英国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)

通信

Ⅰ 監督機関等

1 科学・イノベーション・技術省(DSIT)

Department for Science, Innovation and Technology

Tel. +44 20 7215 3000
URL https://www.gov.uk/government/organisations/department-for-science-innovation-and-technology
所在地 100 Parliament Street, London, SW1A 2BQ, UNITED KINGDOM
幹部 Liz Kendall(科学・イノベーション・技術大臣/Secretary of State for Science, Innovation and Technology)
所掌事務

2023年2月の省庁再編により成立。主な所掌内容は、①英国を世界の科学技術進歩の最前線に位置付けること、②生活を変え、経済成長を維持するためのイノベーションの推進、③経済、安全保障、公共サービスを支える人材育成プログラム、物理的・デジタルインフラ及び規制の推進、④研究開発資金である。

2 内務省

Home Office

Tel. +44 20 7035 4848
URL https://www.gov.uk/government/organisations/home-office/
所在地 2 Marsham Street, London, SW1P 4DF, UNITED KINGDOM
幹部 Shabana Mahmood(内務大臣/Secretary of State for the Home Department)
所掌事務

主な所掌分野は、移民管理のほか、犯罪対策、テロ対策、警察業務等である。情報通信関連では、法執行機関等による通信傍受や通信データの取得、オンライン上のセキュリティ、児童に対する性的搾取等に関する取組みを関係省庁と共に担当している。

3 内閣府

Cabinet Office

Tel. +44 20 7276 1234
URL https://www.gov.uk/government/organisations/cabinet-office/
所在地 70 Whitehall, London, SW1A 2AS, UNITED KINGDOM
幹部 Nick Thomas–Symonds(内閣府大臣/Paymaster General and Minister for the Cabinet Office)
所掌事務

首相及び内閣の支援等を行うとともに、省庁横断の重要施策についても担当する。現政権においては、情報通信関連では、電子政府、オープンガバメント、サイバーセキュリティ等に関する事務を関係省庁と共に担当している。

4 通信庁(Ofcom)

Office of Communications

Tel. +44 20 7981 3000
URL https://www.ofcom.org.uk/
所在地 Riverside House, 2a Southwark Bridge Road, London, SE1 9HA, UNITED KINGDOM
幹部

Melanie Dawes(長官/Chief Executive)

Michael Grade(議長/Chair)

所掌事務

通信・放送の融合を想定し、幅広い権限を持つ合議制の新規制機関として2003年12月に設立された。コンテンツ規制から周波数管理、電気通信及び放送事業に対する経済的規制まで所掌するほか、「2003年通信法」の第369条から第372条の規定に基づき、「1998年競争法(Competition Act 1998)」及び「2002年企業法(Enterprise Act 2002)」の適用における権限を持つ。2017年4月よりBBCの外部規制機関としての活動を開始した。「2023年オンライン安全法」に基づきオンライン安全の規制機関となった。

Ofcomには、中心的な統治機能を有し戦略的な方向性を打ち出すOfcom Boardのほかに、Ofcom Spectrum Advisory Board(周波数を戦略的に管理)、Content Board(テレビやラジオの品質を管理)があり、更に各種の委員会、諮問機関がある。

5 競争・市場庁(CMA)

Competition and Markets Authority

Tel. +44 20 3738 6000
URL https://www.gov.uk/government/organisations/competition-and-markets-authority/
所在地 25 Cabot Square London E14 4QZ, UNITED KINGDOM
幹部 Sarah Cardell(最高責任者/Chief Executive)
所掌事務

競争委員会と公正取引庁が2013年10月に統合され、2014年4月1日より業務を開始した。独立した非省庁政府機関であり、同国における主な競争・消費者保護当局である。競争的な市場を促進し、不公正な行為に対処することで、個人、企業、英国経済を支援する。当機関の権限は「2013年企業規制改革法(Enterprise and Regulatory Reform Act 2013)」に基づく。

6 情報コミッショナーズオフィス(ICO)

Information Commissioner’s Office

Tel. +44 303 123 1113
URL https://ico.org.uk/
所在地 Wycliffe House, Water Lane, Wilmslow, Cheshire SK9 5AF, UNITED KINGDOM
幹部 John Edwards(情報コミッショナー/Information Commissioner)
所掌事務

情報に関する権利を守るために設立された独立情報保護監督機関である。戦略的・永続的な目標として、①人々を保護し、力を与える、②責任あるイノベーションと持続可能な経済成長の推進、③オープン性、透明性、説明責任の促進、④価値に基づく文化・能力・力量の継続的発展を掲げる。2023年2月に監督官庁が文化・メディア・スポーツ省(Department for Culture, Media and Sport:DCMS)からDSITに変更された。

7 国家サイバーセキュリティ・センター(NCSC)

National Cyber Security Centre

URL https://www.ncsc.gov.uk/
所在地 London, UNITED KINGDOM
幹部 Lindy Cameron(長官/Chief Executive)
所掌事務

政府通信本部(GCHQ)傘下の一組織として、国家、ハッカー、サイバー犯罪者からの脅威等、最先端のサイバー脅威に対する英国の防御を主導する。企業と市民にガイダンス、ツール、フレームワークを提供し、サイバー攻撃やサービス中断の際のインシデント対応、被害の最小化、業務復旧を支援する。

Ⅱ 法令

1 2003年通信法(Communications Act 2003

英国の情報通信分野における基本法令。EUの「2002年電子通信規制パッケージ」(「新たな規制枠組(枠組指令、アクセス・相互接続指令、認可指令、ユニバーサルサービス指令、無線周波数決定)」)の国内法制化等を目的として、2003年7月に成立した。主な内容は以下のとおり。①Ofcomの設立、既存の五つの規制機関を統合し、単一の規制機関(Ofcom)を設立、②放送サービス規制の見直し、③市場競争、④コンテンツ評議会の設置、⑤電気通信システムの免許要件の廃止と電子通信網、サービス、関連設備に対する規制枠組への変更、⑥周波数取引の導入、⑦消費者審議会の設置、⑧メディア所有規制の緩和。

2 2006年無線電信法(Wireless Telegraphy Act 2006

英国の電波管理における基本法令。本法は、Ofcomによる周波数管理に関する根拠法が、「1949年無線電信法(Wireless Telegraphy Act 1949)」「1967年無線電信法(Wireless Telegraphy Act 1967)」「1998年無線電信法(Wireless Telegraphy Act 1998)」「1967年海事等・放送(妨害)法(Marine, etc., Broadcasting(Offences)Act 1967)」「1984年電気通信法(Telecommunication Act 1984)」(Part6)及び「2003年通信法」(Part2 Chapter2等)の6本の法律に分かれていたものを、一つの法律にまとめたものであり、わずかな例外を除いて、従来の法令の内容に変更を加えていない。本法の成立により、「1949年無線電信法」「1998年無線電信法」及び「1967年海事等・放送(妨害)法」の全部を含む、従来の関連規定はすべて削除されている。

3 2011年電子通信及び無線電信規則(Electronic Communications and Wireless Telegraphy Regulations 2011

2011年5月に、EUの指令を実装する形で、通信法の一部、無線電信法の一部をそれぞれ改正した。基となるEUの指令は、「より良い規制指令(Better Regulation Directive)」と「市民の権利指令(Citizens’ Rights Directive)」であり、新規移動電話契約とブロードバンド契約の縛りを最長でも24か月とすること、移動電話の番号ポータビリティを1営業日で実施すること、及び障がい者による緊急通報を支援すること等が含まれる。

4 2017年デジタル経済法(Digital Economy Act 2017

2017年4月に、英国がデジタル経済において世界で優位に立つことを目的として既存の基本法令の一部改正等を含む「2017年デジタル経済法」が成立した。主な規定事項は、ブロードバンドのユニバーサルサービス義務化、各種消費者支援策の実施、デジタルインフラの構築支援、年齢認証義務付け等による青少年のオンラインポルノからの保護、知的財産権の保護強化、電子政府の推進、Ofcomの権限強化等、多岐にわたるものとなっている。

5 2018年データ保護法(Data Protection Act 2018

新たなデジタル時代にふさわしいデータ保護の枠組みの構築とともに、EU離脱後の英・EU間の円滑な越境データ流通の維持を目的として、従来の「1998年データ保護法」に代わる「2018年データ保護法」が制定された。同法は、2018年5月からEU加盟各国に直接適用される一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)を国内法制化すること等を主な内容とし、データ主体の権利を強化するため「忘れられる権利」や「データポータビリティの権利」「プロファイリングによる個人に関する決定の対象とならない権利」等を規定している。

6 2021年電気通信(セキュリティ)法(Telecoms (Security) Act 2021

英国の電気通信ネットワークの安全性を確保するため、2021年11月に「電気通信(セキュリティ)法」が成立した。通信事業者のセキュリティ義務を強化、政府にセキュリティ要件設定権限を付与、Ofcomに通信事業者が順守しない場合の強制措置の執行等の権限が付与された。政府は通信ネットワークに対して、ハイリスクベンダから調達した既存の機器を撤去するよう要求することができる。Ofcomは、事業者がセキュリティ義務を順守していない場合、関連する収入の最大10%、継続的に違反を繰り返す場合には1日当たり10万£の罰金を課すことができる。

7 2023年オンライン安全法(Online Safety Act 2023

2023年10月に勅許を得て成立した。主として、ユーザ間サービス事業者、検索サービス事業者、ポルノコンテンツプロバイダに対し、オンライン上の違法・有害コンテンツに対処する義務を課す。Ofcomをオンライン安全規制当局に位置付け、監督と執行の権限を付与する。

8 2024年デジタル市場・競争・消費者法(Digital Markets, Competition and Consumers Act 2024

2024年5月に勅許を得て成立した。デジタル市場の競争促進に向け、以下のとおり、CMAの規制権限及び義務を強化する。①調査と競争法執行の権限、②調査と消費者保護法執行と消費者紛争解決の権限、③不公正な商行為、サブスクリプションのトラップ、貯蓄制度への前払いにおける消費者保護等。

