トルコ共和国 (Republic of Turkey)

通信

Ⅰ 監督機関等

1 運輸・インフラ省

Ministry of Transport and Infrastructure

Tel. +90 312 203 1000
URL https://www.uab.gov.tr/
所在地 Hakkı Turayliç Caddesi No:5, 06338 Emek/Ankara, TURKEY
幹部 Bakan Mehmet Cahit Turhan(大臣/Minister)
所掌事務

通信総局(Directorate General of Communications)が電気通信関連戦略の策定、電気通信産業の振興政策及びユニバーサル・サービス関連政策等を所掌する。かつて所掌していた自然災害等の危機管理への対応は、内務省災害緊急事態対策庁(Disaster and Emergency Management Authority:AFAD)が一元的に所掌している。

2 情報通信技術庁(ICTA)

Information and Communication Technologies Authority

Tel. +90 312 294 7200
URL https://www.btk.gov.tr/
所在地 Eskişehir Yolu 10.Km No:276, 06530 Çankaya/Ankara, TURKEY
幹部 Ömer Abdullah Karagözoğlu(委員長/Board Chairman)
所掌事務

2000年1月に設立された電気通信庁(Telecommunication Authority:TA)を母体とする。「2008年電子通信法(Electronic Communications Law of 2008)」により、TAに代わる独立規制機関として改組された。免許の許可、競争政策における規則の策定、市場分析、市場において顕著な支配力を有する(Significant Market Power:SMP)事業者の決定、番号資源の割当て等を所掌している。最高意思決定機関はICT委員会(ICT Board)で、議長並びに関係省庁と事業者から選出される5名の委員(5年任期)で構成されている。運営基金は、電波利用料等の事業者からの収入により、独立採算で賄われる。

Ⅱ 法令

1 2008年電子通信法(Electronic Communications Law of 2008

「2000年電気通信法(Telecommunications Law of 2000)」及びその他の法令を置き換える形で2008年8月に採択され、11月に施行された。2002年に施行された欧州連合(European Union : EU)の規制枠組「電子通信規制パッケージ(Electronic Communications Regulatory Package)」に順ずる法枠組を導入し、独立規制機関として情報通信技術庁(ICTA)の設立を規定している。

2 1983年無線通信法(Wireless Law of 1983

電波分野における基本法令は「1983年無線通信法」で、「2008年電子通信法」に合わせて改正されている。一般規則として、無線機器の設置と運用に関する許認可と監理の遂行主体及びその責任、周波数計画の策定、標準規格順守、緊急通信の優先、不法電波の監視及び防止等の項目が盛り込まれている。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

「2008年電子通信法」に基づき、2009年5月より一般許可制(general authorisation)がとられている。電気通信事業を開始する際にはICTAに申請し、許可を得る必要がある。電話番号や周波数といった資源の割当てが必要な場合には、ICTAより利用権を得る必要がある。

2 競争促進政策

(1)自由化

「2000年電気通信法」によって、固定電話サービスを除く電気通信分野の自由化が図られた。固定電話については、同法で独占的固定電話サービス提供事業者のトルコ・テレコム(Türk Telekom)を株式会社形態の免許事業者に改組し、2004年より自由化している。また、自由化に合わせてICTAの前身であるTAが設立された。

(2)民営化

「2001年電気通信法(Telecommunications Law of 2001)」に基づき、2002年よりトルコ・テレコムの民営化計画が進められた。2005年にサウジアラビア、レバノン系の合弁事業者Oger Telecomが同社株式の55%を総額65億USDで落札し、残りの政府保有株45%のうち15%については2008年より上場された。その後、債務問題が発生したため、トルコ・テレコムの債権銀行がICTAと国庫・財務省(Ministry of Treasury and Finance)の承認を得て2018年12月にOger Telecomからトルコ・テレコム株式55%を買収している。

(3)料金規制

電気通信サービス分野の料金規制の基本枠組は「料金令(Tariff Ordinance)」に示されている。ICTAはSMP事業者あるいは法的/事実上の独占事業者の料金の承認及び監査を行う。

