国際電気通信連合(ITU)International Telecommunication Union
Ⅰ 概要
1 住所等
| Tel. | +41 22 730 5111 |
|---|---|
| URL | https://www.itu.int/ |
| 所在地 | Place des Nations, 1211 Geneva 20, SWITZERLAND |
| 幹部 | Doreen Bogdan-Martin(事務総局長:米国/Secretary-General) Tomas Lamanauskas(事務総局次長:リトアニア/Deputy Secretary- General) Mario Maniewicz(無線通信局長:ウルグアイ/Director of the Radiocommunication Bureau) 尾上 誠蔵(電気通信標準化局長:日本/Director of the Telecommunication Standardization Bureau) Cosmas Zavazava(電気通信開発局長:ジンバブエ/Director of the Telecommunication Development Bureau) |
2 設立目的
ITUは、国際連合の専門機関の一つとして、電気通信の良好な運用により諸国民の間の平和的関係及び国際協力並びに経済的及び社会的発展を円滑にする目的を持って設立された。本部はジュネーブにあり、活動内容は以下のとおりである。
- すべての種類の電気通信の改善及び合理的利用のため、すべての構成国の間における国際協力を維持し及び増進すること。
- 連合の目的として掲げられたすべての目的を達成するため、団体及び機関の連合の活動への参加を促進し及び拡大させ、並びに当該団体及び機関と構成国との間の実りある協力及び連携を促進すること。
- 電気通信の分野において開発途上国に対する技術援助を促進し及び提供すること、その実施に必要な物的資源、人的資源及び資金の移動を促進すること並びに情報の取得を促進すること。
- 電気通信業務の能率を増進し、その有用性を増大し、及び公衆によるその利用をできる限り普及するため、技術的手段の発達及びその最も能率的な運用を促進すること。
- 新たな電気通信技術の便益を全人類に供与するよう努めること。
- 平和的関係を円滑にするため、電気通信業務の利用を促進すること。
- これらの目的を達成するため、構成国の努力を調和させ、並びに構成国と部門構成員との間の実りあるかつ建設的な協力及び連携を促進すること。
- 経済社会の情報化が世界的に進展していることにかんがみ、地域的及び世界的な他の政府間機関並びに電気通信に関係がある非政府機関と協力して、電気通信の問題に対する一層広範な取組方法の採用を国際的に促進すること。
3 加盟国
194の構成国が加盟。このほか、883の部門・準部門構成員(Sector Members/Associates)、及び181の学術会員(Academia)で構成されている(2025年10月現在)。
Ⅱ 組織の概要
1 組織概要
ITUの現在の組織構成は、1992年12月にジュネーブで開催された追加全権委員会議で承認、1994年7月1日に発効した新ITU憲章・条約に規定されている。
同規定により、ITUは、全権委員会議、理事会、世界国際電気通信会議(World Conference on International Telecommunications:WCIT)、事務総局並びに以下の三つの部門及びその研究委員会(Study Group:SG)により構成される。
- 無線通信部門(ITU-R):世界無線通信会議(World Radiocommunication Conferences:WRC)、地域無線通信会議、無線通信総会、及び無線通信規則委員会(Radio Regulations Board:RRB)等を含む。
- 電気通信標準化部門(ITU-T):世界電気通信標準化総会(World Telecommunication Standardization Assemblies:WTSA)等を含む。
- 電気通信開発部門(ITU-D):世界電気通信開発会議(World Telecommunication Development Conferences:WTDC)、地域電気通信開発会議等を含む。
2 全権委員会議
全権委員会議は、ITUの最高意思決定機関で、加盟国を代表する代表団で構成され、4年ごとに開催される。
3 理事会
理事会は、議席が世界の五つの地域(米州、西ヨーロッパ、東ヨーロッパ・北アジア、アフリカ、アジア・大洋州)に公平に配分されるよう、全権委員会議が選出した48の加盟国で構成され、毎年1回ジュネーブで通常会合が開かれる。
