Department for Science, Innovation and Technology
URL | https://www.gov.uk/government/organisations/department-for-science-innovation-and-technology |
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所在地 | 100 Parliament Street,London,SW1A 2BQ,UNITED KINGDOM |
幹部 | Peter Kyle(科学・イノベーション・技術大臣/Secretary of State for Science, Innovation and Technology) Chris Bryant(閣外大臣/Minister of State) |
2023年2月の省庁再編により成立。主な所掌内容は、①英国を世界の科学技術進歩の最前線に位置付けること、②生活を変え、経済成長を維持するためのイノベーションの推進、③経済、安全保障、公共サービスを支える人材育成プログラム、物理的・デジタル・インフラ及び規制の推進、④研究開発資金である。
Home Office
Tel. | +44 20 7035 4848 |
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URL | https://www.gov.uk/government/organisations/home-office/ |
所在地 | 2 Marsham Street, London, SW1P 4DF, UNITED KINGDOM |
幹部 | Yvette Cooper(内務大臣/Secretary of State for the Home Department) Dan Jarvis(閣外大臣/Minister of State/Minister for Security) |
主な所掌分野は、移民管理のほか、犯罪対策、テロ対策、警察業務等である。情報通信関連では、法執行機関等による通信傍受や通信データの取得、オンライン上のセキュリティ、児童に対する性的搾取等に関する取組みを関係省庁と共に担当している。
Cabinet Office
Tel. | +44 20 7276 1234 |
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URL | https://www.gov.uk/government/organisations/cabinet-office/ |
所在地 | 70 Whitehall, London, SW1A 2AS, UNITED KINGDOM |
幹部 | Nick Thomas–Symonds(内閣府大臣/Paymaster General and Minister for the Cabinet Office) |
首相及び内閣の支援等を行うとともに、省庁横断の重要施策についても担当する。現政権においては、情報通信関連では、電子政府、オープンガバメント、サイバーセキュリティ等に関する事務を関係省庁と共に担当している。
Office of Communications
Tel. | +44 20 7981 3000 |
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URL | https://www.ofcom.org.uk/ |
所在地 | Riverside House, 2a Southwark Bridge Road, London, SE1 9HA, UNITED KINGDOM |
幹部 | Melanie Dawes(長官/Chief Executive) Michael Grade(議長/Chair) |
通信・放送の融合を想定し、既存の五つの規制機関(電気通信事業を規制していたOftel、電波監理を行っていたRA、商業テレビ事業を規制していたITC、商業ラジオ事業を規制していたRAu、放送番組内容を審査していたBSC)が統合され、幅広い権限を持つ合議制の新規制機関として2003年12月に設立された。コンテンツ規制から周波数管理、電気通信及び放送事業に対する経済的規制まで所掌するほか、「2003年通信法」の第369条から第372条の規定に基づき、「1998年競争法(Competition Act 1998)」及び「2002年企業法(Enterprise Act 2002)」の適用における権限を持つ。2011年10月1日より、郵便サービスの規制についても、Postcommから移管された。2017年4月よりBBCの外部規制機関としての活動を開始した。「2023年オンライン安全法」に基づきオンライン安全の規制機関となった。
Ofcomには、中心的な統治機能を有し戦略的な方向性を打ち出すOfcom Boardのほかに、Policy and Management Board(Ofcomの経営と規制に関する会議)、Content Board(テレビやラジオの品質を管理)があり、更に各種の委員会、諮問機関がある。
Competition and Markets Authority
Tel. | +44 20 3738 6000 |
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URL | https://www.gov.uk/government/organisations/competition-and-markets-authority/ |
所在地 | 25 Cabot Square London E14 4QZ, UNITED KINGDOM |
幹部 | Sarah Cardell(最高責任者/Chief Executive) Marcus Bokkerink(議長/Chair) |
競争委員会と公正取引庁が2013年10月に統合され、2014年4月1日より業務を開始した。CMAは世界でもトップクラスの競争及び消費者組織として事業を行うことをビジョンに掲げており、以下の5点を目標としている。
Information Commissioner’s Office
Tel. | +44 303 123 1113 |
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URL | https://ico.org.uk/ |
所在地 | Wycliffe House, Water Lane, Wilmslow, Cheshire SK9 5AF, UNITED KINGDOM |
幹部 | John Edwards(情報コミッショナー/Information Commissioner) |
情報に関する権利を守るために設立された独立情報保護監督機関である。「1984年データ保護法」を受け、1984年、データ保護登録官オフィス(Data Protection Registrar’s Office)として発足。1995年EUデータ保護指令に対応すべく改正された「1998年データ保護法(Data Protection Act 1998)」を受け、2000年、データ保護コミッショナーズオフィス(Data Protection Commissioner’s Office)と改称し、「2000年情報自由法(Freedom of Information Act 2000)」を受け、2001年、情報コミッショナーズオフィス(ICO)と改称して現在に至っている。2023年2月に監督官庁が文化・メディア・スポーツ省(Department for Culture, Media and Sport:DCMS)からDSITに変更された。
National Cyber Security Centre
URL | https://www.ncsc.gov.uk/ |
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所在地 | London, UNITED KINGDOM |
幹部 | Lindy Cameron(長官/Chief Executive) |
2016年10月1日、政府通信本部(GCHQ)傘下の一組織として、同じくGCHQの下部組織である情報セキュリティ部門CESG、国家インフラ・プロテクション・センター(CPNI)、英コンピュータ緊急対応チーム(CERT-UK)、サイバーアセスメント・センター等、政府内のサイバーセキュリティにかかわる各種機能を統合して設立された。NCSCは、サイバーセキュリティに関する知見の共有、英国内におけるサイバー関連リスクの低減、具体的サイバー攻撃事案への対処、英国内におけるサイバー攻撃事案への対処能力向上等、英国のサイバーセキュリティ対策の中心的役割を担う。
英国の情報通信分野における基本法令。EUの「2002年電子通信規制パッケージ」(「新たな規制枠組(枠組指令、アクセス・相互接続指令、認可指令、ユニバーサル・サービス指令、無線周波数決定)」)の国内法制化等を目的として、2003年7月に成立した。主な内容は以下のとおり。①Ofcomの設立、既存の五つの規制機関を統合し、単一の規制機関(Ofcom)を設立、②放送サービス規制の見直し(BBCやITV等の公共サービス放送事業者(Public Service Broadcasters)に対する一貫性のある規制の適用等)、③市場競争(公正取引庁(現CMA)同様の権限をOfcomに付与)、④コンテンツ評議会の設置、⑤電気通信システムの免許要件の廃止と電子通信網、サービス、関連設備に対する規制枠組への変更、⑥周波数取引の導入、⑦消費者審議会の設置、⑧メディア所有規制の緩和。
英国の電波管理における基本法令。本法は、Ofcomによる周波数管理に関する根拠法が、「1949年無線電信法(Wireless Telegraphy Act 1949)」「1967年無線電信法(Wireless Telegraphy Act 1967)」「1998年無線電信法(Wireless Telegraphy Act 1998)」「1967年海事等・放送(妨害)法(Marine, etc., Broadcasting(Offences)Act 1967)」「1984年電気通信法(Telecommunication Act 1984)」(Part6)及び「2003年通信法」(Part2 Chapter2等)の6本の法律に分かれていたものを、一つの法律にまとめたものであり、わずかな例外を除いて、従来の法令の内容に変更を加えていない。本法の成立により、「1949年無線電信法」「1998年無線電信法」及び「1967年海事等・放送(妨害)法」の全部を含む、従来の関連規定はすべて削除されている。
2011年5月に、EUの指令を実装する形で、通信法の一部、無線電信法の一部をそれぞれ改正した。基となるEUの指令は、「より良い規制指令(Better Regulation Directive)」と「市民の権利指令(Citizens’ Rights Directive)」であり、新規移動電話契約とブロードバンド契約の縛りを最長でも24か月とすること、移動電話の番号ポータビリティを1営業日で実施すること、及び障がい者による緊急通報を支援すること等が含まれる。
2017年4月に、英国がデジタル経済において世界で優位に立つことを目的として既存の基本法令の一部改正等を含む「2017年デジタル経済法(Digital Economy Act 2017)」が成立した。主な規定事項は、ブロードバンドのユニバーサル・サービス義務化、各種消費者支援策の実施、デジタル・インフラの構築支援、年齢認証義務付け等による青少年のオンラインポルノからの保護、知的財産権の保護強化、電子政府の推進、Ofcomの権限強化等、多岐にわたるものとなっている。
新たなデジタル時代にふさわしいデータ保護の枠組みの構築とともに、EU離脱後の英・EU間の円滑な越境データ流通の維持を目的として、従来の「1998年データ保護法」に代わる「2018年データ保護法」を制定。同法は、2018年5月25日からEU加盟各国に直接適用される一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)を国内法制化すること等を主な内容とし、データ主体の権利を強化するため「忘れられる権利」や「データ・ポータビリティの権利」「プロファイリングによる個人に関する決定の対象とならない権利」等を規定している。
英国の電気通信ネットワークの安全性を確保するため、2021年11月19日に「電気通信(セキュリティ)法」が成立した。通信事業者のセキュリティ義務を強化、政府にセキュリティ要件設定権限を付与、Ofcomに通信事業者が順守しない場合の強制措置の執行等の権限が付与された。政府は通信ネットワークに対して、ハイリスク・ベンダから調達した既存の機器を撤去するよう要求することができる。Ofcomは、事業者がセキュリティ義務を順守していない場合、関連する収入の最大10%、継続的に違反を繰り返す場合には1日当たり10万£の罰金を課すことができる。
2023年10月に勅許を得て成立した。主として、ユーザ間サービス事業者、検索サービス事業者、ポルノコンテンツ・プロバイダに対し、オンライン上の違法・有害コンテンツに対処する義務を課す。Ofcomをオンライン安全規制当局に位置付け、監督と執行の権限を付与する。