(4)相互接続規制

「2008年電子通信法」第15条によって、電気通信事業者の相互接続義務が定められている。相互接続の必要性についてはICTAが判断する。SMP事業者には接続義務が課せられており、相互接続約款(Reference Interconnection Offer:RIO)をICTAに毎年提出しなければならない。

SMP事業者は、固定通信市場ではトルコ・テレコムが、移動体通信市場ではTurkcellがそれぞれ指定されている。ICTAは2017年4月に1年間の移行期間を経てTurkcellをその対象から外す見込みであることを発表したが、移行期間が2度にわたって延長されたため、Turkcellは2019年12月31日まで既存のSMP義務を履行することになった。

(5)卸売提供制度とMVNO促進政策

「2008年電子通信法」第5条が仮想ネットワーク・サービスへのアクセスについて規定しており、これが実質的なMVNO規制となっている。MVNOは2009年第2四半期から許可されたが、2019年5月現在、MVNO事業を展開している事業者はほとんど存在しない。

(6)移動電話番号ポータビリティ

2007年に番号ポータビリティに関する政令が公布され、2008年にEUの「ユニバーサル・サービス指令(2002/22/EC)」を参照した移動電話番号ポータビリティ(Mobile Number Portability:MNP)制度が導入された。2015年12月には、それまで6日間としていた番号移行の所要期間を2日間に短縮することが決定した。

3 情報通信基盤整備政策

(1)ユニバーサル・サービス

2005年に施行された「ユニバーサル・サービスの提供に関する法律(Law on Provision of Universal Services and Amendments to Certain Laws)」に基づき、純費用は既存事業者がユニバーサル・サービスを提供しない場合と提供する場合の差額を基に算出される。適用範囲は、固定電話サービス、公衆電話サービス、印刷物あるいは電子データによる電話帳サービス、緊急通話サービス、基本的インターネット・サービス、デジタル放送サービスである。基本的インターネット・サービスには移動体通信も活用される。

2013年にTurkcellが3年間にわたるユニバーサル・サービス提供義務の一環として、農村部や条件不利地域に移動体通信網を提供する契約を運輸・インフラ省と締結したが、2017年からはトルコ・テレコムの移動体通信部門であるTT Mobil(当時Avea)と英国ボーダフォン・グループのボーダフォン・トルコ(Vodafone Turkey)が合弁会社を設立し、ユニバーサル・サービス基金(Universal Service Fund)を用いながら移動体通信網を敷設している。

(2)5G

5G以降の移動体通信技術に関するロードマップを作成することを目的に、運輸・インフラ省とICTAが2016年4月に「トルコ5Gフォーラム(Turkish 5G forum:5GTR)」を創設した。5GTRには政府機関や企業、大学等が参加しており、次世代技術やサービスの開発が進められている。2020年内の5Gサービス提供開始が目指されており、ICTAは2019年2月、Turkcell、ボーダフォン・トルコ、TT Mobilがイスタンブール、イズミル、アンカラの3都市で5G試験を実施することを承認した。

Ⅳ 関連技術の動向

基準認証制度

「無線・電気通信端末に関する規制(Regulation on Radio and Telecommunications Terminal Equipment)」第7条で、EUが制定する技術基準と国内基準を調和させることを規定している。通信規制機関が民間の認証機関を承認する。また、無線及び電気通信端末機器のCEマークの取得が義務付けられている。

Ⅴ 事業の現状

1 固定電話

移動電話の普及に伴う「固定電話離れ」によって加入数は2002年から減少傾向にあったが、2016年から微増に転じている。

2004年1月の市場の自由化により、トルコ・テレコムの独占が終了し、新規事業者が参入した。現在は、トルコ・テレコムのほか、TurkNet、Millenicom Turkey、IsNet等が地域、長距離、国際通話の免許を保有し、サービスを提供している。ただし、市場は依然としてトルコ・テレコムの独占状態にある。

VoIPは2009年から国内通話サービスの提供が行われており、主な事業者としてトルコ・テレコムや国営の衛星・ケーブル事業者Türksat 等が挙げられる。

2 移動体通信

Turkcell、ボーダフォン・トルコ、TT Mobilによる3社体制が続いている。2019年6月現在、先行事業者であるTurkcellの市場シェアが最大で、ボーダフォン・トルコとTT Mobilがその後に続く。

