Tel. | +251 11 551 77 00 |
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URL | https://au.int/ |
所在地 | P.O. Box 3243, Roosvelt Street W21K19 Addis Ababa, ETHIOPIA |
幹部 | Moussa Faki Mahamat(議長/Chairperson) Monique Nsanzabaganwa(副議長/Deputy Chairperson) |
アフリカ連合(African Union:AU)は、アフリカ連合機構(Organisation of African Unity:OAU)の後継組織として2002年に発足した。OAUはアフリカ諸国の自由独立や住民の尊厳を掲げた憲章を基に1963年に結成、アフリカ大陸が植民地主義から脱して住民の人種的平等を実現することを目標に各種啓発活動を実施した。1999年、OAUは加盟国間の協力関係と経済的発展を推進、世界の中のアフリカの存在意義をより強める新組織へ移行するとして活動を停止した。AUの設立以来のスローガンは、「住民の主導による統一的で豊かな、かつ平和なアフリカの力をグローバル社会で示す」というものである。
OAUからAUへの移行に際して、当時の加盟国53か国の首長が合同で「アフリカ連合設立法(Constitutive Act of the African Union)」を制定、AUの設立目的を以下のように定めた。
55か国(中部9、東部14、北部7、南部10、西部15)
AU加盟国はそれぞれアフリカ大陸の八つの地域経済共同体(Regional Economic Community:REC)の一つあるいは複数に加盟しており、各種委員会活動でAUとRECは緊密な協力関係を保っている。
AUの最高意思決定機関であり、すべての加盟国の首長で構成される。総会は少なくとも年に1回の定期会合を実施、任意の加盟国の動議に3分の2以上の加盟国が賛同すれば、臨時会合も可能である。主な活動は、アフリカ連合運営委員会の議長及び副議長の選出、運営委員会の委員候補の指名と役割や任期の決定、新規参加国の受け入れ、AU予算の承認、重要案件の審議と決定、AU設立法の解釈と時宜に合わせた改正、運営委員会の構成や機能に関する規則の承認、閣僚執行理事会の組織構成、機能及び権限の決定、である。
AUの政策策定機関として、加盟各国の外務相で構成されるが、各加盟国政府の指名により他の省庁の長が参加することも可能である。定期会合は少なくとも年に2回開催され、主な協議事項は以下とされている。
閣僚執行理事会には、更に他の国際機関の代表選挙への立候補推進、条約の審査と批准、加盟各国のAU予算への拠出額と支出の均衡に関する監査、経済発展計画「Agenda2063」の推進に関する下部委員会があり、加盟各国の閣僚から選出された委員が定期的な会合とその報告を実施している。
AUの事務局として、総会あるいは閣僚執行理事会の指示に従い、AU内の下部組織への通達や運営の支援、国際交渉や加盟国間協議時の事前準備、予算配分等を実施するほか、RECと協力してAUの社会・経済発展計画を立案、加盟各国におけるその施行を支援する。
AUCの中核は8名の委員から構成され、その議長は組織の運営・財務の責任者であり、AUの法的な代表者と位置付けられている。AUCの代表事務局はエチオピアの首都アディスアベバに置かれ、議長室及び副議長室のほか、農業・持続的成長、経済発展・交易・産業・鉱業、教育・科学技術・イノベーション、インフラ・エネルギー、政治・平和維持・セキュリティ、医療・人権・社会発展のそれぞれにかかわる下部委員会や法務、人事等、AUCの運営に携わる14の部局の活動拠点となっている。
閣僚執行理事会が選出する15名のメンバーで構成される。任期は10名が2年(改選不可)、5名が3年(改選可)で、出身地はアフリカ中部:3名、東部:3名、北部:2名、南部:3名、西部:4名とされている。AU内外の防衛、治安維持、紛争予防・解決に関する調査及び協議を主な活動とする。メンバーは事務局に常駐する。
2004年に結成され、主な活動は、AUの設立目的に適うプロジェクトの策定への助言と進行中のプロジェクトの評価である。メンバーは総会が選出する理事長及び副理事長、AUCの部局代表が10名、大陸各地域の代表が8名、閣僚理事会が指名するアフリカ外の居住者代表が10名、AUCが指名する専門家が6名で、任期は4年(1回のみ改選可)。定期会合は2年ごとに開催されるが、構成メンバーの過半数の賛同により、臨時会合も可能である。