9 2025年データ(利用とアクセス)法(Data (Use and Access) Act 2025

2025年6月に国王の裁可を経て成立した。「英国一般データ保護規則(UK GDPR)」「2018年データ保護法」「プライバシー及び電子通信規則」を補完・改正する。スマートデータとデータポータビリティの推進、デジタル本人確認サービスの法整備、ICOの再編と権限強化、自動化された意思決定(AI含む)の規制緩和、国際データ移転の要件緩和、クッキー・電子マーケティング規制の強化、「合理的かつ相応な」データアクセス対応、正当な利益の評価の簡素化(犯罪防止や保護等の特定の活動の順守の簡素化)、新たな苦情処理プロセスの導入等が主な内容となっている。

Ⅲ 政策動向

1 免許・認可制度

(1)EU指令による免許制度の改正

「2003年通信法」に基づき、一般認可(General Authorization)制度が導入された。すべての通信事業者に課される一般条件(General Conditions of Entitlement)と、一部の事業者に課される特別条件(Specific Conditions)によって構成され、これらの条件を満たした者に対し、電子通信ネットワーク及び電子通信サービス(Electronic Communications Networks and Services)の提供を認める。

(2)外資規制

対内直接投資を規制する法的枠組は存在しない(1997年に政府はBTの黄金株を放棄した)。資本における内外無差別の原則は、「1998年競争法」「2000年公共事業法(Utility Act 2000)」「2002年企業法」等によって法的に担保されている。一方で、2002年企業法には、国家安全保障・金融の安定・メディア多様性の確保を理由とする場合に加え、一定規模以上の英国企業の合併・買収等にかかわる場合(合併等される企業の収入が7,000万£超の場合または合併等によって25%以上の市場シェアが生じる、もしくは増大する場合)に限っては、公共の利益を確保する観点から政府が介入できる旨の規定が盛り込まれている。

2 競争促進政策

(1)相互接続

「2003年通信法」に基づき通信事業者は、他事業者のネットワークと公平・合理的・非差別的な条件で接続する義務を負う。Ofcomは顕著な市場支配力(Significant Market Power:SMP)を持つ事業者に対して「Reference Interconnect Offer(RIO)」の公開を義務付け、技術仕様・料金・品質等を明示させることで、競争事業者の市場参入を支援する。

(2)SMP規制

「2003年通信法」に基づきSMP事業者にはネットワークアクセス義務、価格規制、情報公開義務等が課される。Ofcomは定期的に市場レビューを行い、料金規制や品質基準等のSMP条件を設定・改訂する。

固定通信及びブロードバンド市場では、2021年3月の「Wholesale Fixed Telecoms Market Review 2021-2026(WFTMR)」に基づき、BTが物理的な通信インフラの提供と、ブロードバンドと専用線サービス(ロンドン中心部を除く)の卸売市場において、SMP事業者と指定された(ハル地域以外、ハル地域ではKCOMがSMP事業者として認定)。傘下のローカルアクセス会社であるオープンリーチ(Openreach)の電信柱と地下ダクトの開放に関して監視が強化されるとともに、オープンリーチの製品に対して以下の地理的規制が導入された。①競争の激しいエリアでは規制なし、②実質的な競争がある地域では卸アクセスの提供義務、③オープンリーチが唯一の事業者である地域では投資コストを回収できるようにコストベースの料金管理。更に少なくとも2031年まで、コストベースの料金規制を導入する予定はなくなった。なお、2024年3月には、2026年4月から2031年3月までが対象となる「Telecoms Access Review 2026」が発表された。2026年初めに最終決定が発表される計画である。英国のブロードバンドインフラの将来性を確保し、ギガビット対応ブロードバンドの競争と投資を促進し、消費者により良いサービスとより多くの選択肢を提供するための環境整備を目的とする。

移動体通信サービス市場では、Ofcomによる市場レビューに基づき、移動体通信サービスプロバイダ67社がSMP事業者と指定され、アクセス義務と料金規制が課されている。

(3)番号ポータビリティ

固定電話については1996年にBTが導入、1997年に全固定通信事業者に導入が義務付けられた。移動体通信については1999年1月に導入された。Ofcomは2019年7月から、テキストメッセージを送信するだけで移動電話サービス事業者の乗換えが2時間以内に可能になる新制度を導入した。利用者は、事業者を乗り換える旨の通知を契約事業者に送信すれば(無料)、乗換作業に必要となるポーティング認証コード(Porting Authorisation Code:PAC)が契約者に自動的に送信される。テキストで通知を受けた通信事業者は、即座に、あるいはそれが不可能な場合は2時間以内にPACを契約者に送らなければならない。新旧両方の事業者への支払いが同時に発生する問題についても、乗換完了日以降は、旧事業者は元顧客に課金することができなくなったため、消費者は新旧両方の事業者から同時に課金されることがなくなった。

3 通信インフラ整備政策

(1)ユニバーサルサービス義務

「2003年通信法」の規定に基づき、2003年7月、「ユニバーサルサービス命令(Universal Service Order:USO)」が制定された。非差別的なネットワーク接続の提供といった同命令の一部の規定は、一般認可制度の導入に伴い、一般条件(General Conditions of Entitlement)に含まれており、すべての事業者に適用されている。その他の部分については、Ofcomが指定するユニバーサルサービス提供事業者(Universal Service Provider:USP)であるBTとKCOMに課されている。

従来のUSOの対象は、固定音声電話(ダイヤルアップモデムの利用が可能なもの)、低所得者向けの料金枠組、公衆電話(緊急通話へのフリーアクセスを含む)、障がい者向けの音声通話と同等なサービス(BTによるテキストリレー等)、番号ディレクトリ及び番号案内サービス、ユニバーサルサービスのアンバンドル提供となっていたが、2017年4月に成立した「2017年デジタル経済法」により、英国内のすべての世帯・事業所に高速ブロードバンド(下り速度10Mbps以上)にアクセスできる法的権利が新たに付与されることとなった。2018年4月に規則が施行され、2019年6月にブロードバンドのUSPとして、BT及びKCOMが指定された。2020年3月から両社はUSO接続の申請受付を開始した。

(2)ブロードバンド整備政策

政府は、2021年3月に到達困難な地域の世帯や企業向け「プロジェクト・ギガビット」を発表した。同プロジェクトでは、50億£の公的資金を投入し、提供最困難地域にある100万以上の世帯や企業を接続する。2億1,000万£相当のブロードバンドバウチャー制度の拡張、1億1,000万£の最大7,000の地方の開業医院、図書館、学校の接続、衛星や5G技術を使って電波の届きにくい地域を接続等の内容となっている。これにより、全土に超高速ブロードバンドを提供し、公共サービスを活性化させ、パンデミックからの回復を目指すとした。2025年までに最低85%のギガビット対応カバレッジを目標としている。2023年には、5億3,000万£以上の資金提供により、33万以上の到達困難な家庭や企業に対し、高速なブロードバンドの普及を約束。2025年7月現在で英国施設の87%以上がギガビット対応ブロードバンドへの接続を達成した。

(3)5G

政府は2017年3月、5G分野において英国が世界のリーダーとなるべく「5G戦略」を策定し、①5G網の普及の加速化、②5Gによってもたらされる生産性・効率性の最大化、③英国内外における新たなビジネス機会の創出と国内投資の誘発、という三つの成果を追求する方向性を示した。DCMSは、同5G戦略に基づき、5G技術の研究開発や実証事業「5Gテストベッド・トライアル(5GTT)」プログラムの実施を開始した。

政府は2020年2月、5GTTのための総額6,500万£の資金提供パッケージを発表した。同パッケージは、英国におけるテストベッド・トライアルに対する政府の2億£の投資の一部である。主な内容は、①ルーラルエリアにおける5G活用、②産業5G、③クリエイティブセクターのコンペ「5G Create」である。2021年9月、公共の街頭設置物や建物に5Gの導入を促進する、400万£規模のコンペ「デジタル・コネクティビティ・インフラストラクチャ・アクセラレータ(DCIA)」を実施した。通信事業者が公共の建物やCCTV(Closed Circuit Television)の電柱や交通信号等のインフラを5G無線機器の設置場所として利用する際に、よりシンプルかつ迅速に対応できる方法が検討されている。

2023年4月に「ワイヤレスインフラストラクチャ戦略」が策定され、これに基づき、7月に5Gを通じた地域の発展を目指す「5Gイノベーション・リージョン(5GIRs)」が公募され、11月に英国全土から10地域が選定された。

(4)オープンRAN

5Gやギガビット級ブロードバンド等のインフラのセキュリティとレジリエンスを強化することを目的として、2021年11月、「電気通信(セキュリティ)法」が成立した。これに合わせ、DCMSは、同月、「5Gサプライチェーン多様化戦略」を発表し、①既存サプライヤの支援、②新規サプライヤの参入支援、③オープンRAN等のソリューションの加速化等を推進することとした。DCMSは、2021年6月、ロンドンとブライトンに、オープンRANの加速を目的としてスマートRANオープン・ネットワーク相互運用性センター(Smart RAN Open Network Interoperability Centre:SONIC)を開設した。同ラボでは、5G無線機器のコンポーネント供給のため、既存及び新興のサプライヤが協力して相互運用可能なソリューションの実証試験が実施されている。更にDCMSは、2022年4月、英国のオープンRAN原則を発表し、①オープンな分解、②標準規格に基づくコンプライアンス、③相互運用性の実証、④実装の中立性という四つの原則を示した。

(5)6G

政府予算による6Gの研究開発が進展中である。2022年12月、1億1,000万£の5Gと6Gの研究開発促進計画が発表された。うち2,800万£は3大学(ヨーク大学、ブリストル大学、サリー大学)に付与され、各大学はノキア(Nokia)、エリクソン(Ericsson)、サムスン電子(Samsung Electronics)等と連携し、6Gを含む将来のネットワークの設計及び構築を行う。8,000万£はウェストミッドランドの英国テレコムラボの設立のために投入され、5Gと6G網機器のセキュリティやレジリエンスの試験が行われる。更に2023年4月に発表された「ワイヤレスインフラストラクチャ戦略」では、6Gの初期段階の研究に1億£が投入されることとなった。世界的な標準策定に関与するとともに、同盟国との緊密な連携による経済安全保障を確立し、科学大国への布石とする目的を持つ。

