第百四十五回国会衆議院
予算委員会議録

平成11年2月16日(火曜日)

○鈴木(淑)委員 まずは体質を変えるところから入る、ごもっともな御意見でございますが、ぜひ次の段階で、この日本経済再生の大きなタイムスケジュールの中で歳出に切り込んでいく。恐らく、これはもう第一期の終わりぐらいからそこへ入っていっていただきたいものだと私は思っております。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから、最後に言った地方自治体のことについて野田大臣にお伺いいたします。

 野田大臣が自由党の幹事長、政調会長として先頭に立っておつくりになった日本再生へのシナリオでございますから、私からお伺いするのもおかしなものでございますが、私どもは、最終的には自治体の数を三千三百から三百ぐらいにしよう、一億二千万として平均四十万人の人口でございます。それから、自自協調の中で、私も覚えておりますが、そうだな、まあとりあえずは千ぐらいかなというようなこともありました。正式の文書にはきちっと必ずしも残っていませんが、そういうことで、自民党の先生方も同じ発想であるということは私も承知しております。

 自治体を今の三千三百から効率的な三百か四百か、あるいはとりあえず千かに向かって整理統合していく場合の政策の手段として、私は、やはりその程度の自治体にならないとやれないよというものを、えさに使うといいますか、手段に使うのは大変大事で、もう野田大臣もよく御存じのことだと思いますが、一つは、私もやはり公共投資だと思うのですね。

 地方分権で、今のように中央政府が五カ年計画を立てる、それに合ったプロジェクトを持ってきてやったら補助金をつけてやる、ああいうシステムから、一括して補助金を渡して自主的に地方自治体で公共投資計画を考えなさい、こういう方へ移行していこうというのは、大体もう自自の間で一致した考えでございますが、そういうところへ持っていくに当たって、総理の生活空間倍増の計画でございますね、この中に大変いいヒントがあるなと私は思っております。

 それは、生活空間倍増戦略プランの中に地域戦略プランというのがございますね。大体の感じで四百ぐらいだ、これをやろうとすると、今の市町村にこだわっていてはできないわけでございます。ちょうど私どものイメージに合う平均三十万ぐらいの地域社会、市町村が一緒にならないとこのプランはできない。しかも、これは同時に、今までの縦割り行政による補助事業という概念を乗り越えなければできないのでございますね。ぜひこれを一つのてこにして、自治体の整理統合を進めていただくということをお考えいただいてはどうかと思っています。

 それから、もう一つは介護だと思うのですね。日本では、介護というと介護保険、介護保険というのですが、私は非常にあれは不満でございまして、介護の内容は二つありまして、介護サービスの供給とその介護ファイナシング、介護のファイナンスのやり方の一つが保険なんですから、それを介護保険、介護保険といって問題を狭くつかまえるのはけしからぬ。私は、介護というのは介護サービス供給とそのファイナンスだ。そのファイナンスについて、私ども自由党は消費税と言っているので、それを保険でやるのはどうですかね、こう言っているのです。

 しかし、ぴたっと自自で一致しているのは、介護サービスの供給というところは一致しているわけですね。この介護サービスの供給能力を持った自治体というのは、今の市町村のようにちっぽけじゃだめです。これはもう既に御存じだと思いますが、市町村で悲鳴を上げているところがあります。動けない、やれないというところがあります。ですから、介護サービスの供給というのをもう一つのてこにして、自治体の統合、そして三十万とか四十万ぐらいの単位の受け皿能力のある自治体に持っていくという考えがあろうかと思いますが、自治大臣、いかがでございましょう。

○野田(毅)国務大臣 大変貴重な御意見、御示唆をちょうだいしてありがたいと思います。

 先ほど来、特に総務庁長官とのやりとりの中で、行政改革という問題、これは単に構造改革ということだけでなくて、言うなら行政経費削減ということにもつながっていくんだという非常に人事な視点だと思います。そういう点でいえば、国、地方を通ずる行政の簡素効率化ということと、それを通じてのいわば経費削減効果、この両面が必要だろうと思います。

 そういう点で、市町村の合併について、今そこへ至る一つの戦略的なアプローチについてお話があったのですね。いずれも発想として、そのとおりの発想で臨んでいかなければならぬと思っております。

 ただ、具体的に地域戦略プランが直ちにそれと連動するかということについては、若干検討しなければならぬと思います。あれはたしか四百ほどの地域ということになっておりますし、しかも、11年度から、直ちに現実の予算配分の中で、これからいわゆる調整費の配分の中でスタートするものですから、市町村合併の問題が直ちにそこに連動するかどうかというのは、ちょっとすぐには難しいかもしれません。

 しかし、方向性としてそういう広域連合ということもありますけれども、ただ単に従来の合併機運を促進するというだけでない。もう少しさらにアクセルを踏んでいかないとだめではないかということについて、全く同感であります。

 そういう点で、昨年の5月にいわゆる地方分権推進計画というものが閣議決定され、今国会で今度それを法案化して、地方分権、我々地方主権という言葉も用いたりしておりますけれども、それをさらに法案化して今国会でお願いしよう。その中に、いわゆる市町村の合併特例法の改正をして、従来よりもさらに合併をアクセルを踏んでいきたい、その具体的な手法を今いろいろさらなる追加を考えておる段階であります。

 そういう点で、介護のお話もありましたが、基本的な住民サービスへのレベル、内容を、どのように高度なコースに対応していくかということを考えれば、単なる行政経費削減というだけでなくて、そういう意味からも合併を推進していかなければならぬという、ここのところをさらに住民の皆さんにも十分理解してもらうような、そういうやり方もしていきたい。

 それから、いま一つお話があったようですけれども、多少、いわゆる過疎地帯等についてのいろいろな話がありますが、そういう意味で、ナショナルミニマムというような中で、交付税の中で、言うなら補正を用いていろいろ傾斜的なやり方をしてきたことの見直しも若干する必要があるのではないかということも含めて、やはり合併した方が住民のニーズにも沿う方向になるんですということを、相当これはアクセルを踏んでいきたいと言うふうに考えております。

 いずれにしても、両党間の協議の中で、今の三千三百という数は余りにも多い。それを何とか三分の一ぐらいを目途にアクセルを踏んでいこうという方向性は、両党間でさらに進めていただきたいとぜひお願いをする次第です。

 自治省としては、それを具体的に、その協議を受けて、さらにアクセルを踏んでいきたいというふうに考えております。

○鈴木(淑)委員 この問題のリーダーでずっと自由党の中で議論してきたことを、いよいよ実践段階で、責任者でおやりになっている自治大臣から力強いお話を承りました。最後に承りましたように、自自両党でこの問題、さらに真剣に議論させていただきたいと思っております。

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