LTEサービスについては、ICTAが2015年に周波数オークションを開催し、Turkcell、ボーダフォン・トルコ、TT Mobilが落札した。3社とも2016年4月1日にサービスを開始した。ICTAは落札事業者に対して、今後8年以内にLTE受信可能範囲を全人口の95%以上にすること、及び今後3年以内に1km以上のトンネル区間(高速道路及び高速鉄道)でサービス提供することを求めている。

LTEの展開においては、国産製品の利用を拡大させるため、運輸・インフラ省が国防産業局(Presidency of Defence Industries:SSB)と協力し、基地局をはじめとした関連機器の研究開発を実施中である。

3 インターネット

トルコ・テレコム傘下のTTNetがADSL、ADSL2+、VDSL2、FTTx、WiMAX等のサービスを提供しており、ブロードバンド市場シェアの過半数を占めている。次点は、Turkcellが株式の100%を保有するTurkcell Superonlineで、その後にTürksatが提供するケーブルモデム・サービスやボーダフォン・トルコが続く。

2016年7月には、市場シェア2番手以降の事業者等が固定ブロードバンド基盤への効率的な投資を目的としたジョイント・ベンチャー企業の設立計画を発表したが、2019年10月現在、状況に進展は見られていない。

4 IPTV

IPTVはTTNetが2008年から開始しているほか、Turkcell Superonlineもサービスを提供している。2018年現在、TTNetの加入件数は63万件で、Turkcell Superonlineの加入件数は53万件である。

Ⅵ 運営体等

1 トルコ・テレコム

Türk Telekom

Tel. +90 444 1 444
URL https://www.turktelekom.com.tr/
所在地 Özal Bulvarı, 06103 Aydınlıkevler/Ankara, TURKEY
幹部 Ömer Fatih Sayani(会長/Chairman)
概要

旧国営の電気通信事業者であり、2000年1月に株式会社化、2005年7月に民営化された。電気通信の全分野にわたって事業を行い、自社ネットワークを通じてケーブルテレビ事業者に接続サービスを提供している基幹電気通信事業者である。

2 Turkcell

Tel. +90 212 313 1000
URL https://www.turkcell.com.tr/
所在地 Aydınevler Mahallesi İnönü Caddesi No:20 Küçükyalı OfisPark B Blok, 34854 Maltepe/Istanbul, TURKEY
幹部 Ahmet Akça(会長/Chairman)
概要

1994年にトルコで最初のGSM事業者としてサービスを開始した。持株会社であるTurkcell Holdingsが株式の51%を所有しており、残りはイスタンブール株式市場とニューヨーク株式市場で流通している。なお、スウェーデンに本拠を置く電気通信事業者テリア(Telia Company AB)がTurkcell Holdingsを通じて、Turkcell株式の24%を間接所有している。

放送

Ⅰ 監督機関等

1 大統領府通信局

Presidency of the Republic of Turkey, Directorate of Communications

Tel. +90 312 583 6000
URL https://www.iletisim.gov.tr/
所在地 Ceyhun Atuf Kansu Caddesi No:122 Balgat, 06520 Çankaya/Ankara, TURKEY
幹部 Fahrettin Altun(局長/Communications Director)
所掌事務

2018年7月9日付の官報で発表された政令「Decree No. 703」により、プレス・情報局(Directorate General of Press and Information)から通信局(Directorate of Communications)に改称した。国内外メディアとの関係の構築及び維持を行い、メディアの事業環境及び事業活動を向上させるための効果的諸手段を実施するほか、国営放送局TRTを監督する。

2 情報通信技術庁(ICTA)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

所掌事務

放送免許の認可や放送市場における競争政策に関する規則の策定、市場分析等を所掌する。

3 ラジオ・テレビ最高評議会(RTÜK)

Radio and Television Supreme Council

Tel. +90 312 297 5000
URL https://www.rtuk.gov.tr/
所在地 Üniversiteler Mah. 1597. Cad. No:13 Bilkent, 06800 Çankaya/Ankara, TURKEY
幹部 Ebubekir Şahin(議長/President)
所掌事務