4 ICT政策

(1)「英国デジタル戦略」

政府は2022年6月、政府横断的な戦略である「英国デジタル戦略」を発表した。英国をグローバルなテック超大国として強化し、デジタルビジネスの起業と成長のための欧州有数の地としての地位を築くことで経済を成長させ、より多くの高スキル・高賃金の雇用を創出することが目的。以下の六つが主要分野である。①デジタル基盤、②アイデアと知的財産、③デジタルスキルと人材、④デジタル成長への融資、⑤繁栄の拡大とレベルアップ、⑥世界における英国の地位の向上。

(2)「国家データ戦略」

政府は2020年9月に「国家データ戦略」を発表した。政府は優先すべき課題として、①経済全体のデータの価値を引き出すこと、②成長促進と信頼できるデータ体制の確保、③政府のデータ利用を変革して効率を高め、公共サービスを改善すること、④データが依存するインフラのセキュリティと回復力を確保すること、⑤国際的なデータフローの推進を挙げた。

(3)「英国イノベーション戦略」

政府は2021年7月に「英国イノベーション戦略」を発表した。「2035年までに英国をイノベーションのグローバルハブにする」との目標の下、四つの柱(①ビジネスを解き放つ、②人材、③組織と場所、④ミッションと技術)と各アクションプランを設定した。④では、変革をもたらす技術として、人工知能(AI)、量子技術、ロボット等を挙げ、支援する方向性が打ち出された。

(4)人工知能(AI)

政府は2021年9月に「国家AI戦略」を発表した。同戦略は、明確なルール、倫理原則、イノベーションを促進する規制環境により、AIを使って生活し、仕事をするのに英国を最適な場所とすることを目的に、10年間のビジョンを掲げている。また、「国がAIの長期的な成長に投資すること」「AIが経済のすべての部門や地域に恩恵をもたらすこと」「イノベーションや投資を促進し、国民や国の基本的な価値を保護する適切なルールによって効果的に管理されること」という三つの柱に焦点を当てている。2022年7月、国家AI戦略の進捗状況が公共部門の情報ウェブサイト「GOV.UK」にて公開された。当ウェブサイトでは、政府や関連機関のAIに関する取組みが、上記の三つの柱の内容に沿って説明されている。

2023年6月、信頼できる安全なAIを開発するために、政府は5,400万£の追加投資を発表した。また、2023年11月に首相官邸、DSIT、外務・開発・英連邦省(Foreign, Commonwealth and Development Office:FCDO)が中心となり、発案国として「AI安全性サミット」を開催し、英国を含む29か国・地域が先端的AIのリスクに対処し安全性を確保するため「ブレッチリー宣言」に署名し、AI安全性研究所が設立された。2024年9月にAI国際条約を批准した。

2025年1月、今後10年間でAIにより国家を再生させる「AI機会行動計画(AI Opportunities Action Plan)」が発表された。三つの目標(①AIを可能にするインフラの構築、②AI導入による生活変革、③自国で開発したAIによる未来の確保)と50の推奨事項が提示された。

(5)IoT

イノベーション推進機関Innovate UKの下、デジタル・カタパルト(Digital Catapult)や未来都市カタパルト(Future Cities Catapult)が中心となり、IoT分野における英国のグローバルなリーダーシップの発揮を目指すとともに、企業・公的部門による高品質のIoT技術・サービスの開発を支援している。また、「ワイヤレスインフラストラクチャ戦略」では、IoTが5Gや6G等の先進的な無線通信技術が可能にする変革的な用途の一つであると言及している。

(6)電子政府

Government Digital Service(GDS)が政府のデジタル中枢として、政府全体のデジタル変革を主導している。GDSは2024年7月に内閣府からDSITへ移管され、戦略立案から実装までを一体的に担う体制へと再編された。2025年1月に「現代デジタル政府の青写真(A Blueprint for Modern Digital Government)」が発表され、六つの重点施策(①公共サービスの一元化、②公共の利益のためのAI活用、③デジタルデータ公共基盤の強化と拡充、④リーダーシップの向上と人材育成への投資、成果に基づく資金調達、⑤成長と革新を促す調達、⑥透明性の確保と説明責任の推進)を含む長期的な改革計画が示された。

(7)ネット中立性

Ofcomは2023年10月に「ネットワーク中立性ガイダンス」を発表した。同ガイダンスでは、インターネットサービスプロバイダがより効率的にネットワークを革新、管理するために、①プレミアム品質の小売サービス、②専門サービス、③トラヒック管理、④ゼロレーティングサービス、⑤公益性がある場合の優先制御とゼロレーティングサービス等を認める内容となっている。

(8)サイバーセキュリティ

内閣府は2021年12月、「国家サイバー戦略」を発表した。従来のサイバーセキュリティ戦略から名称を変更し、より広範で包括的にサイバー空間の課題に取り組む内容となっている。五つの柱は以下のとおり。①英国のサイバーエコシステムの強化、人材とスキルへの投資、政府、学界、産業界のパートナーシップの深化、②強靭で繁栄したデジタルUKを構築し、サイバーリスクを軽減して企業がデジタル技術の経済的利益を最大化し、市民がオンラインでより安全になり、データが保護されていることを確信できるようにする、③サイバーパワーに不可欠な技術をけん引し、産業力を構築し、将来の技術を確保するための枠組みを整備する、④より安全で繁栄した開かれた国際秩序のために英国のグローバルなリーダーシップと影響力を前進させ、政府や業界のパートナーと協力し、英国のサイバーパワーを支える専門知識を共有する、⑤サイバー空間内及びサイバースペースを通じて英国のセキュリティを強化し、英国のあらゆるレバーをより統合し、創造的かつ日常的に活用するために、敵を検出、破壊、抑止する。

5 消費者保護政策

(1)消費者審議会

「2003年通信法」に基づき、通信・放送・周波数関連市場における消費者の利益保護のために、独立した政策諮問機関として設立された。同審議会は、Ofcom Boardと連携し、消費者・市民の通信市場における利害を保護・促進するため、Ofcom、政府、EU等に助言を行う。

(2)公平性確保に向けた消費者保護政策

Ofcomは、2020年10月、顧客のための公平性確保に向けた消費者保護政策として、新しいルールを公表し、2022年12月に発効した。これは、「欧州電子通信コード(European Electronic Communications Code:EECC)」を受けたもの。主な内容は、①移動体通信事業者によるロックされた端末の販売禁止、②ブロードバンドの乗換促進のため、乗換先事業者による乗換作業の主導、③より良い契約情報とより強力な解約権の付与、④障がいを持つ顧客が他の顧客と同等に通信サービスにアクセスできるようにする。

(3)迷惑通信

「2003年通信法」に基づき迷惑通信(nuisance calls and messages)に対する規制が行われている。主な迷惑通信として、ライブ営業通話、自動音声によるマーケティング通話、放棄された通話(Abandoned calls)、無言電話、スパムテキスト、詐欺・スキャム通話(Scam calls)、悪意ある・脅迫的な通話(Abusive or threatening calls)が挙げられている。OfcomはICOと連携して違反の監視・是正を行っており、消費者に対して営業通話を拒否するためTPS(Telephone Preference Service)登録や迷惑電話ブロックの活用が推奨されている。

(4)個人情報保護

個人情報保護に関する規制枠組については、EUのGDPR及び「2018年データ保護法」に基づいており、「データ保護8原則」(①公正かつ適法な処理、②限定された目的のための処理、③目的適合性、④正確性及び最新性、⑤必要な期間に限った保管、⑥データ主体の権利に適合した処理、⑦安全性の確保、⑧十分な保護のない第三国への移転制限)が規定されている。2021年1月1日に英国の一般データ保護規則が施行された。

(5)オンライン上の安全対策

2023年10月に「2023年オンライン安全法」が成立し、プラットフォーム事業者に対し、オンライン上で特に子どもを適切に保護する実践的措置の導入・遂行が義務付けられた。プラットフォーム事業者が同法による規制に従わない場合、同法の運用を所管するOfcomは、1,800万£または全世界の年間収入の10%のいずれか大きい額の罰金を課すことができる。

Ⅳ 関連技術の動向

基準認証制度

英国では、2016年6月12日より施行された「EU無線機器指令(Radio Equipment Directive:RED(2014/53/EU))」を受け、2017年12月26日より「2017年無線機器規則(Radio Equipment Regulations 2017)」が国内法制化された。同規則の施行を受け、「2000年無線機器及び電気通信端末機器規則(Radio Equipment and Telecommunications Terminal Equipment Regulations 2000)」は廃止された。

REDは、従前適用されていた「EU無線・通信端末機器指令(Radio and Telecommunications Terminal Equipment Directive:R&TTE指例(1999/5/EC))」に代わり、EU及びEEA(欧州経済領域)において上市(輸入者が流通業者に出荷した段階)される無線機器の安全基準及び電磁的両立性(Electro-Magnetic Compatibility:EMC)基準等の明確化・簡素化を図ったものである。これまで対象外となっていた放送受信機を含むすべての無線機器に対象が拡大されるとともに(有線の電気通信端末機器は対象外とされた)、無線機器の定義に関する周波数範囲の下限(9MHz)が撤廃された。また、欧州委員会が指定する無線機器については共通充電器を使用しなければならないこととされたほか、経済担当者(製造者、輸入者、流通業者等)の責任の明確化及び強化が図られた。適合性評価手続については、内部生産管理(モジュールA)、型式審査(モジュールB)及び型式への適合性(モジュールC)並びに品質保証(モジュールH)に整理され、それぞれREDのAnnexⅡ、Ⅲ及びⅣに規定され、2017年無線機器規則においてもそれぞれ別表2、3及び4として規定されている。

「2017年無線機器規則」は、EU離脱後も、「2018年EU離脱法」によって当該規則の効力が維持されるとともに、「2019年製品の安全性及び計量等(修正等)(EU離脱)規則(Product Safety and Metrology etc.(Amendment etc.)(EU Exit)Regulations 2019)」が規定された。当該規則は、「2020年製品の安全性及び計量等(修正等)(UK(NI)表示)(EU離脱)規則(Product Safety and Metrology etc.(Amendment etc.)(UK(NI)Indication)(EU Exit)Regulations 2020)」によって再改正され、輸入者ラベリング(欧州経済領域(EEA)からの製品)やUKCA(UK Conformity Assessed)マーキング等が規定された。UKCAマーキングの移行期間等については、「2022年製品の安全性及び計量等(改正及び経過規定)規則(Product Safety and Metrology (Amendment and Transitional Provisions) Regulations 2022(SI 2022/1393))」によって、2027年12月31日まで延長された。

