が担当し、国際及び地域的な周波数使用の計画並びに協調、国内の周波数割当及び管理、電波干渉の監視及び解決等を行う。

2 標準化機関

エンタープライズ庁

Enterprise Singapore

Tel. / Fax +65 6898 1800
URL https://www.enterprisesg.gov.sg/
所在地 230 Victoria Street, Level 10, Bugis Junction Office Tower, Singapore 188024
幹部 Peter Ong(委員長/Chairman)
所掌事務

国際エンタープライズ庁(International Enterprise Singapore)及び規格生産性・革新庁(SPRING Singapore)が統合し、エンタープライズ庁(Enterprise Singapore)が2018年4月1日に新たに発足した。同庁が国家標準化機関及び認定機関としての役割を担う。

Ⅱ 電波監理政策の動向

1 電波監理政策の概要

IMDAは、電波監理上の責任を有し、国際、地域、地域圏での周波数利用の計画・調整、国内での周波数割当、電波干渉の監視と解決を行う。国際レベルではITUの世界無線通信会議(World Radiocommunication Conference:WRC)、アジア・太平洋地域ではアジア・太平洋電気通信共同体(APT)で決定される枠組みに従い、また、マレーシア及びブルネイとの3か国間で定期的に会合を持ち、周波数の調整について協議を行っている。この会議は、シンガポール・マレーシア・ブルネイ周波数割当委員会(Frequency Assignment Committee, Singapore, Malaysia and Brunei Darussalam:FACSMAB)と呼ばれる。更にインドネシアとの間では、インドネシア・シンガポール技術調整委員会(Indonesia Singapore Technical Coordination Committee:ISTCC)が国境周辺の周波数調整及び干渉について検討する。

周波数管理政策の詳細は、IMDAが作成する「周波数管理手引書2019年9月版(Spectrum Management Handbook, Issue 1 Rev 2.11-September 2019)」に記述されているほか、産業界や関連団体に電波監理政策や近い将来の周波数配分及び再分配、無線通信技術動向を周知するために、「周波数基本計画2014年8月版(Radio Spectrum Master Plan(IDA RSMP, Version 2.7, August 2014)」が作成されている。2020年1月現在、本基本計画はIMDAにより更新作業中である。

周波数の割当てには、比較審査方式と、オークション等による周波数の有効利用を目的とした市場ベースの割当方式の両者が採用されている。IMDAは新たに、700MHz帯、800MHz帯、900MHz帯、1.4GHz帯、2.3GHz帯、2.5GHz帯等の周波数帯を、4GやLTE-Advanced等のモバイル・ブロードバンド・サービス用途として割り当てるため、公開諮問を2014年4月に開始、第2次公開諮問文書が2015年7月7日に発表され、新たに割当てが可能な周波数帯が示された。

モバイル・サービス(4G及びIMT-Advanced)に割当可能な新たな周波数帯
帯域 現行割当 割当可能帯域幅 利用可能時期等
700MHz 地上テレビ放送 90MHz 2018年1月1日
800MHz トランクド無線、短距離無線 未定 未定
900MHz 2G、3G、4G 60MHz(EGSMバンドの5MHz幅×2含む) 2017年4月1日
1.4GHz デジタル音声放送 40MHz 未定
1.9/2.1GHz 3G、4G 135MHz(TDDバンド含む) 2022年1月
2.3GHz 試験用 30MHz 試験利用が可能
2.5GHz 一部WBA/4Gに割当て、一部試験用 45MHz
3.5GHz 固定衛星業務(下り回線) 200MHz 未定

出所:https://www.imda.gov.sg/~/media/imda/files/inner/pcdg/consultations/20150707_secondpublicconsultation/consultation.pdf

2 周波数オークション

IMDAは2016年11月、新規参入周波数オークション(New Entrant Spectrum Auction:NESA)を実施し、オーストラリアを本拠地とする通信事業者TPGテレコムが、オークション対象である900MHz帯20MHz幅及び2.3GHz帯40MHz幅を落札し、国内第4の移動体通信事業者となることを発表した。同社の免許は2017年4月から発効し、18か月以内に屋外で、30か月以内に屋内及び道路トンネルで、54か月で地下鉄路線全域において、4Gサービスを提供することが義務付けられている。

