スリランカ民主社会主義共和国(Democratic Socialist Republic of Sri Lanka)

通信

Ⅰ 監督機関等

1 デジタル経済省

Ministry of Digital Economy

Tel. +94 112 334575
URL https://mot.gov.lk/
所在地 Level 11, Unit No 1101, One Galle Face Tower, No 1 A, Centre Road, Galle Face, Colombo 02, SRI LANKA
幹部 Anura Kumara Dissanayak(大臣/Minister)
所掌事務

2015年9月に電気通信・デジタルインフラ省として設立。その後、組織改編を繰り返し、2024年11月に新たに大統領の所掌下にデジタル経済省が設立された。所掌事項は、電気通信、デジタルインフラの構築やこれらの活用に関する政策策定、電気通信規制委員会(Telecommunications Regulatory Commission of Sri Lanka:TRCSL)、政府系企業ICTA(Information and Communication Technology Agency)、スリランカ・コンピュータ緊急対応チーム(Sri Lanka Computer Emergency Readiness Team:SLCERT)の監督等である。

2 電気通信規制委員会(TRCSL)

Telecommunications Regulatory Commission of Sri Lanka

Tel. +94 11 2689345
URL https://www.trc.gov.lk/
所在地 No. 276, Elvitigala Mawatha, Colombo 08, WP, SRI LANKA
幹部

Waruna Sri Dhanapala(委員長/Chairman)

Bandula Herath(総局長/Director General)

所掌事務

「1991年電気通信法」の改正法である「1996年改正電気通信法」に基づいて設立された電気通信規制機関。委員長(Chairman)、総局長(Director General)、その他金融・法律等の分野から民間の委員が3名、計5名で構成される。

Ⅱ 法令

1991年電気通信法(Sri Lanka Telecommunications Act No.25 of 1991

1991年7月に施行された通信分野の基本法令である。1996年改正では電気通信サービスの規制緩和と市場競争の導入が図られた。また2024年6月の改正では、タワー会社等の設備専業事業者等を対象にできる新種の事業免許分類が導入された。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

「1991年電気通信法」第5条及び第17条に基づき、「電気通信システム免許」が付与されてきたが、同法の2024年改正により、第17B条に基づき、新たな免許分類として、設備事業者免許である「インフラサービス免許(Infrastructure Service License)」、サービス事業者免許である「電気通信サービス免許(Telecommunication Services License)」、海底ケーブルのセキュリティ確保を目的とした「海底ケーブル陸揚基地設備免許(Cable Landing Station Facilities License)」の3種が規定された。

2 競争促進政策

「1991年電気通信法」が施行されるに伴い、新設されたスリランカ電気通信公社(Sri Lanka Telecommunications Corporation)にそれまで政府が一元的に実施していた事業運営を移管し、事業部門と規制部門が分離された。同公社は1996年に政府完全所有の株式会社スリランカ・テレコム(Sri Lanka Telecom:SLT、ブランド名:SLTモビテル(SLTMobitel))に移行、2025年6月現在では、スリランカ政府(財務省)が50.23%、グローバル・テレコミュニケーションズ・ホールディングス(Global Telecommunication Holdings(オランダ本拠))が44.98%の株式を保有している。

3 ICT政策

(1)デジタル戦略

スリランカ政府は2024年4月、「国家デジタル経済戦略2030」を発表した。同戦略は、デジタル経済の国内総生産への寄与が全体の5%未満である現状から、2030年までに150億USD相当の寄与を実現することを目標としている。

同戦略は、六つの重点分野として、①インフラ接続性、②スキルと雇用、③デジタル政府、④サイバーセキュリティ、⑤デジタル金融サービス、⑥各産業部門及び中小企業のデジタル化、に焦点を合わせている。

同戦略に基づく施策は段階的に行われ、最初の2年間は基盤整備に重点を置く。官民協力の下、5Gネットワークの展開、デジタルID制度の導入、サイバーセキュリティ法制の強化、デジタルスキル習熟機会の拡大等の施策が計画されている。

(2)AI

スリランカ政府は2024年8月、「AI国家戦略2028(AI Sri Lanka 2028 - National Strategy on AI)」を承認した。この戦略は、AIの責任ある開発と利用を加速し、技術革新や社会包摂、持続可能な成長に焦点を当てたデジタル社会の創造に注力する。

政府は2024年度の国家予算で、同戦略に10億LKRを計上し、国連開発計画(UNDP)と協力して資金提供を行う。国家AIセンター(National Center for Artificial Intelligence:NCAI)がこの戦略を主導し、技能開発、インフラの増強、イノベーションの促進、教育と啓発、法整備等の施策を実施することで、公共部門と中小企業でのAI導入を推進する。この戦略は2028年まで継続実施され、スリランカが2025年までに南アジア地域におけるAIリーダーの地位を確立することを目指している。