Ⅴ 事業の現状

1 市場概要

2024年の電気通信サービス収入総額は前年度比1.5%増の340億£であった。うち小売固定電話サービス市場は144億£、小売移動体通信サービス市場は141億£、残りが卸売サービス市場の収入である。2024年の1世帯当たりの固定及び移動の音声及びデータ通信サービス支出額(月額平均)は85.4£であった。

2 固定電話

2025年第1四半期の固定音声サービスの収入は前年同期比13.3%減の10億9,000万£であった。主な固定通信サービスプロバイダは、BTグループ、KCOM等である。

3 移動体通信

(1)市場概要

2025年第1四半期の移動体通信サービスの小売収入は前年同期比2.7%増の35億£であった。加入者当たりの平均月間小売収入は13.1£で、月額契約加入者(同15.7£)はプリペイド加入者(同5.3£)よりも多くの収益を生み出した。2025年6月現在、移動体通信事業者の加入者シェアは、①ボーダフォンスリー(VodafoneThree)(約37%)、②O2 UK(テレフォニカ(Telefonica)傘下)(約36%)、③EE(総合通信事業者BTグループ傘下)(約27%)の順となっている。

(2)MVNO

2025年6月現在、MVNO加入数は2,534万、全移動体通信加入者に占める割合は約28%で、年々増加している。事業者の市場シェアは①Tesco Mobile(約23%)、②giffgaff UK(約16%)、③スカイUK(Sky UK)(約15%)、④Lebara Mobile(約10%)、⑤iD Mobile(約9%)、⑥その他(約27%)の順である。

4 インターネット

(1)固定インターネット及びブロードバンド

2024年末の固定ブロードバンドサービスの加入者の回線種別シェアは、①DSL(約51%)、②光ファイバ(約30%)、③ケーブル(約18%)、④その他(約1%)の順となっている。2025年6月現在の小売ブロードバンドサービスの事業者シェアは、①BTグループ(約28%)、②スカイUK(約19%)、③ヴァージンメディア(Virgin Media)(約19%)、④TalkTalk(約7%)、⑤ボーダフォンスリー(約6%)、⑥その他(約21%)の順となっている。

(2)モバイルインターネット及びブロードバンド

2025年6月現在、総加入に占める3Gサービスの割合は約1%、4Gサービスは約51%、5Gサービスは約48%、残りがその他である。英国では、2019年5月にEEが英国初の5G商用サービスを開始した。続いて、同年7月にボーダフォンUK(当時)が、同年10月にO2 UKが、更に3 UKは2020年2月に、それぞれ5G商用サービスを開始した。2025年6月現在、5Gサービス加入者数は4,408万で、事業者別シェアは、①ボーダフォンスリー(約39%)、②O2 UK(約36%)、③EE(約25%)となっている。

Ⅵ 運営体等

1 運営体

(1)BT Group(BT)
Tel. +44 20 7356 5000
URL https://www.bt.com/
所在地 BT Group plc 1 Braham Street , London E1 8EE, UNITED KINGDOM
幹部 Allison Kirkby(最高経営責任者/Chief Executive Officer)
概要

旧国営通信事業者で、1984年に民営化された。市内、長距離、国際、移動体通信、インターネットを含めた総合的な電気通信サービスを提供している。三つの事業部門(顧客向け事業、技術、コーポレート)を通じてサービスを提供する。顧客向け事業部門は更に、消費者、ビジネス、オープンリーチに分かれる。通信インフラ企業のオープンリーチは、英国の規制に準拠し独立した運営を行っている。移動体通信大手EEも傘下に持つ。2024年の固定電話サービス(PSTN)の契約数は1,010万であった。

2024年度の収入は203億5,800万£(英国国内のみでは181億7,100万£)であった。2025年現在、180か国でサービスを提供している。

(2)KCOM

KCOM Group Limited

Tel. +44 1482 602 100
URL https://www.kcom.com/
所在地 37 Carr Lane, Kingston upon Hull, HU1 3RE, UNITED KINGDOM
幹部 Richard Schäfer(最高経営責任者/Chief Executive Officer)
概要

ハル市で市内通信サービスを行っている電気通信事業者。BTとともに、ユニバーサルサービス義務を課されている。世界的なインフラ・マネジメント企業であるMacquarie Infrastructure and Real Assets(MIRA)傘下のMacquarie European Infrastructure Fund 6が所有している。

(3)ボーダフォン・グループ

Vodafone Group Plc

Tel. +44 1635 33251
URL https://www.vodafone.com/
所在地 Newbury, Berkshire, RG14 2FN, England, UNITED KINGDOM
幹部 Margherita Della Valle(最高経営責任者/Chief Executive)
概要

1984年にRacal Electronicsの子会社Racal Telecomとして発足した。1991年には独立しボーダフォンとなった。欧州とアフリカを中心とする15か国の3億3,000万人以上の利用者に向けて電気通信サービスを提供し、世界40か国以上のパートナーと移動体通信サービスで提携している。移動体通信事業部門ボーダフォンUK(Vodafone UK)とCKハチソン・グループ(CK Hutchison Group)傘下のスリーUK(Three UK)が2025年5月に合併を完了し、ボーダフォンスリー(VodafoneThree)が誕生した。2024年度の収入は374億4,800万£(英国国内のみでは70億6,900万£)であった。

(4)ヴァージンメディアO2

Virgin Media O2 UK Limited

URL https://news.virginmediao2.co.uk
所在地 Griffin House, 161 Hammersmith Road, London, W6 8BS, UNITED KINGDOM
幹部 Lutz Schüler(最高経営責任者/CEO)
概要

BTの移動体通信部門が、2001年11月に分離独立して設立された。スペインの通信大手テレフォニカが50%、米リバティ・グローバルが(Liberty Global)が50%の株式を保有する。2024年度の収入は136億USDであった。

2 主要メーカー

ARMホールディングス

ARM Holdings

Tel. +44 1223 400 400
URL https://www.arm.com/
所在地 110 Fulbourn Road, Cambridge, GB-CB1 9NJ, UNITED KINGDOM
幹部 Rene Haas(最高経営責任者/Chief Executive Officer)
概要

1990年にエイコーン・コンピュータ(Acorn Computers)、アップル・コンピュータ(Apple Computer)、VLSIテクノロジー(VLSI Technology)の合弁事業としてケンブリッジで創業した。半導体チップ向けのCPU・NPU設計を専門とする企業であり、スマートフォン、IoT、自動車、クラウド、データセンター等に広く採用されており、エッジからクラウドまでAIを加速するコンピュータプラットフォームを提供する。2024年度の収入は40億700万USDであった。

放送

Ⅰ 監督機関等

2003年12月、通信・放送分野の五つの規制機関(Oftel、RA、ITC、RAu、BSC)が統合し、Ofcomが発足した。放送政策については文化・メディア・スポーツ省(DCMS)が所掌するが、事業者の規制監督についてはOfcomが担当する。

1 文化・メディア・スポーツ省(DCMS)

Department for Culture, Media and Sport

Tel. +44 20 8080 3054
URL https://www.gov.uk/government/organisations/department-for-culture-media-and-sport
所在地 100 Parliament Street, London, SW1A 2BQ, UNITED KINGDOM
幹部 Lisa Nandy(文化・メディア・スポーツ大臣/Secretary of State for Culture, Media and Sport)
所掌事務

放送分野における具体的な所掌内容は以下のとおりである。

2 通信庁(Ofcom)

(通信/Ⅰ-4の項参照)

所掌事務

放送分野については、既存の3機関(ITC、RAu、BSC)が所掌していた商業放送事業者に対する免許付与や事業内容に対する規制等を主に所掌する。

Ⅱ 法令

1 BBCに関する法規

英国放送協会(British Broadcasting Corporation:BBC)の設立・存続及び業務運営の根拠は、「特許状(Royal Charter)」及び「枠組協定書(The Framework of Agreement)」である。

2 1990年放送法(Broadcasting Act 1990

1990年11月に、商業放送に競争原理を導入する「1990年放送法」が成立した。同法は番組の質を維持する一方、放送事業者間の競争を促進することによって、視聴者により多くの選択の機会を与えることをねらいとしている。

3 1996年放送法(Broadcasting Act 1996

主に地上デジタル放送の枠組みの導入と、メディア所有規制の緩和を行う「1996年放送法」が1996年7月に成立した。地上デジタル放送の導入、BBCの一部民営化等を主な内容としている。

4 2003年通信法(Communications Act 2003

ITV(チャンネル3)やC4C(チャンネル4)、チャンネル5等BBC以外の商業放送事業者についても「公共サービス放送(Public Service Broadcasting:PSB)」を行う義務を課しており、純粋な商業目的だけではなく、公共利益を目的として地域ニュース番組や芸術性の高いテレビ番組等を放送することが義務付けられている。また、各放送事業者は、PSBとして共通に求められる要件に加えて、本法や各自の免許にPSBとして求められる具体的な要件がそれぞれ規定されている。

5 2010年デジタル経済法(Digital Economy Act 2010

クリエイティブ経済発展のためのデジタルコンテンツの著作権保護、ラジオのアナログ放送終了時期、公共テレビサービスの見直し等を規定している。

6 2017年デジタル経済法(Digital Economy Act 2017

知的財産権の保護強化(ケーブル会社による再送信においては公共サービス放送にかかわる著作権は侵害されないとしていた規定の廃止)、Ofcomの権限強化(OfcomがBBCの外部規制機関になったことに伴うOfcomの権限拡大)、障がい者によるオンデマンドテレビにかかわるアクセス保障等を規定している。

7 2024年メディア法(Media Act 2024

2024年5月に成立。英国の放送局とコンテンツ制作者が、進化する国際的なメディア環境下で競争力を維持し、文化的コンテンツと視聴者を保護することを目的とする。新たなプロミネンスの枠組みの導入によるPSBの支援、Ofcomが規制するビデオオンデマンドコードの導入、主なスポーツイベントへの無料アクセスの維持、「2013年犯罪裁判所法」第40条(出版社に対して名誉棄損の裁判費用を負担させる内容)の廃止、ウェールズ語のテレビ局S4Cの拡張、ラジオ放送の保護等、包括的な改革を導入する内容となっている。

