第百四十五回国会
参議院地方行政・警察委員会会議録

平成11年3月23日(火曜日)

○白浜一良君 大臣おっしゃっているように、人間ですから感情的な思惑もいろいろ出てくるでしょう。そういうことを乗り越えた適切なご指導をお願いしたいと申しておきたいと思います。

 それから二点目に、地方の行革という意味でどうしても必要になるのは、市町村の合併問題です。日本の市町村はいわゆる歴史的な経験をそれぞれ持って今の市町村ができているのはこれは事実でございますが、一方で行政コストということをこれだけ財政難になりましたらやっぱり考えなければいけないと思うわけです。その場合に、いわゆる歴史的に自然な形で今日の町村が形成されているとはいえ、もう一歩、行政コストの合理化というものを考えますと、やっぱり市町村の合併問題というのは避けて通れない、ある一定規模の行政規模がなければいけないというふうに思うわけでございます。

 これは大臣になられる前からいろいろな形で御発言されておりますので、大臣という立場で発言しにくいこともあるとは思いますが、この点に関しましてお考えを伺いたいと思います。

○国務大臣(野田毅君) 基本的に、住民に身近な行政は住民に最も身近な地方団体が基礎的自治体として行政サービスの責任を負っていくというこの地方自治の原則をさらにこれからも拡充強化をして、真の意味での地方分権というか地方主権といいますか、地方自治体の本旨を体していかなければならぬというふうに考えるわけですが、その際に、基礎的自治体としての行政責任を遂行していく人的、財政的、組織的、それだけの対応が可能かどうかということについて多角的に検討していかなければならない。当然そうなれば今までの、言うならコミュニティーを主体とした市町村というものがたくさんあったわけで、それだけではやはり対応できない。経済活動のみならず、通信・交通手段が広域化していくさまざまな過程の中で、今日までかなり市町村合併が戦後において促進されてきたことも事実でございます。

 しかし、今日のさまざまな、高齢時代に伴っての福祉政策であったり、いろんな事案を自治体が遂行していこうとする上で、やはり今のままの市町村で本当に可能なのかどうか。いわゆる広域市町村圏やら広域連合やらかなり広域行政という手法が取り入れられて広がってきてはおりますものの、本当に基礎的自治体として大丈夫なのかという視点から考えますと、やはり一体として、基礎的自治体としてはむしろ合併を推進することによって対応していくという方がより充実したレベルの高い住民サービスを供給できるのではないか、私はそのように考えておりますし、おおよそ今日の流れはその方向に総論においてかなり整理されてきているというふうに認識をいたしております。

 そこで、それを進めていく手法についてまたいろいろ御議論もいただかなければならぬと思いますが、やはりかなりアクセルを踏んでいくということをやりませんと、ニュートラルのままでいきますとなかなかそれだけの要請を満たしていくことにはなりません。そういう意味で、今度の地方分権推進一括法の中にも合併特例法改正を盛り込んで、さらにアクセルを踏んでいきたいというふうに考えております。

 ただ、数について言いますと、三百というものを党の方では標榜し、それを最終的ターゲットといいますか目標にして進んでいこうと。数の上は全く出たとこ勝負というよりは、そういう方向性をきちっと出している方がはるかにいいのではないか。現在三千三百ぐらいですから約一割ということになっていくわけです。しかし、いきなりそこへ行くのもいかがかと。当然のことながらいろんな手順を踏んでそこへ行くんでしょうけれども、差し当たって千というのが自自両党の政策協議をしている過程の中で出てきた数字であると。まだセットはされておりませんが。そういうことであれば、現在の自治体が約三分の一になっていく、これは昭和20年代後半から合併がなされてきたときの集約率と言うとなんですが、大体それに合ってくるのかな、そんなイメージを持っております。

 ただ、これだけは時間をかければいいというものじゃありませんで、かなり短期間の間に集中してやっていかなければならないと考えておりますので、さらに積極的に推進の努力をしていきたいというふうに考えております。

○白浜一良君 当面の目標は千というような具体的な、オーソライズされておりませんが、大臣からお話が出ました。そういう流れはだれしも大体暗黙の了解をしているわけでございますが、実際平成に入ってから合併したのは十二件、平成に入ってから遅々として進まないと言うのが現状でございまして、これは一番大きな阻害要因は何ですか。事務方で結構でございます。

○政府委員(鈴木正明君) 市町村合併につきまして、進まない大きな要因は何かということでございます。

 先般、地方制度調査会の議論の際に全国の市町村長さん方にアンケートをいたしました結果では、合併市町村内に地域格差が生じるおそれがあるという懸念、あるいは住民の意見が施策に反映できにくくなるというおそれがある、それからきめ細かなサービスができにくくなるおそれがある、この三つが、複数回答ですけれども、大きなウエートを占めております。

 そういったことも含めまして、合併の必要性とかメリットとかいうものについての住民あるいは市町村の関係者の方々の理解をまだ十分いただいていないといったこと、あるいは機運が盛り上がっていないということもあろうかと思います。

○白浜一良君 今おっしゃったことはわかり切った話といえば話なんで、我が党も、我が党の地方議員を通じまして大変この議論は全国的に活性化させたいと思っております。やっぱり住民の理解がなければできないんですが、なかなかそれが御理解されない点もございますので、確かなそういう流れを我々としても政党の責任としてやっていきたい、このように考えております。

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