国際電気通信連合(ITU)International Telecommunication Union

Ⅰ 概要

1 住所等

Tel. +41 22 730 5111
URL https://www.itu.int/
所在地 Place des Nations, 1211 Geneva 20, SWITZERLAND
幹部

Houlin Zhao(事務総局長:中国/Secretary-General)

Malcolm Johnson(事務総局次長:英国/Deputy Secretary- General)

Mario Maniewicz(無線通信局長:ウルグアイ/Director of the Radiocommunication Bureau)

Chaesub Lee(電気通信標準化局長:韓国/Director of the Telecommunication Standardization Bureau)

Doreen Bogdan-Martin(電気通信開発局長:米国/Director of the Telecommunication Development Bureau)

2 設立目的

ITUは、国際連合の専門機関の一つとして、電気通信の良好な運用により諸国民の間の平和的関係及び国際協力並びに経済的及び社会的発展を円滑にする目的を持って設立された。本部はジュネーブにあり、活動内容は以下のとおりである。

3 加盟国

193の構成国が加盟。このほか、537の部門・準部門構成員、及び163の学術会員で構成されている(2020年12月現在)。

Ⅱ 組織の概要

1 組織概要

ITUの現在の組織構成は、1992年12月にジュネーブで開催された追加全権委員会議で承認、1994年7月1日に発効した新ITU憲章・条約に規定されている。

同規定により、ITUは、全権委員会議、理事会、世界国際電気通信会議(World Conference on International Telecommunications:WCIT)、事務総局並びに以下の三つの部門及びその研究委員会(Study Group:SG)により構成される。

2 全権委員会議

全権委員会議は、ITUの最高意思決定機関で、加盟国を代表する代表団で構成され、4年ごとに開催される。

3 理事会

理事会は、議席が世界の五つの地域(米州、西ヨーロッパ、東ヨーロッパ・北アジア、アフリカ、アジア・大洋州)に公平に配分されるよう、全権委員会議が選出した48の加盟国で構成され、毎年1回ジュネーブで通常会合が開かれる。

理事会は4年ごとの全権委員会議の間に、ITUの指導的な機関として業務を行う。主な業務は、1年間のITUの活動方針・会合計画の策定、予算の決定、ITUの戦略及び政策の検討、職員制度等の運営・管理にかかわる重要事項の審議等である。2020年の理事会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、オンラインによるバーチャル・コンサルテーションに代替された。コンサルテーションは6月及び11月の2回に分けて行われ、11月には48か国から272名が参加した。

4 世界国際電気通信会議(WCIT)

世界国際電気通信会議は、全権委員会議の決定により不定期に招集される。国際電気通信規則(International Telecommunication Regulations:ITR)の一部改正又は、例外として、全部改正を行い、及びその他世界的性質を有する問題(同会議の権限内のもの又はその議事日程に関するものに限る)を取り扱うことができる。

5 事務総局

事務総局は、全権委員会議が選出した事務総局長及び事務総局次長と、事務総局長が任命する職員から構成される。事務総局長は、調整委員会と協力して、ITUの戦略的な政策・計画を立案し、その活動を調整する。また、ITUの活動の事務上及び会計上の事項について、理事会に対して責任を負うとともに、ITUの法律上の代表者として行動する。

Ⅲ 活動内容

1 ITU-Rの活動

周波数帯と衛星軌道は、近年多様なサービスでの利用が拡大している貴重な資源であり、ITU-Rはこのグローバルな管理において、中核的な役割を果たしている。主な活動としては、3~4年に一度開催するWRCがあり、同会議では、周波数や衛星軌道の利用方法等に関する国際的な取決めについて規定した無線通信規則(Radio Ragulations:RR)の検討及び改正等を行う。

直近では、WRC-19が2019年10月28日から11月22日までエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催され、166か国から約3,300名が参加した。主な結果は以下のとおり。

ITU-Rに置かれ、無線通信規則等の承認、有害な混信事案に関する審査・勧告等を行うRRBは、12人の委員から構成され、現在日本からは橋本明氏(NTTドコモ)が委員を務めている。また、2010年から2018年にかけては伊藤泰彦氏(KDDI研究所(当時))が委員を務めた。

2 ITU-Tの活動

ITU-Tは、毎年1~2回開催する各SG会合や4年に一度開催されるWTSAにおいて、通信網の技術・運用方法に関する国際標準の策定や、技術的な検討を行っており、策定された国際標準を勧告(Recommendation)として公表している。

技術の標準化を行っている範囲は広く、音声通信、データ通信、映像配信等を含む。電気通信標準化局(Telecommunication Standardization Bureau:TSB)が技術的な検討を行うSGを支援している。

前回総会のWTSA-16は、2016年10月25日から11月3日に、チュニジア共和国のハマメットにおいて開催され、次研究会期(2017~2020年)におけるSG構成とその研究課題の承認、具体的な標準化活動を行うSGの議長・副議長の任命、勧告・決議の承認等が行われた。主な結果は以下のとおりである。

(1)SG構成とその研究課題の承認

2015年6月に開催された電気通信標準化アドバイザリ・グループ(Telecommunication Standardization Advisory Group:TSAG)会合で仮設置されたIoT(Internet of Things)及びその応用を検討する新SG(SG20)の設置が決定し、11SG体制の維持が合意された。

