第百四十五回国会
参議院地方行政・警察委員会会議録

平成11年3月9日(火曜日)

○輿石東君 国の実力は地方に存すると、この言葉は徳富盧花が使った言葉だそうですけれども、地方あっての国だという発想でこれからの取り組みをぜひお願いしたいというふうに思います。

 いずれにしましても、今後地方分権を推進していくために、地方行政の体制整備というのが重要な課題になってくる、こう思われるわけであります。特に、今後高齢化社会の進行を考えると、市町村合併という選択肢も考えられていくのではないか、こう思われます。その場合大事なことは、効率性だけで、大きくすればコストの問題や効率性、そういう面からだけで議論をすべきではないと考えています。今必要なのは、どういうビジョンを持ってこれに取り組むかということにかかっていると思いますが、自由党では、自由党の提案を見ますと、全国を三百の市にしたい、この戦略会議の答申では市町村の数を少なくとも千以下にしていきたい、そう言っているわけですけれども、大臣は、この合併についてどのように認識され、目標とすべき市町村の数はどのように考えておられるか、お伺いをしたいというふうに思います。

○国務大臣(野田毅君) 二つに分けて申し上げたいと思います。

 前段で、いわば市町村の合併というものを、ただ単に合併すれば人が減って経費が削減されるということの発想だけではだめだというお話がございました。それはまさにそのとおりだと思います。経費節減効果、人を減らす効果というのは当然あると思います。そのためにも大事だと思いますが、同時に、今のように、あるいは福祉の面であれいろんな面で行政サービスのレベルというものが高度化をしてくる。そういった意味で、やはり小さな自治体という能力では自前でそのレベルを維持するということはなかなか困難な状況になってきている。もちろん広域連合なりいろんな広域行政という形の中で対応するというやり方もございますけれども、それだけではやはり限界がある。

 そういう意味で、もう少し大きな世帯になって、そしてちゃんとした専門家なりというものがその自治体としてちゃんと確保できるというか、そのことによってより高度な行政サービスを展開できるという、そういう意味で、住民のためにも、その行政サービスレベルを維持し充実するためにも必要なんだという、その両面からぜひこの合併問題というのは御検討いただきたいものだというふうに実は考えております。

 それから、市町村の望ましい数という問題で、三百、千というお話がございました。将来展望として行く行くそいういうふうなことがあってもいいのではないか。今すぐ幾つもの数になるということは、現実問題、旗を振っても踊らなければ何にもならぬわけでありますし、何よりもこれは住民自身が自主的といいますか主体的に、自分たちは合併した方がよりメリットが大きいんだという認識を持ってもらうということが大変大事なことでもあるということも考えますと、強制的にしゃにむに幾らの数に合わせるんだという手法というのはなかなか難しい。

 しかし、何にもないと、何にもしないで百年河清を待つというようなことであってはまた困るというようなこともありまして、三百という数字はかなり先のお話になっていくとは思うんですが、当面、千という数字は今度の経済戦略会議の答申の中にも言及しておられるようでありますし、正式に決まったわけではございませんが、自民、自由両党間の協議の中で決まったわけではありませんが話は出ておるというふうに報告を聞いております。

 そんなことを頭に置きつつ、別に数字を先にセットして、しゃにむにその数字を実現していくためにというやり方では逆にうまくいかないと思いますが、しかし、そんなことも頭の片隅に置きつつ実践的な具体的な合併の推進のための施策を講じてまいりたい。その内容は今度の分権一括法の中に合併特例法の改正という中に盛り込みたいと考えております。

○輿石東君 要するに、どう見ても成功のかぎは住民の声をどう反映していくか、そういうことにかなり尽きると思いますので、その点についても御配慮をいただきたい。

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