加盟国すべての市民の政治参加を目的に2014年に総会の承認を受け、加盟各国の全立法機関から構成され、加盟国間の法規則の調整・統一を図り、人権と民主主義思想の普及活動を行う。本部は南アフリカのミッドランドに置かれている。
人権裁判所(African Court of Justice/African Court of Justice and Human Rights)、人権委員会(African Commission on Human and Peoples’ Rights)、法律委員会(African Union Commission on International Law)、汚職報告委員会(AU Advisory Board Against Corruption)、児童の権利・福祉専門家委員会(African Committee of Experts on the Rights and Welfare of the Child)から構成される。
人権裁判所については、2004年に設立に関する議定書を15か国が批准した後、2006年に裁判官の選出が行われ、2007年に本拠地がタンザニアのアルーシャに定められた。裁判官は閣僚委員会が選出、総会で任命される。裁判官は11名で任期は6年(1回のみ改選可)。年に4回、4週間の定期会合を開催するほか、重要案件については随時会合で協議を行うとされている。対象となる犯罪は、国際規模での戦争、テロ、略奪、クーデター、虐殺等の人権侵害行為とされている。
その他の委員会については、それぞれが加盟国間協議で選出された11名の専門家から成り、おおむね1年に2回の定期会合のほか、継続的な情報収集やキャンペーン活動を行っている。
加盟各国の閣僚が構成メンバーであり、AU全体で協議すべき14の課題につき、四つの最重要課題については年ごと、その他の課題については1年おきに会合を開き、調査報告と協議を行う。2023年の最重要課題とされているのは、ジェンダー平等・女性の社会進出、財務・通貨規制・経済計画・統合経済、防衛・安全・セキュリティ、司法・法務である。
閣僚執行理事会の補助機関として、加盟各国から選出された委員が、同理事会における協議の議題設定、外部識者との連絡、プロジェクト計画の適切性に関する助言、各種政策テーマに関する下部委員会の設定と調査活動等を実施する。定期会合は年に2回であるが、メンバーは複数の下部委員会に属し、継時的に調査や執行評議会への報告準備等を行っている。2023年8月現在の下部委員会数は16である。
AUは2013年に今後50年間のアフリカの政治、経済、社会の発展を目指して「Agenda2063」イニシアチブを立ち上げた。2022年までの10年間の主な活動は、加盟各国及びRECとの協議により、産業各分野の振興における大陸レベルの優先事項を定め、キープレイヤーとなる団体と産業の現状や将来の目標に関する情報を共有したうえで、重点プロジェクトの内容を定めることであった。
2024年8月現在、15の重点プロジェクトが進行中であるが、電気通信・ICTに関連するものは、「汎アフリカEネットワーク」「宇宙開発戦略」「バーチャルE大学」「サイバーセキュリティ」である。
2023年3月現在のそれぞれの成果は、「AU Handbook 2023」で以下のように記載されている。
これらのプロジェクトと並行して、AUCは「アフリカ・デジタル化戦略2020~2030」を発表、2030年までにアフリカ住民の100%に最低速度6Mbpsの常時ネット接続環境を与え、99.9%の身分証明書を電子化、2021~2025年までに年に3億人のペースで住民にデジタル社会でのセキュリティ・プライバシーに関する教育機会を設ける等の目標を掲げ、加盟各国向けにICTサービス普及の現状分析とアクション策定のモデルを提示している。
またEU、ITUと共同でAU加盟国における周波数管理、ICT推進政策の調整の円滑化及びAU諸国のインターネット・ガバナンスに関する国際協議での発言権強化を目指した「PRIDA(Policy and Regulation Initiative for Digital Africa)」イニシアチブが、各種ワークショップやポータルサイトの運営等の啓発活動を実施している。
日本政府は、アディスアベバにアフリカ連合日本政府代表部を設置、定期的にアフリカ経済状況報告を行うほか、主要ICT政策動向についても、外務省ウェブサイト上のページに記載している。