2024年5月に勅許を得て成立した。デジタル市場の競争促進に向け、以下のとおり、CMAの規制権限及び義務を強化する。①調査と競争法執行の権限、②調査と消費者保護法執行と消費者紛争解決の権限、③不公正な商行為、サブスクリプションのトラップ、貯蓄制度への前払いにおける消費者保護等。
電気通信事業免許は、「1984年電気通信法」に規定されていたが、「2003年通信法」の施行により、事業内容を厳格に定めた個別免許(Individual Licenses)を含む既存免許制度は、2003年7月25日をもって廃止され、一般認可(General Authorization)制度が導入された。同制度は、すべての通信事業者に課される一般条件(General Conditions of Entitlement)と、一部の事業者に課される特別条件(Specific Conditions)によって構成され、これらの条件を満たした者に対し、電子通信ネットワーク及び電子通信サービス(Electronic Communications Networks and Services)の提供を認めるというものである。新たに規定された「電子通信(Electronic Communications)」とは、狭義の「電気通信(Telecommunication)」に代わり、通信・放送の融合を想定した概念である。
対内直接投資を規制する法的枠組は存在しない(1997年に政府はBTの黄金株を放棄した)。資本における内外無差別の原則は、「1998年競争法」「2000年公共事業法(Utility Act 2000)」「2002年企業法」等によって法的に担保されている。一方で、2002年企業法には、国家安全保障・金融の安定・メディア多様性の確保を理由とする場合に加え、一定規模以上の英国企業の合併・買収等にかかわる場合(合併等される企業の収入が7,000万£超の場合又は合併等によって25%以上の市場シェアが生じる若しくは増大する場合)に限っては、公共の利益を確保する観点から政府が介入できる旨の規定が盛り込まれている。
英国は、EUの「2002年電子通信規制パッケージ」を反映した「2003年通信法」により、Ofcomが英国内において電子通信ネットワーク又は電子通信サービスを提供するすべての事業者に対して参入条件として課するルール(「一般条件」)を策定し、更にそれに上乗せする形で、市場分析に基づき市場において顕著な支配力(Significant Market Power:SMP)を持つ事業者に対して課するSMP条件等のルール(「特別条件」)を策定することとなった。
一般条件に関しては、市民・消費者の保護とエンパワーメントを目的とした新規則が2018年10月1日から施行された。特に、迷惑電話、苦情処理、社会的に弱い立場にある消費者保護に関する項目については、通信事業者に対してこれまで以上に厳しい規則を設け順守を求める内容となっている。
固定通信及びブロードバンド市場では、Ofcomによる市場レビューに基づき、BTが物理的な通信インフラの提供と、ブロードバンドと専用線サービス(ロンドン中心部を除く)の卸売市場において、SMP事業者と指定された(ハル地域以外、ハル地域ではKCOMがSMP事業者として認定)。傘下のローカル・アクセス会社であるオープンリーチ(Openreach)の電信柱と地下ダクトの開放に関して監視が強化されるとともに、オープンリーチの製品に対して以下の地理的規制が導入された。①競争の激しいエリアでは規制なし、②実質的な競争がある地域では卸アクセスの提供義務、③オープンリーチが唯一の事業者である地域では投資コストを回収できるようにコストベースの料金管理。更に少なくとも2031年まで、コストベースの料金規制を導入する予定はなくなった。一方、移動体通信サービス市場では、Ofcomによる市場レビューに基づき、移動体通信サービス・プロバイダ67社がSMP事業者と指定され、アクセス義務と料金規制が課されている。
Ofcomは2019年5月、ファイバ・ネットワークに対する投資と競争を促進させる目的で一連の規制を発表した。主な内容は以下のとおり。
〈新しい規制の概要〉
〈三つの地理的区分〉
市場を地理的に分けて必要に応じて異なる規制を適用する「地理的な市場アプローチ」を導入。具体的には、一般世帯及び事業者向けブロードバンド網の利用可能状況をベースに、①競争が認められるエリア(オープンリーチのほかに少なくとも2社の既存ネットワークが超々高速ブロードバンドと専用回線サービスを提供)、②潜在的に競争が認められるエリア(競争が認められるエリアほど効果的な競争が認められないものの潜在的な競争があると考えられる)、③競争が認められないエリア(代替ネットワークが利用できず将来的にネットワークが整備される可能性が低い)の三つに分類した。
上記の方針に基づき、Ofcomは、2021年3月、向こう5年間の通信固定アクセス・サービスの規制方法を定めた卸売固定通信市場レビューを発表した。主な内容は、①オープンリーチ提供のフルファイバ製品に価格上限を課さない、②少なくとも2031年までコストベースの規制なし、③オープンリーチの住宅用ブロードバンド製品の地理的規制、④オープンリーチの銅線ネットワークの廃止支援、⑤オープンリーチのフルファイバ製品の地理的割引の禁止あるいは監視の対象とする。
Ofcomは2024年3月、固定通信市場に適用される規制に関するレビュー「電気通信アクセスレビュー2026(Telecoms Access Review 2026)」を開始した。2026年4月から2031年3月までが対象となる。英国のブロードバンド・インフラの将来性を確保し、ギガビット対応ブロードバンドの競争と投資を促進し、消費者により良いサービスとより多くの選択肢を提供するための環境整備を目的とする。Ofcomは、2025年初めに規制変更提案に関する諮問文書を発表し、2026年初めに最終決定を発表する計画である。
固定電話については1996年にBTが導入、1997年に全固定通信事業者に導入が義務付けられた。移動体通信については1999年1月に導入された。Ofcomは2019年7月から、テキスト・メッセージを送信するだけで移動電話サービス事業者の乗換えが2時間以内に可能になる新制度を導入した。利用者は、事業者を乗り換える旨の通知を契約事業者に送信すれば(無料)、乗換作業に必要となるポーティング認証コード(Porting Authorisation Code:PAC)が契約者に自動的に送信される。テキストで通知を受けた通信事業者は、即座に、あるいはそれが不可能な場合は2時間以内にPACを契約者に送らなければならない。新旧両方の事業者への支払いが同時に発生する問題についても、乗換完了日以降は、旧事業者は元顧客に課金することができなくなったため、消費者は新旧両方の事業者から同時に課金されることがなくなった。
「2003年通信法」の規定に基づき、2003年7月、「ユニバーサル・サービス命令(Universal Service Order:USO)」が制定された。非差別的なネットワーク接続の提供といった同命令の一部の規定は、一般認可制度の導入に伴い、一般条件(General Conditions of Entitlement)に含まれており、すべての事業者に適用されている。その他の部分については、Ofcomが指定するユニバーサル・サービス提供事業者(Universal Service Provider:USP)であるBTとKCOMに課されている。
従来のUSOの対象は、固定音声電話(ダイヤルアップ・モデムの利用が可能なもの)、低所得者向けの料金枠組、公衆電話(緊急通話へのフリーアクセスを含む)、障がい者向けの音声通話と同等なサービス(BTによるテキストリレー等)、番号ディレクトリ及び番号案内サービス、ユニバーサル・サービスのアンバンドル提供となっていたが、2017年4月27日に成立した「2017年デジタル経済法」により、英国内のすべての世帯・事業所に高速ブロードバンド(下り速度10Mbps以上)にアクセスできる法的権利が新たに付与されることとなった。2018年4月に規則が施行され、2019年6月にブロードバンドのUSPとして、BT及びKCOMが指定された。2020年3月から、両社はUSO接続の申請受付を開始した。
政府は、2021年3月に到達困難な地域の世帯や企業向け「プロジェクト・ギガビット」を発表した。同プロジェクトでは、50億£の公的資金を投入し、提供最困難地域にある100万以上の世帯や企業を接続する。2億1,000万£相当のブロードバンド・バウチャー制度の拡張、1億1,000万£の最大7,000の地方の開業医院、図書館、学校の接続、衛星や5G技術を使って電波の届きにくい地域を接続等の内容となっている。これにより、全土の地域に超高速ブロードバンドを提供し、公共サービスを活性化させ、パンデミックからの回復を目指すとした。2025年までに最低85%のギガビット対応カバレッジを目標としている。2023年には、5億3,000万£以上の資金提供により、33万以上の到達困難な家庭や企業に対し、高速なブロードバンドの普及を約束。2024年4月現在で英国施設の81%以上がギガビット対応ブロードバンドへの接続を達成した。
政府は2017年3月、5G分野において英国が世界のリーダーとなるべく「5G戦略」を策定し、①5G網の普及の加速化、②5Gによってもたらされる生産性・効率性の最大化、③英国内外における新たなビジネス機会の創出と国内投資の誘発、という三つの成果を追求する方向性を示した。DCMSは、同5G戦略に基づき、5G技術の研究開発や実証事業「5Gテストベッド・トライアル(5GTT)」プログラムの実施を開始した。
政府は2020年2月、5GTTのための総額6,500万£の資金提供パッケージを発表した。同パッケージは、英国におけるテストベッド・トライアルに対する政府の2億£の投資の一部である。主な内容は、①ルーラルエリアにおける5G活用、②産業5G、③クリエイティブ・セクターのコンペ「5G Create」である。2021年9月、公共の街頭設置物や建物に5Gの導入を促進する、400万£規模のコンペ「デジタル・コネクティビティ・インフラストラクチャ・アクセラレータ(DCIA)」を実施した。通信事業者が公共の建物やCCTV(Closed Circuit Television)の電柱や交通信号等のインフラを5G無線機器の設置場所として利用する際に、よりシンプルかつ迅速に対応できる方法が検討されている。
2023年4月に「ワイヤレス・インフラストラクチャ戦略」が策定され、これに基づき、7月に5Gを通じた地域の発展を目指す「5Gイノベーション・リージョン(5GIRs)」が公募され、11月に英国全土から10地域が選定された。
5Gやギガビット級ブロードバンド等のインフラのセキュリティとレジリエンスを強化することを目的として、2021年11月、「電気通信(セキュリティ)法」が成立した。これに合わせ、DCMSは、同月、「5Gサプライチェーン多様化戦略」を発表し、①既存サプライヤの支援、②新規サプライヤの参入支援、③オープンRAN等のソリューションの加速化等を推進することとした。DCMSは、2021年6月、ロンドンとブライトンに、オープンRANの加速を目的としてスマートRANオープン・ネットワーク相互運用性センター(Smart RAN Open Network Interoperability Centre:SONIC)を開設した。同ラボでは、5G無線機器のコンポーネント供給のため、既存及び新興のサプライヤが協力して相互運用可能なソリューションの実証試験が実施されている。更にDCMSは、2022年4月、英国のオープンRAN原則を発表し、①オープンな分解(異なるサプライヤからRAN要素を調達、新しい方法で実装を実現)、②標準規格に基づくコンプライアンス(すべてのサプライヤがオープンで中立的な環境において標準規格に対するソリューションのテストの実施を可能にする)、③相互運用性の実証(分割された要素が完全に機能するシステムとして少なくとも現在のソリューションの性能とセキュリティに匹敵することを保証)、④実装の中立性(サプライヤが製品の機能と性能に関して革新し差別化することを可能にする)という四つの原則を示した。
政府予算による6Gの研究開発が進展中である。2022年12月には、約1億1,000万£の5Gと6Gの研究開発促進計画が発表された。うち約2,800万£は3大学(ヨーク大学、ブリストル大学、サリー大学)に付与され、各大学はノキア(Nokia)、エリクソン(Ericsson)、サムスン電子(Samsung Electronics)等と連携し、6Gを含む将来のネットワークの設計及び構築を行う。約8,000万£はウェストミッドランドの英国テレコムラボの設立のために投入され、5Gと6G網機器のセキュリティやレジリエンスの試験が行われる。更に2023年4月に発表された「ワイヤレス・インフラストラクチャ戦略」では、6Gの初期段階の研究に1億£が投入されることとなった。世界的な標準策定に関与するとともに、同盟国との緊密な連携による経済安全保障を確立し、科学大国への布石とする目的を持つ。
政府は2022年6月、政府横断的な戦略である「英国デジタル戦略」を発表した。英国をグローバルなテック超大国として強化し、デジタル・ビジネスの起業と成長のための欧州有数の地としての地位を築くことで経済を成長させ、より多くの高スキル・高賃金の雇用を創出することが目的。以下の六つが主要分野である。①デジタル基盤、②アイデアと知的財産、③デジタル・スキルと人材、④デジタル成長への融資、⑤繁栄の拡大とレベルアップ、⑥世界における英国の地位の向上。
