第百四十五回国会衆議院
予算委員会第三分科会議録

平成11年2月17日(水曜日)

○若松分科員 野田大臣となりまして初めての質問となります。こんな席でなんですけれども、本当は新進党が政権をとって、野田大蔵大臣、そういうシナリオで質問させていただきたかったわけですけれども、こういう形で残念と思いますが、ひとつ同じ同志として、志した改革を自民党に吸い取られることなく、実現に邁進していただきたい、まずそれを申し上げさせていただきたいと思っております。

 きょうは、分科会で自治省を選ばせていただいたのも、やはり地方分権そして地方自治体三百、そういう構想を同じく議論させていただきました。そういうことで、野田大臣が御答弁いただけるということで、総括的というよりも、やはりいよいよ二十一世紀になるわけで、この平成の市町村大合併、それが成り得るかどうかの一つの実験が埼玉で行われております。それが大宮を中心とするさいたま新都心、こんな言い方をするとまた浦和から怒られるわけですけれども、まさに大宮、与野、浦和の三市合併、これが地方分権の目玉であります。かなりの、十数の省庁が埼玉に行かれるということで、当初、2001年ぐらいまでには合併が実現すれば、国としてもいろいろな登記、手続等が一つの市で済んだのですけれども、どうもそれがうまくいかない。それについて、自治相としてどんなお考えなのか、率直にお伺いしたいと思います。

○野田(毅)国務大臣 率直に言って、なかなか難しい問題だなと思って報告を受けておったのです。

 これはもうご存じのとおり、浦和、大宮、与野、この三市の合併というのは、さいたま新都心の大型プロジェクトが進められている地域において、その地域の一体的な整備を促進するとともに、一体的な行政を展開するために、関係市が一つの方向を目指して歩みを進められているんだというふうに認識をいたしておるわけであります。そして、平成9年の12月には、任意の合併協議会である三市の合併推進協議会が設置されて、各市の行政議会の代表、そして埼玉県の職員を含む学識経験者が参画して話し合いが進められているというふうに報告を受けておるわけであります。

 これは、率直に言って、地域のあり方にかかわることでもあるし、住民の生活にも大変大きな影響を及ぼすということでもありますし、まず当事者間で誠意を持って十分な話し合いが行われるということが大事なことであるというふうに考えておりまして、私の方からこのことについて評価的なことを申し上げるのは、今の段階では控えさせてもらった方がいいだろう。やはりこの問題は、当事者そして地元の埼玉県自身がどういうふうにこの問題を進めていこうとしておられるかということが、より大事なことであるというふうにも思います。

○若松分科員 それでは質問をかえて、これは建設省になるのですかね。当然、先ほどのさいたま新都心に中央省庁がかなり大挙して移転します。そうすると、今度受け皿として、大宮になるのか与野になるのか浦和になるのかわかりませんが、それぞれかなり細かく市の境が入り組んで、恐らく国のいろいろな登記関係も大変だと思います。

 そこで、政府、そういった移転を事務的に進められる代表の方にお聞きしたいのですけれども、やはりこの移転先自治体の合併はぜひやってもらいたいというのが恐らく率直な意見だと思うのですけれども、それについてはいかがですか。

○鈴木(正)政府委員 お話しのように、三市にまたがってさいたま新都心というものの建設がすすめられているわけでございまして、また、そこには多くの国の機関が移転するということが決まっているわけでございまして、新しい町づくりが進められているところでございます。

 そうした状況を背景にすれば、その地域の一体的な整備の促進、あるいは行政面での一体的な展開ということを視野に置きましてこの合併のお話し合い、動きというものが出ておりまして、任意の合併協議会が設置、発足したもの、こういうふうに理解をいたしておるところでございまして、よりよい地域づくりを進めるためには、地域において十分お話し合いをなされましてこれが進むということを私どもは期待いたしております。

○若松分科員 自治省として今、進められることを期待するというお話がありました。

 それで、今度大臣にお伺いするのですけれども、実は、同じこの分科会で、平成6年ですから当時細川政権でしたけれども、なかなか合併が進まない、三千三百はどう考えたって多い、これは与党も野党も言っているわけですから。それで、いいかげんに自治省も現地任せじゃなくて、自治省はリーダーシップをとってください、そう言ったところ、当時の石井一自治大臣が、国も市町村合併に積極的に関与する、こういう初めて積極的な関与というものを申されました。

 それから、例えば、合併を促進するに際して当然地方議員の身分が非常に不安定になるということで、今まで合併の際に一年延長、五年まで大丈夫だったというのが、今度さらに一年で、六年とか、あと合併に際してのいろいろな資金的な手当とか、いろいろな措置がとられているのですけれども、今回の与野、浦和、大宮に見られるように、結果的になかなか合併が進まないという現状に対して、やはり何とか進めたいというお考え。先ほどの局長答弁では、四市一町なり三市の話だけじゃなくて、一般的に進めたいというお考えだと思うのですけれども、現実に進まない。これに対して、何とか推進するような具体策がないかどうか。大臣、どのようにお考えですか。

