国会参議院 財政金融委員会議録

平成13年6月21日(木曜日)

○峰崎直樹君
 ・・・今度、より具体的に入っていきたいと思っているんですが、塩川大臣おっしゃられて、国と地方の行政責任、あるいはミニマムはどのくらいなのか、あるいは格差はどうかとか、色々おっしゃられたんですが、やっぱりこの間から議論しているようにですね、やっぱり国税、交付税も、あるいは国庫補助金も、これを削減すると同時に、その分を、税源を移譲すると、こういうことが進む必要がある。しかし、その場合はやはり国の財政負担も非常に厳しくなりますねということで、当然いわゆる税源移譲ということの前提条件としてですね、交付税の後年度負担の廃止、これはいわゆる事業費補正の問題ですね、あるいは補助金の見直し、これをまず第1番目に地方財政計画の策定の段階で、これは削減の、廃止をする方向というか、少なくする方向というか、こういう方向で見直すということが第1番目の前提条件で、この間もおっしゃいましたよね。この1つとですね、もう1つは、この間の議論の時に、財務大臣、いわゆる現在の3300の地方自治体がまばらだとおっしゃいましたよね。都道府県もそうだし、それ以上に地方自治体の、いわゆる100万を超える自治体があるかと思えば、何百とか、何千とかというね、そういうまばらなものがあるということで、税源を移譲してもそれだけではなかなか効率化にならないんじゃないのかということで、どうもやはり合併ということも1つの条件にこの税源移譲を認めるということを、今、先ほどおっしゃったというのは、そういうことを前提にして塩川大臣考えておられるように伺ったんですが、そういうふうに言い直してよろしゅうございますか。

○若林財務副大臣 若林財務副大臣

○峰崎直樹君
 かなり、所得税とか消費税とか税に立ち入られたんで、私も、地方税源移譲する時には何がいいかなあという時には、思いつくのはきっとその2つぐらいだろうというふうに思ってはいるんですが、そこにいく前に大前提で議論している大前提ですね、今、やっぱり国も支払い能力というか大変ですよね、その国の国債の格付けも、今、トリプルAから下がってきましたね。シングルAになったら、自主規制で20%のリスクウェイトをかけなきゃいけないんですね。もうそういう2004年度からそういうことが始まっていくわけです。今、問題にしているのはですね、国も大変だ、その時に地方財政で、地方債については、地方自治体の借金については、国が法的に面倒みるんですか、これは法的には面倒みてないと、しかし、それは地方財政計画で認めたものは財政的に措置をしてるんだということを言われたわけですね。今、問題になっているのは、地方分権というのは地方自治体が自分の力で自主的に、今までは国におんぶにだっこだと、もっと私の言葉で言うと金融機関が護送船団行政だと言われたけれども、この地方自治体こそがですね、壮大なる護送船団の中に入っていると思うんですよね。今、そこを見直さなきゃいけない時にきているんではないかということが実は大変な問題意識にあるわけですよ。そこで、そうはいっても、今までは、地方自治体を機関委任事務と称してですね、あるいは景気対策と称して、とにかく地方自治体を国の手足のように使ってきて、それが借金を今日貯めたことは間違いないわけですから、過去の借金についてこれはもう国は面倒見ないよなんてことをそう簡単には言えないというのは、これはそのとおりだと思うんですよ。今、問題にしているのはですね、国の税源移譲という時には、地方自治体が自らの力で立てるようにしていこうじゃないか、できる限り。それをやったって、私の今居住している北海道なんてのは大変なところは、おそらく、税源を、例えば所得税を半分あげるよといっても、きっと自主財源の比率は、財政力の指数は0.1から0.2に上がるぐらいのもんだと思うんですよ。だから、それはそれでいわゆるミニマムを補正するものが残るんですが、そうでなくて今の大部分が、大部分というよりも都道府県は東京都以外は全部ですね、市町村は70前後以外は全部交付団体になっているわけです。これではあまりにもいわゆる交付税の機能というものが弱まってますねと、もう1回ここで自分の力で自立していくという、そのためには、いわゆる歳出の自治権だけでなくて、歳入の自治権、権利を与えなければこれはなかなか無理ですねと、こういうところまできたと思うんですね。そこで、今、問題にしているのは、その交付税と言われているものが先ほどから言っているようにモラルハザードを起こしているところについては、来年度以降見直しをかけて削減をしていきましょうね。これは1つは入ってきます。もう1つは、そうは言ったって今の地方自治体の受け皿はあまりにも能力にアンバランスがあるじゃないですかと、このことを是正しないと、さあ税源を所得税の半分あげましたよ、じゃあこれであなたのところは自分でやれますかといったら、そう簡単にそうならないですねと。この2つのことは、塩川財務大臣、認識としては共通しているんでしょうねと、税源移譲するという時には、その交付税のありようについても、それから交付税以前の国庫補助金についてのあり方もですね、これは見直しますねと、見直さなきゃいけないね、そして、地方も応分の負担をしてくださいねと、そして、権限をあげるけれども、その権限をあげる時には移転財源はその分減りますよ、これもいいと思うんですよ。受け皿となる自治体も、今のままではそう簡単にすぐ不交付団体が増えますねとういうふうにはなかなかならないでしょうから、そこもやはり町村の側は、強制力ではないけれども、自主的にある程度自前の力をつけてくださいね、こういう認識で、塩川財務大臣、間違いないと思うんですが、たぶんそう考えておられるんでしょ。

