第百四十五回国会衆議院
行政改革に関する特別委員会議録

平成11年5月27日(木曜日)

○平野委員 余りこのところで議論しても時間がたつばかりでございますが、私が言いたいことは、今までとは違うんですよ、ルールに沿って進めていくんですよ、数量の幅というのはルールに基づく権限なんですよ、幅の中での権限はないと。これぐらい厳しいチェックをしなきゃならないという視点で、政令という言葉がなければいい法律だなと思ったんですが、あるものですから、非常に気に入らないわけであります。この点、強く、気に入らないと言うことを申し添えておきます。

 さて、時間がたってまいりますので次に参りたいと思うんですが、地方分権への大きな一歩ということで私自身も一面評価をしていますし、私も、地元に戻り、あらゆる機会には、地方分権社会をつくらなきゃならない、こんなことを言ってきたわけであります。

 しかし一方、本当に大事なことは、住民、国民の皆さんが、地方分権社会というのに変われば、どのように我々にとって変わっていくんだろうかということが本来見えなきゃならないわけであります。しかしながら、今地域住民から見たときに、その事務が地方自治体でやってもらっているのであれば、それが自治事務であろうが法定受託事務であろうが、余りそこまで、これは法定受託事務ですからありがとう、これは自治事務ですから御苦労さんと国民が言うだろうか、私は決して言わないと思います。

 今、国民は、国会で最大の課題だといって地方分権一括法案をやっているんですが、国民がどれだけやってほしいと言っているかといったら、意外に冷めていますよ。きょうの委員の皆さん方もみんな冷めているのかもわかりませんが。

 それはやはり、本当に分権社会になったときに、国民の一人として、社会がこう変わってくるんだな、このことが明らかになっていないからなんですね。その点をやはり明確にしていかないことには、私は、本当の意味の地方分権にならずに、今処理しているのは官官分権ですよ、官官分権のための法律をすみ分けしておるだけなんですよ、これをぜひお考えいただきたい。

 私は、したがって、これは総理大臣にお聞きしたいわけでございますから、きょうは官房長官と野田大臣に聞きたいんですが、国民が、特に地域住民から見たとき、地方分権が進んだなと感じるために何が必要だと思いますか。

 今の法律審議では、住民の一人として、国民の一人として、何をやっているんだ、ああ、国会で勝手にやっているだけじゃないか、こういうことになりますので、もっと感動を与えていくためにも国民の皆さんが、なるほど早くやってほしいというためにも、何をこれから与えていく、あるいはもっとアピールしていけば感ずるのか、官房長官、どうでございますか。

○野中国務大臣 大変難しい課題でございますけれども、先ほども申し上げましたように、今度の地方分権と申しますのは、一つには行政改革でありますとともに、明治以来の地方自治のあり方を、縦の組織から横に変えていく、大きな歴史的革命ともいうべき転換でございます。けれども、それはまた、申し上げましたように、一つの段階でございます。

 これに、地方自治が真に地方自治たるためにやっていきますためには、私は、住民がみずから主権者としての認識を持っていただき、表現はよくありませんけれども、市町村は住民の内堀であり、そして府県は外堀であるということで、主権者たる住民を守っていかなくてはならない、こういうことを考えるわけであります。それにはまた、私は、市町村が市町村たるような状況をつくり上げていかなくてはならないと思うわけでございます。

 明治二十二年の市町村制で、約三万ありました地方公共団体が一万に変わりました。昭和三十年を前後いたしました市町村合併で、この一万が三千六百になりました。それから四十年、わずか三百余りより市町村合併が行われておらない現実をかんがみますときに、やはり今後住民みずからが、この地方自治を地方自治たるために、地方分権を全うし、地方の主権を回復するためには、私は、地方公共団体の合併が大胆に行われていかなくてはならないし、それがある意味において、また地方分権の大きな認識を住民自身に与えることになるのではなかろうかと思う次第であります。

○平野委員 官房長官が言われた合併ということも、一つの大きなインセンティブになってくるんだと思いますが、なかなか合併がここ数十年進んでいないという問題もあるんですが、合併をしていく、こういうことも一つの課題だと思うんです。

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