Tel. | +41 22 730 5111 |
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URL | https://www.itu.int/ |
所在地 | Place des Nations, 1211 Geneva 20, SWITZERLAND |
幹部 | Doreen Bogdan-Martin(事務総局長:米国/Secretary-General) Tomas Lamanauskas(事務総局次長:リトアニア/Deputy Secretary- General) Mario Maniewicz(無線通信局長:ウルグアイ/Director of the Radiocommunication Bureau) 尾上 誠蔵(電気通信標準化局長:日本/Director of the Telecommunication Standardization Bureau) Cosmas Zavazava(電気通信開発局長:ジンバブエ/Director of the Telecommunication Development Bureau) |
ITUは、国際連合の専門機関の一つとして、電気通信の良好な運用により諸国民の間の平和的関係及び国際協力並びに経済的及び社会的発展を円滑にする目的を持って設立された。本部はジュネーブにあり、活動内容は以下のとおりである。
194の構成国が加盟。このほか、573の部門・準部門構成員(Sector Members/Associates)、及び171の学術会員(Academia)で構成されている(2024年11月現在)。
ITUの現在の組織構成は、1992年12月にジュネーブで開催された追加全権委員会議で承認、1994年7月1日に発効した新ITU憲章・条約に規定されている。
同規定により、ITUは、全権委員会議、理事会、世界国際電気通信会議(World Conference on International Telecommunications:WCIT)、事務総局並びに以下の三つの部門及びその研究委員会(Study Group:SG)により構成される。
全権委員会議は、ITUの最高意思決定機関で、加盟国を代表する代表団で構成され、4年ごとに開催される。
理事会は、議席が世界の五つの地域(米州、西ヨーロッパ、東ヨーロッパ・北アジア、アフリカ、アジア・大洋州)に公平に配分されるよう、全権委員会議が選出した48の加盟国で構成され、毎年1回ジュネーブで通常会合が開かれる。
理事会は4年ごとの全権委員会議の間に、ITUの指導的な機関として業務を行う。主な業務は、1年間のITUの活動方針・会合計画の策定、予算の決定、ITUの戦略及び政策の検討、職員制度等の運営・管理にかかわる重要事項の審議等である。2024年の理事会は、ジュネーブのITU本部にて6月4日から6月14日の日程で開催され、本部ビルの建替えやITUの組織改革、パラオのITUへの加盟に係る審議が行われた。また、理事会期間中にグテーレス国連事務局長を招いた特別セッションが開催され、ITUがデジタル分野において果たすべき役割の重要性が述べられた。なお、国連事務局長がITU本部を訪問するのは70年ぶり。
世界国際電気通信会議は、全権委員会議の決定により不定期に招集される。国際電気通信規則(International Telecommunication Regulations:ITR)の一部改正又は、例外として、全部改正を行い、及びその他世界的性質を有する問題(同会議の権限内のもの又はその議事日程に関するものに限る)を取り扱うことができる。
事務総局は、全権委員会議が選出した事務総局長及び事務総局次長と、事務総局長が任命する職員から構成される。事務総局長は、調整委員会と協力して、ITUの戦略的な政策・計画を立案し、その活動を調整する。また、ITUの活動の事務上及び会計上の事項について、理事会に対して責任を負うとともに、ITUの法律上の代表者として行動する。
周波数帯と衛星軌道は、近年多様なサービスでの利用が拡大している貴重な資源であり、ITU-Rはこのグローバルな管理において、中核的な役割を果たしている。主な活動としては、3~4年に一度開催するWRCがあり、同会議では、周波数や衛星軌道の利用方法等に関する国際的な取決めについて規定した無線通信規則(Radio Regulations:RR)の改正等を行う。
直近のWRC-23は、2023年11月20日から12月15日までアラブ首長国連邦のドバイで開催された。主な結果は以下のとおりである。
ITU-Tは、毎年1~2回開催する各SG会合や4年に一度開催されるWTSAにおいて、通信網の技術・運用方法に関する国際標準の策定や、技術的な検討を行っており、策定された国際標準を勧告(Recommendation)として公表している。
技術の標準化を行っている範囲は広く、音声通信、データ通信、映像配信等を含む。電気通信標準化局(Telecommunication Standardization Bureau:TSB)が技術的な検討を行うSGを支援している。
2022年9月に行われたITU幹部職員選挙において、我が国から尾上誠蔵氏(NTT)がTSB局長に選出され、2023年1月から4年間の任期(1期目)を務める。
前回総会のWTSA-24は、2024年10月15日から24日までインドのニューデリーにおいて開催され、次研究会期(2025~2028年)におけるSG構成とその研究課題の承認、具体的な標準化活動を行うSGの議長・副議長の任命、勧告・決議の承認等が行われた。主な結果は以下のとおりである。