理事会は4年ごとの全権委員会議の間に、ITUの指導的な機関として業務を行う。主な業務は、1年間のITUの活動方針・会合計画の策定、予算の決定、ITUの戦略及び政策の検討、職員制度等の運営・管理にかかわる重要事項の審議等である。2025年の理事会は、ジュネーブのITU本部にて6月17日から6月27日の日程で開催され、主な議題として、加盟国の分担金単位額、衛星ネットワーク登録料、WRC-27開催国、ウクライナ・パレスチナ支援及びAIを巡るITUの役割に係る審議が行われた。
4 世界国際電気通信会議(WCIT)
世界国際電気通信会議は、全権委員会議の決定により不定期に招集される。国際電気通信規則(International Telecommunication Regulations:ITR)の一部改正または、例外として、全部改正を行い、及びその他世界的性質を有する問題(同会議の権限内のものまたはその議事日程に関するものに限る)を取り扱うことができる。
5 事務総局
事務総局は、全権委員会議が選出した事務総局長及び事務総局次長と、事務総局長が任命する職員から構成される。事務総局長は、調整委員会と協力して、ITUの戦略的な政策・計画を立案し、その活動を調整する。また、ITUの活動の事務上及び会計上の事項について、理事会に対して責任を負うとともに、ITUの法律上の代表者として行動する。
Ⅲ 活動内容
1 ITU-Rの活動
周波数帯と衛星軌道は、近年多様なサービスでの利用が拡大している貴重な資源であり、ITU-Rはこのグローバルな管理において、中核的な役割を果たしている。主な活動としては、3~4年に一度開催するWRCがあり、同会議では、周波数や衛星軌道の利用方法等に関する国際的な取決めについて規定した無線通信規則(Radio Regulations:RR)の改正等を行う。
直近のWRC-23は、2023年11月20日から12月15日までアラブ首長国連邦のドバイで開催された。主な結果は以下のとおりである。
- 5G、Beyond 5Gに向けた新規周波数として7025-7125MHz等を特定。
- 高高度プラットフォーム局(HAPS)の携帯用基地局としての利用のため、1.7GHz帯、2GHz帯及び2.6GHz帯を全世界に、700MHz帯を我が国を含めた一部の国に特定。
- WRC-27議題として、携帯電話と衛星の直接通信のための周波数分配、月面・月周回軌道での周波数分配、宇宙天気センサ用周波数分配等に関する検討を決定。
2 ITU-Tの活動
ITU-Tは、毎年1~2回開催する各SG会合や4年に一度開催されるWTSAにおいて、通信網の技術・運用方法に関する国際標準の策定や、技術的な検討を行っており、策定された国際標準を勧告(Recommendation)として公表している。
技術の標準化を行っている範囲は広く、音声通信、データ通信、映像配信等を含む。電気通信標準化局(Telecommunication Standardization Bureau:TSB)が技術的な検討を行うSGを支援している。
2022年9月に行われたITU幹部職員選挙において、我が国から尾上誠蔵氏(NTT)がTSB局長に選出され、2023年1月から4年間の任期(1期目)を務める。
前回総会のWTSA-24は、2024年10月15日から24日までインドのニューデリーにおいて開催され、次研究会期(2025~2028年)におけるSG構成とその研究課題の承認、具体的な標準化活動を行うSGの議長・副議長の任命、勧告・決議の承認等が行われた。主な結果は以下のとおりである。
(1)研究委員会(SG)の統合
2024年1月に開催された電気通信標準化諮問委員会(Telecommunication Standardization Advisory Group:TSAG)へのSG統合に関する我が国からの提案により、WTSA-24においてITU-Tでは16年ぶりとなるSGの統合(SG9+SG16)が合意され、新たにマルチメディア、コンテンツ配信及びケーブルテレビの技術を活動内容とするSG21が設立された。
(2)次研究会期のSG等の議長・副議長の任命
今後4年間の各SG等における標準化活動をけん引する役職者として、日本からはSG13の谷川和法氏(NICT)が議長として再任されたほか、副議長7名が任命された。
(3)決議の承認等
8件の新決議(AI、メタバース、デジタルトランスフォーメーション(DX)、高度道路交通システム、デジタル公共基盤、緊急通報位置通知、次世代ITU標準化専門家育成、新たな政策目標)、45件の決議改定等が承認された。
次回のWTSA-28は、2028年に開催される予定である。
3 ITU-Dの活動
ITU-Dは、開発途上国における電気通信分野の開発支援を行っており、以下の目的の下、SGにおける各種開発ニーズに関するベストプラクティスの共有、開発プロジェクトの実施、人材育成、統計調査等の活動を行っている。
- ICT分野における技術的・人的資源の開発に関して加盟国を支援する。
- 世界中の住民に対してICTによる便益の拡大を図る。
