アジア・太平洋電気通信共同体(APT)Asia-Pacific Telecommunity
Ⅰ 概要
(1)住所等
| Tel. | +66 2 573 0044 |
|---|---|
| URL | https://www.apt.int/ |
| 所在地 | 12/49 Soi 5, Chaeng Watthana Road, Bangkok 10210, THAILAND |
| 幹部 | 近藤 勝則(事務局長/Secretary General) Liu Ziping(事務局次長/Deputy Secretary General) |
(2)設立・沿革
APTは、国連アジア太平洋経済社会委員会(Economic and Social Commission for Asia and the Pacific:ESCAP)において「アジア太平洋地域の電気通信網計画の完成の促進とその後の有効的な運営を図るための地域的機関」の設立憲章が採択されたことを契機に域内諸国の合意に基づき設置された。1979年5月にはAPT創立総会がバンコクで開催され、同年7月に事務局が発足した。設立以降、APT事務局はタイ・バンコクに置かれている。
(3)目的
APTは、アジア太平洋地域における電気通信サービス及び情報基盤の発展促進を目的として、主に①標準化や無線通信等に関する地域的政策調整、②セミナーや研修等を通じた人材育成等を行う(詳細はⅢの項参照)。
APTは、APT憲章において国際電気通信連合(International Telecommunication Union:ITU)憲章で規定する地域的電気通信機関に即したものとして位置付けられており、その目的達成のため、ITUと連携して活動を行うことが期待されている。
(4)加盟国等(2025年12月現在)
- ①加盟国(38か国・地域)
- ②準加盟国(4か国・地域)
- ③賛助加盟員(電気通信事業者及びメーカー、138団体・企業)
Ⅱ 組織の概要
(1)総会(General Assembly)
APTの最高意思決定機関であり、すべての加盟国及び準加盟国で構成される。総会は3年ごとに開催され、続く3か年のAPTの活動方針及び分担金額、予算シーリングを含む財政方針等を決定する。また、必要に応じて臨時会を開くこともできる。総会は、通常会期ごとにAPT加盟国の代表の中から議長1人及び副議長2人を選出する。
(2)管理委員会(Management Committee)
管理委員会は、すべての加盟国及び準加盟国で構成される。管理委員会は毎年1回開催され、総会が決定する活動方針、原則及び指示に従い、次年度の活動計画及び予算等を決定する。
| 議長 | 副議長 | |
|---|---|---|
| 総会 | Ilyas AHMED(モルディブ) | Kalaya CHINATIWORN(タイ) Kila GULO-VUI(パプアニューギニア) |
| 管理委員会 | PENH Sokharath (カンボジア) |
Maria MYUTEL(オーストラリア) Alireza DARVISHI(イラン) |
(3)事務局(Secretariat)
APTの事務局は、管理委員会の定める業務に従い、総会及び管理委員会、並びに地域的政策調整のための会合等について事務局として開催・運営を行う。
事務局は選挙職である事務局長及び事務局次長、並びに国際職員及びローカルスタッフで構成される。事務局長及び事務局次長の任期は3年間であり、2期まで再任が可能である。
- APT事務局職員構成(2025年12月現在)
- 事務局長:近藤 勝則(日本)
- 事務局次長:Liu Ziping(中国)
- 専門スタッフ:6名
APTの組織及び主な定期会合の概要

- AWG:新しい無線アプリケーションの普及促進、周波数や無線システムの調和の検討等を目的とした会合。
- ASTAP:電気通信分野の標準化活動を強化し、国際標準策定に貢献することを目的とする地域標準化フォーラム。
- PRF:電気通信分野の政策及び規制に関する課題について、意見・情報交換するフォーラム。
- ADF:電気通信及びICT基盤の開発を促進することを目的としたフォーラム。
- 地域準備会合:WRCにAPT加盟国の意見を反映させるため、共同提案を策定することを目的としたAPG等、ITUの世界会議(標準化、開発、全権委員会議等)向けの各種準備会合。
Ⅲ 活動内容
(1)概要
APTの活動は大きく二つある。一つは地域の声をまとめてITU等の国際的な場にそれを提案していく機能であり、もう一つは域内のICTの発展に寄与するための機能である。前者の機能の例として、ITU全権委員会議(Plenipotentiary Conference:PP)、世界電気通信開発会議(World Telecommunication Development Conferences:WTDC)、世界電気通信標準化総会(World Telecommunication Standardization Assembly:WTSA)、世界無線通信会議(World Radiocommunication Conferences:WRC)、その他のITU会合等に向けた地域準備会合等を開催しており、APT共同提案の策定等を通じ、政策提言力の強化・域内の意見調整機能の活性化に努めている。後者の機能としては、技術的人材育成のみならず、政策立案担当幹部レベルの域内人材ネットワークの形成・国際会議で活躍するリーダシップ人材の育成等を目指した活動がある。主な活動は、以下のとおり。
- ①地域的政策調整
- 大臣級会合(5年に1回程度)