「1994年ラジオ・テレビ会社及び放送設立法(Law on the Establishment of Radio and Television Enterprises and Their Broadcasts)」に基づき、1994年に設立された。周波数の割当て及び商業放送事業者の認可・規制監督等を所掌する。評議会は議会により選出される9名で構成されており、任期は6年である。議長及び副議長は評議会メンバー自身により選ばれ、任期は2年である。

Ⅱ 法令

基本法令は「2011年ラジオ・テレビ会社及びメディアサービス設立法(Law on the Establishment of Radio and Television Enterprises and Their Media Services、通称:トルコ放送法)である。2002年以降、規制の基準をEU基準に合わせる目的で「1994年ラジオ・テレビ会社及び放送設立法」に幾度かの改正が加えられ、2011年3月に現行法となった。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

RTÜKが地上放送事業や有料放送事業の実施にかかわる免許を付与する。一部事業者については外資比率が最大50%まで認可されている。2017年には、政令「Decree No. 680」に基づいてトルコ放送法に放送免許剥奪条件が追記された。

2019年8月に「インターネット上のラジオ、テレビ、及びオプション放送に関する規制(Regulation on the Presentation of Radio, Television and Optional Broadcasts on the Internet)」が発効したことで、オンライン上で音声・映像コンテンツを配信する事業者も、国内事業者と海外事業者とにかかわらず、RTÜKから免許を取得しなければならなくなった。規制やガイドラインに準拠しない事業者には、罰金が科されたり免許停止処分が下されたりする可能性がある。

2 コンテンツ規制

RTÜKは放送コンテンツの監視権限を有しており、テロリズム、暴力あるいは公序良俗に反する番組を提供する放送局に対して、放送停止処分を行うことができる。

2016年7月のクーデター未遂事件を契機に報道の自由に対する政治圧力が強化され、反政府メディアへの弾圧が加速している。2016年7月末までに、テレビ30局、ラジオ32局が閉鎖された。

3 地上デジタル放送

2007年にテレビ放送事業者の共同出資による送信会社Anten ASが設立され、DTB-T方式での地上デジタル放送網の構築が目指されている。地上デジタル放送を推進する電気通信高等評議会(Telecommunication Higher Council)とRTÜKは2015年のアナログ放送終了を予定していたが、いまだ終了していない(2018年末時点)。

Ⅳ 事業の現状

1 ラジオ

2018年末現在、全国ネットワーク局は国営・商業放送合わせて35局あり、複数都市に放送を提供する地域局は82局、1都市で放送する地方局は803局ある。

トルコ放送協会(TRT)は全国向けのRadyo 1(AM・総合)、TRT FM(FM・ニュース、音楽)、Radyo 3(AM・ニュース、音楽)、TRT Nağme(古典音楽)、TRT Türkü(民族音楽)、TRT Memleketim FM(トルコ音楽)、TRT Radyo Haber(ニュース)の7系統以外に、国内東南部向けにRadyo Kurdi(クルド語)も放送している。地方局は五つある。

国際放送はTRTが短波、インターネット、衛星を用いて、35か国語でTSR(Türkiye’nin Sesi Radyosu)を放送している。

2 テレビ

TRTは、TRT 1(総合編成)、TRT HABER(ニュース)、TRT SPOR(スポーツ)、TRT ÇOCUK(子ども向け・教育)、 TRT Kurdî(クルド系住民向け)を放送しており、2015年にはTürksatや電機メーカー大手Vestelと共に4K放送を開始している。

商業放送は、1990年に設立したStar TVが同国初である。1990年代にShow TV、Kanal D、atv、TGRT(現FOX TV)等が開局し、これらが視聴シェア上位局となっている。上記を含め、2018年末現在、19局が全国放送を、11局が地域ネットワークでの放送をそれぞれ実施している。地方局は180局ある。

3 衛星放送

TRT及び商業地上放送局が衛星による同時放送を提供している。衛星デジタル放送は2000年に開始された。

2019年1月現在、国内外の音楽番組やスポーツ中継を放送するDigi Türkが約246万、2007年に放送を開始したD-Smartが約106万の加入者をそれぞれ抱えている。最近ではFİLBOXやTiviBuが加入数を伸ばしている。

