国会衆議院 総務委員会議録

平成13年6月15日(金曜日)

○重野安正君
 ・・・市町村合併問題について質問をいたしますが、昨年末の閣議決定によって市町村合併は与党・内閣の方針とされました。ここに至る歴史的経過からみますと、この問題はやはり受け止め方が間違っているのではないかというふうな感じがいたします。間違っているというよりも、主客転倒させられているのではないかという感じがするのであります。というのも地方分権の推進にあたって分権の受け皿論として市町村合併はとらない。これが推進委員会はもとより、当時の自治省の共通認識であり、内閣もまたこれについては何ら条件をつけていなかったと私は理解をしております。それがいつのまにか分権の受け皿というふうにされたのではないかと私は思うのでありますが、これについての見解を伺います。

○片山総務大臣
 私は、かねがね21世紀は地方の時代、本当の名実ともに地方分権の時代にしなきゃいかんと、その場合の主役はですね、都道府県でなくて基礎的自治体である市町村だと、そのため市町村に元気になってもらわなければいかんと、元気になるためには今の規模・能力で十分だろうかと、こういうことを考えておりまして、特に今後は、福祉だとか、保健だとか、環境だとか、都市計画だとかはね、もうこれは市町村が独自で判断して処理できるような体制にせないかんと思いますね。そこで権限移譲をさらにやろうと、事務移譲をさらにやろうといたしましても、また、財源を国から地方へと、こう言いましてもね、今の市町村で大丈夫ですかと、それだけの能力がありますかと、きちっと処理できますかということを、本当に各省に言われるんですよ。その場合に、いや大丈夫ですよということのまだ我々も自信がないんで、是非、この際、自主的な市町村合併を推進して、市町村の規模・能力を拡充して、行財政基盤を強化して、この市町村ならやってもらっても大丈夫だと、こういうことにする必要があるのではなかろうかと、こう思っておりまして、今3224ありますから、与党も言われるし、まあ3分の1位が一つの目標かなあと思っておりまして、内閣にも支援本部を作り、都道府県にも今いくつか支援本部を作ってもらっておりまして、また、財界を中心に、経済界を中心に合併を推進する国民協議会というのを立ち上げていただきまして、これも都道府県にもできるだけ同じようなものを考えてもらって、国民運動としてですね、市町村合併を進めたい。それはあくまでも地方の時代を作るために、その主役は市町村であるので、市町村に頑張ってもらうと、こういうことでございまして、私はそういう考え方できておりますので、今、重野委員、主客転倒でいつのまにやらあれが変わってでないかと、方針に、考え方が、私はまあ、そういうことは、私が大臣にしていただいたのは12月5日からでございますけれども、私はそれは前から旧自治省はそういう方針ではなかったろうかと、こう思っております。

○重野安正君
 この問題は今後ですね、この市町村合併の成り行きというものを、そういう視点でずっと見続けててまいりたいと、今後、色んな角度から議論をしていきたいと思います。昨年末の行革大綱に示されております基本的考え方を要約しますと、一つは自治体の行財政基盤の強化、それから国・地方の財政赤字への対応、この二つに尽きるのではないかと私なりに理解をいたします。しかし、よく考えてみますと、個々に示されております、いわば合併の考え方、考え方というより、むしろ手段ではないのかなと、こいうふうな感じがするわけであります。総務省の示す合併指針にいたしましても、行革大綱にいたしましても、肝心の自治体像が示されているのかと、こういうふうな感じ、疑問を持つわけです。それがないままに、手段が目的化してるじゃないか。盛んに数値目標が示されるわけでありますが、そういうことだけがやたらと目について、それが政府のいわゆる市町村合併構想の本質なのか、こういうふうな見方が私なりにされるわけでありますが、そのへんについてどのように考えてますか。

○遠藤副大臣
 市町村合併というのは、国がそれを強制するという話ではないわけでございまして、また、財政上の需要からそうあるべきだというふうなことではなくて、住民に一番身近な基礎的自治体は市町村でございますが、ここは住民のニーズをどのように適切に反映をし、そして住民の皆さんに安心をしていただける住民サービス、行政サービスができるかということを真剣に考えるところだと思いますね。そうすると、今の状態ではですね、非常に基礎体力が弱い。したがってやりたい仕事も十分にできない。あるいは、専門的な職員を採用するにしてもですね、そういう人件費の余分な費用は出てこない。したがって、一人、二人の職員の方が三つも、四つも、五つもですね、仕事をしなければいけない。そうすると住民の専門的・多角的なニーズに十分に応えることができないというのが実際問題としてあると思いますね。したがいまして、市町村の自発的な意思で、より住民の皆さんのためのサービスを充実し、かつ専門的な色んなニーズにも応えていくにはどうすればいいか。こうすると、やはり市町村合併を推進して大きな体力にしてということになりますと、職員の数も、専門的な分野、あるいは専門的な組織というものも作れるわけでございますから、そうした部分で地元の一番近い市町村の方からの気持ちとして、市町村合併を推進していただきたい。こういうことで自発的な市町村の合併ということを特に今回は要望していることころでございまして、全く国の意思でどうのこうのということではなくて、住民のサービスをさらに充実していくためには市町村合併は避けて通れない課題であると、こういうふうな方向で市町村合併に取り組んでいただきたいと、こう思っているところでございます。


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