政府は2020年9月に「国家データ戦略」を発表した。政府は優先すべき課題として、①経済全体のデータの価値を引き出すこと、②成長促進と信頼できるデータ体制の確保、③政府のデータ利用を変革して効率を高め、公共サービスを改善すること、④データが依存するインフラのセキュリティと回復力を確保すること、⑤国際的なデータフローの推進を挙げた。
政府は2021年7月に「英国イノベーション戦略」を発表した。「2035年までに英国をイノベーションのグローバルハブにする」との目標の下、四つの柱(①ビジネスを解き放つ、②人材、③組織と場所、④ミッションと技術)と各アクションプランを設定した。④では、変革をもたらす技術として、人工知能(AI)、量子技術、ロボット等を挙げ、支援する方向性が打ち出された。
政府は2021年9月に「国家AI戦略」を発表した。同戦略は、明確なルール、倫理原則、イノベーションを促進する規制環境により、AIを使って生活し、仕事をするのに英国を最適な場所とすることを目的に、10年間のビジョンを掲げている。また、「国がAIの長期的な成長に投資すること」「AIが経済のすべての部門や地域に恩恵をもたらすこと」「イノベーションや投資を促進し、国民や国の基本的な価値を保護する適切なルールによって効果的に管理されること」という三つの柱に焦点を当てている。2022年7月、国家AI戦略の進捗状況が公共部門の情報ウェブサイト「GOV.UK」にて公開された。当ウェブサイトでは、政府や関連機関のAIに関する取組みが、上記の三つの柱の内容に沿って説明されている。
2023年6月、信頼できる安全なAIを開発するために、政府は5,400万£の追加投資を発表した。また、2023年11月には首相官邸、DSIT、外務・開発・英連邦省(Foreign, Commonwealth and Development Office:FCDO)が中心となり、発案国として「AI安全性サミット」を開催し、英国を含む29か国・地域が先端的AIのリスクに対処し安全性を確保するため「ブレッチリー宣言」に署名し、AI安全性研究所が設立された。2024年9月にはAI国際条約を批准した。
2025年1月には、今後10年間でAIにより国家を再生させる「AI機会行動計画(AI Opportunities Action Plan)」が発表された。三つの目標(①AIを可能にするインフラの構築、②AI導入による生活変革、③自国で開発したAIによる未来の確保)と50の推奨事項が提示された。
イノベーション推進機関Innovate UKの下、デジタル・カタパルト(Digital Catapult)や未来都市カタパルト(Future Cities Catapult)が中心となり、IoT分野における英国のグローバルなリーダーシップの発揮を目指すとともに、企業・公的部門による高品質のIoT技術・サービスの開発を支援している。また、DSITは、2023年4月、今後10年の無線インフラ関連の展望を取りまとめた「ワイヤレス・インフラストラクチャ戦略」を発表した。同戦略は、IoTが5Gや6G等の先進的な無線通信技術が可能にする変革的な用途の一つであると言及している。
DSIT傘下のGDS(Government Digital Service)が政府全体のデジタル変革をリードし、各部門のデジタル化を支援している。GDSは2021年5月、「GDS:2021-2024年の戦略(Government Digital Service:Our strategy for 2021-2024)」を発表し、①公共部門の情報ウェブサイト「GOV.UK」の強化、②複数の部門を横断するサービス連携、③誰もが使えるシンプルなデジタルIDの実現、④共通ツールと専門家サービスの提供、⑤部門を超えたデータの統合の提供という五つの目的を掲げた。
Ofcomは2023年10月に「ネットワーク中立性ガイダンス」を発表した。同ガイダンスでは、インターネット・サービス・プロバイダがより効率的にネットワークを革新、管理するために、①プレミアム品質の小売サービス、②専門サービス、③トラヒック管理、④ゼロレーティング・サービス、⑤公益性がある場合の優先制御とゼロレーティング・サービス等を認める内容となっている。
内閣府は2021年12月、「国家サイバー戦略」を発表した。従来のサイバーセキュリティ戦略から名称を変更し、より広範で包括的にサイバー空間の課題に取り組む内容となっている。五つの柱は以下のとおり。①英国のサイバーエコシステムの強化、人材とスキルへの投資、政府、学界、産業界のパートナーシップの深化、②強靭で繁栄したデジタルUKを構築し、サイバーリスクを軽減して企業がデジタル技術の経済的利益を最大化し、市民がオンラインでより安全になり、データが保護されていることを確信できるようにする、③サイバーパワーに不可欠な技術をけん引し、産業力を構築し、将来の技術を確保するための枠組みを整備する、④より安全で繁栄した開かれた国際秩序のために英国のグローバルなリーダーシップと影響力を前進させ、政府や業界のパートナーと協力し、英国のサイバーパワーを支える専門知識を共有する、⑤サイバー空間内及びサイバースペースを通じて英国のセキュリティを強化し、英国のあらゆるレバーをより統合し、創造的かつ日常的に活用するために、敵を検出、破壊、抑止する。
「2003年通信法」に基づき、通信・放送・周波数関連市場における消費者の利益保護のために、独立した政策諮問機関として設立された。同審議会は、Ofcom Boardと連携し、消費者・市民の通信市場における利害を保護・促進するため、Ofcom、政府、EU等に助言を行う。
Ofcomは、2020年10月、顧客のための公平性確保に向けた消費者保護政策として、新しいルールを公表し、2022年12月に発効した。これは、「欧州電子通信コード(European Electronic Communications Code:EECC)」を受けたもの。主な内容は、①モバイル事業者によるロックされた端末の販売禁止、②ブロードバンドの乗換促進のため、乗換先事業者による乗換作業の主導、③より良い契約情報とより強力な解約権の付与、④障がいを持つ顧客が他の顧客と同等に通信サービスにアクセスできるようにする。
英国における迷惑通信は「Nuisance calls and messages」と呼ばれ、2002年に制定された「EU電子プライバシー指令」を国内法制化した「2003年プライバシー及び電子通信規則」が軸となり、規制はOfcomとICOが所掌している。迷惑通信の類型として「生電話によるセールス」「自動呼出しによるマーケティング」「無言電話・放棄呼」「スパムテキスト」「スパムメール」「詐欺電話・メッセージ」が挙げられている。規制の方式は迷惑通信の種類によって異なり、電子メールや自動音声電話によるマーケティングについては、一定の条件を除いて、受信者の承諾を得ない通信を禁止するオプトイン方式が採用されている。一方、通常の生電話やFAXによるマーケティングについてはオプトアウト方式が採用され、受信者が通信を拒否する場合には、迷惑電話防止サービス「Telephone Preference Service(TPS)」に自身の電話番号の届出を行う。ただし、2018年9月より、誤って販売された支払保障保険(PPI)の補償に関係するセールス電話についてはオプトイン方式が導入された。
個人情報保護に関する規制枠組については、EUのGDPR及び「2018年データ保護法」に基づいており、「データ保護8原則」(①公正かつ適法な処理、②限定された目的のための処理、③目的適合性、④正確性及び最新性、⑤必要な期間に限った保管、⑥データ主体の権利に適合した処理、⑦安全性の確保、⑧十分な保護のない第三国への移転制限)が規定されている。2021年1月1日に英国の一般データ保護規則が施行された。
2023年10月に「2023年オンライン安全法」が成立し、プラットフォーム事業者に対し、オンライン上で特に子どもを適切に保護する実践的措置の導入・遂行が義務付けられた。プラットフォーム事業者が同法による規制に従わない場合、同法の運用を所管するOfcomは、1,800万£又は全世界の年間収入の10%のいずれか大きい額の罰金を課すことができる。
ICOは2020年8月に「年齢に適した設計:オンライン・サービスのための行動規範(Age appropriate design: a code of practice for online service)(別名「子どものコード(Children’s Code))」を発表し9月に発効した(移行期間は2021年9月2日までと設定)。「2018年データ保護法」に基づき、オンライン上の子どものプライバシー保護のため、オンライン・サービスが従うべき以下の15の基準が示された。①子どもの最善の利益、②データ保護影響評価、③年齢に適したアプリケーション、④透明性、⑤データの有害な使用、⑥ポリシーとコミュニティ基準、⑦デフォルト設定、⑧データの最小化、⑨データの共有、⑩ジオロケーション、⑪ペアレンタル・コントロール、⑫プロファイリング、⑬ナッジテクニック、⑭コネクティッド・トイとデバイス、⑮オンライン・ツール。英国に拠点を置く企業と英国の児童の個人データを処理する英国以外の企業に適用される。
英国では、2016年6月12日より施行された「EU無線機器指令(Radio Equipment Directive:RED(2014/53/EU))」を受け、2017年12月26日より「2017年無線機器規則(Radio Equipment Regulations 2017)」が国内法制化された。同規則の施行を受け、「2000年無線機器及び電気通信端末機器規則(Radio Equipment and Telecommunications Terminal Equipment Regulations 2000)」は廃止された。
REDは、従前適用されていた「EU無線・通信端末機器指令(Radio and Telecommunications Terminal Equipment Directive:R&TTE指令(1999/5/EC))」に代わり、EU及びEEA(欧州経済領域)において上市(輸入者が流通業者に出荷した段階)される無線機器の安全基準及び電磁的両立性(Electro-Magnetic Compatibility:EMC)基準等の明確化・簡素化を図ったものである。これまで対象外となっていた放送受信機を含むすべての無線機器に対象が拡大されるとともに(有線の電気通信端末機器は対象外とされた)、無線機器の定義に関する周波数範囲の下限(9MHz)が撤廃された。また、欧州委員会が指定する無線機器については共通充電器を使用しなければならないこととされたほか、経済担当者(製造者、輸入者、流通業者等)の責任の明確化及び強化が図られた。適合性評価手続については、内部生産管理(モジュールA)、型式審査(モジュールB)及び型式への適合性(モジュールC)並びに品質保証(モジュールH)に整理され、それぞれREDのAnnexⅡ、Ⅲ及びⅣに規定され、2017年無線機器規則においてもそれぞれ別表2、3及び4として規定されている。
「2017年無線機器規則」は、EU離脱後も、「2018年EU離脱法」によって当該規則の効力が維持されるとともに、「2019年製品の安全性及び計量等(修正等)(EU離脱)規則(Product Safety and Metrology etc.(Amendment etc.)(EU Exit)Regulations 2019)」が規定された。当該規則は、「2020年製品の安全性及び計量等(修正等)(UK(NI)表示)(EU離脱)規則(Product Safety and Metrology etc.(Amendment etc.)(UK(NI)Indication)(EU Exit)Regulations 2020)」によって再改正され、輸入者ラベリング(欧州経済領域(EEA)からの製品)やUKCA(UK Conformity Assessed)マーキング等が規定された。UKCAマーキングの移行期間等については、「2022年製品の安全性及び計量等(改正及び経過規定)規則(Product Safety and Metrology (Amendment and Transitional Provisions) Regulations 2022(SI 2022/1393))」によって、2027年12月31日まで延長された。
2023年の電気通信サービス収入総額は328億£であった。うち小売固定電話サービス市場は140億£、小売移動体通信サービス市場は137億£、残りが卸売サービス市場の収入である。2023年の1世帯当たりの固定及び移動の音声及びデータ通信サービス支出額(月額平均)は83.86£であった。
2024年第1四半期の英国の固定音声サービスの収益は合計12億2,000万£であった。
2024年第1四半期の加入者当たりの平均収益は12.75£で、月額契約加入者はプリペイド加入者よりも多くの収益を生み出した(前者15.29£と後者5.36£)。2024年9月現在、移動体通信事業者の加入者シェアは、①O2 UK(テレフォニカ(Telefonica)傘下)、②EE(総合通信事業者BTグループ傘下)、③ボーダフォンUK(Vodafone UK)、④3 UK(Hutchison 3G UK、香港のハチソン傘下)の順となっている。