2024年1月に開催された電気通信標準化諮問委員会(Telecommunication Standardization Advisory Group:TSAG)へのSG統合に関する我が国からの提案により、ITU-Tでは16年ぶりとなるSGの統合(SG9+SG16)が合意され、新たにマルチメディア、コンテンツ配信及びケーブルテレビの技術を活動内容とするSG21が設立された。
今後4年間の各SG等における標準化活動をけん引する役職者として、日本からはSG13の谷川和法氏(NICT)が議長として再任されたほか、副議長7名が任命された。
8件の新決議(人工知能(AI)、メタバース、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、高度道路交通システム、デジタル公共基盤、緊急通報位置通知、次世代ITU標準化専門家育成、新たな政策目標)、45件の決議改定等が承認された。
次回のWTSA-28は、2028年に開催される予定である。
ITU-Dは、開発途上国における電気通信分野の開発支援を行っており、以下の目的の下、SGにおける各種開発ニーズに関するベストプラクティスの共有、開発プロジェクトの実施、人材育成、統計調査等の活動を行っている。
ITU-Dでは、4年に一度開催されるWTDCにおいて、次の4年間の活動会期における戦略目標や具体的な活動方針を策定するとともに、それらの円滑で効果的な実施のために電気通信開発諮問委員会(Telecommunication Development Advisory Group:TDAG)及びSGにおける議長・副議長や組織構成等を決定している。
直近では「つながらないものをつなげ、持続可能な開発を実現する」をテーマとするWTDC-22が、2022年6月6日から16日までルワンダのキガリで開催され、150か国(127か国が現地、23か国がリモートで参加)から2,152名の参加者(1,304名が現地、848名がリモートで参加)が参加した。主な結果は以下のとおりである。
次回のWTDCは2025年にアゼルバイジャンのバクーで開催される予定である。
2022年全権委員会議は、2022年9月26日から10月14日まで、ルーマニアのブカレストで開催された。事務総局長以下の幹部職員、RRB委員及び理事国の選挙が行われたほか、今後4年間の戦略・財政計画、国際的な公共政策課題に関する議題が審議された。今回会合において審議された決議案は、「AI技術の有益な利用」「SG議長・副議長等の任命及び期間」「サイバーセキュリティ」「軍用無線設備への規則適用」「地域プレゼンスの強化」「パンデミック対策でのICTの役割」「国際的なインターネット公共政策」等となっている。
次回の全権委員会議は、2026年にカタールのドーハで開催される予定である。
地域 | 定数 | 国名 |
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A地域(米州) | 9 | アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、バハマ、 カナダ、キューバ、米国、パラグアイ、エルサルバドル |
B地域(西ヨーロッパ) | 8 | イタリア、イギリス、スウェーデン、スイス、スペイン、フランス、ドイツ、トルコ |
C地域(東ヨーロッパ・北 アジア) |
5 | ルーマニア、アゼルバイジャン、ポーランド、ブルガリア、チェコ共和国 |
D地域(アフリカ) | 13 | ケニア、ガーナ、エジプト、タンザニア、アルジェリア、モロッコ、セネガル、 ナイジェリア、チュニジア、モーリシャス、ルワンダ、ウガンダ、南アフリカ |
E地域(アジア・ 大洋州) |
13 | アラブ首長国連邦、インド、インドネシア、タイ、マレーシア、 日本、クウェート、フィリピン、サウジアラビア、 オーストラリア、韓国、バーレーン、中国 |
2024年5月27日から5月31日にかけて、世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society:WSIS)2024が開催された。WSIS2024は、2025年に実施予定のWSIS+20レビューに先立ち、「WSIS+20ハイレベル・イベント」として開催され、初日に開催された閣僚ラウンドテーブルにおいては「WSIS:グローバル・デジタル・ガバナンス・プロセスの実践(WSIS の20年の成果と現状)」「WSISプロセス:現在のトレンドと新興技術への対応」「WSIS Beyond 2025:情報社会の未来を形作る」といったテーマで意見交換がなされた。同フォーラムは、ITUが、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)、国際連合貿易開発会議(UNCTAD)、国際連合開発計画(UNDP)と共催で毎年開催している国際会議である。同フォーラムには、現地とリモートで約160か国、約4,000名が参加した。
今般、ITUとスイス政府の共催により2024年5月29日から5月31日の日程でAI for Goodグローバル・サミットがWSIS+20ハイレベル・イベントと平行して開催された。AI for Goodは、ITUが他の国際機関との協力の下、推進する国連のプラットフォームであり、AIの開発者及び利用者が学習・議論・連携し、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)を前進させるための実用的なAIソリューションを特定することを目的として、尾上局長が率いるITU-TのTSBが主導している活動であり、グローバル・サミットはAI関連企業、政府、国際機関等が集まり、セッションやAI技術の展示等が行われる年1回のフォーラムである。WSIS+20ハイレベル・イベントと併せ非常に多数の参加者が来訪(現地約6,000名、リモート約2,000名)し、入場制限が発生する等、非常に盛況であった。