- デジタルディバイドの縮小に向けた活動について促進・参加する。
- 発展途上国のニーズを満たす情報流通を促進するプログラムを開発・管理する。
ITU-Dでは、4年に一度開催されるWTDCにおいて、次の4年間の活動会期における戦略目標や具体的な活動方針を策定するとともに、それらの円滑で効果的な実施のために電気通信開発諮問委員会(Telecommunication Development Advisory Group:TDAG)及びSGにおける議長・副議長や組織構成等を決定している。
直近では「誰もが利用でき、価値があり、手頃な価格でアクセスできる接続性を実現し、誰一人取り残さない持続可能なデジタル社会へ」をテーマとするWTDC-25が、2025年11月17日から28日までアゼルバイジャンのバクーで開催され、160か国(152か国が現地、8か国がリモートで参加)から1,900名を超える参加者が参加した。主な結果は以下のとおりである。
- バクー宣言:次会期(2026~2029年)の行動指針及び基本認識として、持続可能な開発実現のため、五つの宣言と五つの約束を明示。
- バクー行動計画(Baku Action Plan):次会期(2026~2029年)の優先事項を達成するためのITU-Dの運営計画であり、五つの優先事項ごとに整理。
次回のWTDC-29は、2029年に開催される予定である。
4 2022年全権委員会議
2022年全権委員会議は、2022年9月26日から10月14日まで、ルーマニアのブカレストで開催された。事務総局長以下の幹部職員、RRB委員及び理事国の選挙が行われたほか、今後4年間の戦略・財政計画、国際的な公共政策課題に関する議題が審議された。今回会合において審議された決議案は、「AI技術の有益な利用」「SG議長・副議長等の任命及び期間」「サイバーセキュリティ」「軍用無線設備への規則適用」「地域プレゼンスの強化」「パンデミック対策でのICTの役割」「国際的なインターネット公共政策」等となっている。
次回の全権委員会議は、2026年にカタールのドーハで開催される予定である。
| 地域 | 定数 | 国名 |
|---|---|---|
| A地域(米州) | 9 | アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、バハマ、カナダ、キューバ、米国、パラグアイ、エルサルバドル |
| B地域(西ヨーロッパ) | 8 | イタリア、イギリス、スウェーデン、スイス、スペイン、フランス、ドイツ、トルコ |
| C地域(東ヨーロッパ・北アジア) | 5 | ルーマニア、アゼルバイジャン、ポーランド、ブルガリア、チェコ共和国 |
| D地域(アフリカ) | 13 | ケニア、ガーナ、エジプト、タンザニア、アルジェリア、モロッコ、セネガル、ナイジェリア、チュニジア、モーリシャス、ルワンダ、ウガンダ、南アフリカ |
| E地域(アジア・大洋州) | 13 | アラブ首長国連邦、インド、インドネシア、タイ、マレーシア、日本、クウェート、フィリピン、サウジアラビア、オーストラリア、韓国、バーレーン、中国 |
5 世界情報社会サミット成果に係る総括レビュー・ハイレベル会合
2025年12月16日から17日にかけて、世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society:WSIS)成果に係る総括レビュー・ハイレベル会合が開催された。WSISはITU主導により全ての人々がICTの恩恵を享受できるようにするという理念の下、各国政府、国際機関、社会市民、民間が連携するマルチステークホルダーの枠組みを築き、2003年12月にスイス・ジュネーブで第1フェーズが、2005年11月チュニジア・チュニスで第2フェーズが開催された。2025年はWSIS開催から20年であり、これまでの振り返りと評価、及び今後に向けた展望を成果文書としてまとめ、国連決議として採択された。本会合は200を超える国と地域及びステークホルダーが参加し、119のステートメントが表明された。
6 AI for Good グローバル・サミット
今般、ITUとスイス政府の共催により2025年7月8日から11日の日程でAI for Goodグローバル・サミットが開催された。AI for Goodは、ITUが他の国際機関との協力の下、推進する国連のプラットフォームである。AIの開発者及び利用者が学習・議論・連携し、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)を前進させるための実用的なAIソリューションを特定することを目的として、日本の尾上誠蔵氏が局長を務めるITU電気通信標準化局が主導している活動であり、グローバル・サミットはAI関連企業、政府、国際機関等が集まり、セッションやAI技術の展示等が行われる年1回のフォーラムである。