○塩川財務大臣
 峰崎さんおっしゃるようなことについては1つの効果があると思います。しかし、ちょうど3年ほど前でございましたでしょうか、国の機関委任事務を法定受託事務として地方に移した時がございましたですね、その時にその分権をひきました時の議論の中に、分権の条件をこれを合併条件とか何かに利用してはいかんと、つまり、合併という問題は非常に自主的判断の要するものであり、これこそまさに憲法92条でいうところの自治の本旨というものの一種ではないかということが議論ございました。それと同じようなことが税の移譲という時におこってまいりました時に、先ほど峰崎さんおっしゃるようなこと、私は期待するんですけれどね、そういうことは期待しますけれども、それを1つの条件というか1つのバックグランドとして、それを出していくということは、自治の本旨にもとるというようなことに、必ずそこへ議論がくると思うんです。でございますから、そのへんのあうんの呼吸というのは非常に難しいと思うんですけれども、しかし、一番効果があるのはそれなんだと思うんですが、私はそういうことは答弁としてはなかなか言いにくいなと思っておるんです。 (中略)

○峰崎直樹君
 ・・・そこでですね、今、お話なさったところで、合併を将来推進をしていきたい、今度の経済財政諮問会議の中でもそういうことは議論されてですね、300だとか1000だとか言われているんです。その時に、前回、私もお話申し上げましたけれども、私の田舎なんかに行くと、農協が合併する時にうまくいくところといかないところがある。いかないところというのはたいてい優良な農協と不良な農協があって、不良な農協というのはフローじゃなくてストックでもう真っ赤っかになっているわけですよ。同じことが地方自治体で、さあ不良債権になった時に合併しなきゃいかんねと、合併させる以外にないねという時に、いやいやあそこの自治体はもうとにかく第3セクターの大失敗でですね、あんなとこと合併したら大損すると住民は大反対しますね。だから、私は言っているんです、破産法制を、いわゆる特殊法人も、今、破産法制をつくるということで準備が進んでいるんでしょ。そうしたら地方自治体も同じように破産が起きて、これは破産するというのは破産させるためではないんです。さっき言ったように早期健全化だとか金融再生法というのは、要するに新しくするためになんでしょ。21世紀に向かって地方自治体が今度は元気な姿になりましたと、私のところはもう不良債権がなくなっちゃって本当に健全な自治体になりました、今度は国にあんまり依存しないで、自分のところの税源で、しっかりとした、いいまちづくりを進めていきたい。こういう発想にするために、今、こういう今のような、ぐずぐずと国が面倒を見ます、そして地方債はリスクウェイトゼロです、こういうやり方だったら、さあ、これから起きてくるであろう破産がどんどん起きた時に、あなたのところは赤字再建団体で、それぞれの市町村ごとにチマチマと頑張りなさい、鉛筆1本まで全部総務省の指導監督のもとに入ります。こんなやり方ではなくて、もうそこは破産の仕組みをきっちっとたてて、貸し手にもきちんとリスクを負ってもらう、つまり、情報開示をきちっとやらなきゃいけませんよ、情報開示をきちっとやって、そしてこの市町村は大丈夫、この市町村のこのプロジェクトは大丈夫だ、これなら貸してもいい、こういう貸し手責任というものを含めてですね、やっぱりそこのとこの中に入れ込む必要があるのではないかなと、そういうことを考えないと、実は合併もうまくいかないんじゃないですか。