○野田(毅)国務大臣 平成6年に当時の石井一自治大臣からいろいろお話があった、こういうことなんですが、それで平成7年、その翌年、御承知のとおり合併特例法の改正が行われまして、国の推進姿勢をより明確化するとともに、住民の発議によって合併協議会が設置されるというか、そういう住民発議制度の創設、あるいは財政措置の拡充、あるいは議員の定数、在任の特例といった拡充をしたところでありまして、その後約四年の間に住民発議が七十一件成立して、うち十件に関係する六地域で法定の合併協議会が設立され、その他二地域では住民発議によらず法定の合併協議会が設置された。任意の合併協議会は、浦和、大宮、与野地域を含む八地域で設置されたということです。

 なお、平成7年9月1日に行われた合併によって、東京都のあきる野市と茨城県の鹿嶋市が誕生をいたしましたし、また本年4月1日には兵庫県の多紀郡の四町が合併をして、昨年の12月に議員立法で特例措置が設けられましたので、新たに篠山市となる手続が今現在進行中である。

 こういうことになっておるわけで、そういう点では多少なりとも推進姿勢は、進んでおるということは言えるとは思っておりますが、私、ではもうこのままでいいのか、放置していいのかというと、そういうわけにいかないということで、この国会でお願いをしようと思っております地方分権推進の一括法の中に、合併特例法についても改正をお願いしよう、その中でさらなる合併支援措置を取り入れて推進をしたい、こういうことも考えております。特に、都道府県が果たす役割というのは大きいわけで、都道府県に対しても合併についてのガイドライン、いろいろなパターンがあるわけですから、そういう点で、都道府県に対してそういう参考になるガイドラインを提示して、積極的に取り組んで貰おう。これは本年上半期のうちに都道府県に対してお示しをしたいというふうに考えております。

 ただ、率直に申し上げて、合併というのも実際にいろいろなパターンがあるわけで、小さな町村の合併のケース、それから今のような新都心というか、そういったことを目指していこうというような場合におけるケースとではおのずから対応も違ってくると思いますし、それから合併の持つ意味合いそのものも違っておるのではないか。やはり町村、田舎の方というと言葉は悪いかもしれませんが、そういったところでは、行政水準のある意味では維持向上というか充実強化というような角度も必要なこともあるし、そういう中で、逆に取り残されたところについて、どうやって自分たちの意思を反映するだけのものを残すことができるのか、そういう要請が一方である。

 今度の場合はそういうケースとは全然違うわけで、そういう点で、なかなか画一的なやり方ではできないので、率直に言ってこの問題、若松委員も大変ご苦労いただいておるように承っておりますが、我々も一生懸命勉強させてもらいたいと思っております。

○若松分科員 特に上尾、私が住んでいる上尾ですけれども、こういう「二十一世紀に向けての選択―合併・政令指定都市に関するQ&A―」、こういうアンケートをして、たしか民間の総研リサーチを使って住民ニーズを聞いたんですね。そうすると、七割がやはり賛成なんですね、合併そして政令都市と。そんなところがあって、だけれども、さっきの合併協議会ですけれども、なかなか法令化しない。任意だと言うところで、じゃ、新しい市なり政令都市に市長をどっちから出すかとか、結果的に、ある意味で志のない政治家の駆け引き的に使われて、住民の大方の意思が報われない。見ていて非常に歯がゆいんですね。

 ですから、とにかくさいたま新都心、これに関しては当然大型合併ですし、政令都市化かつ地方分権ということで、ある意味で二十一世紀の合併の一つのひな形にもなり得る要素が非常にあるんですね。それを私も大学の先輩の土屋知事にも言いました。知事、何とかリーダーシップでやってください。若松君、そんな簡単じゃないんだよと言われましたけれども、このままそういうさっきの選挙がらみの、自治体レベルでの、うちの公明党だって、本来団結の党ですけれども、この議論になると何か浦和公明党、大宮公明党。みっともないですよ、本音を言いますと。いいかげんにしろと。その程度かもしれません。

 でしたら、やはりいずれにしても三百自治体なり千自治体にしなくてはいけないわけですから、大臣、ちょっと腕をまくって、何とかこのプロジェクトを二十一世紀の窓口の一つのひな形にして、地方分権、これだけ地方財政厳しくなっているわけですから、さらにもっと突っ込んでいただけませんか。どうですか、大臣。

○野田(毅)国務大臣 この問題は、率直に言って、これからそれぞれの地域の住民の意思、それからその地域から代表して出ておられる議会なり首長さんなりそういう政治家の皆さんの動き、いろいろな考えがおありのように今もお話がありました。私もちょっとこの実情を私なりに少し勉強してみたいと思っております。