Ⅲ 政策動向

1 免許制度

(1)番組配信サービスに対する免許
①地上アナログテレビ放送
②地上デジタルテレビ放送
③地上アナログラジオ放送
④地上デジタルラジオ放送
⑤限定サービス(特別イベント、特定地域での短期間の放送等に対応)
(2)外資規制

従来、非EEA(EEAは欧州経済領域。EU加盟国とEFTA(欧州自由貿易連合)間の自由経済市場の創設を目的に、スイスを除き1994年1月に発足)諸国の個人または団体は、放送免許が取得できず、放送メディアを所有することが禁止されていたが、「2003年通信法」により、EEA域外からの英国内への投資促進と産業発展をねらいとして外資規制を撤廃した(第348条(1))。しかし、メディア企業の買収・合併の提案が出された際には、政府はいったんOfcom等にメディアの多様性の観点から助言等を求め、それらを考慮したうえで決定を下す「多様性審査(The plurality)」(2002年企業法)の枠組みが規定されている。これは、外国企業による英国内の放送局の買収・合併が進み、英国メディアの多様性・多元性が損なわれることを回避するためである。

(3)地方自治体、宗教団体、政党への規制緩和

「2003年通信法」により、放送メディアの所有が規制されてきた地方自治体、宗教団体、政党については以下のように規定された。

(4)メディアの多元性に関する規制

「2003年通信法」により、メディア相互所有に関するルールは、全国市場シェア20%超の全国的新聞社とITVの相互所有(独占の弊害が大きいと考えられた)を除き、すべて撤廃された。2011年6月のメディア所有省令(2011年6月14日公布、6月15日施行)によって、現在のメディア所有規制は、クロスメディア所有規制とメディア企業の買収等への国務大臣による介入のみとなっている。

2 公共サービス放送関連政策

(1)受信許可料制度

いわゆる「受信料」は英国では「受信許可料(TV licence fees)」に相当し、「2003年通信法」を根拠法としている。政府は2024年11月に新方針を発表し、2025年4月から消費者物価指数(CPI)に基づく調整によりカラーテレビの受信許可料を174.50£に引き上げた。更に、2027年以降に向けて代替的な資金調達モデルの検討を開始するとともに、低所得世帯への支援拡充、BBCの説明責任と透明性の強化の方向性を示した。

(2)現行特許状の内容

DCMSは2016年12月、BBCのあるべき姿を定めた特許状及び枠組協定書を発表した(特許状期間:2017年1月1日~2027年12月末(11年間))。主なポイントは以下のとおりである。

(3)OfcomによるBBCの規制動向

新特許状及び協定書に基づき、2017年4月よりOfcomはBBCの外部規制機関としての活動を開始した。OfcomによるBBCの事業免許に関する主な規制要件は、①ニュース及び時事問題のルールの強化、②子ども向け番組に関する要件の拡大、③より特色のある番組の確保、④BBCラジオを通じて社会活動キャンペーンを支援、⑤芸術・音楽・宗教等のジャンルの番組の保護、⑥幅広い価値あるジャンルの番組の支援、⑦英国の地域住民・国民・クリエイティブ産業の支援、⑧BBCに対して英国住民の多様性を十分に反映させることを求める等である。また、業績評価枠組として、①国内/国際ニュース・時事問題・ドキュメンタリーに関するコンテンツ、②学校教育に関するコンテンツ、③芸術・音楽・宗教・科学・ビジネス等の生涯教育に関するコンテンツ、④テレビ・ラジオ・BBC iPlayer・ウェブサイトにおけるコンテンツ、⑤英国内の各地域・地方におけるコンテンツ、⑥年齢・性別・社会経済グループ(SEG)・障がい・人種・宗教・信仰等にかかわるコンテンツといった各種コンテンツごとに「アベイラビリティ(Availability)」(BBCサービスにおける英国制作番組の放送時間・視聴可能時間等)、「消費(Consumption)」(番組へのリーチや視聴時間等)、「影響(Impact)」(視聴者や専門家の意見等)、「背景因子(Contextual factors)」(定量的には評価できない定性的な評価)となっている。

(4)放送白書

DCMSは、2022年4月、「放送改革のための白書(Up Next-The Government’s vision for the broadcasting sector)」を発表した。数十年来の放送規制を更新し、ストリーミング時代にふさわしいPSBシステムを構築する。主な内容は、①BBCの受信許可料凍結、②PSB改革、③オンデマンド番組サービスのコンテンツ規制(有害コンテンツから視聴者を保護)、④主要スポーツイベントの放映権におけるPSBの独占的利益の促進、⑤チャンネル4の所有変更等。

3 コンテンツ規制

(1)番組・広告規制

番組規制については、BBCに関しては協定書に、商業放送に関しては「2003年通信法」の319条に、一般的な規定として、①18歳未満の保護、②犯罪や不正行為の助長・扇動の禁止、③公平かつ正確なニュース報道、④宗教番組における適切な責任の履行、⑤有害・攻撃的な内容から視聴者を保護等が規定されている。また、広告規制に関しては、①政治広告の禁止、②誤解を招く・有害・侮辱的な広告の排除、③国際的義務の順守、④番組の不適切な後援の防止、⑤広告主間の不当な差別の禁止、⑥視聴者の認識に関係なく心理操作的技術の使用禁止等が規定されている。

なお、これらの規制の詳細については、Ofcomが策定する「放送コード(Broadcasting Code)」及び広告実践放送委員会(Broadcast Committee of Advertising Practice:BCAP)が策定する「放送広告コード(The UK Code of Broadcast Advertising)」に盛り込まれている。

(2)視聴覚障がい者向けアクセスサービス
①テレビジョンサービス分野

「2003年通信法」に基づき、PSB、ケーブル・衛星放送事業者、地上デジタル放送事業者等に対し、視聴覚障がい者向けアクセスサービス(字幕、手話、音声解説)の提供が義務付けられている。Ofcomの「テレビアクセスサービス実施コード(Code on Television Access Services)」に基づき、BBCには全コンテンツ、チャンネル3及びチャンネル4には全コンテンツの90%の字幕提供義務が課されている。

②オンデマンド番組サービス分野

「2024年メディア法」に基づき、特定のオンデマンド番組サービスに対するアクセスサービスの提供が義務化された。Ofcomのベストプラクティスガイドラインにより、字幕・手話・音声解説の提供、ユーザインタフェースの一貫性とアクセシブルなコンテンツの発見容易性、カスタマイズ機能(字幕のサイズ・色等)の提供、視聴者団体との対話による継続的な改善等が推奨された。

4 地上デジタル放送

英国における地上放送のデジタル化は、BBC、ITV、チャンネル4の合弁事業「デジタルUK(Digital UK)」がデジタル転換の調整役を担い、2012年に全国で地デジ移行が完了した。デジタルUKは、地上デジタルテレビ放送「フリービュー(Freeview)」の提供を促進し、2021年にBBCとITVの合弁事業である無料衛星放送プラットフォーム「フリーサット(Freesat)」と合併、2023年に「エブリワンTV(Everyone TV)」に名称変更した。

Ⅳ 事業の現状

1 ラジオ

英国のラジオ産業は、以下の表のように、BBC、商業局(Classic FM、Absolute Radio、talkSPORT等)、コミュニティ局により構成されている。

英国のラジオ局(アナログ/デジタル)
ラジオ局の種類 アナログAM アナログFM DAB
ローカル商業局 9 234

マルチプレックス:58、

サービス:651

全国向け商業局 1 1

「サウンド・デジタル」

マルチプレックス:1、

サービス:30

「デジタル・ワン」

マルチプレックス:1、

サービス:30

全国向けBBC 1 4

マルチプレックス:1、

サービス:11

ローカルBBC 9 46
コミュニティ向け 20 288
合計 40 573

マルチプレックス:61

サービス:722

2024年のラジオ産業の収入は6億5,100万£であった。そのうち全国向け商業局の広告収入が3億4,100万£、ローカル商業局の広告収入が9,300万£、スポンサー収入が1億2,500万£、その他収入が9,200万£であった。

2 テレビ

2024年の商業テレビ放送及びオンラインサービスの収入は171億£であった。その内訳は、プラットフォームが59億9,000万£、デジタルマルチチャンネルが19億6,000万£、商業PSBが19億6,000万£、VOD加入が54億3,000万£、コネクティッドテレビ広告が14億5,000万£、デジタルトランザクションが2億9,000万£で、VOD加入とコネクティッドテレビ広告が成長した。Broadcasters’ Audience Research Board(BARB)によると、2025年第2四半期に2,060万世帯(69.7%)が定額制VOD(Subscription Video On Demand:SVOD)サービスを視聴した。

(1)地上デジタルハイビジョン放送

1998年9月にBBCが世界初の地上デジタル放送を開始した。2002年10月、フリービューの名称で、無料の地上デジタル放送が開始され、2025年10月現在、100超のデジタルテレビチャンネルが無料で提供されている。地上デジタル放送の加入世帯数は2023年末現在、17%に当たる482万となっている。

ハイビジョン放送に関しては、2008年6月からBBCによる試験サービスが開始され、2009年12月から本格的にDVB-T2方式による放送が開始されている。2025年7月現在、フリービューでは15のハイビジョン放送が実施されている。

(2)SVODサービス

2024年第1四半期の世帯普及率は、ネットフリックス(Netflix)が59%、アマゾン・プライム・ビデオ(Amazon Prime Video)が46%、Disney+が25%、Apple TV+が9%、NOWが6%であった。

3 衛星放送

スカイUKが1989年2月に放送を開始し、英国の有料衛星放送事業を独占的に行っている。エブリワンTVが無料衛星放送フリーサットのサービスを行っている。

4 ケーブルテレビ

ヴァージンメディアが主な事業者である。

Ⅴ 運営体

1 英国放送協会(BBC)

British Broadcasting Corporation

Tel. +44 3700 100 123
URL https://www.bbc.co.uk/
所在地 Broadcasting House, Portland Place, London W1A 1AA, UNITED KINGDOM
幹部

