第百四十五回国会衆議院
行政改革に関する特別委員会議録

平成11年5月25日(火曜日)

○小池委員 大変簡潔明瞭にお答えいただきましてありがとうございます。  今おっしゃられましたように、仲間内の共同体ではなくて国民のために奉仕する、これは行政も政治もそうでございますけれども、機能体としてどう我々が変わっていくか、みずからが変わっていくかということが最大のポイントかと思います。

 今回のこの二法案でございますが、私ども自由党の政策もかなり取り入れていただきました。しかし、ここに自由党の「日本再興へのシナリオ」というのがございますが、この私どもの基本政策集に書かせていただいてきた地方分権、そして省庁再編、さらには政治が政治の力を取り戻すということを盛り込ませていただいたものでございますが、きょうはその以前の仲間も御一緒でございますけれども、新進党時代にもそれをうたってまいりました。そして、その前、こちらが何と日本新党の基本政策本でございまして、こちらにも地方分権と省庁再編、そして政治が政治の力を取り戻すということはずっと訴えてきているわけでございます。

 政党は変わりましたけれども、政策は変わっていない。そして、この地方分権、中央省庁再編問題というのは、私個人にとりましても大変思いは深いわけでございます。

 さて、この二法案でございますけれども、先ほど申し上げましたように、改革の一部というふうにとっていきたいと思っております。

 よく三権分立というふうに申しますけれども、(パネルを示す)立法、行政、司法。しかし、この情報公開法の成立によりまして、よらしむべし、知らしむべからずの時代から大きく変化をするということを期待いたしまして、今度はこの「国民」ということももっともっと大きな観点でとらえていくべきではないかということで、あえて四つにいたしました。

 そして、まず「立法」でございますけれども、立法府、国会、内閣法の改正で総理のリーダーシップがより発揮できるようにということで、この「立法」のところに「副大臣制度の導入」「政府委員制度の廃止」ということをうたいましたが、もちろんこれは、行政の一部として政治が動くということで、本来は「行政」のところに書くべきだったかもしれません。しかし、心は、「政治家が真に政治に責任を負うシステム」をつくるということでございます。

 そして、「司法」でございますけれども、「新たな法秩序の確立」ということで、これから司法制度改革、ただいま準備中でございます。そして、さらには「国民」、国民の意識改革も、これははっきり言って必要だと思います。そして、その上で、「個人の自立」「自己責任原則の確立」ということが必要かと思います。

 それで、今回はこの「行政」のところでございますが、目指すところは、「効率的で簡素な政府」、まさに国民に奉仕するための機能体を目指そうということ。そして、地方分権については、「地方のことは地方自身で」決められるようにしていきましょう、そういうことで、この四つがワンパッケージとなった考え方でもって進めていかなければならないというふうに思います。

 そして、その結果として何を目指しているかというと、フリー、フェア、オープンな社会を実現する、そして「国民ひとりひとりの能力が最大限に発揮される社会」ということを目指していく。これが日本を再興させるためのトータルシナリオと考えている次第でございます。

 中長期的には、この日本再興、この日本という国を二十一世紀にもサステーナブル、活力ある、持続性のある社会にしていこうということと、それから短期的には、実はこれは景気対策の一つである。つまり、構造改革なわけですから、日本の仕組みを変えるという、構造を変えるということから、短期中期的な景気対策にも結局はなるわけでございます。その大きな意味をまず踏まえた上で、それぞれの法案の御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、地方分権でございますけれども、地方分権は、一言で申しますと、中央集積、言ってみれば霞ヶ関と言いかえてもいいかもしれません、その中央に権限が、お金が、人が、すべてが集中していたのを、これから地方の方にまさに分権していきましょう、そして地方に主権を与えていきましょうということなわけでございますけれども、その上で、今度は地方が効率よく、まさに機能体として活動をし、そして納税者として地方税なども払いがいのある地方に変えていくというためには、どうしても市町村合併というのは非常に大きなテーマかと思います。この市町村合併につきましても、今回の法案の中にも幾つも項目として盛られているわけでございますし、また、私の地元であります兵庫県では、せんだっての4月1日、特例によりまして新しい市、篠山市が誕生したばかりでございます。