また、2017年から2020年までの研究会期において標準化活動を進める研究課題は、一部SG間での移管がありつつ、133件が承認された。

(2)次研究会期のSG等の議長・副議長の任命

今後4年間の各SG等における標準化活動をけん引する役職者として、日本からはSG3の津川清一氏(KDDI)及びSG9の宮地悟史氏(KDDI)の議長2名のほか、副議長6名が任命された。議長を複数名輩出した国は我が国のみであることは特筆すべき成果である。

(3)勧告の承認

SG3から4件の新勧告案、1件の改訂勧告案が提案され、欧米諸国から国内問題であるとの指摘があったものの、反対国留保付きですべて承認された。

(4)決議の承認

次回の世界電気通信標準化総会(WTSA-20)は、COVID-19の影響により延期となったため、2022年3月1日から3月9日までインドのハイデラバードで開催される予定である。

3 ITU-Dの活動

ITU-Dは、開発途上国における電気通信分野の開発支援を行っており、以下の目的の下、SGにおける各種開発ニーズに関するベストプラクティスの共有、開発プロジェクトの実施、人材育成、統計調査等の活動を行っている。

ITU-Dでは、4年に一度開催されるWTDCにおいて、次の4年間の活動会期における戦略目標や具体的な活動方針を策定するとともに、それらの円滑で効果的な実施のために電気通信開発諮問委員会(Telecommunication Development Advisory Group:TDAG)及びSGにおける議長・副議長や組織構成等を決定している。

直近では「持続可能な開発目標のためのICT(ICT4SDGs)」をテーマとするWTDC-17が、2017年10月9日から20日までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催され、134か国から1,368名が参加した。主な結果は以下のとおりである。

次回のWTDCは、2021年11月8日から19日までエチオピアのアディスアベバで開催される予定である。

4 2018年全権委員会議

2018年全権委員会議は、2018年10月29日から11月16日まで、アラブ首長国連邦のドバイで開催された。事務総局長以下の幹部職員、RRB委員及び理事国の選挙が行われたほか、今後4年間の戦略・財政計画、国際的な公共政策課題に関する議題が審議された。2020年から2023年のITUの戦略・財政計画については、収支を6億6,025万CHF(スイスフラン)で均衡させること、構成国の分担金1単位の上限を31万8,000CHFに据え置くことが決定された。ちなみにセクター会員の分担金1単位は、構成国の5分の1の6万3,600CHFである。国際的な公共政策課題については「持続可能な開発目標」「イノベーション」「OTTs」「IoT」「発展途上国におけるICTネットワークの将来」「標準化ギャップの緩和」「ジェンダー格差の解消」「アクセシビリティ」「青少年オンライン保護」「サイバーセキュリティ」等が主に議論された。また、2030年までの世界におけるICTの取組方針を定めた「コネクト2030アジェンダ」も採択されている。アジェンダは五つの柱と目標で構成され、第1の「成長」はICTの基盤とアクセスの改善を掲げている。第2は「包摂」でデジタル・ディバイドの解消やブロードバンド普及の目標等を掲げている。第3の「持続性」は、サイバーセキュリティの脅威や電子廃棄物等のICT分野にネガティブな影響を与える新たなリスクを管理し、それらの要因を最小化するよう関係者に求めている。第4の「イノベーション」は、社会のデジタル・トランスフォーメーションを支えるICTのイノベーション促進政策/戦略の策定を各国に求めている。そして第5の「パートナーシップ」は、すべての目標をサポートするために、ITUメンバーシップと他の全利害関係者間の協力を強化するとしている。

(参考)理事会の構成(2019~2022年)
地域 定数 国名
A地域(米州) 9 メキシコ、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、キューバ、米国、パラグアイ、バハマ、エルサルバドル
B地域(西ヨーロッパ) 8 スイス、スペイン、イタリア、フランス、ドイツ、トルコ、ギリシャ、ハンガリー

C地域(東ヨーロッパ・北アジア)

5 ロシア、ルーマニア、ポーランド、アゼルバイジャン、チェコ
D地域(アフリカ) 13 エジプト、ケニア、モロッコ、アルジェリア、ガーナ、チュニジア、ブルキナファソ、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、ウガンダ、コートジボワール、南アフリカ

E地域(アジア・
大洋州)

13 インドネシア、中国、日本、韓国、タイ、オーストラリア、インド、アラブ首長国連邦、クウェート、サウジアラビア、フィリピン、パキスタン、イラン

5 世界情報社会サミット・フォーラム

2020年6月22日から9月10日にかけて、世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society:WSIS)フォーラムが、「デジタル・トランスフォーメーションとグローバル・パートナーシップの促進:持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためのWSISアクションライン」をテーマに、オンラインにて開催された。同フォーラムは、ITUが、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)、国際連合貿易開発会議(UNCTAD)、国際連合開発計画(UNDP)と共催で毎年開催している国際会議である。各国政府、企業、市民社会、学術会等から150か国1万5,000名以上が集まり、846名の講演者による約160のバーチャル・セッションに参加した。フォーラム期間中に、各国・各機関等の高官らが参加するハイレベル・トラック、ハイレベル・ポリシー・トラックが開催されたほか、各企業・市民社会・各国主催のバーチャル展示スペースが130以上設置された。