第百四十五回国会
参議院地方行政・警察委員会会議録

平成11年3月23日(火曜日)

○八田ひろ子君 これは今後もふえていく、先ほど98年度だけを大臣はおっしゃいましたけれども、9・3、10・2、11・3、こういうふうにだんだんと柔軟性がなくなってくるということが問題だし、この十年来そういうやり方でやってこられたことで今地方財政が深刻な破綻に直面をすると。少しは反省をされて、これを変えるという方向に進まれるべきだと思います。

 地方財政の問題でもう一つ指摘をしておきたいと思います。これは法案が出てから本格的な議論をしたいと思うんですけれども、2月5日の日経なんですけれども、市町村合併推進のための合併特例債の発行ということであります。

 こういう財政的な措置を講じて合併を上から強力に誘導するという使われ方がされるのではないか、こういう懸念を持たざるを得ないんですけれども、住民の合意が基本である、こういうことを改めて強調をしたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(野田毅君) 市町村合併を進める上で住民の協力、合意というものが極めて大切であるという点ではそのとおりであります。しかし同時に、住民の皆様にも、合併することのデメリットを強調するだけでなくて、むしろメリットの方が大きいんですというか、その必要性を十分認識してもらうということも極めて大事なことであります。

 それはたびたび申し上げておりますとおり、福祉の問題にしても、専門的なそれだけの手腕といいますか技術なり、そういったものを備えている人材を小規模な単位の中でそれぞれの自治体が固有の職員として抱え込むということはなかなか容易ならざることだろうと思います。それは、先ほど必要規制の議論もいろいろいたしましたけれども、それぞれの専門分野で必要な人材を抱えるということになると、自治体としての、受け皿として能力の限度を超えてしまうということはたくさんあります。

 もちろん、広域行政ということの中でそういった対応をクリアしていこうということは、これはこれで大事でありますけれども、少なくとも基礎的自治体としてきちんとした対応をしていこうということであれば、これからの行政の内容、質、そういったことを考えた場合に、やはり合併を推進していくということは極めて大事なことだ、このことはあえて強調しておきたいと思うんです。

 しかし、そのことが地域住民、いわゆるコミュニティーの問題と相反するかどうかというと、私はそうは思わないので、つまり基礎的自治体としての範囲という問題と、それからコミュニティーを大事にしていくという考え方は必ずしも相反するということではなくて、それはそれで十分に合併後も生かしていける、またそうしていかなければならないテーマであるというふうに私は考えておるわけであります。

○八田ひろ子君 なぜ合併が進んでこなかったのかということに思いをいたしてよく議論をすることが必要かと私は思います。

 この新聞報道には、県知事が市町村の首長に合併協議会の設置を勧告できるようにする制度を新設するというのもあるわけなんですが、やはりあくまで住民の合意が貫かれて、地方自治の本旨が実現できるというのを私は望みたいと思います。

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