 そういった意味で、自治大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この市町村合併でございますが、私ども自由党は、まず三百にしようということを訴えておりましたが、その前の段階として全国を千、現在約三千三百あるわけでございますけれども、それを千に集約していこう、そういう方向を目指しているわけでございます。自治大臣の方からは、この市町村合併をさらに進めるためにどういった新たな措置を考えておられるのか、この法案をベースにお答えいただきたいと思います。

○野田(毅)国務大臣 これからの市町村合併の手順等の前に、今、市町村合併の必要性について、若干かいつまんで申し上げておきたいと思うのですが、御指摘のとおり、本当に国と地方の役割分担をはっきりさせていく、そういう中で、住民に身近な事柄については自治体がみずからの責任において、そして自主的に物事を決定していく、これが一番大事なことだ。これは官対民という関係においても、国対地方という関係においても、そういう意味で受動的に物事をやっていくのではない、自分が主体的に決めていくんだという、これをつくるためにも、それができるような環境が必要だ。

 したがって、今現在、地方自治体の規模が、市町村においても二百万を超えるような市から、二百人ぐらいの村まで千差万別、そういったことも考えますと、やはりこの際、市町村が合併して、それなりの財政規模を持った財政力を身につけるということも大事なことでございますし、またそれだけの組織力というものも必要だろう、あるいはそれだけの背景がなければ人材も集まらない。

 そういうようなことをいろいろ考えますと、ぜひ市町村の合併ということはいずれなればいいというのではなくて、かなり、ある程度政策誘導を用いながら積極的に進めていかなければ、本当の意味での地方自治の受け皿が育っていかないという思いをいたしておるわけです。

 そこで、本法案におきまして合併特例法の改正が一括法の中に入っておるわけです。たくさんありますが、その中で主な項目についていきますと、地域審議会、これは、小さな村や町が合併されると自分のところが置いてきぼりになる、廃れていくのではないか、そういったときに、そうはならないように、いわゆるコミュニティーとしての固まり、その意思を表現することができるような地域審議会というものを今回新たにこの中に盛り込んだということでございます。それから、逆に、財政力の強いようなところが弱いところを抱え込んだら損じゃないかというような議論も中にはあります。

 そういった点で、合併すること自体が両者ともにより優位な選択であるということを住民にわかっていただくために、合併特例債、現在あります過疎債に準じたメリットを与えた形で財政的にも支援をしていきたい。そのほか、都道府県知事が合併協議会設置を関係市町村に勧告をする制度やら住民の発議制度あるいは交付税の合併に関する算定がえの特例等々、こういった支援措置を講じていきたいというのが本法案の中に盛り込まれております。

 そこで、本法案が成立いたしますれば、ぜひ直ちに合併推進のガイドラインというものを地方公共団体にお示しをしたい。特に、市町村の合併については都道府県が積極的な役割を果たしてもらうということが非常に重要なことでありますので、都道府県に対して、市町村が合併を検討する際の参考や目安となる合併のパターンを作成して積極的に取り組んでもらうように要請をする予定でもあります。

 今、いずれ三百、当面千という数のお話がございました。それは頭の中に置きつつも、政府として今数だけを追い求めるよりも、今申し上げたような、合併が結局住民のためにもプラスだし必要なんだということをさらに理解してもらうような努力をし、そして支援策を講じて積極的に進めていきたい。できるだけ早期に今お示しになりましたような数が達成されるということを目指していきたいと思っています。

 なお、戦後一万ばかりございました市町村が第一回目の二十年代の後半から再編の中で今日の姿になってきたというのも一つの参考になる数字なのかなというふうに思いますが、少し、今日に至るまでに随分時間がかかってきたのかな、これからやはりそんなに時間をかけていたのでは大変だなという思いもございます。

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