(3)サイバーセキュリティ

スリランカ政府は2025年7月、第2次国家サイバーセキュリティ戦略「National Cyber Security Strategy 2025–2029」を承認した。本戦略は、進化するサイバー脅威への対応力を高め、国家全体のデジタル防衛体制を強化することを目的としている。SLCERTが世界銀行の支援を受けて策定したもので、法制度改革、人材育成、レジリエンス強化、インシデント対応、国内外の協力体制の強化等、六つの重点分野を柱としている。

特に、データ窃盗やランサムウェア、デジタルスパイ行為といった新たなサイバー犯罪への対策や、法制度の迅速な見直しが重視されている。また、政府機関間の連携強化や官民パートナーシップの推進を通じて、より実効的なサイバー防衛網の構築を図る方針だ。

第1次戦略(2018~2023年)では、サイバー犯罪対策の基盤整備や公共機関を中心とした意識啓発が進められた。これに対し、新戦略ではデジタル金融やAI、クラウド技術、地政学的リスク等、現代の複雑化するサイバー環境を踏まえた課題にも対応している。更に、軍や情報機関による管理ではなく、民間のデジタル空間の保護を重視し、透明性と国民の信頼確保を目指す点も特徴である。

Ⅳ 関連技術の動向

基準認証制度

「1991年電気通信法」第5条により、TRCSLに通信機器の基準認証に関する権限が与えられている。電気通信設備に接続する端末機器の認定試験はTRCSLの技術部が実施しているが、国防に影響がある場合等は国防省と協議を行う。基準認証の対象となる端末は電話機器、ファックス、PABX、モデム、コードレス電話のほか、免許を付与されたネットワークに接続される、その他すべての顧客宅内装置(Customer Premises Equipment:CPE)となっている。なお、輸入される電気通信機器はTRCSLの認証が必要で、輸入業者はベンダ免許の取得が必要となる。

Ⅴ 事業の現状

1 固定電話

SLTモビテル、ダイアログ・アシアタ(Dialog Axiata)の2社がサービスを提供している。最大手SLTモビテルが90%以上の市場シェアを有する。国際通信市場では、2002年までSLTモビテルが独占を維持していたが、2003年に新規参入が容認されている。PSTN回線が大多数を占めている。

2 移動体通信

移動体通信市場にはダイアログ・アシアタ、SLTモビテル及びハチソン・テレコム・ランカ(Hutchison Telecom Lanka)の計3社が参入している。2024年8月にバルティ・エアテル・ランカ(Bharti Airtel Lanka)とダイアログ・アシアタが合併を完了し、両社は経営を統合した。

5Gについては、ダイアログ・アシアタが2021年10月よりNSA方式でのトライアルサービスを開始、SA方式についても2022年3月よりトライアルサービスを開始している。SLTモビテルも2022年6月より国内5都市でNSA方式、2025年1月より最大都市コロンボでSA方式によるトライアルサービスを開始している。

3 インターネット

固定ブロードバンド市場では2022年よりダイアログ・アシアタが最大事業者である。2025年6月現在の市場シェアは、ダイアログ・アシアタが5割強、SLTが4割弱である。接続方式別のシェアは2022年現在で、DSLが1割弱、FTTxが約2割、TD-LTEによる固定無線ブロードバンド等のその他の接続方式が約7割を占めている。

Ⅵ 運営体

1 スリランカ・テレコム(SLT)

Sri Lanka Telecom

Tel. +94 11 202 1000
URL https://www.slt.lk/
所在地 Lotus RD, P.O. Box 503, Colombo 1, SRI LANKA
幹部 Mothilal de Silva(会長兼社長/Chairman and Director )
概要

1991年に公社として設立された。1996年に民営化、1997年に株式が市場開放された。固定電話、データ通信、IPTV放送のほか、子会社を通じて、移動体通信等を提供している。持株会社の名称は従来どおりであるが、2021年1月より統一ブランド名としてSLTモビテルを称している。

2 ダイアログ・アシアタ

Dialog Axiata

Tel. +94 777 678 700
URL https://www.dialog.lk/
所在地 475, Union Place, Colombo 02, SRI LANKA
幹部 Supun Weerasinghe(社長/Group Chief Executive)
概要

1995年に設立されたマレーシアのアシアタ(Axiata)の子会社であり、移動体通信市場の最大事業者である。移動体通信以外に、固定電話、インターネット接続、衛星移動体通信、直接衛星放送(DTH)の各サービスを提供している。

2024年4月に、バルティ・エアテル・ランカの発行済み株式の100%を取得し、同年8月に事業統合を完了している(ただし、エアテルというブランド名での事業は継続している)。

放送

Ⅰ 監督機関等

マスメディア省

Ministry of Mass Media

Tel. / Fax +94 011 2513 459
URL https://www.media.gov.lk/
所在地 163, Asi Disi Medura, Kirulapone Mawatha, Polhengoda, Colombo 05, SRI LANKA
幹部

Nalinda Jayatissa(保健・メディア省大臣/Minister)

Kaushalya Ariyarathna(メディア省副大臣/Deputy Minister)