2024年9月現在、MVNO加入数の全移動体通信加入者に占める割合はほぼ4分の1で、年々増加している。事業者の市場シェアは2024年9月現在、①Tesco Mobile、②giffgaff UK、③スカイ(Sky UK)、④Lebara Mobile、⑤iD Mobile、⑥その他の順である。
2023年末の固定ブロードバンド・サービスの加入者の回線種別シェアは、①DSL(6割)、②光ファイバ(2割強)、③ケーブル(2割弱)の順となっている。2024年9月末現在の小売ブロードバンド・サービスの事業者シェアは、①BTグループ、②スカイ、③ヴァージンメディア(Virgin Media)、④TalkTalk、⑤ボーダフォンUK、⑥その他の順となっている。
2024年9月現在、総加入に占める3Gサービスの割合は1%未満、4Gサービスは5割強、5Gサービスは4割強である。英国では、2019年5月にEEが英国初の5G商用サービスを開始した。続いて、同年7月にボーダフォンUKが、同年10月にO2 UKが、更に3 UKは2020年2月に、それぞれ5G商用サービスを開始した。2024年9月現在、5Gサービスの事業者別シェアは、①O2 UK、②EE、③ボーダフォンUK、④3 UKの順となっている。
Tel. | +44 20 7356 5000 |
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URL | https://www.bt.com/ |
所在地 | BT Group plc 1 Braham Street , London E1 8EE, UNITED KINGDOM |
幹部 | Allison Kirkby(最高経営責任者/Chief Executive Officer) |
旧国営通信事業者で、1984年に民営化された。市内、長距離、国際、移動体通信、インターネットを含めた総合的な電気通信サービスを提供している。コンシューマ部門(移動体通信部門EE(2016年1月に買収)を抱える)、エンタープライズ部門、グローバル部門、アクセス網の卸売部門オープンリーチに分かれる。小売ブランドとして、BT、EE、プラスネット(Plusnet)を持つ。2023年の固定電話サービス(PSTN)の契約数は1,050万7,000であった。従業員数9万7,400人、うち7万7,300が英国での雇用となっている。
2023年度の収入は207億9,700万£(英国国内のみでは184億5,000万£)であった。BTグローバル・サービシズ(BT Global Services)は2024年現在、180か国でICTサービスを提供している。
KCOM Group Limited
Tel. | +44 1482 602 100 |
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URL | https://www.kcom.com/ |
所在地 | 37 Carr Lane, Kingston upon Hull, HU1 3RE, UNITED KINGDOM |
幹部 | Tim Shaw(最高経営責任者/Chief Executive Officer) |
ハル市で市内通信サービスを行っている電気通信事業者。BTとともに、ユニバーサル・サービス義務を課されている。世界的なインフラ・マネジメント企業であるMacquarie Infrastructure and Real Assets(MIRA)傘下のMacquarie European Infrastructure Fund 6が所有している。
Vodafone Group Plc
Tel. | +44 1635 33251 |
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URL | https://www.vodafone.com/ |
所在地 | Newbury, Berkshire, RG14 2FN, England, UNITED KINGDOM |
幹部 | Margherita Della Valle(最高経営責任者/Chief Executive) |
1984年にRacal Electronicsの子会社Racal Telecomとして発足した。1991年には独立しボーダフォンとなった。欧州とアフリカを中心とする15か国の3億3,000万人以上の利用者に向けて電気通信サービスを提供し、世界40か国以上のパートナーと移動体通信サービスで提携している。2023年度の収入は367億1,700万£(英国国内のみでは68億3,700万£)であった。
Virgin Media O2 UK Limited
URL | https://news.virginmediao2.co.uk |
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所在地 | Griffin House, 161 Hammersmith Road, London, W6 8BS, UNITED KINGDOM |
幹部 | Lutz Schüler(最高経営責任者/CEO) |
BTの移動体通信部門が、2001年11月に分離独立して設立された。2006年3月、スペインの通信大手テレフォニカによる買収が完了し、完全子会社となった。買収は、テレフォニカがO2の株式をすべて買い取る形で行われた。買収後も、O2というブランド名は維持、事業拠点も英国内に残した。2020年5月に、ヴァージンメディア(米リバティ・グローバル(Liberty Global)傘下)との合併で合意し、CMAが2021年5月に合併の最終案を承認した。2023年度の収入は109億2,300万£であった。
Hutchison 3G UK Limited
Tel. | +44 7428 390279 |
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URL | https://www.three.co.uk/ |
所在地 | 450 Longwater Avenue, Green Park, Reading, Berkshire, RG2 6GF, UNITED KINGDOM |
幹部 | Robert Finnegan(最高経営責任者/CEO) |
英国における第4の移動体通信事業者として2003年3月に英国市場に参入(3Gサービス)。親会社は香港の複合企業CKハチソン・ホールディングス(CK Hutchison Holdings)(2015年6月、傘下のハチソン・ワンポア(Hutchison Whampoa)を買収)。2023年度の収入は25億9,000万£であった。
ARMホールディングス
ARM Holdings
Tel. | +44 1223 400 400 |
---|---|
URL | https://www.arm.com/ |
所在地 | 110 Fulbourn Road, Cambridge, GB-CB1 9NJ, UNITED KINGDOM |
幹部 | Rene Haas(最高経営責任者/Chief Executive Officer) |
1990年にエイコーン・コンピュータ(Acorn Computers)、アップル・コンピュータ(Apple Computer)、VLSIテクノロジー(VLSI Technology)の合弁事業としてケンブリッジで創業した。マイクロプロセッサにかかわるIP及び関連テクノロジー、ソフトウェア・ツール等の設計・販売を行っている。近年、クラウド、自動運転、自律型システム、IoT、メタバース分野に注力、2023年度の収入は32億3,300万USDであった。
2003年12月、通信・放送分野の五つの規制機関(Oftel、RA、ITC、RAu、BSC)が統合し、Ofcomが発足した。放送政策については文化・メディア・スポーツ省(DCMS)が所掌するが、事業者の規制監督についてはOfcomが担当する。
Department for Culture, Media and Sport
Tel. | +44 20 8080 3054 |
---|---|
URL | https://www.gov.uk/government/organisations/department-for-culture-media-and-sport |
所在地 | 100 Parliament Street,London,SW1A 2BQ,UNITED KINGDOM |
幹部 | Lisa Nandy(文化・メディア・スポーツ大臣/Secretary of State for Culture, Media and Sport) Chris Bryant(閣外大臣/Minister of State(Minister for Creative Industries, Arts and Tourism)) |
放送分野における具体的な所掌内容は以下のとおりである。
(通信/Ⅰ-4の項参照)
放送分野については、既存の3機関(ITC、RAu、BSC)が所掌していた商業放送事業者に対する免許付与や事業内容に対する規制等を主に所掌する。
英国放送協会(British Broadcasting Corporation:BBC)の設立・存続及び業務運営の根拠は、「特許状(Royal Charter)」及び「枠組協定書(The Framework of Agreement)」である。
1990年11月に、商業放送に競争原理を導入する「1990年放送法」が成立した。同法は番組の質を維持する一方、放送事業者間の競争を促進することによって、視聴者により多くの選択の機会を与えることをねらいとしている。
主に地上デジタル放送の枠組みの導入と、メディア所有規制の緩和を行う「1996年放送法」が1996年7月に成立した。地上デジタル放送の導入、BBCの一部民営化等を主な内容としている。
ITV(チャンネル3)やC4C(チャンネル4)、チャンネル5等BBC以外の商業放送事業者についても「公共サービス放送(Public Service Broadcasting:PSB)」を行う義務を課しており、純粋な商業目的だけではなく、公共利益を目的として地域ニュース番組や芸術性の高いテレビ番組等を放送することが義務付けられている。また、各放送事業者は、PSBとして共通に求められる要件に加えて、本法や各自の免許にPSBとして求められる具体的な要件がそれぞれ規定されている。
クリエイティブ経済発展のためのデジタル・コンテンツの著作権保護、ラジオのアナログ放送終了時期、公共テレビ・サービスの見直し等を規定している。
知的財産権の保護強化(ケーブル会社による再送信においては公共サービス放送にかかわる著作権は侵害されないとしていた規定の廃止)、Ofcomの権限強化(OfcomがBBCの外部規制機関になったことに伴うOfcomの権限拡大)、障がい者によるオンデマンド・テレビにかかわるアクセス保障等を規定している。
2024年5月に成立。英国の放送局とコンテンツ制作者が、進化する国際的なメディア環境下で競争力を維持し、文化的コンテンツと視聴者を保護することを目的とする。新たなプロミネンスの枠組みの導入によるPSBの支援、Ofcomが規制するビデオ・オン・デマンド・コードの導入、主なスポーツイベントへの無料アクセスの維持、「2013年犯罪裁判所法」第40条(出版社に対して名誉棄損の裁判費用を負担させる内容)の廃止、ウェールズ語のテレビ局S4Cの拡張、ラジオ放送の保護等、包括的な改革を導入する内容となっている。
従来、非EEA(EEAは欧州経済領域。EU加盟国とEFTA(欧州自由貿易連合)間の自由経済市場の創設を目的に、スイスを除き1994年1月に発足)諸国の個人又は団体は、放送免許が取得できず、放送メディアを所有することが禁止されていたが、「2003年通信法」により、EEA域外からの英国内への投資促進と産業発展をねらいとして外資規制を撤廃した(第348条(1))。しかし、メディア企業の買収・合併の提案が出された際には、政府はいったんOfcom等にメディアの多様性の観点から助言等を求め、それらを考慮したうえで決定を下す「多様性審査(The plurality)」(2002年企業法)の枠組みが規定されている。これは、外国企業による英国内の放送局の買収・合併が進み、英国メディアの多様性・多元性が損なわれることを回避するためである。
「2003年通信法」により、放送メディアの所有が規制されてきた地方自治体、宗教団体、政党については以下のように規定された。
「2003年通信法」により、メディア相互所有に関するルールは、全国市場シェア20%超の全国的新聞社とITVの相互所有(独占の弊害が大きいと考えられた)を除き、すべて撤廃された。2011年6月のメディア所有省令(2011年6月14日公布、6月15日施行)によって、現在のメディア所有規制は、クロスメディア所有規制とメディア企業の買収等への国務大臣による介入のみとなっている。
いわゆる「受信料」は英国では「受信許可料(TV licence fees)」に相当し、「2003年通信法」を根拠法としている。BBCは、2021年2月、インフレ率に応じ、2021年4月1日以降、年間157.50£から159£に引き上げることを発表した(白黒テレビは年間53£から53.50£に、目の不自由な人の受信許可料は通常の半額である年間78.75£から79.50£に引上げ)。
DCMSは2016年12月、BBCのあるべき姿を定めた特許状及び枠組協定書を発表した(特許状期間:2017年1月1日~2027年12月末(11年間))。主なポイントは以下のとおりである。