4 ケーブルテレビ

ケーブルテレビは全国24都市をカバーしている。Türksatが基盤管理を行い、子会社のKabolnetがHDTVで放送を行っている。全国81県のうち24県でBBCやCNN等の海外放送も含む178チャンネルを提供している。

Ⅴ 運営体

トルコ放送協会(TRT)

Turkish Radio and Television Corporation

Tel. +90 312 463 4343
URL https://www.trt.net.tr/
所在地 TRT Genel Müdürlüğü Turan Güneş Bulvarı, 06550 OR-AN Çankaya/Ankara, TURKEY
幹部 İbrahim Eren(会長/Director General)
概要

1964年に「トルコ・ラジオ・テレビ法(Turkish Radio and Television Law)」の制定によって設立された国営放送局である。電気料金税、テレビ・ラジオ受信機の売上税、広告収入、政府補助金、国全体のエネルギー関連総収入の2%等を財源としている。

電波

Ⅰ 監督機関等

1 監督機関

(1)運輸・インフラ省

(通信/Ⅰ-1の項参照)

(2)情報通信技術庁(ICTA)

(通信/Ⅰ-2の項参照)

所掌事務

電波監理、衛星位置の割当て等を所掌している。

2 標準化機関

トルコ標準化機構(TSE)

Turkish Standard Institution

Tel. +90 312 416 6200
URL https://www.tse.org.tr/
所在地 Necatibey Cad. No:112, 06100 Bakanlıklar/Ankara, TURKEY
幹部 Prof. Dr. Adem Şahin(総裁/President)
所掌事務

1960年に設立された。産業技術省(Ministry of Industry and Technology)に属し、工業製品全般にかかわる標準の策定及び調査・研究を所掌する。

Ⅱ 電波監理政策の動向

1 電波監理政策の概要

電波監理業務はICTAの所管業務とされており、国家周波数計画の策定、周波数の効率的な分配・割当て、周波数監視等を実施する。

周波数分配は長らく官民の協議によって実施されていたが、「2008年電子通信法」によりEUの規制枠組が取り入れられたことで、ICTAは2009年に「周波数管理令第27276号(Spectrum Regulation, Official Gazette No. 27276)」を発した。これにより、周波数分配を変更する権限がICTAに付与され、周波数分配は国際的な決定に基づいて進められることになった。

ICTAの電波監理業務は、同令第5条において次のとおり規定されている。

2 無線局免許制度

免許不要で利用できる周波数帯を除いて、無線局の運用にはICTAが付与する免許が必要とされる。軍及び国家安全機関への免許付与が優先される。なお、軍用及び放送用の周波数も周波数分配計画に基づいて分配されるが、割当てはICTAでは行わない。

周波数等の使用権利が限られている場合は「電子通信分野における認可に関する入札条例(By-Law on Tenders Concerning Authorization in the Elecotronic Communications Sector)」に従い、入札手続によって免許が付与される。2015年8月には、LTE用周波数の割当てとして、800MHz帯、900MHz帯、1800MHz帯、2.1GHz帯、2.6GHz帯のマルチ周波数オークションが実施され、Turkcell、ボーダフォン・トルコ、TT Mobilの3社が落札した。

3 電波利用料制度

「2008年電子通信法」第46条に基づき、無線通信機器の使用に関して料金が賦課される。

4 電波監視体制

ICTAは全国の7地域に電波監視センターを置き、固定・ポータブル・移動監視装置や方探装置によって、周波数帯域の利用状況のモニタリング、占有バンド幅の測定、不法な電波干渉の測定を実施している。このシステムは「国家モニタリング・システム(Milli Monitör Sistemi:MMS)」と呼ばれている。ただし、同システムを支えるインフラが老朽化していることから、ICTAは軍用無線システムや防衛電子システムの製造を手がけるアセルサン(Aselsan)と提携して「新国家モニタリング・システム(Yeni Milli Monitör Sistemi:Y-MMS)」を実施する計画である。そのほか、周波数の有効利用を図るために監視データを解析する「国家周波数管理システム(Milli Frekans Yönetim Sistemi:MFYS)」も構築されている。

Ⅲ 周波数分配状況