Tim Davie(会長/Director General)

Samir Shah(理事長/Chair)

概要

1922年に設立され、1927年に国王の「特許状」に基づく公共放送事業者となった。存立と業務運営を規定する基本法令は国王の「特許状」と「枠組協定書」である。現行の特許状の有効期間は2017年1月1日から2027年12月末までである。1995年からデジタルラジオ放送、更に1998年に世界初の地上デジタルテレビ放送を開始した。

2024年度の受信料収入は38億4,300万£、その他の収入は20億5,700万£であった。BBCの商業部門はBBCスタジオ、BBCグローバル・ニュース及びBBCスタジオワークスで構成されている。

BBCは、BBC One、BBC Two、BBC Three、BBC Four、BBC News、BBC Parliament、CBBC、CBeebies及びBBC Scotlandの9チャンネルと、オンラインサービスのBBC iPlayerを運営している。2025年10月現在、海外向け国際放送「BBCワールド・サービス」を放送波とインターネットを通じて40言語で提供している。またSVODサービス「BritBox」を英国、米国、カナダ、オーストラリア、北欧4か国で提供している。

2 ITV(Channel 3)

ITV plc

URL https://www.itv.com/
所在地 White City Place, 201 Wood Lane, London, W12 7RU, UNITED KINGDOM
幹部

Andrew Cosslett(会長/Chairman)

Carolyn McCall(最高経営責任者/Chief Executive)

概要

国内最大の商業放送ネットワークで、全国ニュース、ドラマ、娯楽、スポーツ等の様々な番組を提供している。

2024年末までの年間収入は41億4,000万£であった。このうち番組コンテンツ制作部門であるITVスタジオの収入は20億3,800万£、メディア及びエンターテインメント部門の収入は21億200万£であった。

3 チャンネル4

Channel 4 Television Corporation

Tel. +44 345 076 0191
URL https://www.channel4.com/
所在地 124 Horseferry Road, London, SW1P 2TX, UNITED KINGDOM
幹部

Ian Cheshire(会長/Chair)

Alex Mahon(最高経営責任者/Chief Executive)

概要

政府がすべての持分を保有する非営利法人Channel 4 Television Corporationが運営する公共放送で、広告放送とスポンサーシップを財源とする。チャンネル4は、番組の調達・編成機関として設立されており、国内の独立系番組制作会社を支援するため、番組の自社制作は行わない。2024年末までの年間収入は10億4,000万£であった。

4 チャンネル5

Channel 5 Broadcasting Ltd.

Tel. +44 0203 580 2000
URL https://www.channel5.com/
所在地 Elephant House, 17-29 Hawley Crescent,Camden Town, London, NW1 8TT, UNITED KINGDOM
概要

「1990年放送法」で設立が認められた商業放送事業者で、1997年に放送を開始した。地上波によるカバレッジが全国の80%程度にとどまっているため、衛星も利用して国内をカバーしている。Northern & Shell社が完全所有していたが、2014年に米国のバイアコム(Viacom)に買収された。

5 スカイUK(Sky UK)

Sky Limited

URL https://www.sky.com/
所在地 Grant Way, Isleworth, Middlesex, TW7 5QD, UNITED KINGDOM
幹部 Dana Strong(グループ最高経営責任者/Group Chief Executive Officer)
概要

欧州最大手の衛星放送事業者で、英国の衛星放送市場を事実上独占している。2018年9月、米国ケーブルテレビ大手コムキャスト(Comcast)の傘下となった。

2024年末現在、世界10か国で、衛星放送、ブロードバンド、移動体通信、ストリーミングサービス等を提供している。

6 ヴァージンメディア(Virgin Media)

Virgin Media Inc.

Tel. +44 1256 75 2000
URL https://www.virginmedia.com/
所在地 Media House, Bartley Wood Business Park, Hook, Hampshire RG27 9UP, UNITED KINGDOM
幹部 Lutz Schuler (最高経営責任者/Chief Executive Officer)
概要

米国のメディア企業のリバティ・グローバル傘下の英国最大のケーブル事業者で、2024年12月末までの年間売上は106億8,050万£であった。英国とアイルランドでサービスを提供しており、固定回線加入者数は58万で、アクティブなSIMカード数は4,570万である(通信/Ⅵ-1(4)の項参照)。

電波

Ⅰ 監督機関等

1 監督機関

(1)英国電波理事会

英国における国家レベルでの周波数の分配は、内閣府の委員会である英国電波戦略委員会(UK Spectrum Strategy Committee:UKSSC)による正式フォーラムにおいて決定されていたが、当該機能は2018年に設立された英国電波理事会(UK Spectrum Board)に取って代わった。電波理事会の議長はDSITが務め、電波に関心を持つ主要省庁の上級代表者で構成される。同理事会は電波関連事項に関する戦略的な議論の場を提供し、政府横断的な調整を担う。必要に応じて地方分権行政機関との連携も行う。同理事会は、電波に関心を持つすべての省庁・機関の代表者で構成される電波実装グループ(Spectrum Implementation Group:SIG)や緊急サービスに焦点を当てている公共安全電波政策グループ(Public Safety Spectrum Policy Group:PSSPG)等の下部組織によって支援されている。Ofcomは政府からの独立性が認められ、オブザーバーとして参加して、上級レベルの助言を提供している。

2025年7月にDSITが発表した「公共セクター周波数枠組」では、①政府関係機関は電波の利用状況について電波理事会に定期的に報告すること、②Ofcomは公共セクターが使用する周波数帯域を巡る新たな民間需要分析を電波理事会に報告すること、③電波理事会は新たな需要のために周波数の共用機会に供する優先帯域を特定すること、④電波理事会は周波数共用や用途変更にかかわるプロジェクトの長期計画を維持すること、⑤DSITはOfcomと関係省庁と協力して公共セクターの周波数利用状況を示す表を整備すること、が要請されている。

(2)通信庁(Ofcom)

(通信/Ⅰ-4の項参照)

Ofcomは国内の民生用周波数の管理を所掌するほか、電波利用に関する国際的な会議の場において英国を代表する。

2 標準化機関

英国規格協会(BSI)

British Standards Institution

Tel. +44 345 086 9001
URL https://www.bsigroup.com/
所在地 Seventh and Eighth Floors, The Acre, 90 Long Acre, London, WC2E 9RA
幹部 John Hirst(会長/Chairman)
就任時期 2019年1月
概要

王立憲章(Royal Charter)と政府及びBSI間の覚書により、英国規格(BS)制定権限が独占的に付与された国家規格法人である。英国内における製品標準の制定、国内外の標準化の普及、製品テストの実施及び標準化に伴う各種情報サービスを行うことにより、英国の標準化活動を推進することを目的としている。ISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準会議)や、EN(欧州規格)の制定に参画するとともに、それらと整合性のとれた各種BSを制定している。また、基準認証制度における英国内の適合性評価機関にも指定されている。

Ⅱ 電波監理政策の動向

1 電波監理政策の概要

英国では、以下の三つの周波数管理方針に従い、従来の「命令と管理(Command and Control)」と呼ばれる行政主導による周波数配分に加え、周波数の経済的価値に基づいた配分制度が推進されている。ただし、Ofcomによれば、周波数割当の主流は市場メカニズムによるも、長期的で戦略的な調和を踏まえ、現実に即した規制当局の介入を伴う、より効率的な周波数政策を追求しなければならないとしている。周波数管理方針は以下のとおり。

「2003年通信法」では周波数取引が導入され、周波数の免許移転やリースが可能となった(2003年通信法の当該規定は「2006年無線電信法」の成立により2007年8月2日に廃止)。モバイル用周波数を含む周波数免許も取引対象となっているが、周波数リースについては、原則、モバイル用周波数は対象外となっていたところ、2019年7月のローカルアクセス免許(Local Access Licence)の制度化により、一部のモバイル周波数のリースが可能となった。

周波数の免許移転は、事前にOfcomの承認を得る必要があり、当該取引が競争を歪める恐れがあるかについて審査を実施する権限をOfcomは有している。2007年には、免許人の裁量でサービスや技術の変更が可能となるよう、「周波数使用権(Spectrum Usage Right:SUR)」(許容周波数帯域において免許を有する装置により輻射される電力束密度(Power Flux Density:PFD)値を制御する方式)と称される、隣接周波数帯域への最大干渉値を免許条件で規定する制度が導入された。

2 無線局免許制度

無線局の開設または使用には原則として無線局免許が必要とされ、「2006年無線電信法」を根拠にOfcomにより付与される。Ofcomが付与する無線局免許には、以下の3種類がある。

一方、無線局・機器・装置の使用が他の合法的な電波の使用に対して不当な妨害を与える恐れのない場合や免許を要することが国際的義務にそぐわない場合、Ofcomは免許の適用を免除しなければならないとされており、免許不要の無線機器には、移動電話端末等のネットワークユーザ局等が含まれる。

3 電波開放戦略

(1)ワイヤレスインフラストラクチャ戦略

DSITは2023年4月、「ワイヤレスインフラストラクチャ戦略(Wireless Infrastructure Strategy:WIS)」を発表し、ワイヤレスインフラを利用し、国全体の「成長、革新、可能性を解き放つ」ための施策パッケージを発表した。この施策には、2030年までに英国のすべての人口密集地域を5G SAでカバーするという画期的な目標や、衛星ブロードバンドで遠隔地を接続するための800万£の資金援助が含まれている。

DSITは、WISは政府の優先課題である経済成長を実現するための政策枠組で、今後10年間、英国がワイヤレス接続の進歩の恩恵を受けられるようにするためのものとし、周波数が電気通信やその他の分野で果たす役割の重要性を指摘している。また、従来は移動電話網に焦点が当てられてきたが、Wi-Fi、衛星通信サービス、プライベート網、低電力広域網等、他の無線技術の役割の重要性も指摘されている。