所掌事務

主な所掌事務は以下のとおりである。

Ⅱ 法令

放送事業に関する包括的な法令はない。公共テレビ放送のスリランカテレビ放送協会(Sri Lanka Rupavahini Corporation:SLRC)に関しては「1982年スリランカテレビ放送協会法(Sri Lanka Rupavahini Corporation Act, 1982)」が、公共ラジオ放送であるスリランカ放送協会(Sri Lanka Broadcasting Corporation:SLBC)に関しては「1966年セイロン放送協会法(Ceylon Broadcasting Corporation Act, 1966)」及び「1996年スリランカ放送協会法(Sri Lanka Broadcasting Corporation Act, 1996)」がある。

Ⅲ 政策動向

地上デジタル放送

政府は、2014年5月に日本方式であるISDB-T方式を採用することを正式決定した。地上デジタル放送への完全移行の費用は日本の国際協力機構(Japan International Cooperation Agency:JICA)からの総額137億1,700万円の円借款貸付、及びスリランカ政府による約40億LKRの支出によって賄われることになる。マスメディア省は、2023年までに最大都市コロンボを含む西部州において16基のテレビ等を設置、2025年までに全土で地上デジタル放送を開始することを発表したが、遅延している。また、2025年4月に「地上テレビ放送デジタル化計画」の詳細設計に関するコンサルタント契約がマスメディア省と日本企業の八千代エンジニヤリングとの間で締結された。

Ⅳ 事業の現状

1 ラジオ

SLBCがFM、AM、短波放送を実施している。2012年11月にTRCSLがFMラジオ放送への周波数割当を変更したことにより、国内のラジオ放送は概ねFM放送となっている。商業放送も含め、全国で約20の事業者がFM放送を実施している。

2 テレビ

SLRCの3チャンネルとIndependent Television Network(ITN)の2チャンネルの2種類の公共放送がある。SLRC以外の事業者は、首都圏を中心にテレビ放送を実施している。代表的な民間事業者としてはHiru TV、MTV Channel、TV Derana、Swarnavahiniが挙げられる。なお、地上デジタル放送開始後に廃止が予定されているアナログ放送の免許発行手続を一時停止とする決定が2025年11月に閣議で承認された。

3 衛星放送・ケーブルテレビ

衛星放送は移動体通信事業者ダイアログ・アシアタ傘下のダイアログTV(Dialog TV)が最大手である。ケーブルテレビは2020年8月現在で6社に免許付与されており、Lanka Broadband Networks(LBN)、City Cableが主要事業者である。ケーブルテレビのカバレッジは最大都市コロンボ等に限定されているため、衛星放送よりも市場規模が小さい。

Ⅴ 運営体

スリランカテレビ放送協会(SLRC)

Sri Lanka Rupavahini Corporation

Tel. +94 112 599 506
URL http://www.rupavahini.lk/
所在地 Independance Square, Colombo 07, SRI LANKA
幹部 Manoja Nadeeshana Amarasingha(社長代行/Acting Director General)
概要

日本の無償資金協力により設立され、1982年に放送開始。シンハラ語、タミル語、英語の3言語による計3系統での全国放送を実施している。受信料制度が2000年に廃止されたため、現在は収入源の大部分が広告料収入である。

電波

Ⅰ 監督機関等

電気通信規制委員会(TRCSL)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

所掌事務

「1996年改正電気通信法」に基づき、TRCSLが、周波数利用の免許付与、電波放射機器の基準認証、電波監視等の電波監理について所掌している。

Ⅱ 電波監理政策の動向

1 電波監理政策の概要

TRCSLは周波数管理についてのすべての権限を有するほか、国際電気通信連合(ITU)等関連組織との交渉を行う唯一の機関である。なお、2006年2月に、スリランカの電波監理及び周波数の有効利用について専門的に検討するための電波監理審議会が、TRCSL内に設立されている。また、TRCSLは、周波数計画を策定し、無線通信の利用及び無線通信機器への周波数の割当てを行っている。

2 周波数免許

TRCSLは周波数免許を以下のとおり、指定している。免許期間は通常1年間と設定されている。

3 周波数オークション

TRCSLは、2025年10月に5G用周波数割当計画を公表し、3.5GHz帯(3400-3600MHz)及び27GHz帯(27000-27400MHz)を対象帯域とした。割当方式はオークションを採用し、市場ベースの透明性、周波数活用の効率性、競争促進、サービス普及、周波数価格の最適化を確保するとした。落札事業者には、周波数取得後5年間で、市評議会(Municipal Councils)の80%、都市評議会(Urban Councils)の60%、地方評議会(Pradeshiya Saba)の30%をカバーすることが義務付けられ、そのほか、目標値として、2028年までに人口カバレッジ60%を達成することも勧告されている。2025年12月にオークションが実施され、3.5GHz帯はダイアログ・アシアタ、SLTモビテルの2事業者、27GHz帯はダイアログ・アシアタが落札した。

Ⅲ 周波数分配状況

周波数分配表は、TRCSLウェブサイトの以下のURLからアクセス可能である。