新特許状及び協定書に基づき、2017年4月よりOfcomはBBCの外部規制機関としての活動を開始した。OfcomによるBBCの事業免許に関する主な規制要件は、①ニュース及び時事問題のルールの強化、②子ども向け番組に関する要件の拡大、③より特色のある番組の確保、④BBCラジオを通じて社会活動キャンペーンを支援、⑤芸術・音楽・宗教等のジャンルの番組の保護、⑥幅広い価値あるジャンルの番組の支援、⑦英国の地域住民・国民・クリエイティブ産業の支援、⑧BBCに対して英国住民の多様性を十分に反映させることを求める等である。また、業績評価枠組として、①国内/国際ニュース・時事問題・ドキュメンタリーに関するコンテンツ、②学校教育に関するコンテンツ、③芸術・音楽・宗教・科学・ビジネス等の生涯教育に関するコンテンツ、④テレビ・ラジオ・BBC iPlayer・ウェブサイトにおけるコンテンツ、⑤英国内の各地域・地方におけるコンテンツ、⑥年齢・性別・社会経済グループ(SEG)・障がい・人種・宗教・信仰等にかかわるコンテンツといった各種コンテンツごとに「アベイラビリティ(Availability)」(BBCサービスにおける英国制作番組の放送時間視聴可能時間等)、「消費(Consumption)」(番組へのリーチや視聴時間等)、「影響(Impact)」(視聴者や専門家の意見等)、「背景因子(Contextual factors)」(定量的には評価できない定性的な評価)となっている。
DCMSは、2022年4月、「放送改革のための白書(Up Next-The Government’s vision for the broadcasting sector)」を発表した。数十年来の放送規制を更新し、ストリーミング時代にふさわしいPSBシステムを構築する。主な内容は、①BBCの受信許可料凍結(2年間159£。その後インフレに応じて値上げ。次の特許状期間に受信許可料による資金調達モデルのレビューを実施)、②PSB改革(特徴的で多様な英国のコンテンツを提供するPSBの強化)、③VODサービスのコンテンツ規制(有害コンテンツ(検証されていない健康強調表示等)から視聴者を保護)、④主要スポーツイベントの放映権におけるPSBの独占的利益の促進、⑤チャンネル4の所有変更等。
番組規制については、BBCに関しては協定書に、商業放送に関しては「2003年通信法」の319条に、一般的な規定として、①18歳未満の者が保護されること、②犯罪行為を助長し若しくは扇動し又は不正行為を誘発しないこと、③ニュースは十分な公平性・正確性を伴い報道されること、④宗教番組の内容に関し適度の責任が果たされること、⑤攻撃的かつ有害な素材が含まれないよう公衆を十分に保護すること等が規定されている。また、広告規制に関しては、①禁止された内容の政治広告が含まれないこと、②誤解を与え有害であり又は侮辱的である可能性のある広告が含まれないこと、③広告に関し英国の国際的義務が順守されること、④番組の不適切な後援が防止されること、⑤広告の掲載を求める広告主の間に不当な差別がないこと、⑥視聴者に情報を伝達し又は視聴者の心理に影響を及ぼす可能性を悪用する技術がその使用に対する認識の有無にかかわらず使用されないこと等が規定されている。
なお、これらの規制の詳細については、Ofcomが策定する放送コード(Broadcasting Code)及び広告実践放送委員会(Broadcast Committee of Advertising Practice:BCAP)が策定する放送広告コード(The UK Code of Broadcast Advertising)に盛り込まれている。
「2003年通信法」第303~305条「聴覚障がい者及び視覚障がい者向けのテレビジョン・サービス」に基づき、PSB、ケーブル・衛星放送事業者、地上デジタル放送事業者等に対し、視聴覚障がい者向けアクセス・サービス(字幕、手話、音声描写)の提供が義務付けられている。個々の提供義務基準についてはOfcomが「テレビ・アクセス・サービス実施コード(Code on Television Access Services)」として定め、履行状況について年2回の報告を発表している。なお、BBCには、全コンテンツに字幕提供が義務付けられており、チャンネル3及びチャンネル4に対する字幕提供義務は全コンテンツの90%となっている。Ofcomは2019年7月、2020年の提供義務を発表し、国内のテレビ・チャンネル88チャンネルに加えて、EU内4か国から配信されている19の海外チャンネルにも提供を義務付けた。
Ofcomは、2018年、VOD番組サービスによる視聴覚障がい者向けアクセス・サービスを改善するための新規制について勧告を行った。具体的には、規制が発効して4年後、VOD番組サービス事業者に対して全放送番組の80%に字幕、10%に音声解説、5%に手話を提供する目標等を勧告した。更にOfcomは、2021年7月、アクセス・サービスに関する更なる勧告を発表した。主な内容は、①免除:事業者による合理的な努力にもかかわらず技術的又は運用上の重大な障害によって提供が妨げられた場合には要件を免除される、②手話:2年間の目標値を2.5%とし事業者の運営能力を高める、③新要件の導入と施行:事業者に情報提供を求めるOfcomの権限を強化する(視聴者数に関する情報等)。なお、Ofcomは、事業者が参考にすべきベストプラクティス・ガイドラインを策定中である。
英国における地上放送のデジタル化は、BBC、ITV、チャンネル4の合弁事業「デジタルUK(Digital UK)」がデジタル転換の調整役を担った。デジタルUKは2011年10月、地上アナログ放送終了を2012年10月24日に決定したと発表した。英国では2008年から地域ごとにデジタル移行を進め、ロンドンでは2012年4月18日にアナログ放送が終了した。同年10月24日、最後の北アイルランドでのアナログ放送の終了をもって、全国で地デジ移行が完了した。以降、デジタルUKは、地上デジタルテレビ放送「フリービュー(Freeview)」の提供を促進し、2021年7月には、BBCとITVの合弁事業である無料衛星放送プラットフォーム「Freesat」と合併した。なお、アナログ放送で使用していた放送周波数跡地の効率的な利用に向けて、英国政府はローカルテレビ・サービスを導入することを決定し、ローカルテレビの商業チャンネルの提供が開始された。
英国のラジオ産業は、以下の表のように、BBC、商業局、コミュニティ局により構成されている。
ラジオ局の種類 | アナログAM | アナログFM | DAB |
---|---|---|---|
ローカル商業局 | 11 | 234 | マルチプレックス:58、 サービス:644 |
全国向け商業局 | 1 | 1 | 「サウンド・デジタル」 マルチプレックス:1、 サービス:30 |
「デジタル・ワン」 マルチプレックス:1、 サービス:26 |
|||
全国向けBBC | 1 | 4 | マルチプレックス:1、 サービス:11 |
ローカルBBC | 9 | 46 | ― |
コミュニティ向け | 21 | 286 | ― |
合計 | 43 | 571 | マルチプレックス:61 サービス:711 |
出所:Ofcom「Media Nations 2024」
2023年のラジオ産業の収入は6億6,700万£であった。そのうち全国向け商業局の広告収入が3億2,800万£、ローカル商業局の広告収入が9,800万£、スポンサー収入が1億3,300万£、その他収入が1億900万£であった。
2023年のテレビ産業の収入は102億£であった。商業テレビ放送及びオンライン・サービスの収入は156億£であった。その内訳は、プラットフォームが62億3,000万£、デジタル・マルチチャンネルが20億3,000万£、商業PSBが19億4.000万£、VOD加入が39億6,000万£、コネクティッド・テレビ広告が11億6,000万£、デジタル・トランザクションが2億8,000万£で、VOD加入とコネクティッド・テレビ広告が成長した。Broadcasters’ Audience Research Board(BARB)によると、2024年第2四半期に2,000万世帯(68.7%)が定額制VOD(Subscription Video On Demand:SVOD)サービスを視聴した。
1998年9月にBBCが世界初の地上デジタル放送を開始した。2002年10月には、フリービューの名称で、無料の地上デジタル放送が開始され、2024年10月現在、100超のデジタルテレビ・チャンネルが無料で提供されている。
BARBのデータによると、地上デジタル放送の加入世帯数は2021年末現在、1,609万となっている。
ハイビジョン放送に関しては、2008年6月からBBCによる試験サービスが開始され、2009年12月から本格的にDVB-T2方式による放送が開始されている。2023年12月現在、フリービューでは約20のハイビジョン放送が実施されている。
2024年第1四半期の世帯普及率は、ネットフリックス(Netflix)が58%、アマゾン・プライム・ビデオ(Amazon Prime Video)が45%、Disney+が26%、Apple TV+が8%、NOWが6%であった。
スカイが1989年2月に放送を開始し、英国の有料衛星放送事業を独占的に行っている。2021年の欧州での総収入は147億4,400万£で、加入世帯数は2,270万となっている。
ヴァージンメディアが主な事業者である。
British Broadcasting Corporation
Tel. | +44 3700 100 123 |
---|---|
URL | https://www.bbc.co.uk/ |
所在地 | Broadcasting House, Portland Place, London W1A 1AA, UNITED KINGDOM |
幹部 | Tim Davie(会長/Director General) Samir Shah(理事長/Chair) |
1922年に設立され、1927年に国王の「特許状」に基づく公共放送事業者となった。存立と業務運営を規定する基本法令は国王の「特許状」と「枠組協定書」である。現行の特許状の有効期間は2017年1月1日から2027年12月末までである。1995年からデジタルラジオ放送、更に1998年に世界初の地上デジタルテレビ放送を開始した。
2023年度の受信料収入は36億6,000万£、その他の収入は17億2,900万£であった。BBCの商業部門はBBCスタジオ、BBCグローバル・ニュース、及びBBCスタジオワークスで構成されている。
BBCは、BBC One、BBC Two、BBC Three、BBC Four、BBC News、BBC Parliament、CBBC、CBeebies及びBBC Scotlandの9チャンネルと、オンライン・サービスのBBC iPlayerを運営している。また、2024年3月現在、海外向け国際放送「BBCワールド・サービス」を放送波とインターネットを通じて32言語で3億2,000万の視聴者に提供している。またSVODサービス「BritBox」を英国、米国、カナダ、オーストラリア、北欧4か国で提供している。
ITV plc
URL | https://www.itv.com/ |
---|---|
所在地 | White City Place, 201 Wood Lane, London, W12 7RU, UNITED KINGDOM |
幹部 | Andrew Cosslett(会長/Chairman) Carolyn McCall(最高経営責任者/Chief Executive) |
国内最大の商業放送ネットワークで、全国ニュース、ドラマ、娯楽、スポーツ等の様々な番組を提供している。
2023年末までの年間収入は42億6,000万£であった。このうち番組コンテンツ制作部門であるITVスタジオの収入は21億7,000万£、メディア及びエンターテインメント部門の収入は20億9,000万£であった。
Channel 4 Television Corporation
Tel. | +44 345 076 0191 |
---|---|
URL | https://www.channel4.com/ |
所在地 | 124 Horseferry Road, London, SW1P 2TX, UNITED KINGDOM |
幹部 | Ian Cheshire(会長/Chair) Alex Mahon(最高経営責任者/Chief Executive) |
政府がすべての持分を保有する非営利法人Channel 4 Television Corporationが運営する公共放送で、広告放送とスポンサーシップを財源とする。チャンネル4は、番組の調達・編成機関として設立されており、国内の独立系番組制作会社を支援するため、番組の自社制作は行わない。チャンネル4を巡っては、保有資産売却による債務削減を進める英国政府にとって魅力的な財源となり得ることから以前より民営化の憶測が絶えなかったが、DCMSのブラッドリー大臣(当時)は2017年3月、当面民営化は行わないことを明言した。一方で、地方経済の成長への貢献という観点から議論されていたロンドン本社の郊外への移転先については、2018年10月、イングランド北部のリーズに決定し、2021年9月に移転した。
2023年末までの年間収入は10億2,000万£であった。
Channel 5 Broadcasting Ltd.