オークションの第2段階として、IMDAは2017年4月、既存事業者であるシングテル、スターハブ、M1も入札可能な一般周波数オークション(General Spectrum Auction:GSA)を実施し、総計175MHzをシングテル、スターハブ、M1及びTPGテレコムの4事業者に割り当てたことを発表した。落札額は総額11億4,500万SGDであった。IMDAは700MHz帯については2018年初頭から、900MHz及び2.5GHz帯については2017年7月からサービスを開始することを各社に求めている。事業者別にみると、シングテルには700MHz帯が10MHz幅×4、900MHz帯が10MHz幅×2、2.5GHz帯が5MHz幅×3の総計75MHz、スターハブには700MHz幅帯が10MHz幅×3、900MHz帯が10MHz、2.5GHz帯が5MHz幅×4の総計60MHz、M1には700MHz帯が10MHz幅×2、900MHz帯が10MHzの総計30MHz、TPGテレコムには2.5GHz帯が5MHz幅×2の計10MHzが割り当てられている。

3 ホワイトスペース

IMDAは、2014年11月から、VHF/UHF帯から合計186MHz幅のテレビ・ホワイトスペース(TV White Spaces:TVWS)を利用可能とする規制枠組を導入する方針を2014年6月に発表した。新たな規則には、TVWS設備の技術的条件、TVWS向け周波数チャンネル、また、同周波数を活用したサービスに対するビジネス面での保証等に関する内容が盛り込まれている。

TVWSを使用するには、テレビ放送への干渉を回避するために地理位置データベース(Geo-location Database)の利用が義務付けられる。このデータベースを管理・運用するサービスを提供する者はSBO(Service-Based Operator(Individual))個別免許を取得する必要がある。2019年5月現在、Network Genetics、スターハブ、DNNA Solutionの3社に免許付与されている。IMDAは、TVWSの利用を促進するため、SBO免許の最初の2年間の免許料を免除している。TVWSの周波数の使用は、技術規則に従っていることを条件に、Wi-Fi等と同様に、免許不要となっている。また、TVWSを使用する機器の製造メーカーには、携帯端末メーカー等と同様に、一般機器登録(GER)手続に従い、TVWS機器の登録が義務付けられる。

4 無人航空機システム(UAS)

無人航空機システム(Unmanned Aircraft Systems:UAS)には制御又はペイロードの通信を目的とした短距離デバイス(Short Range Device:SRD)等の無線デバイスが含まれる。UASデバイスは、433.05-434.79MHz帯、2.4000-2.4835GHz帯及び5.725-5.850GHz帯での運用が可能で、電力制限の順守や、IMDAに機器登録されていることが求められる。また、シンガポール民間航空局(Civil Aviation Authority of Singapore:CAAS)が規定するUAS運用規則や、個人データ保護委員会(PDPC)の勧告ガイドラインに従う必要がある。

5 5Gトライアル向け周波数

IMDAは5Gの技術及びサービスのトライアルを促進するため、2019年12月末まで電波利用料を免除している。トライアルには技術トライアル(Technical Trial:TT)と市場トライアル(Market Trial:MT)があり、前者は機器試験やR&Dを実施する一方、後者は商用化されていない新たな技術、サービス、製品の商用可能性を評価するためのもので、トライアル・サービスの参加者に課金することが可能である。5Gトライアルで電波利用料が免除される帯域は以下のとおりである。

1-6GHz:1427-1518MHz、3400-3600MHz

6GHz以上:24.25-27.5GHz、27.5-29.5GHz、31.8-33.4GHz、37-40.5GHz、40.5-42.5GHz、42.5-43.5GHz、45.5-47GHz、47-47.2GHz、47.2-50.2GHz、50.4-52.6GHz、66-76GHz、81-86GHz

Ⅲ 周波数分配状況

・周波数分配表(チャート)URL:https://www.imda.gov.sg/-/media/Imda/Files/Regulation-Licensing-and-Consultations/Frameworks-and-Policies/Spectrum-Management-and-Coordination/SpectrumChart.pdf