第百四十五回国会衆議院
建設委員会議録

平成11年3月3日(水曜日)

○平野委員 そういう状況で、やはり私は、ここで視点を変えて質問をいたしますが、今、奄美群島では一市十町三村という自治体が構成されているわけでございます。人口では、平成7年度では十三万ぐらいお住まいだ、こういうふうに聞いておりますが、奄美群島における平成8年度ベースでの生活保護率というのが三・六%で、全国平均〇・七に対して高い。六十五歳以上の人口構成比においても、今では大体二三%ぐらいのお年寄り、六十五歳以上の方がお住まいになっておられるということで、全国平均から見ましても非常に高いわけでございます。このように考えますと、高齢化の進行を初めいろいろな意味で、ひとり暮らしのお年寄りや母子家庭が多い、これからますます福祉のニーズというのが一方では高まってくる、こういうことでございます。

 それで、来年から介護保険等々のサービスが施行されていくわけでありますが、現行の一市十町三村、こういう自治体の受け皿で、本土よりもさらに高い高齢、こういう時代にきちっと対応でき得るのか、非常に私は心配をしているわけでございます。また、一方では、市町村の財政力の指数を見ましても、全国平均は〇・四二、こういう数字に対しても奄美群島は〇・一四、非常に厳しい財政状況にある。

 こういうところから考えてみますと、もう少しやはり、私は市町村の合併推進論者ですからこれを奄美に適用せよ、こう言うつもりはございませんが、長期的な立場に立って見ますと、より地方自治体が自立し得る、そういう仕組みに二十一世紀はつくっていかなければならない、こういうふうに思うのでございまして、市町村の財政力を高めていくためにも、効率的な自治体運営を図っていかなければならないと私は思っております。

 そういう視点での、この特例法の対象になっているところについての市町村合併に対するインセンティブを中央から与えていくべきであると私は思いますが、その点について、きょうは自治省の方に来ていただいていると思いますが、いかがでございますか。

○鈴木(正)政府委員 市町村の合併の問題でございますが、今お話しのように、地方分権が進んでまいりまして、その担い手である市町村というものが基本的自治体として行政サービスというものの水準を高め、また確保していくという意味でも、行政の効率化を図り、市町村の合併というものを積極的に推進していくことは必要である、このように考えております。特に、少子高齢化の進展で、介護の問題もございます。そういった住民ニーズに的確にこたえていく、あるいは厳しい財政状況の中で行政の効率化を図っていくということでは、行財政基盤の強化という意味で、市町村合併ということは避けて通れない課題だろうと思います。

 それで、奄美群島につきましては、やはり離島という事情もございますが、他方、交通通信手段の発達によりまして、住民の方の日常生活圏というものもそれなりに広がっておりますし、また行政面でも島内あるいは島の間で広域行政という実績もございますので、そういったことを踏まえまして、それぞれの地域で市町村のあり方というものをやはり議論していただいて、合併についても検討していただきたい、こういうふうに考えております。

 自治省といたしましては、そういった基本的考え方のものに、合併特例法の改正案を今回の分権関係の一括法の中に盛り込みまして、インセンティブについて思い切った拡充策を考えたいと思っております。

 例えば、市町村が合併した場合に、合併特例債というものを創設いたしまして、過疎債並みの交付税措置つきの手当てをいたしまして、それで合併による町づくりというものを推進していくとか、あるいは合併算定がえと申しまして、交付税を従来、合併前からの額を保障するという期間を、五年でございますが、それを十年に延ばす、町づくりにある程度時間が必要ですので十年に延ばす、さらには、例えば合併しますと、旧市町村の、特に周辺市町村の意見というものが反映されないのじゃないかという御議論もありますので、地域審議会というような制度をつくりまして、旧市町村の方々の意見、意向が反映できるような仕組みも考えるといったことでございます。

 それで、合併の進め方におきましては、やはり地元の実情に精通している都道府県の役割というものは大きいと考えておりますので、都道府県の方で、県下の市町村の合併についてひとつパターンといったものを検討し、お示しいただくというようなことで進めたいと考えておりまして、自治省としてもその指針というものを示してまいりたい、このような形でまいりたいと考えておりますが、特に離島あるいは山間地の場合には、やはり合併が地理的条件等で非常に困難なところもあると思います。そういうところにつきましては、例えば都道府県による補完とか代行とか、あるいは広域行政による補完とか、そういうことも考えていかなければならないのじゃないかと考えております。

○平野委員 特にこの奄美を今やっているわけでございますから、自治省といたしまして、そのことを進めることの方が、将来の島民の方々の行政サービスがより効果的に進められる、こういうことで、国土庁も併せてそういう視点での遂行をぜひ願うものでございます。

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