Tel. | +44 0203 580 2000 |
---|---|
URL | https://www.channel5.com/ |
所在地 | Elephant House, 17-29 Hawley Crescent,Camden Town, London, NW1 8TT, UNITED KINGDOM |
「1990年放送法」で設立が認められた商業放送事業者で、1997年に放送を開始した。地上波によるカバレッジが全国の80%程度にとどまっているため、衛星も利用して国内をカバーしている。Northern & Shell社が完全所有していたが、2014年に米国のバイアコム(Viacom)に買収された。
Sky Limited
URL | https://www.sky.com/ |
---|---|
所在地 | Grant Way, Isleworth, Middlesex, TW7 5QD, UNITED KINGDOM |
幹部 | Dana Strong(グループ最高経営責任者/Group Chief Executive Officer) |
欧州最大手の衛星放送事業者で、英国の衛星放送市場を事実上独占している。2018年9月、米国ケーブルテレビ大手コムキャスト(Comcast)の傘下となった。
2021年末現在、世界6か国の2,300万の利用者に、衛星放送、ブロードバンド、移動体通信サービス等を提供している。2022年末までの収入は7億5,300万£であった。
Virgin Media Inc.
Tel. | +44 1256 75 2000 |
---|---|
URL | https://www.virginmedia.com/ |
所在地 | Media House, Bartley Wood Business Park, Hook, Hampshire RG27 9UP, UNITED KINGDOM |
幹部 | Lutz Schuler (最高経営責任者/Chief Executive Officer) |
米国のメディア企業のリバティ・グローバル傘下の英国最大のケーブル事業者で、2024年9月末までの年間売上は26億7,400万£であった。英国とアイルランドでサービスを提供しており、固定回線加入者数は580万で、ブロードバンド加入者数は570万、移動体通信サービス加入者数は1,590万である。2021年5月に、O2 UK(テレフォニカ傘下)との合併がCMAにより承認された(通信/Ⅵ-1(4)の項参照)。
英国における国家レベルでの周波数の分配は、内閣府の委員会である英国周波数戦略委員会(UK Spectrum Strategy Committee:UKSSC)による正式フォーラムにおいて決定される。UKSSCは国防省(Ministry of Defense)とDCMSが議長を務め、省庁横断的な幅広いメンバー構成となっている。民生用の周波数管理を担うOfcomは政府省庁ではないため正式メンバーではないが、UKSSCの主な分科会の議長と事務局を務めており、職務上UKSSCの会議に出席し、電波政策における深い専門知識により、分科会での主導的立場に直結した重要な役割を果たしている。UKSSCの分科会は以下のとおりである。
(通信/Ⅰ-4の項参照)
Ofcomは国内の民生用周波数の管理を所掌するほか、電波利用に関する国際的な会議の場において英国を代表する。
British Standards Institution
Tel. | +44 345 086 9001 |
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URL | https://www.bsigroup.com/ |
所在地 | 389 Chiswick High Road, London W4 4AL, UNITED KINGDOM |
幹部 | John Hirst(会長/Chairman) |
就任時期 | 2019年1月 |
王立憲章(Royal Charter)と政府及びBSI間の覚書により、英国規格(BS)制定権限が独占的に付与された国家規格法人である。英国内における製品標準の制定、国内外の標準化の普及、製品テストの実施及び標準化に伴う各種情報サービスを行うことにより、英国の標準化活動を推進することを目的としている。ISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準会議)や、EN(欧州規格)の制定に参画するとともに、それらと整合性のとれた各種BSを制定している。また、基準認証制度における英国内の適合性評価機関にも指定されている。
英国では、以下の三つの周波数管理方針に従い、従来の「命令と管理(Command and Control)」と呼ばれる行政主導による周波数配分に加え、周波数の経済的価値に基づいた配分制度が推進されている。ただし、Ofcomによれば、周波数割当の主流は市場メカニズムによるも、長期的で戦略的な調和を踏まえ、現実に即した規制当局の介入を伴う、より効率的な周波数政策を追求しなければならないとしている。周波数管理方針は以下のとおり。
「2003年通信法」では周波数取引が導入され、周波数の免許移転やリースが可能となった(2003年通信法の当該規定は「2006年無線電信法」の成立により2007年8月2日に廃止)。モバイル用周波数を含む周波数免許も取引対象となっているが、周波数リースについては、原則、モバイル用周波数は対象外となっていたところ、2019年7月のローカル・アクセス免許(Local Access Licence)の制度化により、一部のモバイル周波数のリースが可能となった。
周波数の免許移転は、事前にOfcomの承認を得る必要があり、当該取引が競争を歪める恐れがあるかについて審査を実施する権限をOfcomは有している。2007年には、免許人の裁量でサービスや技術の変更が可能となるよう、「周波数使用権(Spectrum Usage Right:SUR)」(許容周波数帯域において免許を有する装置により輻射される電力束密度(Power Flux Density:PFD)値を制御する方式)と称される、隣接周波数帯域への最大干渉値を免許条件で規定する制度が導入された。
Ofcomが2021年7月に発表した「2020年代の周波数管理戦略(Supporting the UK’s wireless future – Our spectrum management strategy for the 2020s)」では、成長と革新を可能とする周波数管理ビジョンの達成を支援するために、①ワイヤレス・イノベーションの支援、②ローカル及び全国のサービスに適した免許付与、③周波数共用の促進の三つの領域が特定された。当該戦略を踏まえ、Ofcomは2022年3月に「周波数ロードマップ」を発表し、Ofcomが今後取り組む分野として、①ネットワークの進化と融合、②周波数サンドボックスを活用したイノベーションと周波数共用の促進、③より効率的な周波数管理のためのより現実世界に即したデータの獲得、を提示した。
無線局の開設又は使用には原則として無線局免許が必要とされ、「2006年無線電信法」を根拠にOfcomにより付与される。Ofcomが付与する無線局免許には、以下の3種類がある。
一方、無線局・機器・装置の使用が他の合法的な電波の使用に対して不当な妨害を与える恐れのない場合や免許を要することが国際的義務にそぐわない場合、Ofcomは免許の適用を免除しなければならないとされており、免許不要の無線機器には、移動電話端末等のネットワーク・ユーザ局等が含まれる。
DSITは2023年4月、「ワイヤレス・インフラストラクチャ戦略(Wireless Infrastructure Strategy:WIS)」を発表し、ワイヤレス・インフラを利用し、国全体の「成長、革新、可能性を解き放つ」ための施策パッケージを発表した。この施策には、2030年までに英国のすべての人口密集地域を5G SAでカバーするという画期的な目標や、衛星ブロードバンドで遠隔地を接続するための800万£の資金援助が含まれている。
DSITは、WISは政府の優先課題である経済成長を実現するための政策枠組で、今後10年間、英国がワイヤレス接続の進歩の恩恵を受けられるようにするためのものとし、周波数が電気通信やその他の分野で果たす役割の重要性を指摘している。また、従来は移動電話網に焦点が当てられてきたが、Wi-Fi、衛星通信サービス、プライベート網、低電力広域網等、他の無線技術の役割の重要性も指摘されている。
DSITは2023年4月、WISに付随して、英国における周波数政策の戦略的ビジョンと原則を定めた、新しい「スペクトラム・ステートメント(Spectrum Statement)」を発表した。DSITは、英国が世界の科学技術進歩の最前線に位置し、研究、革新、経済全体の成長を支援すると同時に、防衛や気候科学等の重要なサービスを保護するという英国の使命を達成するためには、官民を問わず周波数帯域の利用を最大化することが不可欠であるとしている。周波数を戦略的な公共資産として認識し、成長と社会的便益のためのより大きな機会を創出するために、周波数の利用と管理におけるイノベーションに焦点を当てている。具体的には、周波数の再利用の可能性を指摘し、ローカル周波数帯や共用周波数帯の利用拡大、自動化されたダイナミックな周波数帯へのアクセス、より価値の高いサービスに対応するための周波数帯の再編、より俊敏で干渉に強い技術の利用等の機会について言及されている。
なお、DSITは2023年に、公共セクター周波数解放プログラム(Public Sector Spectrum Release Programme:PSSRP)の終了を発表し、政府関係省庁及びOfcomと協力して、公共セクターが使用する周波数に関する次の段階の枠組みを開発すると発表した。当該枠組みは需要主導型で、次の三つの原則に従いながら、政府の周波数利用方法と各省庁のOfcom とのかかわり方を定期的に見直すことが含まれる。
DSITは、WIS及びスペクトラム・ステートメントを踏まえて、Ofcomに対して以下を要請した。
a) 地方におけるネットワーク・パフォーマンス・レベルの報告精度を向上させる。
b) クラウドソーシング・データの利用を含め、モバイル・ネットワークのカバレッジと品質の測定を改善し、ユーザの体験をより正確に反映できるよう、予測モデリング・データを補足する。
c) 英国で導入が始まった5G SAのカバレッジに関して報告する。
d) 鉄道網における乗客のモバイル通信可能範囲を測定する。
e)4Gと5Gの良好なカバレッジの定義を継続的に見直し、これらの定義が、利用方法とニーズの進化に伴う消費者の期待を反映し続け、カバレッジ報告に反映する。
a) 年間免許料の見直し
周波数に対する管理インセンティブ料金設定(Administrative Incentive Pricing:AIP)の導入から20年が経過しているため、当初の推進力と将来の課題に照らして見直す良い機会とし、ネットワークへの良好な投資環境の確保も考慮する。
b) 周波数共用
Ofcomが計画している共用アクセス免許の申請プロセスの自動化に優先順位をつけ、その実施を加速させるための選択肢を検討し、業界が必要とする期間内に自動化が行われるようにする。
同一帯域又は隣接帯域の既存サービスを保護しつつ、企業ネットワークの規模を拡大することを視野に入れ、ローカル・アクセス免許と共用アクセス免許の免許条件に関して、更にどのような措置を講じることができるかを検討する。