- 政策規制会合(APT地域全体(Policy and Regulatory Forum:PRF)、太平洋諸国(Policy and Regulation Forum for Pacific:PRFP)、南アジア(South Asian Telecommunication Regulators’ Council:SATRC))(毎年)
- ②人材育成
- ICT関連の研修
- 個別テーマ(サイバーセキュリティ、災害管理、デジタルエコノミー等)
- 政策、技術(毎年トピックを選定)等
- ③その他
- 出版
- APT情報システムの運用等
(2)会合等開催状況(2025年)
- ①会合:23件開催
- ②研修:14件実施
- ③人材交流、パイロット・調査研究プロジェクト:9件(2025年12月現在)
(3)最近の主な会合とその結果
2023年11月6日~7日にタイのバンコクとウェブ会議のハイブリッドにて第16回APT総会が開催された。本総会では、事務局長・事務局次長の選挙が実施され、事務局長選挙では近藤勝則候補(日本)が、事務局次長選挙では劉子平(Liu Ziping)候補(中国)がそれぞれ再選した(任期は2024年2月9日から2027年2月8日までの3年間)。次いで、2024年から2026年までの戦略計画が承認された。同計画では、2019年6月に採択されたシンガポール声明において提言されている優先分野を反映した以下の五つの戦略的支柱ごとに具体的なアクションが規定されている。
- デジタル接続性(Digital Connectivity):電気通信/ICTインフラへのアクセスと効率性を向上
- DX(Digital Transformation):適切な環境整備及び電気通信/ICTの利益の活用
- 信頼と安全(Trust and Safety):電気通信/ICTを通じた安全なサイバー空間や安全性、回復性を確保
- デジタル包摂性(Digital Inclusion):障壁を取り除き、包摂性を促進
- サステナビリティ(Sustainability): 電気通信/ICT分野における参画の拡大及び気候変動への対応とその影響を削減するためのICTの活用
同総会におけるその他の主要議題の審議結果として、予算計画に関しては今後3か年の予算計画及びシーリングが議論され、分担金の1単位は1万280USDに据え置くという前提で2024~2026年の予算計画が全会一致で承認された。
2025年5月に東京で開催された大臣級会合では、以下の六つの項目から構成される、今後5年間のアジア・太平洋地域の発展の方向性に関する「東京宣言」が採択された。
- ①Digital Connectivity:すべての人々が信頼性・安全性・経済性を備えたICTサービスとインフラにアクセスできる環境を整備
- ②Digital Innovation and Entrepreneurship:スタートアップ、中小企業及び地域発のイノベーションを支援するデジタルエコシステムを強化
- ③Trust and Safety:サイバーセキュリティ、プライバシー保護、ユーザ保護に関する取組みを促進
- ④Digital Inclusion and Capacity Building:すべての人々がICTを活用できるよう、スキル開発やリテラシー向上を支援
- ⑤Sustainability:気候変動への対応、グリーンICTの推進、強靭なインフラ整備を通じて、環境面でのICT活用を推進
- ⑥Partnership and Collaboration:APT加盟国間、国際機関、民間とのマルチステークホルダー協力を推進
また、2025年4月に第37回APT電気通信標準化フォーラム(APT Standardization Program Forum:ASTAP-37)がタイのバンコクにて開催され、グリーンデータセンター、6G以降のネットワークサービス要求、災害耐性強化、ミリ波伝送といったテーマに関連したAPTレポートやガイドラインが承認されたほか、各国行政機関での生成AIユースケース、データ共有の実態調査等新規課題も設定された。
加えて、APT無線グループ(APT Wireless Group:AWG)第34回会合(AWG-34)は2025年3月にネパールのカトマンズで対面・オンラインのハイブリッドで開催された。AWGにおいては、IMT、固定無線システム(FWS)、航空通信、衛星通信、高高度プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)、ワイヤレス電力伝送システム(Wireless Power Transfer:WPT)、周波数情報システム等に関する技術的な議論が行われている。
Ⅳ 日本の対応状況
日本政府は、通常の分担金負担(40単位(1単位当たり1万280USD))に加え、国際貢献、域内リーダシップの確保及び国内ICT産業の海外展開支援等を目的とした特別拠出金を1992年度からAPTに拠出しており、人材育成(研修・セミナー等)やパイロットプロジェクト等の実施を支援している(166万8,909USD)。プログラムの概要は下記のとおりである(2025年度)。
| プログラム | 概要 |
|---|---|
| ICT関連の研修 | 実務担当者、政策担当幹部等を対象として、ICT基盤、モバイル、アプリケーション等にかかる講義や企業訪問等の研修を実施。人数は、1コース10~15名程度。期間は、10日~3週間程度。 |
| ICT研究者・技術者人材交流(パイロットプロジェクトを含む) |
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