 何というんですか、YOU And Iというんですか、そういう言い方があるそうですが、三市の話と上尾と伊奈ですか、五つが一緒にいくのか先行してどうのこうのとか、いろいろな議論があるようですが、率直に言って私も、実情を十分把握しないで余り勝手にコメントを加えるのは、かえって混乱を引き起こすことになるだろうと思って、個別案件について私自身は余り今発言をしないようにしておるんです。しかし、それだけではいかぬというお話ですから、これからまた実情をしっかりと勉強いたします。

○若松分科員 ぜひ早急に日程をとっていただいて、私も付き添わせていただいていろいろと説明をさせていただきます、その際には一方的な情報インプットにならないように配慮しながらやりたいんですけれども。

 やはり一番の議論は、三市合併の話しもあるわけですけれども、やはり政令指定都市絡みの、市庁がどこになるとか、真ん中になるとか端になるとか、そんな議論もありまして、本来政令指定都市を目指してこの合併なわけなんですけれども、では政令指定都市というのはどういった姿がいいのか。平米の問題とかいろいろな基準があると思うのですけれども、私は少なくとも、この三市合併、三市政令都市もしくは四市一町政令都市というのを、いわゆる面積の面でもいろいろな緑の面とか多様化の面とか考えると四市一町がいいと思っているんですけれども、そこら辺は、政令都市と考えた場合にどっちがいいのか。

 これも答えにくいと思うのですけれども、あえて言えば、本来の政令指定都市の姿からすればどういったものが望ましいか。ただ勝手にやって、それをその都度閣議で認めるというんじゃないと思うのですよ。その点についてはいかがですか。

○鈴木(正)政府委員 お話しのように、大都市地域において、ここではやはり都市機能が集積し、人口が集中しているという実態があるわけでございまして、そういうところで、いわば都道府県に比肩するような市町村として基礎的な自治体というものがあるということは一つの方向だろうと思います。

 御案内のとおりに、政令指定都市につきましては、社会福祉とか保健衛生、都市計画、土木行政等の生活に直結した事務というものが移設されるわけでございますので、従来から政令指定都市の指定の具体的な考え方といたしましては、人口その他の都市としての実態それから行政体制、行財政能力、そういうものが従来の大都市、政令指定都市と同じ様な実態を持つ可能性のあるということを総合的に判断して指定してきている、こういう考え方でございます。

 具体的にお話しの三市あるいは四市一町ということでございますけれども、具体的に区域というものがどうあるべきかというのは、やはりその地域の望ましい将来像というものをどう考えていくか、あるいはその地域と他の地域との関係をどうするか、また都道府県との役割をどうするかといったことで、関係地方公共団体の間で十分な調整が図られて進められることが大切ではないか、こういうふうに考えております。

○若松分科員 そういう答弁も納得できるのですけれども、とにかくじれったいんですね、じれったい。何とかここら辺がとんとんとんといって、地方分権は任せておいてくれというような意気込みがどんどん生まれればいいのですけれども、なかなか本当に…。本当に日本人というのはどうしようもないですね、自分ながらあきれているんですけれども。

 それでは、ちょっと質問を変えて、これは大臣ですかね、自治体の公債費比率一五%を超えると一つの要警戒というのですか、要注意自治体ということになるわけですけれども、今どのくらい一五%を超えている自治体があるか。

 さらに、市町村合併というものをやれば、少なくとも、例えば市民課とか住民票を発行するとかそういうところに共通経費というのが住民一人当たりかなり削減されますので、やはり地方自治体のいわゆる経常経費の削減につながると思うのですね。そういう意味で、市町村合併というのがこういう公債費比率を下げるという面にもプラスになると思うのですけれども、大臣、どのようにお考えか。

 あわせて、先ほど合併の特例法改正、これは、千なりそういったところに求めていくには特例法のちょっとした改正では間に合わなくて、やはり市町村合併基本法的な、そんな議論もしましたけれども、そういった骨太のものが必要になってくるのですけれども、そこら辺の必要性というのですか、それもあわせてお答えいただけますか。

○二橋政府委員 公債費負担費率が一五%以上の団体の数でございますが、9年度決算で千八百四十七団体でございまして、全団体の約五六%が一五%ラインを超えております。

○野田(毅)国務大臣 今度の法改正で盛り込もうという中で、市町村の数を千とか幾つとかいうことを入れるという考えは必ずしもありませんが、少なくとも、従来よりもさらに合併を促進していくために必要な法的手当てあるいは財政支援措置、環境整備、こういったことを念頭に置いております。

 そういう中で、何らかのターゲット、数値目標みたいなものがなくて本当に出来るのかいという御指摘、確かにそういう意見が、言うなら、この時期、日本の国全体を今ここで大きく仕組みを変えていかなきゃならぬ、それを余りだらだらやってもだめだよ、こういう意識の中でのそういう指摘が多いわけで、そんなことを思いますときに、まだ結論は出ておりませんが、さらに合併を推進していくための手法を検討したい、こう考えておりまして、ぜひまたそのときにはいろいろお知恵もおかしをいただきたい、こう思っております。

○若松分科員 ぜひその際に、私も、いろいろと現場に携わっている方の知恵等もございますので、提言をさせていただきたいと思っております。

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