関連する国際的な事例をもとに、共用アクセス免許の帯域を含め、英国におけるダイナミック・スペクトラム・アクセスタイプの機会の範囲について直近の評価を行い、6Gの商用展開に先立って、このようなアダプティブ・アクセスを実施する準備を整える。
c) 6G周波数
英国が6G技術と関連アプリケーションの開発にとって魅力的な拠点となるようにしなければならない。研究開発に適した周波数帯を早期に確保し、次世代技術の開発とその後の展開のために、国際的に調和された周波数帯を商用サービスにタイムリーに利用できるようにする。
6Gに関する国際的なビジョンの策定に英国が積極的に関与していることを踏まえ、国際的なアプローチが英国の利益にかなうよう影響力を最大化し、これらのサービスの商業化に適した調和のとれた周波数帯をタイムリーに利用できるようにする。
共用ベースのローカル免許割当を導入するため、Ofcomは2019年7月、共用ベースで利用可能な周波数を「共用アクセス免許」又は「ローカル・アクセス免許」として先着順で割り当てる声明文書を発表した。Ofcomは、新たな共用枠組の導入によるローカル・アクセスの実現によって、製造、物流、農業、鉱業、健康、企業等の幅広い分野において、イノベーションの恩恵を受けることが可能になるとしている。
共用アクセス免許の対象となる帯域は、1800MHz帯、2300MHz帯、3.8-4.2GHz帯及び26GHz帯である。26GHz帯は、700MHz帯と3.6GHz帯と合わせて、EU域内で5Gパイオニアバンドとして特定されているが、そのうちの低帯域(24.25-26.5GHz)を屋内利用限定で割り当てる。共用アクセス免許の申請受付は、2019年12月9日より開始されている。
対象帯域 |
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・26GHz低帯域(24.25-26.5GHz) |
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共用相手 |
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・固定リンク、衛星地球局、PMSE、SRD |
免許区分 |
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年間無線電信免許料(12か月) |
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免許条件 | 免許付与後6か月以内に送信を開始し、運用を継続する。この条件を満たせない場合は、1か月前に免許の取消しが通知される。 | |
免許申請 | 2019年12月9日より免許申請の受付けを開始。 | 本声明文書発表後より免許申請の受付けが開始。 |
出所:Enabling wireless innovation through local licensing Shared access to spectrum supporting mobile technology, STATEMENT: Publication Date: 25 July 2019
https://www.ofcom.org.uk/__data/assets/pdf_file/0033/157884/enabling-wireless-innovation-through-local-licensing.pdf
一方、ローカル・アクセス免許は、既に移動体通信事業者に割り当てられているものの、地域によって使用されていない、あるいは、向こう3年以内の使用計画がないモバイル用周波数を、新たなユーザに開放する。対象となるモバイル用周波数の帯域は、以下の9バンドである。
Ofcom声明文書の発表直後より、免許申請の受付けが開始され、申請が認められた場合は、1免許当たり950£で3年間使用することができる。
その後Ofcomは共用アクセス枠組を改善し、2024年7月に、以下の決定事項を発表した。
また、共用アクセス枠組の利用拡大を支援するため、以下の提案も行った。
Ofcomは2022年3月、宇宙周波数戦略案を発表した。衛星通信技術の利用を促進し、非静止軌道衛星によるブロードバンド・サービスの普及を拡大する。主な内容は以下のとおり。
その後、Ofcomは2022年6月、静止軌道及び非静止軌道衛星サービスに接続する多数の端末の展開をサポートするため、14.25-14.5GHz帯の地球局ネットワーク(Earth Station Network:ESN)の衛星免許(ESN免許)に基づく衛星サービスへのアクセスを拡張することを提案する公開諮問を実施した。Ofcomは、14.47-14.5GHz帯を使用する既存の電波天文を保護するため、同帯域での航空端末の利用を禁止し、陸上・海上端末では二つの電波天文周辺での利用を制限する等の運用制限を設けることで、ESNの利用を認める声明文書を2022年11月に発出した。Ofcomは新しい非静止軌道衛星サービスを奨励するために、2023年に入ってから公開諮問を行い、これに基づき9月にESN免許に関する更新の声明文書を発表した。声明文書によれば、主な変更点は以下のとおり。①すべての非静止軌道衛星サービス事業者がESN免許を持つことを保証するため、及びこれらのサービスが英国、マン島、チャンネル諸島の領海内で認められることを明確にするために、非静止軌道の海上地球局を含めること、②非静止軌道システムが引き起こす有害な電波干渉から、静止軌道衛星サービス、電波天文等を保護することをサポートするための新しい免許条件、③免許の地理的境界の定義の追加。新規の免許はESN免許を与えられるすべての将来の申込者に発行され、更新条件はすべての既存の免許保持者に対して、現在の免許の形に応じて適用される。
また、Ofcomは2023年3月に現在Arqivaに付与されている28GHz帯(27.5-30GHz)へのアクセス免許を多様化することで合意した。これは2026年7月までArqivaの同帯域における免許使用を許可された3か所のみに制限することを意味する(2026年7月以降同社の免許は終了)。その結果、Ofcomに英国全土で利用可能となる448MHzの未割当周波数が戻ることとなる。Ofcomはこの未割当周波数及び28GHzの四つの「ガードバンド」を、非静止軌道衛星地球局及び静止軌道衛星地球局のゲートウェイに利用可能とするための提案を示した。
Ofcomは2024年7月、英国におけるD2D(Direct to Device Services)とMSS(Mobile-Satellite Service)の潜在的な供給と需要、及び関連する周波数ニーズについて把握するため、以下に関する意見募集を開始した。
Ofcomは2022年12月、ドローン事業者、特にモバイルや衛星技術を利用して目視外飛行を行う事業者のための新たな免許制度を創設した。「無人航空機システム・オペレータ無線免許」の導入により、ドローンによる商用サービスの革命への道を開く手助けをするとしている。免許を受けたオペレータに対して、現在許可されていないデータ及び映像の制御・伝送を行うための移動端末及び衛星端末を「無人航空機システム(Unmanned Aircraft Systems:UAS)」/ドローンフリートで使用する権限を与える。また、Ofcomは、UASが衝突を回避し、英国の空域に安全に統合できるようにするための安全装置の利用も許可することを提案している。ただし、免許人が公衆モバイル・ネットワークに接続するモバイル技術の使用を希望する場合は、事前に使用を希望するネットワークの運営者から許可を得る必要がある。
Ofcomは2023年3月に2100MHz帯のアンペアバンド(1899.9-1920MHz)の将来の使用可能性に関する見解についての公開諮問を実施した。当該周波数帯は、免許が割り当てられているものの未使用の状況であるため、現在の免許を取り消し、再割当を行うことが適切であるとし、当該周波数帯域を新たな目的で使用する可能性を示した。Ofcomは2024年6月、2100MHz帯のすべての免許(EE、Hutchison 3G UK及びTelefonica UK)を5年前に取り消すことを決定、免許は2029年4月3日に失効する。当該帯域の将来の割当てについては、ESN(Emergency Services Network)ゲートウェイ向けの代替周波数を含めて協議する予定である。
Ofcomは2022年5月から7月まで、ミリ波帯の26GHz帯(24.25-27.5GHz)及び40GHz帯(40.5-43.5GHz)を、5Gを含むモバイル技術に活用できるようにするための公開諮問を実施した。諮問に基づき2023年3月には、モバイル技術を最善に活用できるようにする観点から同ミリ波帯の割当方針が公表された。それによると、英国内で最もミリ波の使用量が多いと考えられる主要都市(高密度地域)では、26GHz帯及び40GHz帯を使用するための共用アクセス免許をオークションにかける一方、ミリ波使用の頻度が低いと考えられる低密度地域では、Ofcomの共用アクセス免許の枠組みを活用し、先着順で免許を割り当てることとした。更に同年9月にはオークションのデザイン案が公表されている。
【対象周波数帯】
【入札ロット】
【最低入札価格】
オークションは2段階で構成されており、第1段階では各入札者に割り当てられる各ロットの周波数保有量が決められる。2段階目では、1段階目で入札した者に対し、正確な周波数保有量が決められる。
Beyond 5Gを見据え、Ofcomは2020年10月、超高周波数(Extremely High Frequency:EHF)の三つの帯域(116-122GHz、174.8-182GHz及び185-190GHz)を、非保護・非干渉ベースで利用可能とする周波数免許を制度化した。また、2024月2月より、Ofcomのウェブサイトからの申請で、新しい無線技術の開発に使用できる18GHz以上のEHFに簡易かつ柔軟にアクセスできるようになった。 この電波を利用できる分野には、ヘルスケア、ロボット工学、通信、セキュリティ等がある。
Ofcomは、ボーダフォンと、テレフォニカUKに対し、900MHz帯、1.8GHz帯、2.1GHz帯のモバイル免許の技術的条件をリクエストに応じて、モバイル免許所有者が免許変更を利用できるよう変更を行った。この決定によりボーダフォンは900MHz、1800MHz、2100MHz、2.6GHzの周波数帯に5Gを展開することが可能になる。また、2570-2620MHzのサブバンドにおいて、テレフォニカUKとボーダフォン間の技術パラメータを緩和することが可能になった。
また各事業者は現在利用可能な15MHzから20MHzまで帯域幅の制限を更新し、テレフォニカUKは、20MHz帯を制限なしに使用することが可能になった。
7.8-8.4GHz帯については、Ofcomは国防省と協力し、国防目的で使用しない168MHz幅のペアバンド(8078-8162/8286-8370MHz)を特定し、28MHz幅×2の三つのチャネルを利用可能とした(2019年12月)。当該帯域は、固定やモバイルのバックホール、放送インフラ、専用アプリケーション向けの低遅延インフラ等を含む固定無線サービスへの需要に対応することが期待されている。