(2)スペクトラムステートメント

DSITは2023年4月、WISに付随して、英国における周波数政策の戦略的ビジョンと原則を定めた、新しい「スペクトラムステートメント(Spectrum Statement)」を発表した。DSITは、英国が世界の科学技術進歩の最前線に位置し、研究、革新、経済全体の成長を支援すると同時に、防衛や気候科学等の重要なサービスを保護するという英国の使命を達成するためには、官民を問わず周波数帯域の利用を最大化することが不可欠であるとしている。周波数を戦略的な公共資産として認識し、成長と社会的便益のためのより大きな機会を創出するために、周波数の利用と管理におけるイノベーションに焦点を当てている。

DSITは、WIS及びスペクトラムステートメントを踏まえて、Ofcomに対して以下を要請した。

①カバレッジレポート

a)地方におけるネットワークパフォーマンスレベルの報告精度を向上させる。

b)クラウドソーシングデータの利用を含め、モバイル網のカバレッジと品質の測定を改善し、ユーザの体験をより正確に反映できるよう、予測モデリングデータを補足する。

c)英国で導入が始まった5G SAのカバレッジに関して報告する。

d)鉄道網における乗客のモバイル通信可能範囲を測定する。

e)4Gと5Gの良好なカバレッジの定義を継続的に見直し、これらの定義が、利用方法とニーズの進化に伴う消費者の期待を反映し続け、カバレッジ報告に反映する。

②スペクトラム

a)年間免許料の見直し

周波数に対する管理インセンティブ料金設定(Administrative Incentive Pricing:AIP)の導入から20年が経過しているため、当初の推進力と将来の課題に照らして見直す良い機会とし、ネットワークへの良好な投資環境の確保も考慮する。

b)周波数共用

Ofcomが計画している共用アクセス免許の申請プロセスの自動化に優先順位をつけ、その実施を加速させるための選択肢を検討し、業界が必要とする期間内に自動化が行われるようにする。

同一帯域または隣接帯域の既存サービスを保護しつつ、企業ネットワークの規模を拡大することを視野に入れ、ローカルアクセス免許と共用アクセス免許の免許条件に関して、更にどのような措置を講じることができるかを検討する。

関連する国際的な事例をもとに、共用アクセス免許の帯域を含め、英国におけるダイナミックスペクトラムアクセスタイプの機会の範囲について直近の評価を行い、6Gの商用展開に先立って、このようなアダプティブアクセスを実施する準備を整える。

c)6G周波数

英国が6G技術と関連アプリケーションの開発にとって魅力的な拠点となるようにしなければならない。研究開発に適した周波数帯を早期に確保し、次世代技術の開発とその後の展開のために、国際的に調和された周波数帯を商用サービスにタイムリーに利用できるようにする。

6Gに関する国際的なビジョンの策定に英国が積極的に関与していることを踏まえ、国際的なアプローチが英国の利益にかなうよう影響力を最大化し、これらのサービスの商業化に適した調和のとれた周波数帯をタイムリーに利用できるようにする。

(3)周波数共用

共用ベースのローカル免許割当を導入するため、Ofcomは2019年7月、共用ベースで利用可能な周波数を「共用アクセス免許」または「ローカルアクセス免許」として先着順で割り当てる声明文書を発表した。Ofcomは、新たな共用枠組の導入によるローカルアクセスの実現によって、製造、物流、農業、鉱業、健康、企業等の幅広い分野において、イノベーションの恩恵を受けることが可能になるとしている。

共用アクセス免許の概要
対象帯域
  • 1800MHz(1781.7-1785MHz /1876.7-1880MHz)
  • 2.3GHz(2390-2400MHz)
  • 3.8-4.2GHz
  • 26GHz低帯域(24.25-26.5GHz)
共用相手
  • 1800MHz:DECTガードバンドユーザ
  • 2.3GHz:国防省、PMSE、アマチュア無線
  • 3.8-4.2GHz:固定リンク、衛星地球局、FWA
  • 固定リンク、衛星地球局、PMSE、SRD
免許区分
  • 低出力免許(エリア単位):半径50m以内であれば複数の基地局の設置が可能。
  • 中出力免許(基地局単位):ルーラルエリアで、送信出力が高く干渉を及ぼすエリアが広い場合に、基地局単位で免許が付与。
  • 屋内利用限定のロケーション単位の免許で、低出力免許を適用。半径50m以内の一つの免許で、すべての屋内の基地局と端末局が許可。異なる免許人がオーバーラップ(周波数/エリア)しないようにチャネルを割当て(同一免許人の場合は除く)。
  • ただし、将来の5G屋外利用は排除しない。
年間無線電信免許料(12か月)
  • 1800MHz:80£(3.3MHz幅×2を共用)
  • 2.3GHz:80£(10MHz幅を共用)
  • 3.8-4.2GHz:80£/10MHz
  • チャネル幅に関係なく320£/免許
  • チャネル幅は50MHz、100 MHzまたは200MHz
免許条件 免許付与後6か月以内に送信を開始し、運用を継続する。この条件を満たせない場合は、1か月前に免許の取消しが通知される。
免許申請 2019年12月9日より免許申請の受付けを開始。 本声明文書発表後より免許申請の受付けが開始。

一方、ローカルアクセス免許は、既に移動体通信事業者に割り当てられているものの、地域によって使用されていない、あるいは、向こう3年以内の使用計画がないモバイル用周波数を、新たなユーザに開放する。対象となるモバイル用周波数の帯域は、以下の9バンドである。

その後Ofcomは共用アクセス枠組を改善し、2024年7月に、以下の決定事項を発表した。

また、共用アクセス枠組の利用拡大を支援するため、以下の提案も行った。

(4)宇宙周波数戦略

Ofcomは2022年3月、宇宙周波数戦略案を発表した。衛星通信技術の利用を促進し、非静止軌道衛星によるブロードバンドサービスの普及を拡大する。主な内容は以下のとおり。

その後、Ofcomは2022年6月、静止軌道(Geostationary Orbit:GSO)及び非静止軌道(NGSO)衛星サービスに接続する多数の端末の展開をサポートするため、14.25-14.5GHz帯の地球局ネットワーク(Earth Station Network:ESN)の衛星免許(ESN免許)に基づく衛星サービスへのアクセスを拡張することを提案する公開諮問を実施した。Ofcomは、14.47-14.5GHz帯を使用する既存の電波天文を保護するため、同帯域での航空端末の利用を禁止し、陸上・海上端末では二つの電波天文周辺での利用を制限する等の運用制限を設けることで、ESNの利用を認める声明文書を2022年11月に発出した。Ofcomは新しい非静止軌道衛星サービスを奨励するために、2023年に入ってから公開諮問を行い、これに基づき9月にESN免許に関する更新の声明文書を発表した。声明文書によれば、主な変更点は以下のとおり。

(5)商用ドローン免許の新設

Ofcomは2022年12月、ドローン事業者、特にモバイルや衛星技術を利用して目視外飛行を行う事業者のための新たな免許制度である「無人航空機システムオペレータ無線免許」を導入した。免許を受けたオペレータに対して、現在許可されていないデータ及び映像の制御・伝送を行うための移動端末及び衛星端末を無人航空機システム(Unmanned Aircraft Systems:UAS)/ドローンフリートで使用する権限を与える。ただし、免許人が公衆モバイル網に接続するモバイル技術の使用を希望する場合は、事前に使用を希望するネットワークの運営者から許可を得る必要がある。2025年3月には、Ofcomと民間航空局(Civil Aviation Authority:CAA)の共同声明により、UAS搭載向けの空中伝送用に978MHz帯を開放した。これにより、追加の安全装置(Universal Access Transceiver:UAT)の使用が可能となり、他の航空機に対し自機の位置を知らせることが可能となった。

4 周波数割当計画の変更

(1)2100MHz帯

Ofcomは2023年3月に2100MHz帯のアンペアバンド(1899.9-1920MHz)の将来の使用可能性に関する見解についての公開諮問を実施した。当該周波数帯は、免許が割り当てられているものの未使用の状況であるため、現在の免許を取り消し、再割当を行うことが適切であるとし、当該周波数帯域を新たな目的で使用する可能性を示した。Ofcomは2024年6月、2100MHz帯のすべての免許(EE、ハチソン3G UK(Hutchison 3G UK)及びテレフォニカUK(Telefonica UK)(当時))が失効する5年前までに取り消すことを決定、免許は2029年4月3日に失効する。当該帯域の将来の割当てについては、ESN(Emergency Services Network)ゲートウェイ向けの代替周波数を含めて協議する予定である。

(2)ミリ波帯

Ofcomは2022年5月から7月まで、ミリ波帯の26GHz帯(24.25-27.5GHz)及び40GHz帯(40.5-43.5GHz)を、5Gを含むモバイル技術に活用できるようにするための公開諮問を実施した。諮問に基づき2023年3月には、モバイル技術を最善に活用できるようにする観点から同ミリ波帯の割当方針が公表された。英国内で最もミリ波の使用量が多いと考えられる主要都市(「高密度地域」)では、26GHz帯及び40GHz帯を使用するための共用アクセス免許をオークションにかける一方、ミリ波使用の頻度が低いと考えられる「低密度地域」では、Ofcomの共用アクセス免許の枠組みを活用し、先着順で免許を割り当てることとした。最終的に、共用アクセス免許の対象として、40GHz帯では低密度・高密度地域を問わず全帯域(40.5-43.5GHz)が、26GHz帯では低密度地域は全帯域(24.45-27.5GHz)が、高密度地域は650MHz幅(24.45-25.1GHz)がそれぞれ特定された。

(3)超高周波数

Beyond 5Gを見据え、Ofcomは2020年10月、超高周波数(Extremely High Frequency:EHF)の三つの帯域(116-122GHz、174.8-182GHz及び185-190GHz)を、非保護・非干渉ベースで利用可能とする周波数免許を制度化した。また、2024月2月より、Ofcomのウェブサイトからの申請で、新しい無線技術の開発に使用できる18GHz以上のEHFに簡易かつ柔軟にアクセスできるようになった。 この電波を利用できる分野には、ヘルスケア、ロボット工学、通信、セキュリティ等がある。

(4)1900MHz帯

Ofcomは2025年2月、英国の鉄道網及び緊急サービス向けに1900MHz帯(1900-1920MHz)を利用可能とすることを提案した。これにより当該周波数帯の利用を最大化し、英国の重要インフラの長期的な改善を支援する。1900-1910MHzは新たな鉄道通信運用規格「Future Railway Mobile Communication System:FRMCS」向けに認可され、1910-1915MHz帯は緊急サービスネットワーク(ESN)ゲートウェイ用に認可される。