合併というのは強制的にやるもんではないと思います、私も。だけど、合併自身も本当にうまくやろうと思ったら、そこのストックとして残っておる不良債権のところを何とかしなきゃ、これはだれも一緒になりましょうたってですね、いやだめだ、あんたと一緒になりたくないと、こうなりますよ。どうでしょうか。その意味で、今、申し上げたようなことについてですね、私は、提案というか一ついいことがあるんじゃないかと思っているのは、そういう破産法制をきちっとつくるということ、そして、いわゆるこれまで国の政策の誤り、あるいは国の政策に忠実に従ったがために膨大に積み上がったストックがあるわけですね、不良債権が。これはある意味では合併をする、破産法制を入れて、合併をするという時には、これはなくしてしまう、とってしまう。こういうようなやり方をして地方自治体の健全化を図っていくということが、私は、今、求められているような気がしてならないんですが、今、申し上げたようなことについて、財務大臣なんでしょうか、また副大臣がお答えになるんでしょうか、財務大臣でしょうか、私は財務大臣にしかと答えていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

○若林財務副大臣
 財務大臣のご答弁の前にちょっと申し上げておきたいと思うんですけど、今、破産法制ということをおっしゃっておられますけれども、特殊法人などと違いまして、地方公共団体は申すまでもなく基本的ないわば統治を行う自治体なんですね。これは課税権だとか、その他統治に伴う権能もあり責任も持っていると、こういうことでありますから、この自治体という法人、その法人格を消滅させることを前提としたような色んな仕組みというのはちょっと考えるのはできないと思うんですよ。ただ、今、おっしゃるように、息詰まってきている、財政が息詰まってくる、あるいはストックの面で膨大な不良資産を抱えていると、これをそのままにしておいて、フローで転がしていただけでは、いずれ大きな、さらに大きなその問題を先送りしていって大きな問題になっていくと、そういう認識のもとに、そういう自治体に対して、あるいは合併を進める際にどういう手だてが必要になってくるのかと、そういう破産法制という言葉尻ではありませんけど、そういうことじゃなくて今のような問題意識につきましては、これから本当に合併を強力に推進していくという場合には、その関係自治体の試算内容、あるいは財政事情といったようなものによって何かてこ入れをしないとですね、合併が進まないという場合もありうるのではないかなというそんな印象を持っております。まあ、具体的にどのような手だてを講ずればいいかというのは、モラルハザードの問題もありますから、どういうふうにして責任を、自治体自身の責任はどこにあるか、あるいは、その自治体に貸し込んでいった指定金融機関などの金融機関はやっぱり貸し手責任というものも全くないわけじゃありません。それをどういうふうに取り組んでいくのか。第三セクター等の関係はちょっとまた別になりますけれども、そういう問題はやはり突き詰めていかないといけないかなという印象でございます。


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