Ofcomは2019年10月、700MHz帯及び3.6-3.8MHz帯の5G周波数オークション制度設計案改訂版の公開諮問を開始した。2018年12月にOfcomが発表した提案では、落札者がモバイル・カバレッジ義務を引き受ける代わりに、落札額から一定額を割り引くことが示された。しかし、4大モバイル事業者(EE、O2 UK、3 UK、ボーダフォンUK)は、最大5億3,000万£の設備投資を行うことで、4社すべてのネットワークがカバーされていない農村地域をエリア化するため、共用ルーラル・ネットワーク(Shared Rural Network:SRN)を共同で構築するコミットメントを発表した。EEはSRNの一環として2024年6月までに2,000以上の地域で4Gをアップグレードすることを2021年12月に発表し、新規及び既存の鉄塔又はインフラを既存4社で共有し、4社すべてによってカバーされていないエリアを大幅に削減する。なお、コミットメントで約束したカバレッジ条件は以下のとおり。
また、このコミットメントの提案は、Ofcomが2021年初頭に予定していた5G周波数オークションではカバレッジ義務を課さないこと、また、現在全くカバーされていない地域は政府資金でエリア化することを前提としていた。これに対してDCMSは2019年10月25日、4大モバイル事業者との間で官民合わせて10億£の設備投資をすることで合意した。これにより5G周波数オークションではカバレッジ義務が課されないことが決まった。
今回の制度設計案の概要は以下のとおり。
モバイル事業者が保有できる周波数幅の上限を、全周波数の37%に相当する416MHz幅とする。これにより、既存事業者に対して、BT/EEは120MHz幅、ハチソン3GUKは185MHz幅、ボーダフォンは190MHz幅の獲得制限が課せられる。
同時複数回競り上げ(Simultaneous Multiple Round Ascending:SMRA)を採用する。プリンシパル段階と割当段階の2段階方式で、前者で入札者による競り上げによって周波数の量(ロット数)が決定され、後者で1回限りの第2位価格方式の封印入札によって各入札者のロットの割当場所が決まる。
Ofcomは、「2006年無線電信法」に基づき、当該制度設計を踏まえた周波数オークション規則である「2020年無線電信(免許割当)規則(The Wireless Telegraphy (Licence Award) Regulations 2020)」案についての公開諮問を実施、2020年11月に同規則が発効した。
オークションの入札申請の受付けは2020年12月に開始され、2021年3~4月にオークションが実施された。落札結果は以下のとおり。
落札者 | 落札周波数 | 落札額 |
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EE | 723-733MHz/778-788MHz | 2億8,000万£ |
738-758MHz | 400万£ | |
3680-3720MHz | 1億6,800万£ | |
小計 | 4億5,200万£ | |
ハチソン3G UK | 713-723MHz/768-778MHz | 2億8,000万£ |
テレフォニカUK | 703-713MHz/758-768MHz | 2億8,000万£ |
3760-3800MHz | 1億6,800万£ | |
小計 | 4億4,800万£ | |
ボーダフォン | 3720-3760MHz | 1億7,640万£ |
合計 | 13億5,640万£ |
出所:https://www.ofcom.org.uk/__data/assets/pdf_file/0028/217954/notice-reg-121.pdf
https://www.ofcom.org.uk/news-centre/2021/spectrum-auction-principal-stage-results
Ofcomは2023年11月、5Gサービスを含むモバイル技術にミリ波帯(26GHz帯及び40GHz帯)を開放するため、免許付与手続にかかわるオークション計画を発表した。都市における通信容量と通信速度の向上、大量のデータと超高速通信を可能にする革新的無線アプリケーションを促進する。オークションは以下の三つのカテゴリーに分類される。
各ロットは200MHz幅のブロックで構成。最低価格は、26GHz帯の下位ロット及び26GHz帯の上位ロットが200万£、40GHz帯のロットが100万£。オークションは2段階で実施。クロック・オークションとなるメイン・ステージで各入札者に割り当てられる周波数帯の数量を決定。その後、割当段階で正確な周波数を決定する。ただし、2024年4月にオークション計画が見直され、割当段階に交渉期間を含めないことが決定されたが、オークション後の周波数取引を容易にするために、割当段階の結果を入札者に通知した後すぐに、かつ免許が付与される前に、入札者が交渉を開始できるようにするとした。
Ofcomは、2015年世界無線通信会議(WRC-15)に向けた準備プロセスにおいて、新たに5350-5470MHz、5725-5850MHz及び5850-5925MHzをWi-Fiサービスへ割り当てることを提案し、5150-5925MHzまでの合計775MHz幅を免許不要帯域とする方針を示した。そして、2016年6月には、2019年世界無線通信会議(WRC-19)を待つことなく、英国独自の判断で実施可能な施策として、5725-5850MHz帯をWi-Fiに開放し、その他の帯域については引き続き検討オプションとして取り扱っていくとする計画案を公開し、意見募集を行った。Ofcomは2017年7月13日、既に同年3月に決定していた5.8GHz帯(5725-5850MHz)のWi-Fi向けの利用について、併せて公開諮問していた同周波数帯を免許不要帯域とするための「2017年無線電信免許免除規則(Wireless Telegraphy Exemption Regulation 2017)」の制定やスマートフォン等の無線機器のメーカーが順守すべき技術的条件(最小空中線電力を200mW/MHzとすることや固定屋外利用の禁止等)、当該条件の実施に当たってのガイダンス等について原案どおり決定したと発表した。
また、Ofcomは2020年1月より6GHz帯の低帯域(5925-6425MHz)をWi-Fi及びその他のRLAN(Radio Local Area Network)で利用可能とすることについて公開諮問を開始し、2020年7月に当該帯域の免許不要での利用を認めることを決定した。更に、Ofcomは2022年9月、5150-5250MHzをWi-Fiその他のRLANに開放し、5170-5250MHzでの上空利用を許可するとともに、ITS(Intelligent Transport Systems)向けの周波数を20MHz幅拡張して5875-5925MHzを割り当てた。
6GHz帯の高帯域(6425-7125MHz)については、Ofcomは2023年7月に、モバイルとWi-Fiの両方の使用を可能にするため、以下の内容を含む「ハイブリッド・シェアリング」を提案した。
その後Ofcomは、6GHz帯の高帯域の将来ビジョンを2024年5月に発表し、モバイルとWi-Fiのハイブリッド・シェアリングを実現し、当該帯域の利益をすべてのユーザが最大限享受できるよう、国際的なパートナーと協力して整合規格を推進していく方針を示した。また、2025年にハイブリッド・シェアリングのメカニズムについての公開諮問を開始する予定である。
Ofcomは2020年6月、短距離の無線デバイスの使用を支援するため、874-874.4MHz及び915-919.4MHzの周波数帯の使用に関する技術的な変更、無線周波数識別デバイス(RFID)やIoTデバイスが同帯域を利用できるよう、「2020年無線電信(免除及び改正)(改正)規則(The Wireless Telegraphy (Exemption and Amendment) (Amendment) Regulations 2020)」を改正した。本改正に伴い、当該帯域を使用するSRDは、Ofcomが2020年5月に公表したSRDの技術的条件を定めるインターフェース要件第2030号(IR 2030–UK Interface Requirements Licence Exempt Short Range Devices)に従う。その後、2022年9月に、870-874.4MHz、917.3-918.9MHz及び917.4-919.4MHzの帯域(「870/915MHz帯」)でのSRDアプリケーションにかかわる技術的な変更が加えられた。
英国で周波数利用の対価として支払われるのは、無線電信法免許料(Wireless Telegraphy Act Licence Fee)である。無線電信免許の多くは1年で更新され、その際に初回の料金と同額の更新料を支払う。
「1998年無線電信法」の制定により、無線電信法免許料の算定に、市場原理を取り入れた「スペクトラム・プライシング」と称される、無線電信免許の免許料設定方法が導入された。スペクトラム・プライシングは、①管理的料金設定(Administrative pricing)と、②オークションによる料金設定の2本柱で構成される。
管理的料金設定は、①インセンティブ料金設定(Incentive pricing)と、②規制的料金設定(Regulatory pricing)の二つに分けられ、前者は管理インセンティブ料金設定(AIP)と呼ばれ、電波の効率的な利用を促進するため、市場原理との関連性を持たせることを目的に、帯域幅、カバー地域、共用の度合い、地理的立地等の諸要素に基づき算出される電波利用料で経済的価値が勘案される。一方、後者は、市場原理とは無関係に周波数管理費用のみが回収される仕組みである。AIPは「2006年無線電信法」により、政府機関が使用する周波数に対しても適用されている。
Ofcomは「2003年通信法」第400条に基づき、以下について徴収することが義務付けられている。
「2017年デジタル経済法」は、Ofcomが無線電信法に基づくその機能に関連して受領した金額を保持することを認める法改正を導入した。Ofcomは、一般的な周波数管理機能、及び料金徴収ができないその他の機能を遂行するための費用を賄うために、このような金額を保持することができる。
2023/24年度、無線電信法に基づく免許は39万6,924件(2022/23年度:38万8,757件)発行された。無線電信法に基づく免許は、タクシー会社、アマチュア無線プロバイダ、移動体通信事業者、テレビ・ラジオ放送事業者等、様々な周波数利用者に付与されている。Ofcomは2023/24年度、無線電信法に基づく免許人から3億4,480万£(2022/23年度:9億8,910万£)を徴収し、現金残高から得た利息と合わせてDSITに移管し、残りの860万£を連結基金に移管した。Ofcomは、資金提供制度の設立に先立ち、主に周波数帯管理、通信セキュリティ、オンライン安全対策に資金を提供するため、1億2,670万£(2022/23年度:1億1,200万£)を留保した。
「2003年通信法」第163条に基づき、Ofcomは特定の政府省庁から周波数利用料を受け取っており、2023/24年度は1億3,900万£(2022/23年度:1億3,900万£)であった。これには国防省、運輸省(Department for Transport)、企業貿易省(Department for Business and Trade)、内務省が含まれる。当該料金は歳出見直しの決済の一部として財務省によって合意される。これらの収入は無線電信法に基づく支払いではないが、商用免許から受け取る現金と同様に扱われる。
2017年英国周波数分配表(UK Frequency Allocation Table 2017)は以下のとおり。