(5)1.4GHz帯

Ofcomは2025年2月、1.4GHz帯高帯域の25MHz幅(1492-1517MHz)を4Gや5Gのモバイル向けにオークションにかける計画を発表し、第2価格ルールによる密封入札の単一ラウンドオークション形式で割り当てることを提案した。隣接帯域(1518-1559MHz)を使用する船舶や航空機に搭載されたインマルサット受信機を保護するため、特定の港湾や空港施設において暫定的な電力制限を設定することを推奨している。

(6)D2D周波数

Ofcomは2025年3月、衛星とスマートフォンとの直接通信(Direct-to-Device:D2D)を可能とするための地上系の周波数にかかわる公開諮問を開始した。Ofcomは、地上系のFDD(Frequency Division Duplex)とSDL(Supplemental Downlink)の周波数帯(700MHz、800MHz、900MHz、1400MHz、1800MHz、2.1GHz、及び2.6GHz)をD2D向けに提案した。免許制度については、三つのオプション(免許免除、既存免許の変更、新たな免許制度の創設)が提案されたが、同年9月の第2次公開諮問では、D2Dサービスを可能にするために既存のMNO免許を変更するオプションが選択され、Ofcomが定める干渉要件に準拠することが提案された。

(7)衛星ゲートウェイ地球局向けQ/V帯

Ofcomは2025年7月、GSO衛星及びNGSOコンステレーションで運用される衛星ゲートウェイ向けに、以下の周波数を使用可能とすることを提案した。

Ofcomは、40GHzのミリ波帯オークション対象の「高密度地域」として指定された68の主要都市を除く、英国のほぼ全域に相当する「低密度地域」でのゲートウェイ展開を許可することを提案している。

(8)2GHz帯MSS

EU及び英国では、2GHz帯(1980-2010MH及び2170-2200MHz)は移動衛星サービス(Mobile Satellite Services:MSS)用として周波数調整されている。現在、当該帯域はViasat社とEchostar社に独占的に免許が付与されているが、当該免許は2027年5月に失効する。そのためOfcomは、免許期間満了後の周波数利用に関して、想定されるサービスやユースケース等について意見募集を開始した。

5 周波数オークション

(1)700MHz帯及び3.6-3.8GHz帯

2019年10月に開始された700MHz帯及び3.6-3.8MHz帯の5G周波数オークション規則案をめぐる公開諮問では、カバレッジ義務を負う落札者に対して落札額を割り引くことが提案されていた。しかし、移動体通信事業者(EE、O2 UK、3 UK、ボーダフォンUK(当時))が、農村地域において4社すべての4Gネットワークをエリア化するため、共用ルーラルネットワーク(Shared Rural Network:SRN)を最大5億3,000万£を投じて共同構築することを約束したことから、オークション規則からカバレッジ義務が除外された。EEは2024年6月までに2,000以上の地域で新規及び既存のインフラを共用し、4社すべての4Gサービスが利用できるエリアを拡充する。なお、4社が約束したカバレッジ条件は以下のとおり。

オークションの制度設計の概要は以下のとおり。

①対象周波数帯
②ロット当たりの最低価格
③周波数キャップ

移動体通信事業者が保有できる周波数幅の上限を、全周波数の37%に相当する416MHz幅とする。これにより、既存事業者に対して、BT/EEは120MHz幅、ハチソン3G UKは185MHz幅、ボーダフォンUKは190MHz幅の獲得制限が課せられる。

④オークションのデザイン

同時複数回競り上げ(Simultaneous Multiple Round Ascending:SMRA)を採用する。プリンシパル段階と割当段階の2段階方式で、前者で入札者による競り上げによって周波数の量(ロット数)が決定され、後者で1回限りの第2位価格方式の封印入札によって各入札者のロットの割当場所が決まる。

オークション規則である「2020年無線電信(免許割当)規則(The Wireless Telegraphy(Licence Award)Regulations 2020)」は2020年11月に発効、オークションの入札申請の受付けは2020年12月に開始され、2021年3~4月にオークションが実施された。落札結果は以下のとおり。

5G周波数オークション(700MHz、3.6-3.8GHz)の落札結果(2021年4月)
落札者 落札周波数 落札額
EE 723-733MHz/778-788MHz 2億8,000万£
738-758MHz 400万£
3680-3720MHz 1億6,800万£
小計 4億5,200万£
ハチソン3G UK 713-723MHz/768-778MHz 2億8,000万£
テレフォニカUK 703-713MHz/758-768MHz 2億8,000万£
3760-3800MHz 1億6,800万£
小計 4億4,800万£
ボーダフォンUK 3720-3760MHz 1億7,640万£
合計 13億5,640万£
(2)ミリ波帯

Ofcomは2023年11月、5Gサービスを含むモバイル技術にミリ波帯(26GHz帯:2.4GHz幅及び40GHz帯:3GHz幅)を開放するため、免許付与手続にかかわるオークション計画を発表した。都市における通信容量と通信速度の向上、大量のデータと超高速通信を可能にする革新的無線アプリケーションを促進する。オークション対象は「高密度地域」(主要都市・町、一部の交通ハブを含む全国68か所)で、以下の三つの帯域で構成される。

各ロットは200MHz幅のブロックで構成。最低価格は、26GHz帯の下位ロット及び26GHz帯の上位ロットが200万£、40GHz帯のロットが100万£。オークションは2段階で実施。クロックオークションとなるメインステージで各入札者に割り当てられる周波数帯の数量を決定。その後、割当段階で正確な周波数を決定する。オークションは2025年9月に開始され、翌10月にメインステージが終了し、BT、テレフォニカUK、及びボーダフォンのそれぞれが最低価格で落札し、26GHz帯で800MHz幅、40GHz帯で1GHz幅をそれぞれ獲得した。

6 免許不要利用

Ofcomは2020年1月より6GHz帯の低帯域(5925-6425MHz)をWi-Fi及びその他のRLAN(Radio Local Area Network)で利用可能とすることについて公開諮問を開始し、2020年7月に当該帯域の免許不要での利用を認めることを決定した。更に、Ofcomは2022年9月、5150-5250MHzをWi-Fiその他のRLANに開放し、5170-5250MHzでの上空利用を許可するとともに、ITS(Intelligent Transport Systems)向けの周波数を20MHz幅拡張して5875-5925MHzを割り当てた。

6GHz帯の高帯域(6425-7125MHz)については、Ofcomは2023年7月に、モバイルとWi-Fiの両方の使用を可能にするため、以下の内容を含む「ハイブリッド共用」を提案した。

その後Ofcomは、6GHz帯の高帯域の将来ビジョンを2024年5月に発表し、モバイルとWi-Fiのハイブリッド共用を実現し、当該帯域の利益をすべてのユーザが最大限享受できるよう、国際的なパートナーと協力して整合規格を推進していく方針を示した。また、2025年2月にハイブリッド共用を2段階(第1段階:2025年末までに低電力の屋内Wi-Fiを導入、第2段階:2027年までにモバイルでの使用を許可)に分けて導入する案についての公開諮問を開始した。また、当該公開諮問では、6GHz帯の低帯域を屋外かつ高出力でWi-Fiが利用できるよう、自動データベースの制御下で動作させることで、既存ユーザを干渉から保護することを提案している。

7 電波利用料制度

(1)概要

英国で周波数利用の対価として支払われるのは、無線電信法免許料(Wireless Telegraphy Act Licence Fee)である。無線電信免許の多くは1年で更新され、その際に初回の料金と同額の更新料を支払う。

「1998年無線電信法」の制定により、無線電信法免許料の算定に、市場原理を取り入れた「スペクトラムプライシング」と称される、無線電信免許の免許料設定方法が導入された。スペクトラムプライシングは、①管理的料金設定(Administrative pricing)と、②オークションによる料金設定の2本柱で構成される。

管理的料金設定は、①インセンティブ料金設定(Incentive pricing)と、②規制的料金設定(Regulatory pricing)の二つに分けられ、前者は管理インセンティブ料金設定(AIP)と呼ばれ、電波の効率的な利用を促進するため、市場原理との関連性を持たせることを目的に、帯域幅、カバー地域、共用の度合い、地理的立地等の諸要素に基づき算出される電波利用料で経済的価値が勘案される。一方、後者は、市場原理とは無関係に周波数管理費用のみが回収される仕組みである。AIPは「2006年無線電信法」により、政府機関が使用する周波数に対しても適用されている。

(2)無線電信免許料の徴収額

Ofcomは「2003年通信法」第400条に基づき、以下について徴収することが義務付けられている。

「2017年デジタル経済法」は、Ofcomが無線電信法に基づくその機能に関連して受領した金額を保持することを認める法改正を導入した。Ofcomは、一般的な周波数管理機能、及び料金徴収ができないその他の機能を遂行するための費用を賄うために、このような金額を保持することができる。

2024/25年度、無線電信法に基づく免許は40万6,390件(2023/24年度:39万6,924件)発行された。無線電信法に基づく免許は、タクシー会社、アマチュア無線プロバイダ、移動体通信事業者、テレビ・ラジオ放送事業者等、様々な周波数利用者に付与されている。Ofcomは2024/25年度、無線電信法に基づく免許人から4億2,240万£(2023/24年度:3億4,480万£)を徴収し、現金残高から得た利息と合わせてDSITに移管し、残りの3,450万£を連結基金に移管した。Ofcomは、資金提供制度の設立に先立ち、主に周波数管理とオンライン安全対策に資金を提供するため、1億5,110万£(2023/24年度:1億2,670万£)を留保した。

「2003年通信法」第163条に基づき、Ofcomは特定の政府省庁から周波数利用料を受け取っており、2024/25年度は1億3,860万£(2023/24年度:1億3,900万£)であった。これには国防省、運輸省(Department for Transport)、DSIT、内務省が含まれる。当該料金は歳出見直しの決済の一部として財務省によって合意される。これらの収入は無線電信法に基づく支払いではないが、商用免許から受け取る現金と同様に扱われる。

Ⅲ 周波数分配状況

2017年英国周波数分配表(UK Frequency Allocation Table 2017)は以下のとおり。